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2012年9月

2012年9月18日 (火)

「タトゥー」

銀座四丁目三越前。待ち合わせをしているらしきスーパーマリオをリアルにしたような筋骨隆々とした外国人。太い前腕部には、MS明朝体的な文字で「西海岸沿い」と彫り込んであった。出身地を聞いてみたい衝動に駆られた。

地元の交差点。追い越していったラテン系美人のうなじには、下手な文字で「愛運」と彫り込んであった。言いたいことはなんとなくわかった。だが「運」の横棒が一本足りなくて、とても幸薄い感じがして気の毒になった。

成田空港からやって来たらしき小太りな白人男。空港で買ったのか、「日本」と書いたTシャツを着ている。袖口から遠慮がちな小さな文字で二の腕に「兄弟」と彫り込んでいるのが見えた。彼の性癖がなんとなくわかった。

「スタバの景色」

東京駅内にあるスタバは、恐らく日本で最も慌ただしいスタバだろ。だが、そんな店内にもマイペースな人はいる。

涙の映画鑑賞カップル

店内奥のソファー席を二つ並べて陣取って、パソコンにイヤホンをつないで動画鑑賞を始めたふたり。
恐らく、新幹線で鑑賞中に東京駅に着いてしまったのだろう。映画はクライマックスのようだ。
彼女がハンカチで目頭を押さえ、かたを小刻みに振るわせている。
隣のテーブルでは、商談が荒れたのか、中年男二人が書類を間に険悪な雰囲気を醸し出している。
...

壁男

眠っている。スタバで仮眠は御法度だ。だが、店が忙し過ぎて店員の目が届いていない。
いや、彼はまるで自らは壁の一部であるとでもいうように、異常に席の横の壁に密着して座っている。
たぶん、壁に擬態しているのだろう。

がり勉少女

単語の書き取りをしている。この慌ただしい店で勉強をしている人は珍しい。まるで周囲の喧騒が耳に入らないかのように打ち込んでいる。
ただ、不思議なのは、ノートの代わりに単語を店のペーパーナプキンに書き散らしていることだ。ナプキンに文字がいっぱいになると、濡れたアイスコーヒーのコップの下に敷く。せっかく書いたナプキンはふやけていく。
きっとそれは彼女のおまじないなのだ。もしくは、ドラえもんの暗記パンのような秘密道具にちがいない。



と、様々なマイペースな人々がいるけれど、それらを観察している私が一番マイペースなのだろう。

2012年9月11日 (火)

唐揚げ弁当の風景

彼が何故、そこでそうしていたのかは分からない。
年の頃三十半ば。ぼさぼさの髪とよれたノーアイロンシャツの男。

秋というにはあまりに暑く、湿度が満ちたホームのベンチ。彼の隣には熟年の酔漢がビールのロング缶を飲んでいた。
そんなものには目もくれず、彼はコンビニの唐揚げ弁当を取り出した。蓋を開けるのももどかしいかのようにこじ開けて、一気に唐揚げを二つ口に詰め込んだ。咀嚼もそこそこに続けて白米を大量に頬張る。

それは食事というには余りに暴力的に見える所作だった。
何かの代償行為か、やり場のない想いを弁当にぶつけていたのか。
...
空になかった容器を足元に落とし、それを追うように頭を深くうなだれた。

家路を急ぐ通勤客が彼の前を通り過ぎ、彼の横では酔漢が今度は缶酎ハイの蓋を開けた。

初秋のスーパークールビズ

地下鉄で見かけた五十がらみのよく日に焼けた男は、ゴージャスな男であった。
ノーネクタイのワイシャツは身体によく合っており、一目でオーダーと知れた。
ピンクの生地に白のクレリックカラー。白のダブルカフスはこれでもかというほどノリが効いている。
キラキラしたカフスボタン。その先にはキラキラついでにダイヤのテンポイントが入ったロレックスが輝いている。
手にはコードバンで作ったダレスバッグ。ピカピカのスリッポンを石田純一のように素足で履きこなしている。

が、誰もが刮目してしまうのは、シャツと靴の中間。パンツである
グルカショーツ。別名コロニアルショーツとも呼ばれる、英国軍生まれの半ズボンをはいている。
...
いや、グルカショーツはゆったりとしたシルエットが特徴なのだが、明らかにサイズが小さくピチピチなのだ。ラジオ体操にやって来た夏休みの小学生のように。

バリバリのゴージャスなシャツスタイルに、トロピカルなピチピチバンツ。そのアンバランスさはイヤでも目が引きつけられる。
さらにそのアンダーサイズなグルカショーツはベージュ色で、焼けた男の肌の色と同化している。下手をすると男をただの「変態紳士」かと見まごわせる。

同じ駅で降りた。改札を出て地下道を進むが、向かう方向が一緒だ
まだ残暑厳しい気候の中で、ネクタイを締めてびっちりと上着まで着込んだ私も大概目立つ方だが、このときばかりは数メートル先の変態紳士モドキには負けたのであった。

2012年9月10日 (月)

今日の「大丈夫ですか?」

コンビニでペットボトル飲料を買った。「そのままで大丈夫ですか?」と聞かれた。すぐ飲むので問題ない。「大丈夫です」。と答えた。

スマホの電池が急に減るようになったのでドコモショップに行った。バッテリーが弱っていた。しかし、在庫はないという。「今日は大丈夫ですか?」と聞かれた。まったく大丈夫ではなく、夕方までバッテリーは持たないだろう。しかし恐らく、「お取り寄せしなくてよろしいですか?」と店員は聞いているのだろう。「大丈夫です」と答えた。

ランチでレストランに行った。店は結構混んでいた。「おタバコ大丈夫ですか?」と聞かれた。大のタバコ嫌いなので、大丈夫なわけがない。恐らく、「喫煙席かしか空いていませんが、よろしいですか?」という意味で言っているのだろう。「大丈夫じゃありません」と言って、店を出た。

別のレストランで食事をした。食べ終わった皿を店員が見て、「も...
大丈夫ですか?」と尋ねてきた。「空腹は治まりましたか」という意味かとも思ったが、恐らく「もうお済みですか?」と聞いてきているのだろう。「大丈夫です」と答えた。

街は「大丈夫ですか?」で満ちあふれている。
「大丈夫ですか?」は、人を気遣う良い言葉だ。
だが、「日本語は大丈夫か?」と最近思う。

殻むき男

朝のカフェ・プロントはビジネスパーソンがモーニングでエネルギーをチャージするオアシスだ。
そんな店の片隅に四十がらみの男が座っていた。テーブルの上には日経新聞。髪をなでつけオールバックにし、まだ暑いのにスーツをカッチリと着込んで渋く決めている。

男の目の前にはほぼ食べ終わったモーニングセット。そして、手にはゆで卵。
爆弾処理班とはそんな目をしているのだろうという眼差しでゆで卵に集中している。
殻を破り、一片一片、破片を取り除く。
続いて、取り損なった薄皮を爪の先で摘まんではがしていく。
つるりとした完璧なゆで卵が出現した。
...

男は完全処理したゆで卵を眺め、少し満足そうに目を細めた。そして、一気に口にほおばった。蛇が丸呑みするように。
ガブリとあごを動かした瞬間、口いっぱいにゆで卵をほおばったまま、男は絶望的な表情を浮かべた。そして、悲しげにテーブルの上にある塩の瓶を手に取った。
殻むき作業が完璧だったことに気をよくして、塩をかけるのを忘れたのだ。
男は悲しげな表情のまま、苦いものを食べているかのようにゆで卵を飲み下した。

スタバの悲劇

スタバは1日の中でも朝が特に気持ちよい。
朝に似合った音楽。店員が馴染み客と交わす挨拶と他愛のない会話。忙しい中にも、どこかゆったりとした雰囲気が漂う。
そして、何よりも、少しまだ眠い目を開いてくれる、かぐわしいコーヒーの香りが鼻腔を刺激する。
が、今朝は何故だか少し香ばしい匂いが混じっている。
・・・朝から席で靴脱ぐの禁止な。隣のヤツ。

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