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【マーケティング講座】

お勧めマーケティング関連書籍

  • 金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)

    金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)
    「マーケティングって、なんとなく知っている」「マーケティングのフレームワークは、わかっているつもりだけど業務で使いこなせていない」・・・という方は意外と多いのが実情です。 「知っている」「わかっている」と、「使える」の間には、結構大きな溝があるのです。 その溝を、最低限の9つのフレームワークをしっかり理解し、「自分の業務で使いこなせる」ようになることを目指したのがこの書籍です。 前著、「最新版図解よくわかるこれからのマーケティング」は、「教科書」的にマーケティング全体を網羅しているのに対して、こちらの「9のフレームワーク・・・」は、「実務で使いこなすための「マニュアル」です。 もちろん、フレームワークをしっかり理解するための、実事例も豊富に掲載しています。 「よくわかる・・・」同様、多くの企業研修テキストとしてもご採用いただいています。

  • 金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)

    金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)
    旧版(水色の表紙)は6年間で1万部を販売し、それを機に内容の刷新を図りました。新章「ブランド」「社内マーケティングとマーケティングの実行」なども設け、旧版の70%を加筆修正・新項目の追加などを行っています。本書最新版は発売以来、10ヶ月で既に初版3千部を完売。以降増刷を重ね、約1万部を販売していおり、多くの個人の方、大学や企業研修で「マーケティングのテキスト」としてご愛顧いただいております。

  • 金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)

    金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)
    ヒット商品ネタ51連発!このブログ記事のネタを選りすぐってコンパクトで読みやすく図表付きに再編集しました!

  • 金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)

    金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)
    打倒「もしドラ」!を目論んだ(笑)ストーリー展開のマーケティング本。初心者にもわかりやすいマーケティングの全体像に基づき、実践・実務家も納得のリアリティーにこだわりました!

  • 金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える

    金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える
    ペンギンの世界を舞台に「考えるとはどういうことか」「論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か」を考える、スラスラ読めて身につく本です。初心者の入門書として、一度学んだ人の復習にと活用できます。

  • 金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本

    金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本
    マーケティングをストーリーで学び、「知っている」が「使える」になる本。1つ1つのフレームワークが、面白いように「つながっていく」感覚を実感してください!

  • 金森 努: “いま”をつかむマーケティング

    金森 努: “いま”をつかむマーケティング
    7編の取材を含む、2010年のヒット商品など約30事例をフレームワークで切りまくった「マーケティング職人・金森」渾身の1冊。フレームワークを学びたい人にも、フレームワークの具体例を知りたい人にも、朝礼で話せるコネタが欲しい人にも役に立つこと間違いなしです!

  • 長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語

    長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語
    「分かるとできるは違う」と言われるが、両者間には距離がある。実業務のどこで使えるのか気づけない。だから使えない。本書はお菓子メーカーのマーケティング部を舞台にした「若者2人の成長物語」を通して、戦略思考、論理思考、クリティカル・シンキングなどの、様々な思考法が展開されていく。ストーリーで「使いどころ」をつかめば、実践できない悩みの解消が図れるだろう。 (★★★★★)

  • ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

    ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
    フレームワークの「使用上の注意」は、「人の心はフレームワークだけでは切れない」を常に認識することだ。「行動経済学」に注目すれば、経済合理性に背く人の行動の謎の意味が見えてくる。謎の解明を様々なユニークな実験を通して、著者ダン・アリエリー節で語る本書は、「フレームワーク思考」に偏りすぎた人の目から何枚もウロコを落としてくれるはずだ。 (★★★★★)

  • セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践

    セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践
    「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が空けたいのだ」や、「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」で有名なレビット教授の名著。製品とは何か。サービスとは何か。顧客とは何か。そして、マーケティングとは何かと問う、今まさに考え直すべき原点が克明に記されている名著。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
    コトラーはマーケティングは「製品中心(Product out)=1.0」「消費者中心(Customer Centric)=2.0」。それが「人間中心・価値主導(Social)=3.0」にバージョンアップしたと論じている。本書は「マーケティング戦略」の本というよりは、今日の「企業のあるべき姿」を示しているといえる。その意味では、「では、どうするのか?」に関しては、新たなソーシャルメディアの趨勢などに考慮しつつ、従来のコトラー流2.0を十分に理解しておくことが必要だ。 (★★★★)

  • 鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)

    鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)
    広告に関する本は、いわゆる広告論や広告制作の手法を述べていても、マーケティング理論を前提としたものは少なかったように思います。「マーケティングの中における広告ビジネス」を具体的にまとめました。さらに、当Blogで「勝手分析」した事例を企業取材によって、マーケティングと広告の狙いを検証しました。多くの現役広告人と広告人を目指す人に読んでいただきたいと思います。

  • 金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)

    金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)
    金森の著書です。フレームワークやキーワードやセオリー、事例をマーケティングマネジメントの流れに沿って102項目で詳説しました。フレームワークの使いこなしと事例には特にこだわりました。金森のオリジナル理論もあり!

  • 山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える

    山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える
    リーダーの戦略や、チャレンジャーがリーダーを倒す方法など、ポーター、コトラーの理論を更に実践的な事例と独自フレームワークで解説した良書。事例がちょっと古いが、今、読み返してもためになる。在庫が少ないので、中古本でも出ていれば即買いをお勧め。 (★★★★)

  • 金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)

    金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)
    このBlog記事一話一話が見開きで図解されたわかりやすい本になりました。ヒット商品のヒミツをフレームワークで斬りまくった、ネタ56連発。是非一冊!

  • 後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて

    後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
    「レスポンス広告」とは資料・サンプルの請求や商品の注文を消費者から獲得するための広告のこと。そのための方法論は、ブランドイメージをよくするといった目的とは全く異なる。本書は多数の広告サンプル(精度の高いダミー)を用いてレスポンス広告のキモを具体的かつ詳細に解説している。「レスポンス広告の鬼」たる筆者ならではの渾身の1冊。 (★★★★★)

  • ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン

    ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン
    どんなすばらしいマーケティングプランも、結局は人が動かなければ成功しない。故に、リーダーシップ論が重要となる。本書はコッター教授の「企業変革8ステップ」が寓話の中でわかりやすく記されている良書である。金森絶賛の一冊です。 (★★★★★)

  • マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

    マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
    2000年発売の良書。旧タイトル「ティッピング・ポイント」が文庫本化されたもの。クチコミの本ではなく、イノベーションの普及が何かのきっかけで一気に進む様を、各種の事例を元に解明した、普及論にも通じる内容。(うっかりリストに入れ忘れてました)。オススメです。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学

    野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
    経済分野最強のジャーナリスト勝見 明紙と、経営学の大家野中 郁次郎先生という黄金コンビによる傑作。いくつもの企業でのイノベーション事例を物語風に紹介しながら、その変革の要諦を解明、さらなる提言をメッセージしている。読み応え十分。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの本質

    野中 郁次郎: イノベーションの本質
    最新刊の「イノベーションの作法」に比べると、少々こちらは「野中理論」の難しい部分が表面に出ているように思えるが、発売当初、ナレッジマネジメントの観点からしか読んでいなかったが、読み返してみれば、本書の1つめの事例である「サントリー・DAKARA」はマーケティングでも有名事例である。むしろ、本書での解説は、マーケティングのフレームワーク上の整合ではなく、そのコンセプト開発に力点が置かれており、その精緻な記述は圧巻であった。読み直して得した気分になったので、ここで併せて紹介する。 (★★★★)

  • グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

    グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業
    だいぶ発売されてから時間が経ってしまったのですが・・・。 二度目に読んで、「お勧め」しようと思いました。 そのわけは、一度目は「いかに顧客と優良な関係を構築することが重要か」という当たり前なことを力説しているだけの本だと思ったからです。 事実、そうなんです。アドボカシー(advocacy=支援)という新しい言葉を遣っただけで。 ただ、その「当たり前なこと」のまとめ方が秀逸であり、我々マーケターにとっては「当たり前」でも、その考え方がどうしても理解できない石頭な人に読ませると、なかなか効果的だと分かりました。 さて、皆さんもそんな人が周りにいたら読ませてみては? (★★★)

  • レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」

    レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」
    ダイレクトマーケティングの創始者であり、金森の心の師でもある、レスター・ワンダーマンの「BEING DIRECT」(英文名)が12年ぶりに改訂されました。 詳しくは、Blog本文の10月16日の記事を参照ください。 必読の書です。 前版は電通出版だったので入手が少々面倒でしたが、今回は一般の出版社からの刊行なので、アマゾンで購入できます。この本の画像をクリックすれば、アマゾンのサイトにリンクしますので、是非! (★★★★★)

  • フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式

    フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式
    実は、この本は金森の入院中の頂き物。結構はまりました。 スウェーデンの売れっ子セミナー講師が自らのセミナーで用いている30の設問を、気の利いたイラストに載せて紹介している。「レンガの使い方を10通り挙げなさい」のような、「ん?どこかの自己啓発セミナーで聞いたな~」というようなネタもありますが、ひねりの効いた問いかけもいっぱい。ざっと流し読みしたら20分で読み終わってしまう絵本になってしまいますが、本気で問いかけの答えを考えると、なかなか論理思考も鍛えられます。金森もお気に入りの問いかけは出典を明らかにして、自分の企業研修で使わせてもらっています。 ちなみに、この本の2(続編)も出ています。2冊揃えば送料も無料。「あわせて買いたい!」。 (★★★★★)

  • パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う

    パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う
    重要な本をお薦めするのを忘れていました。この本も結構、私の座右の書となっています。「ミッションステートメント」の重要性もコラム等で繰り返し述べてきました。それがしっかりしていないが故に、会社自体が方向性を見失い、社員も求心力をなくす。また、顧客のことも忘れてしまう。ミッションステートメントは壁に黄ばんだ紙に書いてあるものを、朝礼で呪文のように唱和するためのものではないのです。社員全員、全階層がそれを本当に理解し、行動できれば会社に強大なパワーが生まれるはずです。この本は「強い企業の強いステートメント」が紹介・解説された良書です。 (★★★★)

  • エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学

    エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学
    もはや絶版でプレミアがついて現在ユーズドで3万円!(昨年までは2万円以下でした。定価は8千円弱)。 しかし、一度は翻訳版とはいえ原書を読みたいもの。 私のコラムでもよく取り上げています。 様々なマーケティングの入門書にも部分的に取り上げられていますが、誤った解釈も多く、「イノベーションの普及速度」などの重要項目も抜けています。 ただ、基本的には社会学の学術書なので、完読するのはチトごついかも。(それで星4つ。内容的には断然5つですが。)3万円ですが、手にはいるならラッキー。 10万円にならないうちに・・・? (★★★★)

  • ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業

    ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業
    すみません。これは宣伝です。 Blogにも「共著で実践的なナレッジマネジメントの本を出しました」と紹介いたしましたが、この度第二版(重版)ができました。 初版で終わったしまうことの多いビジネス書において重版はうれしい! まだお読みになっていない方は是非! (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪

    フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪
    これも分かっている人向き。 コトラーの中では「最も今日的な本」であると言えるでしょう。コトラー大先生と私ごときを並べて語るのは不遜の極みですが、私が旧社電通ワンダーマンのニューズレターや日経BizPlusの連載でしきりに訴えてきた内容が集約されている気がします。うーん、大先生と何か視点が共有できているようで読んでいて嬉しくなってしまった一冊でした。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト
    今度は分かっている人向け。そういう人はたぶんもう買っていると思いますが・・・。 コトラー特有の大作ではなく、マーケティングの中でも重要なコンセプトを80に集約して解説を加えた、ある意味他のコトラー本の「攻略本」とも言える。 常にデスクサイドに置いておき、用語集として使うもよし、ネタに困ったときにパラパラと眺める「ネタ本」としてもよし。マーケター必携の本であると言えましょう。 (★★★★★)

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January 2020の8件の記事

2020.01.01

【マーケティング基礎シリーズ・再掲】マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(1)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第1回】3C分析

マーケティングの難しさを口にする人の話を聞くと、分析・立案の際のフレームワークが誤用されている場合が多い。そこで、「間違いがちなフレームワークを総点検する」というシリーズを開始したいと考えた。第1回は「3C分析」だ。

3C分析は大前研一氏が考案したものだが、汎用性が高く、筆者としては「最悪、これさえ知っていれば何とかなるフレームワーク」の一つだと考えている。

【目的】:競争市場の中で勝ち残りの条件を見つけ出すこと
競争関係にある市場、もしくは直接的な競合企業と戦う場合、どのようにすれば勝てるのかという戦略の方向性を導き出すこと。

【ゴール】:KSF(Key Success Factor=成功のカギ)を導出すること
上記の競争市場における勝利条件をKSFという。このフレームワークの使用目的とKSFはある競争市場において用い、そこでの汎用的なKSFを導出するためのものであるため、個社要素(自社対競合)に用いるものではないと論じる人もいるが、筆者としては直接競合の分析でも十分効果を発揮するものだと考えている。

【基本構造】:Customer/Competitor/Companyの3要素(頭文字を取って3C)
Customerは「市場の(マクロ的)環境・顧客とそのニーズ」を洗い出す。(ここは一つのキモなので後述)。顧客のニーズが判れば、顧客のKBF(Key Buying Factor=購買決定要因)が見えてくる。それをCompetitor(競合)とCompany(自社)のどちらが実現できるかを各々の強み・弱みという内部環境で判断する。

【使いこなしのキモ】
1.順番を守ること!

分析に際して3つのCのうち、Companyから着手する例が散見される。そうすると、近視眼的になってしまう。調子のいい時はイケイケで、悪い時には「アレもできていない、コレもできていない!」と悲観的に色々な要素が抽出される。だが、外部環境を考慮せずダラダラと項目出しをしても何の意味もない。あくまでCustomer → Competitor → Companyという順番が鉄則だ。


2.Customerは「市場の(マクロ的)環境」と「顧客とそのニーズ」の両面を見る!
Customerのうち、市場の環境をざっと洗い出しただけで、この項目を済ませてしまう例も散見される。それでは、その市場にいる顧客の姿も、なぜ購入に至るのかというKBFも見えてこない。顧客像とそのニーズを抽出することは必須。

3.Competitorはその動きまで具体的に!
競合となる存在はどこなのか。また、直接的な競合だけでなく、「顧客のニーズを満たす、代替となる存在」があれば、それもここで明らかにしておきたい。また、Competitorの強みと弱みだけでなく、その「動き」と、その動きによって「顧客のニーズが適切に取り込めているか、ニーズギャップはないか」を明らかにしておきたい。

4.Companyは顧客ニーズと競合の動きにミートする強み・弱みを集中的に洗い出す!
前述の通り、自社の要素を挙げ出すと切りがない。そこで、前項までの流れで考えて「顧客のニーズ」と「競合がそのニーズをすくい取れているか(ニーズギャップはないか)」にフォーカスして考えるといい。顧客のニーズに応える能力がなければ、それは大きな「課題」だ。(場合によっては分析結果としてこの市場では上手くいかない、または競合に勝てないので、市場やターゲットを変更することになる)。また、競合が顧客のニーズをしっかりカバーしているなら、ガチンコ勝負か、他のニーズの切り口を見つけなければならない。競合がうまくニーズを取り込めておらず、顧客のニーズギャップがあって、そこにミートする自社の強みがあれば、それは大きな市場機会であるといえる。

【使用事例】
少し古いが、日経MJ11月23日号に中古車販売のガリバーインターナショナルの新業態店が取り上げられていた。これを分析の事例としてみよう。

同社は<10月31日、滋賀県守山市のショッピングセンター(SC)「ピエリ守山」に新業態の中古車店「ビークルポート」を開いた。ガリバーが展開する5つの専門店を月替わりで開き、商品だけでなく店舗の看板まで一新する(日経MJ11月23日号より)>という。
<ガリバーはこれまで幹線道路沿いなどの路面店を中心に店舗網を広げてきた。路面店では車の売買をすると決めた顧客の来店が中心だったが、中古車やクルマに興味がなかったり、購入の決意が固まっていなかったりする顧客とも接点を持つために目を付けたのがSCだった(同日・日経MJより)>。
記事には市場環境が書かれていないが、昨今の自動車販売台数の減少や消費者のクルマ離れなどを仮説として置けばいいだろう。また、顧客のニーズは市場環境の仮説と上記の記述から推測できる。競合環境も記述がないが、新車・中古車の別なく、多くの自動車販売会社が上記のガリバーと同様な悩みを抱えているのも想像に難くないので、それを仮説とする。

フレームワークとしては上記のようになる。フレームワークでは、フレームに情報を整理するだけでなく、「そこから何が言えるのか」が重要になるが、3CのゴールはKSFなので、そこがしっかりと「勝てる戦略の方向性」を示唆している内容になっていればOKだ。
ちなみに、記事によると<多くの消費者の集まるところに出店したことで、ビークルボートは路面店に比べて来店客数は桁違いに多く、開業以来の販売は「想定を上回るペース」>だという(同日・日経MJより)>。

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フレームワークは便利だ。だが、使い方を間違えると戦略や施策をミスリードすることにもつながりかねない。「フレームワークは、使用上の注意をよく守ってお使いください♪」なのである。

【マーケティング基礎シリーズ・再掲】マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(2)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

 

初出:insight now

本シリーズはフレームワークを正しく使用し、マーケティングの分析・立案がもっとスムーズにできるようになることを目標としている。その第2回は非常にポピュラーな割には誤用が散見され、ともすると「ミスリード製造器」ともなりがちなSWOT分析を取り上げる。

【第2回】SWOT分析

筆者の独断と偏見から言い切ってしまうと、「下手なSWOTやらぬが花」である。安易に使ってはいけない。前回取り上げた3C分析をしっかりやる方が遙かに正しい分析ができる。しかし、それでもSWOTが勝っている点もある。それは、正しく用いれば分析結果として「戦略の方向性」がはっきり見えてくることだ。

【目的】
自社の戦略の方向性を明確化すること

【ゴール】
外部環境の機会・脅威を洗い出し、そこで活かすべき自社の強みと克服すべき弱みをメッセージ化して、誰にでも「戦略の方向性」が理解できるようにすること

【基本構造】(図1)
内部環境=Strength(強み)/Weakness(弱み)・外部環境=Opportunity(機会)/Threat(脅威)の4要素(頭文字を取ってSWOT)

【使いこなしのキモ】
1.SWOTの順番ではなく、TOWSの順番で分析すること!
前回の3C分析で「Company(自社)ではなく、Customer(市場・顧客)から分析する」という正しい手順を述べたが、その理由は自社から始めると近視眼的になり外部環境に十分目が行かなくなるからだ。また、外部環境・内部環境のプラス・マイナスの両面を見る時、まずはマイナス面をしっかり見て備えるべしと言われている。誰が言っているかといえば、TOWSの順番に関しては筆者ではなく、現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラー大先生である。


2.フレームのTOWS各欄には「事実(ファクト)」ではなく、「解釈」を書く!
ここからは筆者の考えであるが、脅威・機会・弱み・強みという4つの箱を用意すると、大概の場合、それにあてはまるような「事実」を書き込む人が多い。しかし、一つ例を挙げて考えてみよう。「当社には販売店が多数ある」という要素があったら、どの箱に入れるだろうか。多くの人は、「強み」に入れるだろう。では、それはなぜ、強みと言えるのかをもう少し深く考えていただきたい。「販売店が多数あるから、顧客の購買機会を逃さない」ということだろう。「販売店がたくさんある」ということは、単なる「事実」だ。それがなぜ、「強み」になるのかは、事実の「解釈」を述べなければならない。故に、4つの箱(フレーム)には、他の人が見ても正しく意味が理解できるように事実だけを放り込むのではなく、解釈を書き込むようにするべきである。


3.プラス、マイナスの両面を見る!

物事には裏と表があり、プラスとマイナスがある。両面をしっかり見ることが大切だ。片面だけでは意思決定の重大な要素を見落とすことになる。前項の「販売店がたくさんある」は「販売店が多数あるから、顧客の購買機会を逃さない」という解釈をしたが、マイナス面はないだろうか。多数の販売店を抱えているということは、「高コスト体質で利益を出しにくい」という弱みを抱えていることにもなっているはずだ。
4.分析結果=戦略の方向性を「誰でも分かる」ように文章化する!
SWOT(TOWS)分析に限らないが、フレームワーク分析では、基本的にその分析結果として読み手、もしくは報告相手自身に記述したフレームを示して自ら読み取らせるということはあり得ない。添付資料や参考としての図表として示すことはあり得るが、その場合でも、分析結果は「誰が読んでも正しく意味を理解できる文章で示す」ことが重要だ。フレームだけだと、その報告書なり企画書なりが一人歩きした時に正しく読み取ってもらえるという保障はどこにもない。

【金森オリジナルSWOTフレーム】(図2)
上記の通常のSWOTにありがちな誤用を防ぎ、しっかりと「解釈」をして明確なメッセージを出せるようにするため、筆者はオリジナルのフレームを開発した。前出の「当社には販売店が多数ある」を例に、どのように「事実」からプラス・マイナス両面の「解釈」を展開すべきかも記述したので参照されたい。

【最終アウトプットの示し方】
前述のように、分析結果は「誰が読んでも正しく意味を理解できる文章で示す」ことが重要である。そのために、下記のような例文を開発した。


○○を取り巻く環境は
T                         というマイナス要因と、
O                         というプラス要因があり、
総合的には T+O               であると言える。
その中で
W                         という弱みをカバーし
S                         という強みを活かしていく。


上記文章のTとOは、フレームの脅威(Threat)と機会(Opportunity)の欄でしっかり解釈ができていれば、その内容をそのまま転記すればいい。但し、その場合、プラス・マイナスの両面を抽出しているので、当然、相反する内容が書かれることになる。そのため、T+Oとして、外部環境は機会・脅威のどちらが勝っていて、どんな状況であるのかというもう一段階の解釈が必要になる。その検討結果を記述する。その検討結果を受けて、WとOとしてフレームの弱み(Weakness)と強み(Strength)の欄の記述内容を転記する。その結果、自社を取りまく外部環境の中で強みで弱みをカバーできれば「攻め」の戦略の方向性が見えてくるだろう。逆に弱みをカバーしきれないのであれば、課題としての「守り」の方向性が見えてくる。

【クロスSWOTとの関係】(図3)

SWOT分析で解釈をする手法として「クロスSWOT」と呼ばれるフレームも存在する。数のように、「強み×弱み×機会×脅威」というように、各項目の事実を相互に掛け合わせて解釈を導こうというものだ。一般に用いられるこの方法も有用であるが、項目を「掛け合わせる」という感覚が分かりにくいとの声も良く聞かれる。だが、やっている内容としては「事実から解釈を展開する」という筆者オリジナルのフレームと同じことだ。クロスSWOTが使いにくいと感じられている方にも筆者のフレームをお試しいただきたい。

前回も述べたが、フレームワークは便利な反面、使い方を間違えると戦略や施策をミスリードすることにもつながりかねない。特にSWOT分析は本稿の冒頭に記したように、最もその危険性が高いフレームだ。故に、今回も「フレームワークは、使用上の注意をよく守ってお使いください♪」のひと言でまとめさせていただきたい。

【マーケティング基礎シリーズ・再掲】マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(3)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第3回】5F(5つの力)分析

5F分析はマイケル・ポーターが考案した代表的なフレームワークの一つ。正しい名前はFive forces analysis(5つの力分析)という。かなりざっくりした分析ではあるが、上手く使えば様々な視点と示唆が得られるフレームワークだと筆者は考えている。

【目的】
(比較的マクロな視点で)自社の属している、もしくは進出を考えている業界を5つの要素に切り分けて各々の影響力を明らかにし、当該が業界の状況を明らかにすること。

【ゴール】
自社の利益を奪う影響要因を見つけ出して生き残る対処法を検討する、もしくは自社の優位性が発揮できる新たな業界の切り口を見つけ出すこと。

【基本構造】
5つの力とは、「業界内の競争」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」。尚、「売り手」とは業界に対する売り手なので、別の言い方をすれば「調達先」だ。「買い手」は業界が提供するものの買い手なので、別の言い方をすれば「顧客」である。言葉のイメージ的に逆に考えがちなので、注意すべきポイントである。
5つの力各々の要素を記入したら、それらが「業界」に与えてくる影響力を大・中・小という大まかなレベルの矢印として記入して、全体として大や中が多ければ「厳しい(利益が出ない)業界」、主に小、一部中ぐらいであれば「厳しくない(利益の出る)業界」であると判断する。

【使いこなしのキモ】

1. まずは「業界定義」を明確にする!
まずは自分達が属している業界が「何業界なのか」を明確に定義する。定義の仕方次第でまずは業界の広さと競合が変わってくる。例えば「金融業界」という大きな定義なら、「業界内の競合」は様々な企業が競合となる。例えば「銀行業界」「地銀業界」など狭めていくなら競合は減る。ここをいい加減に定義して分析を始めると可なら混乱するので最初にフレームとして明記することだ。

2. どこかに働きかけたら「反作用」も忘れないこと!
大きな力が働いているところからは、自社の利益が流出していることを表している。その力の大きさを変えるには、1と2で述べたように「業界定義を変える」ことが考えられる。しかし、その場合、2の例で単なる「飲料業界」から「特保飲料業界」に変えると、代替品としてダイエット食品が登場したように、新たに脅威となる要素が登場する場合がある。
また、大きな力の働いているところに直接働きかける(力を小さくする)ことも考えられるが、それに成功したとしてもその影響で別の力が大きくなることもあるので安心しないことが肝要である。

3.業界定義は工夫し尽くす!
例えば自分が「ペットボトル飲料」の担当だったとしよう。単なる「ペットボトル」で戦うなら競合がゴッソリあることになる。その飲料が「特保」の認定を取っているなら、「特保飲料業界」になり、競合はかなり減る。(但し、前述の通り代替品としてダイエット食品などが登場する)。特保飲料はいくつかタイプがあるが、代表的なものは花王「ヘルシア緑茶」、サントリー「特茶」のような脂肪燃焼系と、サントリーの「黒烏龍茶」のような食事と一緒に摂取して脂分を体外に放出する系がある。別の切り口では、その特保飲料が炭酸だったりすると、「炭酸特保飲料業界」ということになり、競合が花王の「ヘルシアスパークリング」とキリンの「メッツコーラ」ぐらいになる。このようにできるだけ競合が少ない業界を見つける、またはいない業界を作り出すことが工夫のしどころだ。(但し、それが顧客=買い手にとって意味のある切り口であることが必須)。
このように5F分析においては、業界を定義どのように定義するかが大きな勝負のキモなのだが、実はこの部分が忘れられがちだったり、工夫がされてなかったりすることが多いのだ。

4.「顧客は誰か?」を考えて、「5つ」という数字に縛られないこと!
フレームワーク上級者の原則は「使いこなしにおいて改良・改造は自由にして可」とい
うことだ。この5つの力の「買い手」を顧客として捉えるなら、業態やビジネスモデルによってかなり異なる要素が混在することになる。直販をしている業界なら、買い手は素直にエンドユーザー=消費者だ。だが、多くのメーカーなら間に流通が入る。メーカーにとっては、第一の顧客は流通であり、いくら消費者ニーズを捉えたにウケそうな商品を作っても、流通が棚に並べてくれなければ消費者が手に取ることはできない。
その場合、流通のニーズや意向を明確にするなら、「5つの力」ではなく買い手を2つに分けて「6つの力」で考えた方がいい。
もっと極端な例でいうなら、例えばビールメーカーなどは流通→消費者という買い手の要素と平行して、料飲店も重要な顧客だ。料飲店において消費者はその店のビールの銘柄(メーカー)を選択の余地なしに無条件で飲むので、消費者に対する打ち手はほぼ無意味だ。そのため、例えばビールメーカーが流通→消費者というラインとは別に料飲店の影響力を小さくするために行っている施策として、比較的大手のチェーンには資本注入して自社ブランドのビールだけを置かせて固定化するという施策を取っていたりする。この場合、買い手が3つに分割されて「7つの力」で考えられていることになる。

フレームワークをもっと上手く使いこなすためには、単に枠にはめて情報整理するに留まらず、徹底的に「何が言えるのか」「ではどうするのか?」を考えることだ。もう一つは、自社の課題に合わせてフレームワーク自体を改造して、課題解決が明確に見えてくるようにすることである。「フレームを使っても、フレームに縛られないことが大事!」なのである。



【マーケティング基礎シリーズ・再掲】マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(4)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第4回】マーケティングは流れで読み解く

マーケティングはフレームワークを使う以前に絶対守らねばならない「大原則」がある、今回はその点を取り上げてみたい。


■よくある「マーケティング本」の問題点

筆者の昔話と、決して宣伝ではないが著書の話をしよう。独立して数年経ち、マーケティング研修講師の仕事が増えてきた。そんな時、教材に使える本はないかな・・・と書店で一通り目を通したのだが、目的の書籍は見つからなかった。マーケティングを体系的に、その実行プロセスに沿って書かれた本がほとんどなかったのだ。「とにかくターゲットが大事!」だったり、「いいモノはどうやったらできるか」というような、いわば読み手の関心を集めそうな部分から順に章立てがされているものが多い。まぁ、商売的には間違いではないが、マーケティングを学ぶには正しくない。(結局、しかたがないので自ら執筆した結果、おかげさまで現在第7刷・1万部売れるに至っている)。

■マーケティングは流れで読み解く

筆者のコンサルティング業務に寄せられる相談でかなりの割合を占めるのが、「いいモノを作ったはずなのに売れないんです」という内容だ。メーカーとして技術の粋を凝らして良いモノを作った。価格はコストの積み上げで設定されていることが多い。販路を確保するのに苦労しながら、何とか店頭に並ぶようになり、少ない広告費をやりくりして広告や販促活動を行うのだが、売れない。そこで手詰まりになっている。

お察しの通り、上記の活動は全て「マーケティングの 4P(Product:製品・Price:価格・Place:販路・Promotion:広告販促)」である。しかし、それは最終的な「打ち手(施策)」であり、その手前が重要なのだ。 マーケティングは下図のような「流れで読み解く」のが絶対原則だ。

先の例でいえば、売れなかった商品はそもそも、「誰」に「どんな魅力を感じて」買ってもらいたかったのか。「ターゲティング」と「ポジショニング」が明確になっていない。また、「買ってくれる人」がいたとしても、そのターゲットを誰と取り合うのかという「競合環境」が明確にされていない(第1回 :3C分析・第3回:5F分析)。熱い思いでモノを作るのは結構なのだが、それを売るためにはそれなりの手順がある。それが、「マーケティングの流れ」なのだ。

【目的】

環境分析→戦略立案(顧客分析・ポジショニング)→施策立案(4P)という「マーケティングの流れ」を踏襲して、検討要素を着実に押さえて具体化していくこと。ヌケ・モレを防止しつつ、「思いつき」を廃して成功確率を上げる。失敗の確率を低減する。また、成功した場合の再現性確保と、失敗した場合の原因追及ができるようにしておくため、検証の可能性を担保することを目的とする。

【ゴール】

「流れ」を完成させる過程で常に「整合性(要素同士が噛み合って効果を出している状態)」を意識して、最終的には「全体として整合性のある全体プランを作り上げること」

【基本構造】

・環境分析

PESTでマクロ環境分析から、5Fで業界環境(第3回)、3Cで競争環境(第1回)、VCで自社及び競合のコスト構造と強み弱みを分析するという、マクロからミクロまで徐々に落とし込んでいく。もちろん、目的に合わせて単独のフレームを抜き出して使用することも可能だ。

・市場機会・事業課題の抽出

環境分析のゴールはフレームによる情報整理ではなく、「何が言えるのか」という解釈を示すことがどのフレームでも必須だが、特に上記の一連の分析を行った結果をとりまとめて「市場機会・事業課題」という戦略の方向性を示すにはSWOT分析(第2回)が向いている。

・戦略立案

マーケティングのまさに中心部分が、この部分である。別途稿を改めて述べるが、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(略して概説しておくと・・・

-セグメンテーション=対象範囲の中で”同質のニーズ”に注目してカタマリに括ること。

-ターゲティング=魅力度を評価して最も魅力的なカタマリを選ぶ。

-ポジショニング=ターゲットの二軸のマップを描いて、競合より魅力 あるポジションを取る整理をする。

・4P

(マーケティング・ミックス」とも言うが如く、ここまでの環境→STP→4Pという「縦の整合性」だけでなく、この4P相互の「横の整合性」とも言うべき、「個々の要素が噛み合ってより効果を挙げる=ミックス」ということが求められる。4Pの個々の要素に関するポイントは細かくなるので、また稿を改めて解説したい。

【使いこなしのキモ=「戻る!」ということ】

プランニング中に「不整合(もしくは、違和感)」を発見したら、1つ手前のプロスに「戻る!」ということが重要。例えば、競合優位なポジショニングが上手く取れないのであれば、ターゲットが間違っている場合もあるので、1つ手前のターゲティング決定の検討段階まで「戻る!」。その結果、そもそもターゲット候補として挙げられたセグメントの設定に問題があるようなら、セグメンテーションのやり直しの段階まで「戻る!」。また、優位なポジションが取れないと言うことは、競合の設定が間違っている場合もあるので、環境分析の3C分析まで「戻る!」。

つまり、問題があれば、どこまでも前の段階まで戻って検討し直すのがキモである。ただ、せっかく考えてきた内容を自己否定して、考え直すという作業は正直面倒くさい。だが、この「戻る!」をどれだけ愚直に行うかで成功確率が大きく変わる。むしろ、企画段階で考え直すというレベルで戻れるだけ幸いだ。戻らずに実行段階まで行ってしまい、モノが売り出され棚に並べられて「売れない・・・」となってからでは、リカバリーするのは大変だ。

【事例】

2007年なので少しだけ時代が前だが、「シーブリーズ」の製品改良を伴うリポジショニング(ポジショニングの変更)の例を挙げよう。下図のように、世の中の流行・若者の行動が変化した。
この事例のすばらしいところは、単に小手先で製品をいじって終わり・・・ではなく、環境の変化を踏まえてターゲットを変更し、その購買決定要因を抽出してターゲットに魅力を訴えかけられるポジションを設定し、そのポジションを実現するために4つのPをどのように組み合わせれば良いかという設計がなされていることだ。つまり、全てを整合させることで効果の最大化を図っているのである。

最後に大事なことなので、もう一度言っておこう。「マーケティングは流れで読み解く」「マーケティングは整合性が命!」「(流れの中で整合性に疑問が生じたら)戻る!」である。

 

【マーケティング基礎シリーズ・再掲】マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(5)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第5回】そのセグメントでは失敗する!

前回まで多くは「環境分析」のフレームワークを見直してきたが、今回は「戦略立案」の第一歩である「セグメンテーション」に進めてみよう。実はここがある意味、失敗するマーケティングの巣窟だったりする。

■結論から言う。そのマーケティングは失敗する!
 「この商品のターゲットは20代の女性です!」などという言葉を聞いたら、まず、それは失敗すると思った方がいい。ターゲットの問題ではあるが、その手前の「セグメンテーションの本質」が理解されていないからだ。今回はセグメンテーションに対する世の中の誤った認識を修正していきたいと思う。

■環境分析の次はSTP
 前回、第4回で「マーケティングは流れで読み解く」と述べたが、環境分析を行って、おおよその戦略の方向性が見えたら、「どんな顧客に・どのように(競合と差別化できる)魅力を示して行くのか」を考えることになる。これが、マーケティング全体の流れにおける「戦略立案」というパートの「ターゲティング」と「ポジショニング」である。
 だが「どんな顧客に」と狙いを定めるには、その手前で「どんな顧客候補がいるのか?」を明らかにすることが欠かせない。それが「セグメンテーション」であり、「Segmentation・Targeting・Positioning」を略して「STP」などという。このSTPをしっかり検討することが、具体的な施策である4Pを設計する上で欠かせない。施策の成否は戦略であるSTPの精度にかかっていると言える。

■「セグメンテーション」とは何か?
 Segmentationを日本語にすると「市場細分化」などという訳が付けられる。細分化するためには何らかの「軸」が必要になり、その最も典型的な例が、「性別」「年齢」といった属性だ。同じような「人口統計的変数」として、「家族数」「職業」「所得」・・・などがある。また、別の側面として「地理的変数」で見れば、「居住エリア」などがそれにあたり、他に「心理的・行動的変数」として、「ライフスタイル」「性格」や「購買特性」などもある。多くの場合、こうした様々な「切り口」で、「市場を切り分けていく=細分化」のがセグメンテーションだと思われている。「さて、性別は女で、年齢は20代後半から30代前半で、独身、都市部在住のオフィスワーカー。ライフスタイルは家庭的で性格は堅実志向・・・」などと、いくつもの切り口を重ねて詳細化していく場合もあるが、これがセグメンテーションの本質ではない。

■「グランドビッグマック」は誰がためにある?
 日本マクドナルドが、4月6日に期間限定で発売した「グランドビッグマック」。売れすぎて販売休止となったが、肉の量が通常のビッグマックの1.3倍というそのガッツリバーガーを食べたのはどんな人だろうか。上記のセグメントの属性で考えれば、「若年層」「男性」という、いかにもガッツリ食べそうな人がイメージされるが、Googleの画像検索で「グランドビッグマック 食べた」というキーワードで検索してみると、男性は若者だけでなく、ちょっと三十路に入ったような人も見受けられる。また、男性のみならず、巨大バーガーを果敢に頬張る女性の画像も散見される。つまり、性別・年齢に関わらず、「グランドビッグマック」を食べている人は、「”心ゆくまでガッツリ食べたい“もしくは”SNSにアップしてネタにしたい“というニーズを持った人」であると言えるだろう。

■セグメンテーションは「ニーズで括る」
 冒頭の「この商品のターゲットは20代の女性です!」が失敗すると言い切った論拠は「20代の女性が、みーんな同じニーズであるわけがないから!」である。ある属性のニーズが等しく同じなどということがあったらかなり気持ちが悪いだろう。高度成長期ならいざ知らず、今日のように消費は高度化してニーズが細分化した社会においてだ。
 セグメンテーションを正しく定義するなら、「不特定多数の”個”を同質のニーズを持った集団に括ること」である。一見バラバラに見える個々の存在を、「ニーズ」という側面で同質と考えられる固まりにするということがポイントだ。そして、その固まりができたら、さらに共通項はないだろうかと、先の性別や年齢、職業などの「属性」を見ていくのだ。最終的に属性に落とし込むことをしないと、そのボリュームが予測できなかったり、適切なコミュニケーションの手段や媒体が選択できなかったりするので属性は必要だ。だが、重要なのは、「属性」から先に考えるのではなく、まずは「ニーズで括る」ということなのだ。
 前出の「グランドビッグマック」のターゲットとなり得るセグメントの1つが「SNSにアップしてネタにしたいというニーズを持った固まり」だと推測できるなら、発売前にSNSで口コミ促進を図るなどの施策も考えられる。「男性」という性別ばかりを固定観念で見ていたら、女性のニーズを見落とすことになる。もし、「ガッツリ食べよう漢のバーガー!」などという訴求をしてしまったら、せっかくニーズを持っていた女性もどん引きしてしまうかもしれない。

 売れるターゲットを見つけ出すことはマーケティング戦略には欠かせない。だが、そこでどんな(属性の)人だろう・・・と、性別・年齢などのビジュアル的に想像を働かせてはダメなのだ。まずは「どんなニーズが潜んでいるだろう?」と考え、それから、「そのニーズを持った人は、どんな(属性の)人なのだろう」と考える順番が大事なのだ。
 「セグメンテーションはニーズで括る!」「先入観を持って属性から考えない!」これが絶対原則なのである。

 

マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(6)

<連載一覧>

第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第6回】そのポジショニングでは売れない!

現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは2004年刊行の「コトラーのマーケティングコンセプト」のポジショニングの項で、「マーケティングで最も重要なのはポジショニングである」と明言している。そんな重要なポジショニングにも誤った策定方法によって顧客に全く魅力が伝わっていないという例も散見される。

■ポジショニングはどれぐらい重要か?
コトラーは良好なポジショニングの例としてBMW・ボルボ・ポルシェなどを挙げている。一方、同じ自動車業界においてゼネラルモーターズ(GM)に関しては、ポジショニングが曖昧で、このままではダメになるという旨の指摘をしている。GMは2009年6月1日、連邦倒産法第11章(日本の民事再生手続きに相当する制度)の適用を申請した。正にコトラーが予見したとおりになったわけだ。
コトラーが指摘していたのは、GMの製品は何が魅力なのかが車種毎にバラバラで、顧客にどんな価値をもたらしてくれるのかが分散してしまっている点だ、つまり、「価値の軸」が定まっていなかったのだ。前出の3社は各々自社のポジションを以下のように示している。「BMW=究極のドライビングマシン、ボルボ=世界一安全な車、ポルシェ=地上最強の小型スポーツカー(コトラーのマーケティングコンセプトより)」。

■ポジショニングの役割とは
今日のようにものが満ちあふれ、多くの市場が飽和している環境で、自社の商品を選んでもらうということは並大抵の努力では実現できない。だが、例えばいくら卓越した超高性能な製品を完成させることができたり、それを信じられないぐらいの低価格で販売できる原価構造が実現したりしても、それをうまく顧客に伝えることができなければ、当然売れない。
ポジショニングとは、「顧客のアタマの中で商品を“価値あるもの”と認識させ、そのイメージを植え付けること」であり、その上で「競合との明確な差別化を図ること」である。前掲のBMWは「究極のドライビングマシン」というポジショニングを表す言葉から開発された、「駆け抜ける喜び」というキャッチコピーの方が有名かもしれないが、ともかく単なる移動手段ではなく、究極のドライビング体験が得られることが価値だと言っている。ボルボが安全性を追求してきたことにはあまり疑問を差し挟む余地はないだろうから、ボルボ=安全という価値は想起しやすいはずだ。ポルシェの場合、最強のスポーツカーならフェラーリとかの方が上じゃないかという意見もあるだろうが、ポルシェは「小型」という点にこだわっていて、「小さい」×「速い(高性能)」という価値を訴求し、並み居るモンスターマシンとも差別化を図っているのだ。

■一般的なポジショニング設定方法
BMWやボルボのような、たった一言で自社の価値を顧客の頭の中に刻み込めるのであれば、それはそれで結構なことなのだが、多くの場合そこまで価値や特徴を単純明確化することは難しい。また、競合となる存在と比べられるのも常だ。
故に、ポジショニングは2つの強力な価値の軸を用いて「ポジショニングマップ」を描いて整理する。前出のポルシェの場合の「小さい」×「速い(高性能)」もその例だ。二軸を使って顧客への訴求点を整理し、そこから4Pに反映していくのである。

■二軸設定における「陥りがちなワナ」
当連載の主旨である「間違いがちなフレームワークを総点検」という意味では、この重要な行為である「2軸の設定」において間違いが発生し、マーケティングが失敗するケースが多々あると先に述べておこう。
何が間違いで、どんな失敗が発生するのかを列挙する前に、二軸でポジショニングを表す「ポジショニングマップ」作成の大原則にして最重要ポイントを述べておく。

ポジショニングマップの「軸」は、顧客(ターゲット)の「KBF(購買決定要因)」を用いる・・・ということだ。

故に、それが理解されていないことによって、下記のような失敗するポジショニングの設定のしかたがされる。

■軸が顧客(ターゲット)のKBFになっておらず、「自社がアピールしたい点」になっている!
例えば「缶コーヒー」において、「生産量の少ない希少豆を使用」して、従来にない本格的な味を実現した商品を作った。価格は一般の缶コーヒーとは全く別次元の製品なので「高め」だったとする。すると、軸は「希少豆使用」×「価格:高め」という、軸とポジションが出来上がる。実際にキリンビバレッジは2014年11月より、「ブラジル産の希少黄金豆「ブルボン・アマレロ」を100%使用」し、「200円(消費税抜き希望小売価格)」で売り出した。「キリン 別格 希少珈琲(きしょうこーひー)」という商品だ。しかし、残念ながら売れ行きが芳しくなかったのか、2015年8月には販売終了となっている。恐らく、缶コーヒーユーザーには「コーヒー豆の希少さ」と「ラグジュアリーな価格」というKBFはなかったのだ。それ故、支持が得られず、恐らく売れなかったのだろう。

■ターゲット像が曖昧なので、真のKBFが見えていない!
そもそも、KBFで軸を切ることによって、その顧客の価値観にマッチするポジションを探さねばならないのに、ターゲット像が曖昧では軸を作ることもできない。マーケティングの戦略立案はセグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング(STPと略す場合が多い)の制度にかかっている。前出の「キリン 別格 希少珈琲」も「缶コーヒーにも本格的な美味しさを求めたい」「本当に美味しい缶コーヒーなら価格が高くても構わない」というターゲット顧客層とそのニーズがあると考えたなら、そのターゲット顧客はどんな人なんか。真のニーズはどこにあるのか。普段何を引用していて、自社が考えている製品の競合は何になるのか・・・など、顧客とそのニーズをもっと詳細に洗い出すべきなのだ。そうすれば、もっと異なるターゲット顧客の真のKBFが見えてきて、適切な軸の設定、受け入れられるポジションが取れたかも知れない。

■ポジショニングは一発で決まると思っている!
「STP」を細かく表現するなら、Segmentation → Targeting → TargetのKBF(Key Buying Factor)→Positioningなのだ。故に、ターゲットが決まったら、そのターゲット像を詳細化し、ターゲットが考え得るKBFをとにかく数多く洗い出す。そして、そのターゲットならどのKBFを重要視するかを考えて軸を設定し、その上で競合と差別化ができるか検証する。もし、差別化が図れないなら、次の順位のKBFに軸を切り替えてみる。そうやって、マップを何度も書いてみるのが肝要なのである。
もし、上記の手順でターゲットの優先順位が高いKBFの軸で優位なポジションが取れなかったらどうするか。それは、「ターゲットが間違っている」ということを意味しているので、第4回「マーケティングは流れで読み解く」で述べたとおり、「戻る!」という観点で、Targetingのやり直しをすることが必須で、それをせずに無理なPositioningを設定してしまったら、以降の4Pがうまく設計できないことになる。

「マーケティングの流れ」で考えれば、環境分析→STP→4Pだ。そして、4Pを最も簡単な言い方で表現するなら、「魅力の打ち出し方の設計」である。つまり、その設計さえできてしまえば、あとは、その魅力の実現手段である製品・価格・販路・販促の4つの要素(4P)を整合性に留意しながら具体的に考えていくことになる。つまり、4Pはもう実施・実現段階なので、ポジショニングこそがマーケティングの流れの中で最も重要なのはコトラー先生が指摘した通りなのだ。

マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検(7)

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第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

【第7回】4Pは「混ぜないと危険!」

前回も述べたように、コトラー先生も「マーケティングのキモはポジショニングである」とおっしゃっている。ポジショニングで「ターゲットに対する魅力の打ち出し方」を明らかに出いたら、それを「4つのP」で実現していく。それが、「マーケティングの流れ」では、いよいよ最終段階の「施策立案」ということになる。だが、その「そもそもの前提条件」忘れて施策効果は全く出なくなるので重々注意が必要だ。

■大原則:「4P」は「マーケティングミックス」という名前で覚えよう

4PとはProduct=製品・Price=価格・Place=販路・プロモーション=販売促進というマーケティングの実行プランを考える上で欠かせない4つの要素の頭文字を取っている。だが、ここで大きな勘違いが発生する。「4つのPをベストな状態・内容にすること」ことが、最適な4Pの設計ではないということだ。
「4Pは」別名、「マーケティングミックス」という呼び方をされる。そしてこの方が、正鵠を射ている。つまり、「施策プランをうまく作り上げるには、4つのPの要素をうまく組み合わせて全体として最適化すること」即ち、「ミックス」することが欠かせないのだ。「ミックスしつつ、整合性を図り、相乗効果を発揮するような設計」こそがキモなのだ。

■「最適なミックス」を阻むもの

「そうは言っても・・・」と読者の声が聞こえそうだが、「最適なミックスの実現」を阻むものがある。組織の壁である。
・製品は開発部門主導で「技術ありき」だったり、「競合製品と戦えるスペック」などの観点で、「モノ優先」で作られがちだ。
・価格は調達部門などが中心となって、製造原価の制約や競合を意識した価格で決められやすい。
・販路はチャネル営業部隊の理論で既存のしがらみが優先され、革新されることは少ない。
・販促はともすると広告宣伝部の意識はイメージ先行で、マスの認知を獲得することのみ偏りがちだ。
マーケターはそれらの利害を調整し、必要あれば説得しまくって4Pがバラバラに検討されるのではなく、「最適なミックス」となるよう、全体プランを考え提示しなければならない。

■事例で見る「最適ミックス」:2005年の花王・ヘルシア緑茶

この事例は各種マーケティング本に成功事例として記載されているので、さらっと書く。

・Product=「ヘルシア緑茶」を350mlペットボトルで発売。茶カテキン540mg(急須で入れた茶の2倍)という高濃度茶カテキンを豊富に含む。味は濃く、苦みが強い。「特定保健用食品(特保)」のお墨付きで、体脂肪燃焼効果が期待できる。

【特保で効きそう!がポイント】

・Price=350mlで189円。通常の緑茶ペットボトルが、500mlでコンビニ価格148円だったのに比べると割高。特保のお墨付きもあり、製品の期待効果を考えると、少量で割高というプレミアム分は受け入れられて売れている。

【効果期待で高くても買う・高いことでより効果が高そうなイメージ醸成効果も】

・Place=花王は自動販売機のチャネルがないため、コンビニ専用として棚を確保するところからスタート。今までにない商品であるという流通への働きかけが奏功し、優良な店頭陳列スペースを確保

【自販機がない弱みを逆手にコンビニに戦場を集中・大量の棚確保でCMとの相乗効果で手に取らせることに成功】

・Promotion=マス広告も大量に投入。テレビ等で認知・興味→店頭で手に取る→試用というターゲットからのPull販売の行動動線確保を作った

【製品特徴(効果)の認知・理解を図って、店頭接触時に手に取らせるという行動の後押しに】

以上のように、4Pの最適ミックスで成功したヘルシア緑茶だが、2013年10月、「サントリー・特茶」の猛追を受けて現在は苦しい立場になっている。「特茶」の「マーケティングミックス」はそのようなものかを見ていこう。

■ヘルシア緑茶を追い詰める、「サントリー・特茶」のマーケティングミックス

・Product=ポリフェノールの一種である「ケルセチン配糖体」に脂肪分解酵素を活性化させる働きがあることを明らかにしたとして、「脂肪の分解・燃焼」という、より「なぜ、効果があるのか」明確にした。また、味は普通のお茶飲料の中で「濃い味」とされているレベルでヘルシア緑茶ほど苦くない。また、定評のあるおいしい味と情緒的なイメージが形成できている「京都福寿園・伊右衛門」というブランドで展開している。容量は500mlと一般のお茶と同等。

【効果が分かりやすくて効きそう・伊右衛門だから味も良さそうで、事実飲んでみれば濃いめだがおいしい・容量も多くてお得】

・Price=170円とちょっと割高だが、現在清涼飲料は(ヘルシア緑茶発売時と比べると消費税増税により)160円となっているため、差は僅か。

【ヘルシア緑茶より安く、普通の飲料と比べると同量で10円高いだけ】

・Place=主販路はコンビニに加えサントリーが飲料業界2位・50数万台の保有量を誇る自動販売機にも投入。

【より広い売り場で面展開を図る】

・Promotion=CMキャラクターは伊右衛門シリーズで情感溢れる世界観で好評を博している本木雅弘と宮沢りえを起用。但し、思い切り機能訴求をし、登場時のキャッチコピーは本木が薪割りを演じながら「丸太はそのままでは燃えない。だから、分解。」と、脂燃焼のメカニズムを訴求。宮澤は「苦いトクホの時代は終わったようです。」と味訴求を行っている。

【特茶の製品特徴の2点を徹底訴求:脂肪燃焼のメカニズムを明確にして、より多くの人に初めさせることを狙いつつ、ヘルシア緑茶の特徴(弱点)である「味」への対抗軸を明確にしている】

■「4P同士の整合性」と「STP」との整合性

上記のように4Pの整合性構築で一世を風靡した「ヘルシア緑茶」であるが、その抱えた弱点を巧みに突いて、4Pの要素全てで上回るマーケティングミックスを展開した「特茶」は特保飲料トップに躍り出ることに成功した。

だが、それは4Pの整合性(マーケティングミックス)のプランがうまかったからではない。当シリーズの第4回「マーケティングは流れで読み解く」で述べたように、「流れ」、即ち、4Pの手前である、「環境分析→戦略立案(STP=セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)」とマーケティングミックスがしっかり整合している点も見逃せない。
特茶のターゲットは誰か。「(楽して・飲むだけで)痩せたい人」であるのはヘルシア緑茶と同じだが、「飲んで痩せたい」と思いながらも「ヘルシア緑茶に手を出さなかった人」も少なからずいたはずだ。そこにサントリーは目を付けたのだ。
例えば、「苦すぎて味が無理(不味い)」「メタボな中年男性が必死で飲んでそうなイメージが嫌(不格好)」「少なくて割高な気がする(不利)」「量が少ない・もっと飲みたい(不足)」「何で効くのか・効果があるか信じられない(不信)」・・・などなど、よく見てみれば、たくさんの「不」の時を抱えている人が見える。
「ニーズ」とは「現実」と「理想的な状態」のギャップのことだ。ニーズを明らかにするには、「不」という文字を探すのがコツである。「不」のある所にはニーズがある。そこからサントリーは世に多数存在した満たされぬニーズを抱えたターゲットを見出したのである。
そこに対して、分かりやすい「効果のわかりやすさ(脂肪が分解して燃える)」×「(伊右衛門ブランドで)美味しい」というポジショニングを示し、引きつけて、ヘルシア緑茶とも明確な差別化を図ったのである。

 

4Pを一つ一つ考えるだけでなく、「全体の整合性」「ミックスの効果」に留意しつつ、「マーケティングの流れ」である、その手前の「STP」との整合性にも十分留意すること。それが、最終的に成功する実施プランを作り上げる秘訣であり、必須条件である。

間違いがちなフレームワークを総点検・総まとめ:マーケティングフレームワークのワナと対策

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第1回:3C分析

第2回:SWOT分析

第3回:5F分析

第4回:マーケティングの全体像

第5回:セグメンテーション

第6回:ポジショニング

第7回:マーケティングミックス(4P)

第8回:総まとめ

(初出:insight now)

マーケティングのフレームワークを活用する際に陥りがちなパターンと、その実践的な解消のポイントを押さえていく。


 フレームワークはマーケティングを考える上で欠かせないものである。しかし、その使い方を間違えれば、ミスリードを招く危険性もはらんでいる。

 今回は、そのフレームワークの誤用が招く問題点と、正しい使い方を取り上げていきたい。

誤用1・いきなり4P

 「マーケティングって4Pでしょう?」と言われるぐらいメジャーなフレームワークが4Pだ。4Pとは、マーケティングの施策の4つの要素である、production(製品)、price(価格)、place(販路)、promotion(コミュニケーション)の頭文字を取ったものだ。有名であるが故に、いきなりこの4Pから検討を始める例が散見される。

 最終的には、施策の検討要素として4Pを策定しなければならないのだが、そこから初めてしまうと、その製品・サービスを「誰に、どんな価値として訴求するのか?」がわからなくなってしまう。また、さらにその手前の「自社を取り巻く環境がどうなっているのか?(どんな機会と課題があるのか?)」もわからないまま、施策を決めることになってしまう。

 マーケティングを考える「流れ」=「マーケティングマネジメント」は、環境分析→セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング→4Pなのだ。

 「マーケティングは“流れ”で読み解く」と覚えておきたい。

 

誤用2・穴埋め問題的環境分析

 フレームワークを用いている時によくあるのが、フレームに事実関係を当てはめ「事実整理」をするだけに留まる例だ。例えば環境分析の3C分析なら、customer(市場と顧客)、competitor(競合)、company(自社)の3つのCの枠組みに、思い浮かんだ(もしくは、情報収集した)事実を書き込んで整理しただだけで安心してしまうことである。

 環境分析のフレームワークなら、結論として、「どんな市場機会と事業課題があるのか?」という「解釈(意味合い・メッセージ)」を導出しなければ分析する意味がない。

 フレームワークは「穴埋め問題」ではないことを心掛けたい。

 

誤用3・属性のみのセグメンテーション

 ターゲットを考える時には、その手前で「どんな顧客候補がいるのか?」を抽出する必要がある。それが、セグメンテーションだ。その際、「性・年齢」でとりあえず切り分けてしまう例が多い。そこから、「ターゲットは20代女性」などという、もやっとした絞りきれていない結論になってしまうのである。

 ターゲット候補を抽出する切り口として、性・年齢という「属性」は、ある意味わかりやすい。しかし、その属性を持つ人がその製品・サービスを求めているのかということはわからない。

 そもそも、セグメンテーションとは、属性から考えるものではない。「どんなニーズを持った人々がいるのか?」という「ニーズ」に注目するのが原則だ。そして、「そのニーズを持った人々は、どんな属性なのか?」という順番で考えるのである。

 「セグメンテーションはニーズで括る」と、覚えたい。

 

誤用4・直感的ターゲティング

 ターゲットを決める時、妙にリアリティのあるなんとなくイケそうなターゲット像が描かれることがある。ターゲットを一人の人物像を描くように詳細化するのは、「ペルソナ」という手法であり、それ自体は有効なものだ。問題は、それがいきなり描かれることなのだ。

 ターゲティングの手前では、前項のセグメンテーションで複数の顧客候補が抽出されていなくてはならない。その中から明確な根拠をもってターゲットを絞り込むのがキモなのである。

 代表的な絞り込みの基準としては、そのセグメント(顧客候補)の規模、成長性、波及効果、到達性、競争環境などがある。それらの基準に照らし合わせて、ターゲットを絞ったあと、それを詳細化してペルソナを作れば良い。

 「ターゲット詳細化(ペルソナ)の前に、複数のセグメント(顧客候補)を評価してターゲットを選ぶ」ということを覚えておこう。

 

誤用5・自社都合のポジショニングマップ

 「誰(ターゲット)」を狙うかが決まったら、そのターゲットに対して示すべき「価値(差別化要素)」を明確化する必要がある。それがポジショニングだ。

 ポジショニングは自社の強みが発揮できる要素で2軸のマップ(ポジショニングマップ)を作るのが一般的である。その際、「何を軸にするのか?」が最大のキモであるが、ままあるのが、「自社の優位性が示せる要素」で考えてしまうことだ。自社にとって競合に対して優位性が示せるとしても、それを顧客が望んでいるとは限らない。

 自社が優位性を示せるかどうかは、結果である。

 まずは、「顧客の買う理由(key buying factor=KBF)で切る」と覚えておこう。

 そうして軸を切ってマップを作り、優位性のあるポジションが取れるように工夫するのである。

 

誤用6・バラバラ4P

 ここまで、環境分析→セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングと考えてきて、ようやく施策の立案である4Pの検討となる。

 しかし、4Pの要素を個別に考えてしまうと、施策全体がちぐはぐになってしまう懸念がある。製品のスペックと価格が釣り合わない、販路が適していない、効果的のプロモーションが行われない・・・などのことが発生する。特に組織間で4Pの要素が分裂して担当される場合は要注意だ。productとpriceは製品開発部、placeは営業部、promotionは広告宣伝部の担当などということはよくある。その場合でも、組織横断的に全体の検討が必要なのだ。

 そうならないためにも「4Pではなく、マーケティングミックス」と呼んだ方が良い。4つのPの要素をミックス、つまり、混ぜ合わせて効果を最大化することが大事なのだ。その際、相互の「整合性」、つまり相互に噛み合っていることに留意することが肝要である。

 そのためにも、まずは「4P」ではなく、「マーケティングミックス」という言葉で覚えておこう。

 

 以上、マーケティングのフレームワークを用いる場合のありがちな問題点と、その対策を述べてきた。

 マーケティングをうまく検討するには、最終的には「センス」に依存する部分もある。しかし、その手前で、適切にフレームワークを用いれば、かなり成功確率を上げ、失敗を回避することができる。

 自分がスティーブ・ジョブズのような天才タイプでないと自覚したら、まずは正しいフレームワークを身に付けることをお勧めしたい。

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