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2019.02.14

花粉症に福音!ニーズにジャストフィットするティッシュ

 暦の上でも春を迎えると、寒さの続く毎日の中にも少し気分がウキウキする気がする。しかし、天気予報で花粉情報が発表されるようになり、いつ花粉の飛散量が、「多い」に変わるかと思うと憂鬱にもなる。そんな今日この頃、花粉症の皆さんはどのようにお過ごしだろうか。そこに、福音ともいえるティッシュの話題が日経MJ2019年2月13日号に掲載されていた。

 セブンイレブンでのティッシュの売り上げを2割伸張させたというから、大ヒット商品ではないだろうか。2018年12月上旬から全国で順次発売をはじめたという、「クリネックスティッシュ ソフトパック」という商品である。<セブンのプライベートブランド(PB)ではないが、メーカー供給量の大半を同社が占める(同紙)>というから、セブンの力の入れようは相当なもので、それが奏功したのだろう。
 <ポケットティッシュは量が少なく、箱入りティッシュは持ち運びにくいという既存製品の不満を解消する商品(同)>として作られたという。<110組入り(170円)と240組入り(278円)の2種類で展開する。容量は1個あたり10~20組入りが主流のポケットティッシュよりも多く、箱入りティッシュの150~200組に近い(同)>と、大容量の袋入りタイプで、<かばんに入れて持ち運べる点が支持を集めている>という。

 筆者はかねてより「ニーズはふ(不・負)の字に隠れている」として、マーケティングの基本のきである「ニーズを探すこと」の重要性を主張してきた。しかし、消費が高度化した今日、ニーズは多様化しており、さらに各種の製品が開発され尽くしているため、簡単に「ふの字」などは見つからないと言う人も多い。
 しかし、ティッシュというコモディティー商品でも、まだ刈り尽くしていない「ふの字」があったというのが今回の事例なのだ。ポケットティッシュでは、枚数が「不足」。箱ティッシュでは、かばんに入れて持ち歩くのに「不便」で「負担」。だから、既存製品には「不満」である。

 ティッシュに関しては、過去に「ふの字」を捉えて大ヒットした商品もある。2004年に発売された、ネピアの「鼻セレブ」だ。同製品は、「潤いつづく濃厚保湿ティシュ」というキャッチフレーズが付いており、その柔らかさで頻繁に鼻をかんで、鼻への「負担」を何とかしたい!と思っていた花粉症患者に福音をもたらして支持された。
「鼻セレブ」の開発にあたっては、その保湿効果を実現するために、技術的な革新も必要であったと推察されるが、今回の「クリネックスティッシュ ソフトパック」は技術的な難易度はそれほど高くはないのではないか。ヒットしたのは、ひとえに顧客の抱えた「ふの字」をよく観察し、その声に耳を傾けた結果であるといえるだろう。
他にも市場には、取りこぼしている「ふの字」はたくさんあるはずだ。丹念にそれらを拾い集める努力をしていきたいものである。

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