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4 posts from October 2012

2012.10.30

【連載リンク】金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!・第14回:エプソン「カラリオ」

 前回はキャノンのデジタルカメラでしたが、今回はエプソンのプリンタです。ちょっと、リレーシリーズ的になっていますが、偶然です。偶然・・・。

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  モノクロ印字の美しさを競う時代から、フルカラー写真印刷の美しさを競う時代へ。インクジェットプリンターの黎明(れいめい)期から市場をけん引し、「おうちプリント」を普及させてきたセイコーエプソンの「カラリオ」。1995年の発売開始以来、写真プリントの高画質性を追求し続け、現在はスマートフォンなどネットワークとつながる複合機として時代のニーズにこたえています。エプソン販売株式会社 取締役販売推進本部長の中野修義氏に聞きました。

○記事はこちらから!→http://bit.ly/VYypNz

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2012.10.22

成熟期商品の生き残り方とは?:ポスト・イット ® 製品の場合

 一度軌道に乗った製品は、導入期、成長期、成熟期、衰退期の「製品ライフサイクル(Product Life Cycle)」を経る。そのサイクルの中で、衰退期に転落しないように成熟期で踏みとどまるという課題を抱えた商品は市場にも多く存在する。発売以来31年を経たロングセラー商品である、オフィスでおなじみの住友スリーエム「ポスト・イット ® 製品」も例外ではなかった。その生き残りのための挑戦を取材してきた。

■「アンゾフのマトリックス」のお手本的展開

 経済学者のイゴール・アンゾフは、企業の成長戦略を4つにパターン化した。いわゆる「アンゾフのマトリックス」だ。既存の顧客を対象にするのか、新規の顧客を狙うのか。既存の製品を用いるのか、新製品を開発するのか。顧客・製品、新規・既存の掛け合わせの4つだ。
 3Mという会社は、優れた技術力で新製品を次々に世に送り出していくことで知られている。アンゾフのマトリックスで示せば、既存顧客に新製品を販売するという「新製品開発戦略」である。「経営戦略としても、全売上の40%以上を直近3年間で出した新製品が占めなければならないという目標を設けている」という。(「利益思考」嶋田 毅・著:東洋経済新報)
 一方で、既存の顧客に既存の製品を販売する「市場深耕戦略」も怠っていない。ポスト・イット® 製品のわかりやすい例でいえば、大容量のバリューパックを作ったり、多様な色の組み合わせのパッケージを展開していたりする。また、素材を紙からより目立ち、より丈夫なフィルム素材に変えたポスト・イット® ジョーブを展開したり、テープ状のロールタイプにしたポスト・イット® 強粘着ロールを発売したりもしている。特に注目したいのが「強粘着タイプ」だ。紙に貼るのではなく、PCの筐体やホワイトボードに貼るというような昨今のオフィスでの使われ方に対応して、はがしやすさは保ったまま、粘着力を通常品の2倍に強化した製品である。外部環境の変化に対応しているのである。そうした展開の結果、ポスト・イット® 製品は国内だけで400種ものSKU(在庫管理を行う場合の最小の分類単位。最小在庫管理単位)にのぼる多様性を見せているとのことなのだ。

■オフィスの外に飛び出せ

 しかし、国内の粘着メモ市場はここ数年、成長を見せていない成熟市場となってしまっているという。故に、3Mの日本法人である住友スリーエムとしてもポスト・イット® 製品も「オフィスの外への提案」が欠かせなくなってきている。つまり、パーソナルユースという新規の顧客に既存の製品を販売する「新市場開拓戦略」である。ターゲットは教育とパーソナルだ。

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 教育用で注目なのは「辞書引き用ふせん」だ。これは、中部大学の深谷圭助准教授が提唱する、自ら学ぶ習慣が楽しく身につく勉強法として注目を集める「辞書引き」学習専用に開発したポスト・イット® 製品である。かなりニッチな市場であるが、ふせん紙を大量に使用するという相性のよい学習法を見逃さずに市場拡大を狙っていることがわかる。他にも専用のポスト・イット® 製品を発売するだけでなく、ふせん紙を用いたKJ法(データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめていく手法)を学校に提案するなどの展開を行っているという。

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 パーソナルにおけるメインターゲットはポスト・イット® 製品にオフィスで慣れ親しんだOLだ。男性は手帳の電子化が進んでいるが、女性は紙の手帳の愛用者が多いことから発案したターゲティングであるという。しかし、事務用品としてのポスト・イット® 製品を自分の手帳に用いて「自分の手帳にしっくりこない」「可愛くない」と考えていた潜在的なニーズギャップが存在していたことを開発担当者は見抜いた。そこで、「様々な用途に対応する各種リフィル」と、リフィルを自分の好みに合わせて組み合わせ持ち運べる「可愛いケース」を発売したのである。製品名を「ポスト・イット® 手帳用製品 ポータブルシリーズ」という。9月からの発売であるが、売上は当初予想を上回って上々ということだ。

■エモーショナルなブランド訴求を展開する

 上記の通り、アンゾフのマトリックス的にモレのない成長戦略をとっているが、まだ、克服すべき弱点があることがブランド調査で判明したという。
 ポスト・イット®ブランドのイメージとはどのようなものだろうか。「メモを書いて、貼って、はがして、また貼って」という使用方法にピッタリな程よい粘着度が製品の中核的便益であることは間違いない。その品質の高さは、100円ショップなどで販売されているノーブランドの付箋紙と比べれば明かだ。調査でもそのファンクショナルな価値の高さには高い支持が寄せられた。今後は「使ってみたくなる」「楽しい」などというエモーショナルな価値に対する支持を高めたいという。実は、前出の「ポータブルシリーズ」もその一環であり、単に女性向けにターゲットを拡大するのが狙いではなく、「楽しい商品群」を開発するというエモーショナル戦略の一部を担っているのである。
 エモーショナルなブランド訴求のために、7年ぶりにテレビCMも制作した。
 
 (※YouTubeでの掲出は12月まで)
 「ジブンをひらけ。」と題されたCMではさりげなく、「どこにでも貼れる」という機能も示されているが、それ以上に「前向きな自分に導く」というエモーショナルな訴求がなされていることがわかるだろう。

 自社商品が成熟期に差し掛かったとき、どのような対応を行うのかの判断は企業によって異なるだろう。だが、今回の住友スリーエムにおけるポスト・イット®のアンゾフ的なモレヌケのない商品展開の可能性を探る展開と、ファンクショナル+エモーショナルなブランド価値をさらに高める余地を探る訴求は参考になるだろう。商品開発も、ブランド訴求も、大概のことはやり尽くしたと考えがちな成熟期において、微に入り細をうがつような展開によって、成長余地を見つけることもできるのである。その意味で、ポスト・イット® 製品の事例は大いに参考になるだろう。


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2012.10.17

ドロリッチ:鋭敏な市場ニーズの把握で市場を開拓し続ける挑戦

 ヒット商品を作るには。そして、ヒット商品をロングセラー化するには。グリコ乳業は大ヒット商品「ドロリッチ」で、商品開発の一大テーマであるその解を「環境変化への対応」という基本から導き出した。その過程を開発チームへのインタビューで追ってみよう。

■市場のニーズ:2007年当時

 「飲料の世界では明らかなトレンドが見て取れました。その消費者のニーズを捉えることができれば、新たなカテゴリを創造できるかも知れないと考えたのです」。グリコ乳業のマーケティング担当者は当時を振り返った。
 カフェゼリーとクリームがほどよく混ざった食感が特徴の「ドロリッチ」は主にCVS(コンビニエンスストア)のチルド製品棚で販売されている。それは、「飲料」なのか、「デザートなのか」と、大ヒット・ブームの中でファンが論議することが多かったが、答えは「デザート飲料」という両者の中間的存在なのである。元々、「デザート飲料」というカテゴリが市場に存在していたわけではない。それこそがドロリッチが作り出したカテゴリなのだ。
 開発に際して、グリコ乳業の開発チームはまず、欧米で「スムージー」が大人気となっていることに注目した。同様なトレンドが日本でも見て取れないか。そのため、チームメンバーは駅などのジューススタンドやカフェの店頭で来店客の購買行動を徹底して観察したという。その結果、ジューススタンドでは利用者のビジネスマンやOLの40~50%が、「とろり」としたミックス系ジュースを選択し、朝食代わりのライトミールとしていることを発見した。また、カフェではスターバックスの「フラペチーノ」に代表されるような、コーヒーや果汁等のデザート的飲料が大人気でメニューも充実してきており、商品の構成比は6~7割に登り、来店客の注文比率が高いことも確認したという。そして、開発チームは観察の中から3つのキーワードを発見した。「スピーディー」「ながら飲み」「腹持ちの良さ」だ。

■独自ポジショニングの確立

 「スピーディー」「ながら飲み」「腹持ちの良さ」というキーワードに「ほっと一息できる」というベネフィットを加えた訴求ポイントが整理されたが、そこから単純な飲料ではなく、デザートの特徴を取り込んだ独自の商品として展開する可能性を追求することとなった。実は、商品開発のチームは市場自体が飽和している「飲料」ではなく、成長余地のある「デザート」のチームが主管しているのである。故に、ブランドネームも単純な「コーヒーゼリー“飲料”」などではなく、新カテゴリを表すような従来にないインパクトのあるアンブレラネームを必要とした。
 差別化ポイントは「固体と液体がほどよく混ざったとろり濃厚食感」であると整理され、そこから「ドロリッチ」というネーミングが検討された。「ドロ」という食品らしくないネガティブな語感が含まれるネーミングは、社内からの猛反対を受けた。しかし、他社の類似商品との明確な差別化のために開発チームは社内の幹部までを丹念に説得し、ネーミングを押し通したのである。

■2011年の転機

 ドロリッチは2007年に発売され、2009年には一大ブームを巻き起こし、市場を席巻した。しかし、翌年から徐々に売上は右肩下がりになってきた。理由は明確だ。PB(プライベートブランド)の拡大で棚が狭められたことと、他社のタピオカ飲料など「食感飲料」としての競合の出現である。手作りスイーツブームで消費者の舌が肥えてきたことも原因だ。購入者数、購入回数とも減少傾向が明らかになってきたのである。
 「ブランドの延命のためには、ブランドエクステンション(派生商品の投入)が行われますが、もはや本体商品のテコ入れが欠かせないと判断しました」と担当者は言う。
 市場のさらなる変化も明確になっていた。グリコの調べで2007年当時と比較すると、朝・昼・夕の「基本の三食」の崩壊が進んでいた。朝・昼の欠食に加えて、夕食も欠食する傾向が見て取れた。では、その変化は何を表しているのか。「おやつ化する食」である。基本の三食が乱れる一方、間食シーンは平日10時、15時、16~17時、20時、22時という5回のピークが確認できたという。

■新製品の上市

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 デザートの食事化。その市場ニーズの変化を受けて、開発チームは「コロンブスの卵」的な方針転換を決めた。今までも製品改良を行ってきたが、それらは全ていかに味をよくするか、風味をよくするかという「コーヒー」部分の改良であった。しかし、ニーズの腹持ち満足感を満たすためには、ゼリーとクリーム感の改良に踏み切ることが欠かせない。そこで、製品の構造を従来から根本的に改めることとなった。特筆すべきは市場の変化に対応して、開発チームが社内を俊敏に動かしたことだ。通常、1~2年程度を要する開発期間を、わずか6ヶ月に短縮したのである。
従来は容器の中では「クリームがコーヒーゼリーに程よく不均一に包まれた状態」になっていた。それを、クリームを「ホイップクリーム」に変更し、「ゼリーの上に乗った状態」に作り替えたのである。飲むときに強く振ることでホイップクリームの中にコーヒーゼリーが浮いているような状態となり、「クリームたっぷりのデザートを食べたときのような満足感を味わえるようになった」という。
 製品の進化は明確だ。筆者も取材時に現行製品と新製品を飲み比べたが、クリームの濃厚さが際立ち、味わいと、腹持ちの良さが格段に向上した。試飲会ではあるコンビニエンスストアのバイヤーは「新発売当時の感動を思い出した」と感想を漏らしたという。

 新製品は10月22日に北海道~関西地区で、11月5日に中四国地区以西で発売される。CM展開の他、そのコンセプトと新たなる製品価値は「体験すればわかる」ということで、サンプリングなども計画しているということだ。リニューアルによって、市場のニーズを捉えたモノとなっているか、一度お試しすることをお薦めしたい。

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2012.10.12

新連載:「あの商品、このサービスがヒットするわけ」第1回

宣伝会議社の広告関連専門Web媒体「AdverTimes(アドタイ)」で6回限定連載を行う事になりました。


<このコラムについて>

「モノが売れない」といわれて久しい時代。そんな中でもヒット商品は存在します。その裏側にはどんなヒミツが隠されているのか。マーケティングのセオリーで読み解いていきます。


「とかくこの世は忙しい…『スマート飯(SMARTHAN)』」

世は時短時代である。洗剤は「すすぎ1回」がウケて、「アタックネオ」をはじめとしたコンパクト液体洗剤が売れている。掃除だってお掃除ロボット「ルンバ」にお任せだ。では、あとはどの時間が切り詰められるだろうか。そこで、「食事の時間」に目を付けたのがタカラトミーアーツの「スマート飯(SMARTHAN)」の登場である。

続きはこちら→http://www.advertimes.com/20121009/article88490/

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