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2012.09.24

専門誌がAKBとエヴァに取り組む意図とは:月刊販促会議の場合

 今月号はAKB48。来月はエヴァンゲリオン。何の話題かといえば、「月刊販促会議」の特集記事である。同紙はれっきとした販促・イベント・SP(Sales Promotion)の専門誌である。その証拠に、AKB48の前の特集は「ネット×リアルの集客・販促」だったり、「シニア市場のプロモーション」だったり、と専門誌らしいカタイ切り口に徹している。アイドルやアニメを特集に据えた意図は何だろうか。

月刊「販促会議」
http://www.sendenkaigi.com/books/back-number-hansokukaigi/867

 販促会議の記事はキャラクタータイアップ販促特集第1弾として、「検証!AKB48起用プロモーションの効果」という特集になっている。来月はそのキャラクターがエヴァンゲリオンだというわけだ。表紙には元AKB48メンバーの前田敦子が微笑んでいるが、内容はしっかりと販促の専門記事が並んでいる。

■手に取らせてこそ

 「出版不況」ともいわれる昨今だが、雑誌の落ち込みはその中でも特にひどいという。その原因は消費者の活字離れやネットメディアの台頭など諸説があるが、いわゆる「雑誌離れ」は確実に進んでいる。その環境下では、専門誌といえども「まず、手に取ってもらえること」を考えなくて部数は伸びない。定期購読者以外への拡販効果を狙ったのが販促会議の意図であることは間違いない。消費者の態度変容モデルである「AIDMA」で考えれば、A(Attention:注目喚起)→I(Interest:興味喚起)までをまずは獲得する作戦だ。
 だが、いくら興味を持って手に取ってもらっても、購買行動=A(Action)まで至らなければ意味がない。果たして、どのようなターゲットを想定してD(Desire:欲求喚起)→M(Memory:記憶)→A(Action:購買行動)とAIDMAを進ませようと考えたのであろうか。

■専門家だって趣味がある

 一つは離反顧客の再獲得を狙ったものだと考えられる。但し、狙いは「企業内個人」である。経費削減の折、企業は定期購読誌を減らしている。「会社が買ってくれないなら仕方ないか…」と、諦めてしまった読者に対し、キャッチーな特集をぶつけて自分の財布のひもをほどかせる戦法だ。その点、国民的アイドルであるAKB48なら、自分自身が少なからずファンである可能性も高く、個人の関心にヒットする可能性も高い。欲求喚起がなされ、購買までつながる期待が持てる。

■周辺層獲得を狙う

 もう一つは、販促の専門家以外を狙っての展開だ。雑誌を手に取って、目次を見ると「AKB48起用企業キャンペーンの裏側」などという記事が目に入る。アサヒ飲料 ワンダ/江崎グリコ アイスの実/NTTドコモ 応援学割…などのキャンペーンが列挙されている。一消費者として目にとまった、もしくは参加したキャンペーンも多いだろう。そんなキャンペーンの「裏側」といわれては、興味が掻き立てられないワケがない。ちょっと「販促・イベント・SP」という領域に興味がある新たな読者を引きこむ効果も狙っているはずだ。

■チャネルをおさえる

 前述のように、キャッチーな特集は離反客と新規客双方に対して、「まず手に取らせる」ことを狙ったものであるが、そのためにもまず、販売チャネルである書店に注文を出してもらい、店頭に並べてもらうことが欠かせない。ターゲットである最終消費者のことを意識しても、つい忘れがちになるのがチャネル対策だ。その意味では、専門誌でありながら書店主の誰もが知っているキャラクターを特集タイトルと表紙に持ってくるのは大正解であるといえる。その成果として「注文票にいつもは見かけない書店名を見つけたり、注文量がいつもと一桁違ったりという効果もありました」(関係者談)ということだ。

 ターゲットの購買動機と行動を考えて離反客を取り戻す。新規客獲得のための間口を広げる。そして、そのために流通チャネルをおさえる。そうした展開は基本であるが、専門誌という枠にとらわれない柔軟な特集企画が今回の「月刊販促会議」の成功要因であるといえる。市場縮小は多くの業種でも共通の悩みだ。この事例からも学ぶべきだろう。


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