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2013年3月

2013年3月21日 (木)

二人の空間

夕暮れ時のエクセルシオールカフェ。学生やビジネスマンだけでなく、子供連れの主婦や高齢者まで、種々雑多な人々が集い賑わっている。

一組の大学生風カップルが向かい合わせのテーブル席に座った。
と、同時に大テーブル席が二つ並んで空いた。二人は目ざとく見つけ、素早く移動。
大テーブル席は一人客でびっりちと混んでおり、明らかに元の席の方が快適だ。
だが、二人はお互いの顔を見てにっこりと微笑んで、二つの椅子をぴったりとくっつけて座った。

並んで座る二人に会話はない。彼は黙ってパソコンの画面を眺めている。彼女は参考書で英語の勉強をしている。ただ、触れ合うお互いの右肩と左肩の温もりを確かめるように時折、さらに身を寄せ合う。二人は共同作業のように、並べたマグカップを同時に口元に運んでコーヒーをすする。

賑やかな店内のそこだけが、時がゆったりと流れているかのようだった。

2013年3月 5日 (火)

恋の時間

スタバのテーブル席でスマホをいじっている大学生らしき男子。チェックのシャツにニットタイをしめて少しおめかししている。だが、彼はかれこれ三十分も待ちぼうけだ。

「ゴメンね!」。店に駆け込んできた大学生っぽい女子。黒髪に毛糸の髪飾りが少し幼さを醸し出している。走ってきた勢いで息が荒い。手袋をしていない指が冷えて赤くなっている。

彼は彼女の指を掌で包んで、「急がなくていいのに。ちょうど約束の時間だし」と言った。
「ううん、三十分遅刻した」。
「そうだっけ?じゃあちょうど良かった。ぼくも遅刻。ほんの少し前に来て、ラテを飲んだところだから」。
彼女は少し顔を赤くして言った。
「うそ。すごく待ったよね。カップが乾いて固まってるもん。ゴメンね」。
彼は困ったような顔をして言った。
「ぼくは熱いの飲むの早いんだ。今来たばかりだよ!」

恋する人の時間は周りの時間の流れと同じではない。やさしいうそつきの彼が、彼女を待つ時間はそんなにつらいものではなかったののは想像に難くない。

愛の告白

スタバで向かい合わせで勉強中の高校生の男女。まだ、中学生のあどけなさが残る二人。

正確には勉強中なのは女の子だけで、男の子はiPod touchでゲームに興じている。
女の子は勉強ができるタイプなのか、数学の問題集をスラスラ解きながら、男の子に話しかける。女友達との関係に悩んでいるようだ

「あーあ、何でアヤカは女に生まれちゃったんだろう。女同士って面倒くさいことばっかり」。

男の子はiPodの画面から目を離さずに言った。
「俺はアヤカが女で良かったよ。男から男に好きって言ったらゲイになっちゃう」。
「・・・え?あんた、好きって、何言ってるの?ゲイとか、バカじゃない?」

女の子はシャープペンを激しくカチカチとノックした。芯が無意味に伸びてノートにぶつかって折れた。
... 男の子のiPodの画面には、Game overの文字が表示されていた。画面から目を離して女の子を見た。

「あ、分かりにくかった?」
「わかったわよ!・・・ありがとう・・・」

ゲームには負けたが、告白は成功したようだ。

「距離」

あるスタバでは、電源が取れるのは狭いテーブル席しかなく、人と人の距離はテーブル幅の80センチしがない。

向かいには、レシートを出してスマホを電卓にして経費計算をしている初老の男性。隣には、パソコンでメール処理をしながらFacebookを見ている若いビジネスマン。その向かいには、iPhoneをいじっている若い女性。みんな手元で黙々と作業をしている。

唐突に若い女性が「と、いうわけなの」と言った。
向かいの若いビジネスマンが「わかった。じゃあ行こうか」と応えた。

まるで他人に見えた二人。近すぎる周りの人を気にして、どうやらFacebookのメッセージで会話していたようだ。
二人の距離はテーブル幅の80センチ。二人の会話は、インターネットを通して、一体どれくらいの距離を経て交わされたのかわからない。

外を見ると、二人が寄り添って恋人の距離になって歩き始めていた

「パシり」

スタバのカウンター席。スーツ姿の三十代半ばの男性が電話をかけ始めた。

「・・・と、いうことで、俺は直帰するけど、机の上の書類を回しておいて。よろしく。それから・・・」。
彼はひとしきり部下なのか、後輩なのかに指示を出して電話を切った。

それからしばらく彼はFacebookに興じていたが、スマホが振動した。
「・・・はい。・・・はい。セブンで食器用洗剤とキムチ鍋の素を買って帰ればいいのね。わかった」。

彼はパソコンをシャットダウンして、そそくさと席を立った。

「ラッキーマンの不安」

通勤ラッシュも一段落した電車の中。二人連れのビジネスマンの前の席が一つ空いた。
左手に結婚指輪が光る、少し貫禄が出てきた風情の先輩らしき男性が座った。
後輩に向かって言った。
「俺って、『席運』って言えばいいのか、座れる確率が異様に高いんだよ。だけど、こんなところで、いつも運使っていいのかなぁ~って不安になるんだよね」。
「大丈夫っすよ」と、後輩が笑った。
「そうだよな」。と、先輩は笑いながらコートのポケットをまさぐった。スマホを出そうとして取り落とした。電車の床でスマホの裏蓋が開いてバッテリーが飛び出した。
やはり、運は無駄使いされているのかもしれない。

「イケメンの我慢」

「イケメンの我慢」

電車の中。空いた車内のシートには、パリッとプレスが効いたワイシャツが印象的な三十代半ばのビジネスマンが座っている。彫りの深いイケメンだ。

だが、その整った顔立ち
の表情がおかしい。何やら、鼻孔をひくひくさせている。さらに、左手で鼻をつまむ。くしゃみを我慢しているのだろうか。

さらに鼻孔を大きくし、口までもぐもぐさせだした。再び鼻をつまむふりをして、微妙の鼻腔内に一瞬、人差し指を突っ込んだ。つまり、彼はくしゃみをこらえているのではなく、いわゆる「鼻の穴を掘る」という行為を必死で我慢しているのだ。

イケメンが人前で鼻をほじるという行為はしたくないだろう。ましてや、筆者の視線は感じ取っているだろうし、あまつさえ彼の両隣の席は若い女性が座っている。
...
我慢が限界に達したか、ポケットから左手でハンカチを取り出して鼻と口元を隠し、右手でこっそりと鼻を掘った。微かに彼の目尻が下がり、安息の表情に変わった。

「ハーッション!!」。安らぎも束の間。急にこみ上げてきた大きなくしゃみの音が車内に広がり、その瞬間、彼をただのオヤジに変えた。

「よくある話」

カフェのテラス席。チャコールグレーのウールコートに身を包んだ若い男が、タバコとコーヒーで午後のひと時を楽しんでいる。
通りの向こうの側から、髪の長い若い女性が笑顔を浮かべ、小さく手を振って小走りに近づいてきた。
男の表情がパッと明るくなり、立ち上がった。
ところが、彼女は男の横を通り過ぎ、背後の席の女性のもとへ。「ゴメンね~待った?」

ここまではよくある話。

男がクルリと振り返った。
... 「○○さんだよね?!」
駆けてきた女性がハッとした顔で応えた。
「え?・・・あー!□□君!?こんな所で何してるのー!」

無味乾燥な都会でも、小さな奇跡は起きる。

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