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2 posts from March 2013

2013.03.27

「コク」に賭けろ!プレモル好調のヒミツを探る!

 ビール類総市場不振の中で成長している銘柄といえば、まず思い浮かぶのが「ザ・プレミアム・モルツ」だろう。2012年のビール類総市場の伸長率は対前年比99%と前年割れの中、「ザ・プレミアム・モルツ」は110%と二桁増の勢いだ。その好調のワケをサントリー酒類株式会社 ビール事業部プレミアム戦略部 課長の安達考俊氏に聞いてきた。


■プレモル大ヒットの軌跡と再びの危機

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 「ザ・プレミアム・モルツ」(以下、プレモル)の歴史をひもとけば、1989年に遡る。前身となる「モルツ・スーパープレミアム」。「知る人ぞ知るビール」として多摩地区限定でスタートし約10年間、限定販売としてあたためてられた後に、全国販売をスタートした商品である。ところが販売実績は思うように伸びなかった。。サントリーのビール事業は赤字が続いている中で、大きな投資を伴っての新ブランド立ち上げだ。そのままでいいはずがない。
 転機となったのは、2005年のこと。2003年に「ザ・プレミアム・モルツ」と商品名を改め2005年にモンドセレクションに出展したところ、ビール部門で日本勢初の「最高金賞」を受賞した。そして2007年まで3年連続で同賞を受賞という輝かしい成績を残したのである。その実績が注目され、一気に大ブレイクを迎えたのだった。
 しかし、その栄光に安寧としているわけにはいかなかった。プレモルは堅調に伸び続けてはいたものの、以前ほどの爆発的な伸びは記録できなくなってきていた。2011年のことだ。


■開発当初からのコンセプトに立ち戻る

 そもそも、ビール類総市場は2000年代以降伸びていない。同市場は一人あたりGDPと連動しているといわれているが、バブル崩壊以降の景気の低迷が市場に重くのしかかってきている格好だ。だが、伸びているカテゴリーもある。新ジャンル(第3のビール)だ。安いものが求められるのは不景気の常である。しかし、もう一方でプレミアムビールも伸びているのだ。
 「完全な二極化が進んでいる」と安達氏は言う。顧客層が二極化しつつ、一人の顧客の中でも「特別な時に飲む」といった「使い分け」も進んでいるという。つまり、顧客層と利用シーンの二極化だ。
 安いものばかりが求められるのであれば、プレモルが再び躍進する目はない。しかし、一方でプレミアムニーズは確実に市場に潜在している。それをいかに顕在化させて掴み取るかが問題だ。それには、「Value for moneyに応えることが欠かせない」と安達氏は強調する。「手間隙を惜しまず、お客様にとって価値あるもの、つまり本当においしいもの、世界最高峰のビールをつくりたいという開発者の思いがいきつづけています」。
 そのおいしさのキーワードが、「ヴァイタートリンケン」。ドイツ語で「飲み飽きない。もっと飲みたくなる。」という意味があるという。プレモルの開発当初からのコンセプトである。
 「ヴァイタートリンケン」とは、単なる飲みやすさではなく、もう1杯が飲みたくなるうまさ。すなわち「しっかりしたコク・うま味」を意味する。「例えるなら、飽きることなく後を引く、料亭のお吸い物の出汁」のようなものだと安達氏は言う。そのコンセプトをさらに実現した味を開発するのが、プレモルのステージアップには欠かせないと判断されたのである。


■まだまだ行けるはず!

 「飲み飽きない。もっと飲みたくなる。」をさらに深めることは、実際には簡単ではない。何より、そこには大きな問題とリスクが存在した。
 プレモルの栄光、3年連続モンドセレクション最高金賞受賞。しかし、味に手を加えるということは、その金字塔を掲げられなくなるということを意味している。また、プレモルは多くのファンから支えられている。新しい味がそのファン層に受け入れられなければ、離反を招きかねない。
 ビール類だけでなく、多くの飲料はリスクを恐れるため、ブランドの本体の商品には手を加えず、ブランドエクステンション、即ち、派生商品の発売を行うのが常だ。しかし、プレモルはあえて、リスクを取った。
 「もっと行けるはず。まだプロダクトライフサイクルは成熟期ではなく成長期の入り口であり、余地はあるはずとの想いがあった」と、安達氏は振り返る「もっと多くの人に、手に取って飲んでもらいたい」という社内の想い。そして何より、「サントリーのビール事業のフラッグシップブランドであり元気の素であるプレモルをやらなきゃという全社一丸のコンセンサスがあった」と言う。


■キーメッセージに込められた想いと成功のヒミツ

 2013年の製品メッセージとしては、「コクのプレミアム。」。それは、プレモルが目指す世界最高峰のおいしさ。「ヴァイタートリンケン」、即ち、「しっかりとしたコク・うまみ」を言い表す製品の本質を示しているのである。

 実は、実際の味の確定までには何度も社内で社長に至るまでのチェックが行われ、何度も試行錯誤が繰り返されたのだという。それは、「世界最高峰のうまさ」を実現するという思いの深さを表しているといえるだろう。発売ギリギリまで悩みに悩んだが、最後はサントリーらしく「やってみなはれ」でやっと決まったという。
 成功体験。それは時に危険な罠になる。成功体験に縛られて先に進めなくなり、やがて没落していくことを「成功の復讐」ともいう。プレモルの好調のヒミツは、過去の栄光を捨て、顧客離反のリスクを取ってまで、新たな成長を目指した点にあるといえる。しかし、そこには単なる売り手の理論だけでなく、顧客の「Value for money」に応えるという視点も忘れられていない点も見逃せない。

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2013.03.21

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