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2019.02.05

「トーキョー・ディスコティック」に見る「トキ需要」の可能性

 80年代のディスコシーンを復活させる大イベントである。ターゲットは50~60代前半の「バブル世代」。そこにはターゲット世代の食いつく仕掛けを用意しつつ、今日の市場のマーケティングトレンドをしっかりと捉えた戦略が隠されている。

 トーキョー・ディスコティック( http://discothequefestival.com/ )は3月23日(土)に幕張メッセで開催されるイベントである。(3月24日には神戸にて開催)。当イベントのフェスティバル・アンバサダー、ラジオ・テレビ・全国のディスコ・イベント等で活躍する「80sディスコの伝道師」であるDJ OSSHY氏が、このイベントの楽しみ方を上記サイトでコメントしている。<椅子席でゆったりドリンク片手にライヴを楽しむも良し、ダンスフロアでライヴ・サウンドと共に踊って楽しむも良し!>とのことだ。

 Productとしては、何と言ってもアーティストの魅力が素晴らしい。クール・アンド・ザ・ギャング、チャカ・カーン、シーナ・イーストン、スウィング・アウト・シスターと、80年代のディスコシーンで活躍した綺羅星の如き海外アーティストを招聘し、他に日本人アーティストも参加するらしい。
 Productと合わせてPriceの設定が絶妙だ。一般席は12,000円。しかし、20,000円の「Gold指定席」を前面に押し出している。一般席との違いは、「ステージ前方エリア指定席」「専用入場レーン」「クローク」「フリードリンク」「フードチケット」となっている。つまり、往年のディスコにあった「VIP席」のイメージである。ちょっと聞くと、「2万円!高い!」と思いがちであるが、ターゲットの年代に関しては、「VIP席」のステータスに関しての反応性は高いはずだ。また、50代~60代に入り、物欲はかなり満たされてしまっており、「モノ需要よりコト需要」に重きをおくようになっている世代である。さらに前述の招聘されているアーティストのラインナップ、それが一堂に会するなどということは、「その時」をおいて他にないだろう。その時ならではの希少性は、昨今注目されている「トキ需要」の代表に挙げてもいいだろう。

 日経MJ1月4日号に博報堂生活総合研究所の石寺修三所長のコメントが掲載されている。曰く、<「1990年代後半から増えてきたコト消費が進化している」(記事より)>という。同研究所では<テーマパークやコンサート、スポーツ観戦などで「その日、その瞬間にしか体験できないコト」をトキ消費と名付けている(同)>ということである。そのキモとして(消費者が)<「自分がイベントなどに参加したり、貢献したりできる時間に価値を見いだしている」>のだと同所長は語っている。

 マズローの「欲求5段階説」で考えれば、「その時しかない」貴重なイベントに参加するということは、「所属欲求」を満たすものである。また、その中で、VIP待遇を受けること、つまり「イケてる自分」になることは、「承認欲求」を満たすことになる。「バブル世代」に関しては、他の世代以上に所属欲求と承認欲求は飛び抜けて高いと考えられるため、「トキ需要」は非常に親和性が高く、このイベントはターゲットのインサイトを巧みに突いていることが分かる。

 <サービス産業が国内総生産(GDP)の約7割を占め、コト消費の存在感は高まるばかり(同)>というが、そのコト消費が高度化してトキ消費になっている。博報堂生活総合研究所が昨年7月に行った調査結果として、<「トキ消費の流行を実感した」との回答は40.5%(同)>であることを踏まえて、同所長が<「企業は自社の商品やサービスでトキ消費の要素を取り入れないと生き残れない」>と断言している。「トキ消費」と、「限定感」は重要なキーワードとして頭に入れておきたい。

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