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2012.06.13

「香りの衣料」の登場とこれから

 「香り付きシャツ 女性客取り込め」。6月13日付日経MJ記事のタイトルだ。衣料品専門店で香り付きの商品を販売する動きが広まっているという。そのワケは何だろうか。

 製造・販売を手がけているのは「マックスハウス」や「クロスカンパニー」。香りのヒミツは<生地の表面に微少のカプセルを付着させた>という。
 マックスハウスは異色のコラボレーションでそれを実現した。香りの正体はライオンの柔軟剤「ソフラン」だ。マックスハウスがライオンに打診し、実現。店頭ではソフランの実物を置いて香りをアピールしているという。
 ナゼ、「香り」が脚光を浴びるようになったのか。<「業界全体が価格競争に陥るなか、香り付きシャツは競合との差異化につながる」>と、マックスハウスの担当者は語っている。

 ユニクロに代表されるSPA(衣料品の製造小売り)が業界のスタンダードとなりつつあり、H&Mやforever21など海外ファストファッションも攻勢を強めるなか、本来、オシャレを楽しみ、人との違いを演出する衣料はどんどんコモデティー化し低価格化が進んでいった。
 製品のライフサイクルが「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」と進むほど、消費者の期待は本質的な部分から遠くなっていく。製品を手に入れることによって実現したい「中核価値」→その実現に欠かせない要素である「実体価値」→中核の実現に直接関わらないが、存在を期待される「期待価値」→本来期待されていないが、あれば価値が高まる「拡大価値」→通常意識されていないが、提示されれば価値が評価される「潜在価値」。フィリップ・コトラーの『製品特性5層モデル』である。衣類の「香り」は典型的な「潜在価値」であるといえるだろう。つまり、SPAによる「低価格・中品質衣料」が完全な成熟期を迎えたからこそ、登場したという背景があるのだ。

 成熟期のマーケティング目標は、成長期の「シェア拡大」とは異なり、「シェア維持・顧客囲い込み」である。しかし、記事では<香り付き衣料も「大手量販店も商品化する動きが見られる」>としている。同質化と模倣の泥沼に陥る可能性も否めない。その中で、さらなる付加価値が求められるのは間違い状況なのである。


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