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2012.11.24

ユニーク!「ターゲットを絞らない」ダウンウェアの戦略!

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 「YOSOOU(粧う)」。この和風な名前は、この冬2シーズン目を迎えたダウンウェアのブランドだ。しかし、よくあるダウンを看板にしたカジュアルブランドとは異なる。コートだけでなく、ジャケットからトレンチコート、スカートやドレス、それにボウタイまですべてダウン入りという商品展開をしている「何でもダウンで作る」ブランドなのだ。ユニークなブランドの狙いを 株式会社パブリックスペース・永嶌社長に聞いてきた。

 昨年の冬、誕生したばかりの「YOSOOU(粧う)」は大いに売れた。同ブランドの売り物はダウンだけなので、展開は秋冬のみ。
百貨店を中心に13回のリミテッドショップと全国15店舗のセレクトショップへの展開で1億3千万円の売上記録。
アパレル冬の時代において大健闘であるといえるだろう。今年はさらに規模を拡大し、百貨店・セレクトショップなど26カ所30回のリミテッドショップで3億円の売上を見込んでいるという。

 勢いを増すYOSOOUブランドであるが、その「売れるしくみ」は明確だ。Product(製品)は、「Dual Flex」というダウンには珍しい伸縮性のある生地を開発し、使用している。それによって、ダウンウェアにありがちなガッチリした着ぶくれシルエットではなく、身体にフィットした「街着」として違和感のないスマートなスタイルに仕上がっている。それだけではなく、伸縮性素材は「体型を選ばない」というメリットを生んでいる。
 「YOSOOU(粧う)」は家族全員が着回せる服。年齢や体型を選ばない服を目指している」と永嶌社長は語った。
確かにカタログやWebサイトでは様々な一般人モデルがYOSOOUのダウンを楽しげに着回している。気に入ったら誰でも無理なく手に入れられるという価格(Price)設定として、3万円台~4万円台が中心。販売チャネル(Place)として、点での展開ではなく「YOSOOU(粧う)」の世界を表現できるよう期間限定のイベントショップでの販売を中心にし、それが結果として固定費の抑制につながっている。また一過性ではなく3年、5年と年を重ねるごとに徐々に浸透していくブランドでありたいという意味で、マス広告を打たず、口コミやパブリシティーを中心としたPromotion展開にもそのポリシーは反映されている。
 つまり、YOSOOUは「ターゲットをあえて絞らないという戦略」の元に、マーケティングの4Pの整合性を図っているのである。

 ターゲットを絞らないというなら、ユニクロのダウンがその代表格と思う向きもあるだろう。確かに、カジュアルウェアという戦場においては、ユニクロが「ウルトラライトダウン」を昨年の700万枚に対して2012年は1300万枚という販売目標を掲げている。製造数が多くなることによって工場設備費などの固定比率が低減し、より低コストで勝負できる「規模の経済」を効かせた「コストリーダー」の戦い方だ。安価で無難なスタイル。誰にでも買う事ができる。
 しかし、誰も彼もが着ている商品では満足できない層も存在する。一方では、スポーツメーカー・ゴールドウィンの「ノースフェイス」などのブランドは、価格では勝負できないものの、完全な防水「ゴアテックス」などの機能的差別化を図る「差別化戦略」戦略を強めている。「モンクレール」などもプレミアムダウンを用いた10万円オーバーの商品を展開している。

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 では、YOSOOUはどのような顧客を取り込んでいるのだろうか。
 ユニクロなどの汎用的な商品には満足ができない。しかし、スポーツブランドにありがちな「いかにもダウン」というような、主張した製品にも抵抗がある。「スマートでオシャレなダウンを手ごろな価格で手に入れたい」という未充足ニーズを持った層は少なからず市場に存在していた。その、「ホワイトスペース」に製品を投入し、一気に顧客を獲得したのである。「YOSOOUファン」は性別・年齢などのデモグラフィックなセグメント軸ではなく、「製品・価格への未充足ニーズを持っている」という共通因子が決め手だったのである。

 「ホワイトスペースを狙う」というと、そこには割り切った計算に基づいた戦略が存在すると思われがちであるが、実際には経営者の熱い想いも存在した。
 「ストレッチダウンの文化を広めたい」と永嶌社長は語った。
 「従来のダウンウェアはボリュームが出すぎて好まない、スタイリッシュな消費者層を感じていた。かといって、モードに走るのではなく、あくまでスマートなカジュアルを目指す事で、誰にでも着られる、一家に一枚の家族で着回しのできるウェアを作りたかった」のだという。
百貨店でのイベント販売を中心とした展開にこだわるのは、固定費圧縮のためだけではない。
 「従来のカジュアル商品では、作り手の思いが消費者に伝わらなかった。なぜなら、カジュアル商品は“接客”をしないから。百貨店での販売はきちんと商品の説明ができ、さらに消費者の声、ニーズを収集する事もできる」という。

 ホワイトスペースを発見しても、そこに顧客が存在しなければ、単なる沙漠でしかない。また、顧客が存在しても振り向いてくれなければ商売にはならない。YOSOOUの市場機会の発見と、顧客ニーズを拾い上げる展開から学ぶべきところは大きい。
 YOSOOUの挑戦は完成したわけではない。2年目の今年、より多くの未充足ニーズを集められるように、さらなる新素材や縫製の技術を取り込んで多様な商品を展開している。

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2012.11.12

連載リンク:「あの商品、このサービスがヒットするわけ」第3回

宣伝会議社の広告関連専門Web媒体「AdverTimes(アドタイ)」の連載第3回です。

<このコラムについて> 「モノが売れない」といわれて久しい時代。そんな中でもヒット商品は存在します。その裏側にはどんなヒミツが隠されているのか。マーケティングのセオリーで読み解いていきます。

「誰が、なぜ飲んだ?1億本:メッツコーラに学ぶ」

今年4月の発売以来、累計販売数が10月に1億本を超えたという、キリンビバレッジの「メッツコーラ」。メッツコーラはコカ・コーラやペプシコーラに挑んで1億本の需要をもぎ取ってきたのだろうか。恐らく、それは違う。従来コーラの飲用習慣がなかったり、控えていたりした層の需要を喚起したのだ。

人がコーラなどの清涼飲料を飲む「理由」とは何だろう。まず、「喉の渇きを癒やすこと(止渇効果)」だろう。それは、マーケティングの大家、フィリップ・コトラーの「製品特性分析」のフレームワークで考えれば、飲料という商品において欠かす事のできない「中核価値」である。しかし、止渇だけならミネラルウォーターで十分だ。コーラは、その「味」や「爽快感」が欠かせない「実体価値」となっている。また、止渇という中核価値とは直接関係ないが、魅力を高める要素としての「付随機能」は、「カッコよさ」などが挙げられる。

続きはこちら→http://www.advertimes.com/20121106/article92337/

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連載リンク:「あの商品、このサービスがヒットするわけ」第2回

宣伝会議社の広告関連専門Web媒体「AdverTimes(アドタイ)」の連載第2回です。

<このコラムについて>

「モノが売れない」といわれて久しい時代。そんな中でもヒット商品は存在します。その裏側にはどんなヒミツが隠されているのか。マーケティングのセオリーで読み解いていきます。


「何より大事なピッタリ感…『ポスト・イット® 手帳用製品 ポータブルシリーズ』」

どこのオフィスでもおなじみの、住友スリーエムの「ポスト・イット® 製品」。「メモを書いて、貼って、はがして、また貼って」という使用方法にピッタリな程よい粘着力がこの製品の中核的便益である。しかし、それだけなら今日、類似品が山と販売され、100均でも購入できる。そこで登場したのが、ポスト・イット® 手帳用製品「ポータブルシリーズ」だ。商品は今年9月に発売されたばかりだが、売上は当初予想を上回って上々ということだ。

誰でも便利に使える商品は、すべての人から愛されるかといえば、必ずしもそうではない。コモデティー品はほかでも用に足りるので簡単にブランドスイッチされてしまうのだ。では、どうすればいいのか。まず、万人受けではなく「ターゲットを明確にする」ことが必要だ。そして、「自分にピッタリ!」という「自分ならではの価値(Relevant)」を感じ取ってもらうことが肝要なのである。

続きはこちら→http://www.advertimes.com/20121023/article89973/

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