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2019.01.16

400億円市場の「漫画アプリ」と「AARRRモデル」

 2018年においてスマホで漫画が楽しめる「漫画アプリ」の市場規模は400億円に成長しているという。日経MJ1月14日号の記事である。
 同記事に記載されている調査会社の報告では、市場の成長は<課金額は毎月増え続け、18年12月単月の課金額は同年1月の約3倍に拡大している(記事より)>とのことである。
市場成長の理由は、<1話ずつ毎日無料で読める漫画アプリを中心に利用者を増やしてきた。最近は1日1話では我慢できず、まとめ読みするために購入する消費者が目立ち始めている(記事より)>という背景があるようだ。これは、非常に今日的なビジネスのやり方が奏功しているという証左だといえる。

 消費者の態度変容を表すモデルとしては、従来次のようなものがポピュラーだと言えるだろう。古典的なものでは、商品及びその情報との接触から購買行動までを表す「AIDMA(Attention:注意→Interest:興味→Desire:欲求→Memory:記憶→Action:購買)」。商品のお試しと継続利用に重点を置いた「AMTUL(Awareness:認知→Memory:記憶→Trial:試用→Usage:日常利用→Loyal:優良顧客化)」。SNSの利用も含めたネット上の行動に合わせた「AISAS(Attention:注意→Interest:興味→Search:検索→Action:購買→Share:共有)」などがそれだ。

 「漫画アプリ」を含め、いわゆるWebサービスにおける態度変容モデルとしては、「AARRR」を使うとビジネスの設計がしやすい。Acquisition:ユーザー獲得→Activation:利用開始→Retention:継続→Referral:紹介→Revenue:収益の発生である。そのプロセスとしては、各種施策による初回訪問獲得→初回利用や会員登録促進→継続利用促進→サービスの共有や紹介促進→優良(有料)顧客化という流れだ。
 注目のポイントは、様々な施策を行い、サービスをさんざん利用させた上で、最後に課金という行動を取らせて収益化を図っている点にある。記事では<「マンガUP!」を運営するスクエア・エニックスによると、最初の数巻を無料にする施策は、続きを購入する消費者を増やすことにつながってきている(記事より)>とある。AmazonのKindleでも、マンガコンテンツは1巻から数巻無料という施策を数多く展開しているが、悔しいながら筆者もついつい、続きをポチっとしてしまって「収益化」にかなり貢献している。
 アプリならではのメリットもある。一度アプリをダウンロードさせることができれば、「Activation:利用開始」としてユーザー情報は簡単に取得できるし、プッシュ通知によって「Retention:継続」も容易に実現できることである。

 態度変容モデルは世の中の動きやメディア・ツールによって最適なモデルが変化する。特に昨今ではデジタル化の進行によって、そのプロセス事に定量的な計測をしてKPI(Key Performance Indicator=重要管理指標)を設定してビジネスの設計と修正をしていくことが欠かせない。その意味では、この「AARRR」モデルは当面の注目株であることは間違いない。

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