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2012年6月

2012年6月29日 (金)

さする人々

都営大江戸線最後尾車両。3歳ほどの男の子が、その祖母とおぼしき人にだっこされて窓の外に流れゆく地下の風景を見つめている。祖母はその子の頭を愛おしそうにさすっている。「すごいねぇ、速いねぇ」と言いながら。

そのすぐ側の座席では、30代とおぼしき女性が優しい表情で自分のお腹をさすっている。Kitsonのトートバッグには「赤ちゃんがお腹にいます」のキーホルダーが下がっている。もうすぐ生まれてくる命を慈しむように、いつまでも、優しい表情でさすっている。

その向かいの席では、40代とおぼしき人物が同じようにお腹をさすっている。もうすぐ生まれてきそうな大きな膨らみを、困ったような表情で白いシャツの上からさすっている。男性はランチを食べ過ぎたのだろう。だが、その膨らみは一度食べ過ぎたという程度ではない。しかし、さすれば少しは引っ込むとでもいうように、さすり続けている。

愛おしきもの、愛おしくないものを併せて載せて、大江戸線は走り続けていく。


2012年6月26日 (火)

だって、オレは・・・

梅雨の晴れ間。ホテルのラウンジの窓からは雨に洗われた緑が陽光を受け、輝いて見える。

そんな爽やかな屋外の様子とは無関係に、窓際の席に並んで座る二人の雰囲気は重かった。ボーダー柄のポロシャツにチノパンの男。女は流行のゆるりとしたワンピースを着ている。
女が身を男の方に乗り出して話しかけている。話し声は聞こえないが、表情は真剣だ。

男は押されがちに背中を椅子の背あてに押しつけながら、終始無言。しかし、話の内容から居心地が悪いのか、身体を左右に小刻みに揺さぶっている。
女の話が続く。男はとうとう、身悶えるようにして、くるりと女に背を向けた。

つっと女の腕が伸び、男の背中を掻き始めた。背中じゅうをくまなく愛おしむように掻く。
すると、男が女に向き直り、ニコリと笑った。なにやら、会話が弾みだした。

恐らく、男の発した最初の言葉は、「だって、オレは痒かったんだもん」だろう・・・。

2012年6月19日 (火)

アラブの戦士

電車に乗り込んできたアラブ系の男からは戦場の臭いがした・・・と思ったのは、鋭い眼光、厳つい筋肉質の体格、そして服装のせいだろう。
モスグリーンのカーゴパンツに厚い胸板が浮き出した黒のTシャツ。アラブ系独特の立派なヒゲ。被っている帽子はナゼか「ROXY」のハートをモチーフにしたロゴが刺繍されているが、生地は迷彩模様だ。

吊革に太い腕でつかまっていた男の斜め前の席が空いた。一瞬男はためらう様子を見せたが、慎重に周囲を伺い座った。
座ってからの男は車内の多くの日本人のようにスマホをいじったり、ゲームをしたり、何かを読んだりしない。ただ、常に周囲の様子を見回している。

次の駅を列車が発車しようとした時だ。駆け込み乗車をしてきた男がいた。驚いたことに、70歳過ぎとおぼしき老人だ。といっても、顔の皺やきれいさっぱりなくなった頭髪は齢なりだが、すっと伸びた背筋は年齢を20歳以上ヤングに見せている。
「危険ですので~駆け込み乗車は~おやめください~」という車掌のアナウンスにニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

次の瞬間、アラブ系の男が立ち上がって駆け込み老人にスッと近寄った。
あろう事か、そんな元気いっぱいのヤング老人に「どうぞ」と言って席を譲ったのだ。
老人は苦笑した。だが、アラブの男の目は真剣だ。
「ありがとよ」。老人は下町爺さん特有のぶっきらぼうな言葉で返事をしたが、苦笑の表情をどこか恥ずかしげな笑みに変えて、席に座った。
アラブの男の鋭い目も、どこかやさしくなった気がした。

2012年6月13日 (水)

気の毒な男

あるオフィスビル上層階のレストラン街。そのパブリックスペースには大きな革製のフカフカなソファーが置いてある。早々と昼食を済ませた男たちが、1215頃から集まりだし、あっという間に満席になる。目的は「昼寝」だ。

ワイシャツ姿で首からIDカードを下げたビルに勤務する社員達が仮眠をむさぼる中、一人の男はスーツにネクタイ姿で一人ソファーでPCを操っていた。そして、恐らくメールを送受信しながら、携帯で小さな声で連絡を取っていた。
「今、送りましたんで、確認しておいてください」。そう言って電話を切ると、男はフーッとため息をつき、PCをカバンに仕舞い、上着を脱いでネクタイを緩め、ポケットからハンカチを取り出してソファーに深く座り直して顔の上に載せた。やっとお昼寝にありつけたのだ。

ところが、「ブーッ、ブーッ」というバイブ音があっという間に男を現実に引き戻した。「はい。はい。えっ?・・・わかりました」。フーッとため息をつくと、男は再びパソコンを取り出し操作し始めた。

しばらくして携帯で電話をかけ、「修正しました。今度は大丈夫だと思います。確認してください」と話し出した。

「大丈夫ですか?はい。済みませんでした。じゃぁ、ちょっとこの後、移動しちゃって電話に出られなくなるので、何かあったら留守電入れておいてください・・・」。男は再び、ハンカチを顔に乗せ、眠りについた。

「ブーッ、ブーッ」。再びバイブ音がしたのはそのすぐ後だった。しかし、今度は男は無視を決め込んだ。ピクリとも動かない。本気であっという間に熟睡してしまったのかもしれない。
バイブ音は一度途切れ、再び鳴り、しばらくして三度目が鳴って、その後沈黙した。男に真の安らぎが訪れたのだ。

しかし、男がそれで幸せになれたかどうかは疑問だ。いつまで眠るつもりかはわからないが、その時点で時計の針は1320を指していた。世間の昼休みはとうに終わっている。周りのお昼寝社員達も引き上げている。

男の「移動中で電話に出られない」の言い訳がうまく通ることを祈りながら、カナモリはその場を後にした。

2012年6月12日 (火)

勉強とスナック

スターバックスの大テーブル。試験勉強の高校生組とパソコンを開く大人組が思い思いに勉強や作業をしている。

その中で、唯一、大人の中でPCを広げずに暗記勉強をしている男性がいた。カラーマーカーを引いた参考書と細かい文字が書き込まれた単語カードを前に、スッと背筋を伸ばし、背もたれに背中も付けずに座っている。緩いパーマにメタルフレームのメガネ。細面。ちょっと無精ヒゲはイケメンの部類に入るだろう。白シャツ一枚をサラリと着こなす辺りも。
そんな彼は、単語カードをめくるたびに、手元にあるコーヒーをすすり、チョコレートチャンクスコーンを一片崩して口に運ぶという動きを繰り返している。中を眺めて口の中でブツブツと暗記すべき言葉を呪文のように唱える。一枚めくる。また、ひとかけら。
恐らく、彼にとってのチョコレートチャンクスコーンは、「ドラえもんの暗記パン」なのだ。覚えて、食べて、記憶に定着さ...せる。その繰り返し。

ふと気がつくと、その向かいのオレンジのストールをふわりと肩にかけたオシャレな女性は、PCで熱心に文字を入力しながら時折手を休めて持ち込んだ「生ブルーベリー」の実をつまんでいる。目をいたわっているのだろう。作業が進むたびにブルーベリーを食べるピッチが速くなり、目の疲れが進んでいることが伺える。

後からやってきたリボンタイをルーズに絞めた女子高生は、カロリーたっぷりのシナモンロール(522Kcal)をドリンクも飲まずにガツガツと平らげ、気合いを入れてからおもむろに参考書を開いた。

長時間利用と勉強の際は「大テーブル」を使用するようにという旨の掲示がある店舗。その大テーブルの住人たちはスタバのツワモノだ。滞在時間も軽く2時間を越える。作業の栄養補給も各々スタイルを持っているのである。

2012年6月11日 (月)

営業ウーマン

その人はオフィスビルのパブリックスペースの椅子に腰掛け、一人、イヤホンで音楽を聞いていた。
黒のタイトスカートのスーツにシャーベットグリーンのブラウス。パソコンの入る大ぶりなバッグ。踵の低いパンプス。営業担当者の風情が漂う30代半ばの女性。

目を閉じて音楽に聴き入っている。時折、薄い色のルージュを引いた唇が小さく動き、声を出さず歌詞を口ずさんでいる。

しばらく、音のない歌を歌い続けた後、小さく聞こえる声で、「ッシャァ!」と言い、カッと目を開き、椅子を蹴る勢いで立ち上がった。
どうやら気合いを入れていたようだ。

彼女が立ち去った後、「椅子は戻しましょうね~」と小さな声で言って、代わりに元に戻しながら、「頑張って~」と心の中で声援を送った金森であった。

2012年6月 9日 (土)

孤独

その男性は終始、少し寂しげな笑顔を浮かべながらビールを飲んでいた。

夕暮れ時の新橋SL広場。花金で待ち合わせの人でごった返している。
混雑を避けて広場の裏側で待ち合わせをする賢明な人も多い。その中に男は混じっていた。
通りを挟んでセブンイレブンがある。そこで第三のビールのロング缶を買ったのだ。「袋はいりません」と言ったらしく、缶にシールが貼られている。
年の頃、50代半ば。少し大柄。身なりはフツーのサラリーマン風。
ノーアイロンのシャツがちょっといただけないが、量販店で購入したとおぼしきスーツと靴はきちんとプレスはされ、磨かれている。お金がかけないが、身なりには気を遣うタイプなのかもしれない。

「おー遅くなってスマンスマン!」
「ゴメン、待った-?」
待ち合わせの人々が三々五々集まって烏森の飲み屋街に消えていく。
男はその様を眺めながら、ビールを飲んでいる。誰かと待ち合わせをしている風情はない。
ノド越しを楽しむようなゴクゴク飲む飲み方ではない。つまみもない。
日本酒のようなチビチビとした飲み方。つまみは目に映る人々の様子なのだろう。
飲みに行く金も相手もなく、かといって家にそのまま帰る踏ん切りもつかない。その勢いを付けるために一杯飲む。雑踏にまみれて孤独をかき消すように。

ふと気がつくと、広場の外れにもそんな男が一人、別の場所にももう一人いた。
・・・幸せって、なんだっけ?そんなCMのフレーズが妙な哀調を帯びたメロディーに転調して頭の中で流れた。

2012年6月 7日 (木)

意思疎通

タクシーに乗った。ちょっと見慣れない会社の車だ。
60過ぎのドライバー。ベテランなのか、最近よく遭遇するオールドルーキーなのかが気になった。
「ご乗車ありがとうございます!」元気と愛想がいい。

「少し暑いね」と言うと、「きのうは少し涼しかったけど、今日は25℃まで上がるそうですよ!夏はすぐそこですね~」と、背中越しの笑顔で応えが返ってきた。

エアコンを強くして欲しかったんだけど、、、。

密やかなる作業

そのサラリーマン風の男はルノアールの禁煙席一番奥に、僅かな煙からでも身を守るように陣取っいた。
テーブルの上には少し旧式なLet's noteの14インチモデル。マウスを接続して、ガッツリ作業ができる構えだ。

構えだけではない。男は眉間に深く皺を刻み難しい表情を浮かべて何かの作業に没頭していた。
男の右手がせわしなく動いている。カチッ、カチッ、カチッ、、、。ドラッグ&ドロップを高速で繰り返している。
フーッとため息をつき、一度手を止めて、再度集中力を高めるようにして再びせわしなく手を動かし始めた。

どんな難しい仕事をしているのかと思って、席を立つ時に思い切って覗いてみた。
画面はクロンダイク(ソリティア←Windows付属のカードゲーム)だった。

2012年6月 4日 (月)

待ち時間

カチカチカチカチ・・・。その男はせわしなくボールペンをノックし、芯を出したりしまったりしている。
グルグルグルグル・・・。その男はベンチの周りを歩き回り、ざっと10週はしている。
オフィス街の外れの広場。休憩、時間つぶし、時間調整のサラリーマンたちが三々五々、ベンチに佇んでいる。
その中で誰かを待ってイライラしているのか、ただ時間を潰すのが手持ちぶさたなのか理由はわからないが、男の行動はとりわけ目立っていた。
年の頃30代半ば。ナイロンのカバンと上着をベンチに放り出したワイシャツ姿。ワイシャツは少々ブカブカなノーアイロン仕様。それでもお腹の辺りはキツそうだ。アイロンの線が消えてやけに太く見えるグレーのパンツは少々寸足らずに見える。

男の周回活動が20周目に達しようとする頃、変化があった。ボールペンをゴルフクラブに見立ててスイングする動きが加わったのだ。
しかし、動きながらのゴルフスイングは無理があるとわかったのか、30周目からテニスラケットを振る動きに変わった。スポーツ万能なのかもしれない。

疲れたのか、男はやがておとなしくベンチに座った。
程なくして、手にアイスコーヒーを持った女性が一人広場にやってきた。セミロングの黒髪・清楚系。シャーベットカラーのブラウスに、ふわりとした白いスカートがフェミニンな魅力を醸し出している。
空いているベンチはない。女性は躊躇することなく、男の隣の席に座った。

男は少し驚いたように、女性を見て、急にポケットからスマホを取り出していじりだした。続いてカバンから手帳を取り出し、スケジュールを確認。次に、新聞を取り出して読み始めた。彼の精一杯のポーズなのかもしれない。
女性は男の姿を気にせず、ストローを吸っている。

女性はアイスコーヒーが空になって席を立った。ベンチの方には振り返らず、来た道を戻っていった。
男はスマホと手帳と新聞をカバンに仕舞い、立ち上がって再びベンチの周りを歩き出した。
カチカチカチカチ・・・グルグルグル・・・。

マーケティングで計れない店?

オシャレな街の交差点にその店はあった。オーガニック系のカフェ。
店内をのぞき込めば、ウッディーなインテリアとミッドセンチュリー調の家具がマッチしている様子が見て取れる。
しかし、10時の開店時間を過ぎても店のガラス扉は閉められ、あまつさえバリケードのように店外に設置する看板が取り込まれて入り口を完全に塞いでいる。

扉を引いてみると、開いた。
「すいませぇ~ん」。呼んでも返答がない。
「すいまっせーん!、ちょっといいっすか~!!」大きな声で呼ぶと女性店員が出てきた。
ワンピースにコットンのカーディガンを羽織ったナチュラル美人である。

「店、10時からですよね?」というと、黙ってバリケードを撤去し始めた。
「・・・2階が喫煙。1階が禁煙です・・・」ちょっと元気がない。

やっと明かりが灯った店内の席を選んで座った。
「アイスコーヒー2つと、100%グレープフルーツジュース1つ」。
注文して、程なく商品が運ばれてきた。
彼女は、誰が何を飲むのかお構いなしにランダムに飲み物をテーブルに並べた。

店を入ったときから感じていた「違和感」の正体がやっとわかった。
イイ感じの爽やかな店内に、イイ感じのオーガニックメニュー。イイ感じの美人な彼女・・・なのだが、どこかとても「アンニュイ」なのだ。

マーケティング的に考えれば、
・時流に乗ったオーガニックの飲み物とオシャレな店内空間(Product)
・納得できる価格(Price)
・好立地(Place)
・店外看板などによる集客(Promotion)
という4Pは満点だ。

だが、あと2つのP、PersonとProcessが4Pをスポイルしている。
「誰が」「どのように」サービスを提供するのかという視点だ。
その意味では、店は落第点だ。

だが、どこかマーケティングの定石では計れない「アンニュイな魅力」がその店にはあった。
その魅力を解明するために、ちょっとまた、行ってみたいかもしれない。
・・・ただ単に、そのアンニュイな彼女に惹かれただけかもしれないけど。

2012年6月 2日 (土)

ユニクロの風景

銀座通り6丁目辺り。今日も中国人観光客で賑わっている。
そんな中、ユニクロの前で、少し風貌の違う外国人を日本人の熟年男性が案内していた。

「タイにもユニクロはあるの?」
・・・タイ人だったんだ。
「あるよ~大きいのが」
タイ人が流ちょうな日本語で答える。

「タイ語で“ユニクロ”はなんていうの?」
「ユニクロ。固有名詞は一緒だよ~。田中さんはタイに行っても田中さんでしょ~」

ユニクロの店内に入ってみた。
メンズフロアで大学生らしき男の子2人連れが話していた。

「オレの中で、最近、ユニクロがキテるンだよね。この年になって、やっと良さがわかってきたっていうか・・・今まではユニクロに着られてたって感じだけど、やっと着こなせるようになってきたって感じ」。

オシャレな帽子にユニクロの「UT」らしいTシャツが似合っている。
主張しない服だったユニクロの服も、着る人も、だんだん変わってきているんだな。

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