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15 posts from May 2012

2012.05.31

ヴィレッジヴァンガードの変貌を探る

 5月30日付日経MJに「ヴィレッジヴァンガード」の中高年向け新業態店が取り上げられていた。その意図はどこにあるのだろうか。

 新業態店は「ホームカミング」。1号店を福岡県のイオンモール内に出店し、2017年5月末までに約50店の出店を見込むという。
 注目すべきはターゲットである。記事タイトルに「中高年向けの書籍・雑貨店」とある。取り扱う書籍は料理や落語などに注力し、雑貨は杖、老眼鏡、釣り具、ガーデニング用品などをそろえるという。

 ここのところ、ブランドや各業態の「アンチエイジング」を当Blogで取り上げてきた。70歳をボーダーとして顧客の年齢層が上がりすぎると売上が低下する。また、ブランド価値が低下することを回避するため、百貨店などを中心に各社・各業態が顧客の若返りを図っているのである。
 一方でボーダー70歳以前の中高年の消費は活発であるため、ヴィレッジヴァンガードは新業態店「ホームカミング」でそこを狙いにいっていると思われる。但し、従来のヴィレッジヴァンガードとの取扱品目がまったく異なるため、ブランド価値の棄損もつながらないように、別ブランドで展開しているのがポイントだ。
一方、さらに別ブランドでの展開も記事では紹介している。10~20歳代の女性向け新店舗「エキサイティングガールズストア」の出店を始めた。1号店は広島、2号店は金沢に出店した。

 上記のように、ヴィレッジヴァンガードは性・年齢別セグメントでブランド分割を始めたことがわかる。ヴィレッジヴァンガードといえば、店内にゴチャゴチャと種々雑多な雑貨や様々なマイナーな書籍までを取り扱った、「行ってみなければナニがあるかわからない」という、「知的ドン・キホーテ」的な店内が魅力であった。そして、ターゲットは性・年齢というより、そうした雑多さを楽しむイノベーター、またはアーリーアダプター層であったはずだ。
 変化は出店の幅を広げたときから起こっていた。ショッピングセンターに出展を始め、ターゲットを先端的な顧客層から一般層に拡大し、取扱品目もやたらと尖ったモノが陰を潜めたように思われる。つまり、「ブランドの希釈」が起こっているのである。

 拡大路線で、「面白いモノがとにかく好き」というような先端的な顧客層を集客するだけでは顧客ボリュームが足りなくなった。そこで、心理的・嗜好的セグメントから、わかりやすい性・年齢セグメントに切り替え、ポジショニングを明確にするためブランド分割を行ったというのが真相だろう。但し、「ホームカミング」も「エキサイティングガールズストア」も地方発で手探りの展開であるように思われる。

 ブランド拡張は、「命がけのジャンプ」とも言われる。「ヴィレッジヴァンガード」のブランドの核が希釈化しはじめ、また、派生ブランドを投入したことによって、ブランドが拡張していることがわかる。うまい着地点を探しての手探りはしばらく続くのではないかと思われる。

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2012.05.30

ワコールが突き詰める「売上=客数×客単価」の原則

 ワコールが下着売り場をテコ入れしているという。客足が落ちる百貨店で生き残りを賭ける秘策はなんだろうか。

 5月30日付日経MJ記事に「ワコール、百貨店テコ入れ 下着売り場提案/客層分析も 購入単価引き上げ 改装、年10店目指す」というタイトルの記事が掲載された。
 単純な計算であるが、売上=客数×客単価である。客足が落ちているのであれば、客単価を向上させて売上を維持するしかない。それが基本戦略の方向性なのだ。記事によれば、<従来下着メーカーの役割は商品を卸すだけだったが、周辺の顧客分析からレイアウト提案まで手がけ、購入単価を引き上げる>とある。そして、<売上高が2桁伸びた売り場もある>と、成果も出ている。

 客単価向上の秘策は「買い回り」だ。4月に渋谷に開業した東急百貨店の新業態「シンクス」。そこのワコールの売り場は<天井には大きな欧州製のシャンデリアがつり下がり、店の中央にはホテルのロビーにあるようなソファーが構える。まるで高級ブティックだ>と記事にある。狙いは<「お客様が回遊しながら長居できる空間を作った」>ということだと同社役員がコメントしている。
 「客単価」を分解すれば、「客単価×買い上げ点数」だ。居心地のいい店舗でゆっくりと買い回りして、買い上げ点数が増えれば客単価は上がる。シンクスでは<通常の売り場の2倍である客単価2万円で推移する>とある。そのヒミツは快適な売り場というだけではなく、徹底した顧客分析による商品構成や売り場レイアウトにあるという。その結果、同店は「都市型・キャリア層」という明確なターゲティングを実現した。

 「客数」は、「通行客数×入店率」で決まる。つまり、いかに売り場に引きこむかが最初の勝負なのだ。昨年9月に改装した東急百貨店たまプラーザ店の売り場は「都市圏郊外型・シニア層」がターゲットだという。注目すべくは売り場の環境である。通常、<売り場が1階上がると売上高が20%下がる>という業界の常識に対し、<1階から2階へ上がったにもかかわらず売上高は2桁増>であるという。階上になって売り場前の通行客数が低下しても、改装店舗の魅力で売り場に足を止めて入ってくる客数を増した結果であると考えられる。

 ワコールの主要な販路は百貨店だ。<駅ビルやネットとの競合で苦戦が続く>という百貨店に依存するだけでは共倒れの心中となる。それを、メーカーであるワコールが率先して「売り場改革」をして生き残りを図ったのである。その根本は、百貨店来店客が分母であるという制約条件の中で、「いかに売り場の客を増やし、そこでの買い上げ店数を増やさせるか」という、愚直なまでの原理原則を追求した点にある。
 商売は様々な制約条件の中で営まれる。その条件自体を変革することも大切であるが、原理原則を追求し、売上を上げていくことの重要さをワコールの事例は示してくれている。

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2012.05.25

京王百貨店のアンチエイジング

日経MJ記事。「京王百貨店、40~50代取り込み シニア層から転換」。1995年頃から高島屋の進出に対応して新宿店を中心にシニア対応に注力してきたが、70代に入ると消費意欲が消極的になるためターゲット年齢の若返りを図ったという。

70代は年金たっぷりでオイシイ世代でもあるが、そこからのターゲット転換は「勇気ある決断」であるといえるだろう。但し、40~50代といっても意、記事では「顧客構成比を45~59歳を今年度中に4割にしたい」という目標が記されている。つまり、「バブル世代ど真ん中」を狙っているのである。

ターゲットの設定には「6R」という考え方を用いる。
 「6R」とは、Realistic Scale, Rate of Growth, Reach, Rival, Rank, Ripple Effect,という検証ポイントの頭文字6つのRを表している。以下、その検証をしてみよう。

 ・Realistic Scale(規模はあるのか?)=日本の人口は縮小の一途を辿るが、逆ピラミッドを描いているため十分なボリュームのある年代層だといえる。

 ・Rank(優先順位は?)=「シニアから次世代シニアへ」というポジションの転換は不自然はない。次に取り込むべき優先順位の高い層として妥当である。

 ・Rate of Growth(成長性は?)=「消費意欲が減退する70代」突入までに10~15年の残り時間を持った層なので成長性はある。

 ・Reach(到達可能か?)=ここが最大の「難所」であると考えられる。つまり、シニアシフトしていた京王百貨店に馴染みのない層も多分にいるだろうからだ。「ポイントキャンペーン」などを展開する予定とあるが、再来店には有効であるが、新規顧客集客の目玉が必要であることは否めない。

 ・Rival(競争関係は?)=現在のシニア層の次世代として「オイシイ」層であることは間違いない。そのため、各百貨店、その他流通も狙ってくるため激戦区になることは想像できる。そのため、いかに中心ターゲットとして絞り込みをして、その年代の「Top Of Mind」のポジション=(百貨店といえば京王百貨店)が取れるかがキモとなる。そのため、他の年代を「捨てる」という決断が必要だ。

 ・Ripple Effect(波及効果は?)=元バブル世代にはその子ども世代である「バブルジュニア」が存在し、生まれたときから親の贅沢癖の中で育ったオイシイ世代である。本来ならそこも同時に取り込みたいところであるが、それをやってしまうとポジションが曖昧になる。そのため、涙を飲んで切り捨てていると思われる。ターゲティングするということは、狙わない所を決める作業でもあるからだ。

結論として、「6R」で検証してみた結果、課題はあるものの、ターゲットを明確に絞り込むことによって生き残りの可能性が高いことがわかる。

同社の今後を継続してウォッチしてみたい。

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2012.05.23

渋谷ヒカリエ・クリニークのリストバンド施策はアリかナシか?

 5月22日付日経消費欄記事。渋谷ヒカリエ内のクリニークの売り場では、「どのように接客して欲しいか?」を来店客が3色のリストバンドを選んで腕に巻いて洗濯するという。白は「時間がないので早く買い物を済ませたい」ピンクは「自分で自由に楽しんで試す」黄緑は「時間があるので接客希望」。記事では「6割が(接客不要の)ピンク」だという。
 5年前、立川の高島屋で「SEEカード」という施策があり、「見ているだけなので、声をかけないでください」という意思表示のカードを来店客が首から提げるというものがあった。 比べればリストバンドはスマートになっているけど、本質は同じ。「本来は顧客の態度で販売員が読み取るべきことでは?」とも思う。

 この類の施策の問題点は、一旦、カードなりバンドをした顧客には販売員は絶対に声がかけられなくなること。また、顧客も付けた以上は途中で意思表示を変える機会を逸すること。買い物中のふとした疑問や、「もうちょっと背中を押して欲しい」というキモチの萌芽をスポイルしてしまう。意思表示も含めたセルフ化は万能解ではない。

 百貨店も、化粧品販売も、「販売担当者とその提供サービス」は商品(Product)の1つだと思う。別の言い方をすれば、商品の「価格(Price)」にその「価値」も織り込まれていると。 その意味で、しっかり接客するなり、そっとしておくなりという見極めは欠かせないもので、その上で、商品そのものや価格、百貨店という販売チャネル(Place)が「人的販売」というコミュニケーション(Promotion)を持って「4Pの整合」が完成するのだ。

 さらに、消費が高度化し、消費者が「買わない自由」を手に入れたバブル崩壊以後、商品・サービスの販売はいわゆる「4P」だけでは完結することができず、「2つのP」を加えて考えることが求められるようになってきた。即ち、「Process」と「Person」。「どのような提供手段で」、「誰が提供するのか」だ。Processは「しくみ・マニュアル」など。Personは「社員・アルバイトなど顧客と接する担当者」を意味する。
 渋谷ヒカリエ・クリニークのリストバンド施策は、「合理的なProcess設計」がなされていると思う。一方で、それを個々の担当者(Person)がどのように活かしていくかが求められるのだろう。

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2012.05.17

ローソンが仕掛けたバトルロイヤル

 5月17日付日本経済新聞経済欄に、ローソンの店舗フォーマット変更の記事が掲載されている。タイトル周りに「ローソン店舗2割広く 標準規格コンビニ大手で最大 スーパー・カフェ対抗 野菜・総菜で集客強化 主婦など取り込み」とある。
 タイトルを見ただけでも、ローソンがスーパー、カフェ、持ち帰り弁当などの他業態へ業際を越えて戦いを仕掛けたことが明かである。従来コンビニは男性客比率が高かったが、震災以降、特に主婦層の日常利用が増加したといわれている。また、高齢化に伴い、遠くのスーパーより近くのコンビニという購買行動を取る高齢者が増加していることも知られている。そうした環境変化を受けて、一気呵成に勝負に出る構えである。

 2015年までは単身世帯の増加により、世帯数は増え続ける。コンビニのターゲットは増大しているわけだ。しかし、人口自体は縮小の一途を辿る。となれば、成長を志向するなら「他企業・他業種から顧客を奪取し、自社顧客として囲い込む」以外に成長のシナリオは描けない。それを実現するには3つのキーワードを充足させる必要がある。

・Time saving
 いかに顧客の手間を軽減するか。利便性の提供。これは、ワンストップで買い物ができる環境を提供することと、必ず家の近くにあるということで実現できる。
・Recognition
 顧客を個別識別して最適対応を行う事。これは、ローソンが加盟している共同ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」のデータがどこまで活用できるかにかかっているといえる。単純に「カード保有会員割引」を行うだけでなく、個客別プロモーションを展開するかがカギとなる。
・Peace Of mind
 利便性の提供と個別プロモーションで、個客ロイヤルティーを獲得し、「家の冷蔵庫」から「家のキッチン」的なポジションを獲得することが最後のカギとなる。

 コンビニエンスストアの力の源泉は「規模の経済」だ。大手チェーンともなれば、優に全国1万店を超える店舗を抱え、そこに商品を供給するロジスティックスが整備されている。しかし、今後、業際を越えたバトルロイヤルに勝ち残っていこうとするならば、規模化だけではなく、顧客が「自分の店」という認識を持ってくれるような、微に入り細をうがつような施策が求められてくるようになるはずだ。

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2012.05.16

アパレルブランドのアンチエイジング

ここのところ「ブランドのアンチエイジング」に付いて述べてきたが、5月16日付日経MJの記事に好例が出ていた。いずれもファッション業界である。

■ユナイテッドアローズ

 同社の課題は<顧客層は25~35歳が中心だが、社歴と共に上昇している。20代前半の顧客をどう取り込むかが問題>(同記事より同社竹田社長のインタビュー)だという。そのために、<新業態の展開も考えている>とある。地下鉄表参道や東京駅地下丸の内口、空港、サービスエリアなどで小型店を出店しているが、そこでの目的は販売だけでなく、新規顧客層への認知向上にある。
 さらに記事では重点課題として「モノ作り」も挙げている。セレクトショップの同社ではあるが、<(現在は)自社開発商品の比率は46%だが、品質を高めて比率を上げていきたい>(同インタビュー)とある。ある意味、業態転換ともいうべき改革に取り組んでいるのである。その理由は、「より、自社“らしさ”」を全面に打ち出してブランドとしての「中核」を明確にすることなのだと考えられる。
 ユナイテッドアローズがスタートしたのは1989年のこと。バブル末期である。創業以来の四半世紀で大きな環境変化を乗り越えてきたことになる。しかし、新規顧客を取り込んで、まなければ「老いたブランド」になる。その課題に取り組む真っ最中というところなのだ。

■パルコ

 「ブランドの中核とは何かを」見つめ直しているのがパルコだ。同日同紙のコラム「売る技術光る戦略」で「斬新さで再び流行発信」というタイトルが掲げられた。
 同社は来年で40周年となる。その旗艦店、渋谷パルコを4月に大規模改装した。秋にもさらなる改装を予定し、テナントも大胆に入れ替える予定だという。
 最も象徴的なテナントが、同記事で紹介されている「ぴゃるこ」だ。<真っ白な店内はがらがらで、商品もまばら>という狙いは<店が充実していく過程を見せるというコンセプトで、5月中にはひとまず完成する>という。
 パルコのブランドとしての「中核」とは何か。それは「流行の発信」である。それ故、常に最先端を見せ続けることが欠かせない。顧客を維持していくことも重要だが、その顧客と共に歳を重ねてしまってはブランドとしての存在意義がなくなってしまうのである。

 ブランドを維持するためには、潔く「卒業生は送り出せ」ということと、「顧客は選べ」ということが肝要である。ファッションブランドにとって「凡庸」となることは死を意味する。特に流行の先端を走るブランドにおいては。その先鋭度を維持するためには、自社も顧客も新陳代謝を図ることが欠かせないのである。

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2012.05.14

マクドナルドのブランドアンチエイジング

 5月2日に「ブランドアンチエイジング」という記事を書いた。顧客と共に歳を重ねたブランドが、いつしか顧客が離れ、もしくは付いてこられなくなったときに孤立しないよう、刷新を図るのだ。アパレルの「五大陸」と「ビバユー」を取り上げた。
 http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2012/05/post-ac69.html

 アンチエイジングを図るのは、年齢的に付いてこられなくなった顧客に対し、その「代わり」となる新規顧客をどう取り込むかがカギとなる。その意味では、日本マクドナルドが12日に開始した土日限定「2人分1000円セット」「3人分1500円セット」がそれにあたる。

 マクドナルドは40周年。高度成長期に日本に上陸し、今までになかった米国スタイルが受け多くのファンを獲得した。だが、その後ファストフードに対する健康や栄養価に疑問を投げかける風潮などもあり、「マクドナルドに行かない人」も増加していったのだと考えられる。ふと気付けば、「メイン顧客は、若かりし頃からマクドナルド大好き人間であるという中高年」という事態を避けたいのだ。それは杞憂ではない。中高年とハンバーガーショップの相性は疑問を感じるかもしれないが、ランチ時の店頭をみれば中年男性がかなりを占めている。また、早朝の店舗では好々爺たちがコーヒーをすすりながら新聞を耽読している姿が散見される。

 マクドナルドが取りたいのは、「成長したマクドナルド離れした親の子供達」だ。40周年の間、マクドナルドとの接触がないままオトナになった人々。これは厄介だ。看過すれば、その家族全体、次世代を担うその子供達もマクドナルドをすらずに育つことになってしまうからだ。
 そのために、前哨戦として4月にコーヒーを100円に値下げし、コーヒーをカフェで飲む客を取り込む策を講じた。また、5月7日には「牛丼対抗」と発表して、バーガーとポテトのセットを250円で販売した。総仕上げが今回の2人分1000円セット・3人分1500円セットだ。1人当たり500円ワンコインの気軽さと、単品買いより4割安いというお得感を訴求する。
 マクドナルドの場合、新規客が時点に流入せずに、スターバックスなどのカフェに持って行かれることを避けたい。または、250円セットの場合、牛丼店だけでなく、持ち帰り弁当やコンビニで昼食を購入する習慣のある客の取り込みがテーマだ。

 ブランドが顧客と共に歳を重ねることは悪いことではない。しかし、戦陣を顧客年齢に合わせ上にシフトさせていくと、若年層部分にぽっかりと空白地帯(ホワイトスペース)ができることになる。そこをどうするかが、ブランドアンチエイジングのキモであるといえるだろう。

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2012.05.11

【おしらせ】新Blog始めました

Facebookで好評の「タウンウオッチ&人間観察」シリーズを元に、新しいBlogを立ち上げました。

 「街で見かけた愛すべき人々」 → http://kmo.air-nifty.com/tw/

ノマドウォーカー金森が街で見かけた光景を綴っていきます。


ますは、Facebookで散発的に発信していたものを、加筆・修正して集約しました。

今後はBlog専用書き下ろしを掲載するかも。


今後にご期待ください!

※左サイドバーに常設リンクを張っていますので、そちらからも遷移できます。

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2012.05.09

資生堂のコラーゲンドリンクは誰にとってオイシイのか?

 5月9日付日経MJのコラム「ヒットのヒミツ」に、資生堂が昨年9月に発売したコラーゲン飲料「ベネフィーク コラーゲンロイヤルリッチ」が取り上げられていた。昨年9月の発売以来、<約半年間の出荷数は当初計画の1.5倍>という景気のいい数字が踊る。そのヒットのヒミツをもう少し深掘りしてみよう。

■チャネルと顧客の特性

 「ベネフィーク」ブランドは1996年に発売された、資生堂初の「化粧品店専門ブランド」である。百貨店にもドラッグストアにも置いていない。家の近所の独立店舗だけでの販売だ。記事では計画比1.5倍の要因を、「化粧品専門店でのみ販売する信頼感」としている。独立系専門店は独自に顧客を抱えている。その顧客は店のオススメを受容しやすいという特性がある。リレーションシップが構築されている。
 化粧品購入者をセグメントして考えてみよう。価格で勝負するドラッグストアではなく、専門店を選択しているということは、価格重視←→ロイヤルティー重視という軸において、ロイヤルティー重視の顧客である。では、何に対するロイヤルかといえば、ロイヤルティーを店舗←→ブランドという軸で考えれば、「店舗ロイヤル」であるという特性が考えられる。

■店舗販売と商品の特性との整合性

  なぜ、ブランドではなく、店舗ロイヤルな顧客が購入するのか。この商品は便益がしっかりしていることが特徴だ。他のコラーゲン飲料に比べ、多数配合されている。そんな商品を店舗ではまず試飲という「体験」をさせる。商品の便益がはっきりしていて、顧客に試飲をさせるという流れは、店舗にとって「オススメしやすい」という代えがたいメリットが出る。さらに、コラーゲン飲料多々あれど、専門店で販売する、化粧品ブランドの商品は他にない。「ここでしか買えない」ということが、顧客の買う理由(KBF=Key Buying Factor)として作用するのである。

■店舗にオイシイしくみ

 ここまで考えると、この商品のKSF(Key Success Factor=成功のカギ)は、いかに店舗での推奨行動を促すかにかかってくることがわかるだろう。実はこの商品は2重の意味で店舗にとってオイシイ商品なのだ。まず、価格に関しては店頭価格441円とドリンクにしては高額だ。客単価向上が見込める。「アップセリング」である。また、同ブランドの化粧品を使っていない顧客に対しても、ドリンクなら「もう1品」としてオススメがしやすい。「クロスセリング」だ。さらに、ドリンクを入り口として、同ブランドユーザーでなく、通販やドラッグストアなどの商品を一部使用している顧客には、スキンケアからのトータルブランドとしてオススメのきっかけとすることができるのだ。

 商品を売るにあたって、店舗(販売チャネル)は紛れもなく要だ。しかし、それは直販である場合を除き、自社が直接コントロールすることができない要素である。それをいかに動かすかは店舗が「オイシイ商品・オイシイ販売のしくみ」になっていると認識させ、動こうと思わせるかがキモになるのである。

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【大阪会場・セミナー開催】 『ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本​』出版記念セミナー

「傾きかけたお店、あなたは立て直せますか?」
~経営者の視点で学ぶ『使える』マーケティング~

 東京会場、申し込み締め切り・名古屋会場、あと2席・・・大阪会場もお申し込みはお早めに!

 「大阪でも是非!」のご要望にお応えして、開催が決定しました。昨夜から既にお申し込みが入り始めています。

 5月28日(月)18:30~21:00・西天満にて
 https://www.insightnow.jp/communities/application/132
 ※お申し込みページに進むと、最初にログイン登録が求められます。お手数ですが、ご容赦ください。


「マーケティングの本をいくら読んでも、結局は仕事現場で活かせない」。そんな悩みをよく耳にします。
4P?、3C?、SWOT?
理屈はわかるけれど、それをどう使えばいいのか?
今回のセミナーでは、経営者の視点で『使える』マーケティングをインタラクティブに学んでいただきます。
正確にいえば、学ぶのではなく実践して身につけていただくことが目標です。

セミナー修了後、あなたはきっと
『使える』マーケティングノウハウを持ち帰れるはずです。

【セミナーのキモ】

■そんな時、あなたはどうする?

 書籍は客足が落ちたレストランを、経営戦略(ポーター)とマーケティング(コトラー)の理論を実践的に活用して立て直すストーリーです。
 セミナーでもその流れを踏襲。しかし、状況は「客足の落ちたレストラン」より厳しい。あるBtoCのビジネスで、このまま放っておくと破綻は必定。それどころか、業界自体が右肩下がりの業種がテーマです。そして、あなたはあるチェーンのオーナーなのです。

■ありがちな間違いを考え直す:その1「マーケティングったら、“4P”でしょ!」

 ・・・ということが間違いなのは、マーケティングを体系的に学んだ人ならすぐわかること。しかし、そんな人でも実際に自分のビジネスを考えるときにはやってしまうのが、この間違い。長くマーケティングを支配してきた「強力な4Pの呪縛」なのです。
 今回のセミナーでは、絶対にそこから入らないことを強調・矯正します。

■ありがちな間違いを考え直す:その2「とりあえず、環境分析でしょ?」

 ・・・というのが、マーケティングやMBA科目を学んだ人ほどやってしまいがちな間違いです。そう。それではダメなのです。その前にやることがあるのです。
 ヒントは、「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」。あれ、「敵を知り、己を知れば・・・」じゃなかったっけ?と思った方、孫子の言葉としてはそれが正解。でも、正しいマーケティングでは順番が違うのです!

■実は、4Pなんて、どーでもいい!

 ・・・と、言い切るのはあまりに無謀すぎますが、コトラー大先生は「マーケティングのキモはポジショニングである!」と断言されてます。(←意訳ですが、コトラーのマーケティングコンセプト:東洋経済に書いてあります)。ポジショニングとは、ターゲットのニーズを汲んだ「あるべき姿」。つまり、4Pとは製品・価格・販路・販促をつかってポジショニングを実現することに他ならないのです。
 ・・・と、言うからには、最も大事なポジショニングの前に、もっと大事なことが何かわかりますね?

■2.5時間のセミナーでの心構え

 書籍は「2.5時間でわかる本」。なので、セミナーも2.5時間で行います。でも、実際に2.5時間なんてあっという間です。その時間を有効に過ごすために、とにかく「アウトプット志向」で参加してください。講師からの問いかけには「手を挙げる」。グループ(机の前後4~5人)毎にホワイトボードを用意しますので、考えを出し合って、書いて、発表できるようにしてください。
 と、言ってもびびる必要は全くありません。いわゆる「座学」のセミナーにしか参加したことがない方でも、楽しく参加できる雰囲気満載です。(で、そんなスタイルが気に入った方は、金森も教鞭を執っているビジネススクール、経営大学院のグロービスへどうぞ!←宣伝)

■セミナー後のお楽しみもあり!

 21:00にセミナーを修了したら、速攻で懇親会場へ。(あ、懇親会参加費は実費別会計です)。セミナーで聴けなかったこと、残った疑問を解消しましょう。

■あ、セミナー参加のお値段の話・・・

 たったの7500円!まぁ、いわゆる「ペネトレーションプライシング」ですね。(←意味がわからなかった方は、セミナー中で解説します)。とにかく、価格を抑えて「お値打ち」に設定しましたよ!


<お申し込みと詳細はこちら↓>
 https://www.insightnow.jp/communities/application/132
 ※お申し込みページに進むと、最初にログイン登録が求められます。お手数ですが、ご容赦ください。


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論理思考(ロジカルシンキング)の入門・復習にどうぞ!

「ペンギンが考える」

Hyoushi
ペンギンのストーリーを45分ほどかけて読み進めるうちに、論理思考の基礎が身につく本です。


「論理思考って難しそうで・・・」という初心者はぜひお試しを。
「ロジシンなんて、もうしっかりできているもん!」という上級者は復習を。
カワイイイラストを眺め、主人公の成長する姿を読むだけでも癒やされて、その上、考える力が付くという1冊で2度オイシイ本になっています。

Mihiraki_2


Mihiraki2


<Amazonの紹介文より>
お客が来ない、職場の人間関係、自己の成長・・・なりたい自分になる近道がここにある! いま、教育に最も欠けている “考える力”(論理的思考)が身に付く本です。 南極を舞台に繰り広げられるペンギンたちの物語。そこはまさに人間社会の縮図です。さまざまな困難や壁を乗り越えるために必要な“考える力”(論理的思考)をペンギンの社会に例えて、わかりやすくご説明します。


さぁ、「ポチっ」とおねがいしま~す。(Amazonへの短縮URLです) → http://tinyurl.com/7lcbm5o

※今回はAmazonの在庫切れを防ぐため、マーケットプレイスに大量在庫を用意して販売しています。なので、「 出品者からお求めいただけます 」となっていますが、通常のAmazonからの購入と変わりません。(Amazonからのお届けとなり、送料もかかりません)。

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2012.05.08

「ネスプレッソブティック」の態度変容モデル

今朝の日経消費欄記事。「気軽にカフェ気分”抽出”」。ネスレのエスプレッソマシン「ネスプレッソ」が展開している「ネスプレッソブティック」の話題。新たに大阪の高級衣料品街である御堂筋に出店し、賑わっているとのことだ。

このマシンは専用のコーヒーカセットを使うのが特徴で、マシン自体は家電量販店で販売している。希にコーヒーの試飲キャンペーンを行っていることもある。コーヒーカセットは主に会員登録を行って、ネスレ直販サイトで購入する。それ以外、店舗で買える場所としてはスーパーや量販店での扱いはなく、この「ネスプレッソブティック」となるが。しかし、ブティックは販売拠点というよりは、ショールームの機能が強い。ナゼなら、「体験」させることが重要だからだ。

消費者の態度変容モデルで「AMTUL」というものがある。Awareness(認知)→Memory(記憶)→Trial(試用)→Usage(日常使用)→Loyal(ロイヤル顧客化)だ。
A→Mはジョージ・クルーニーが出演するCMで認知・記憶している人も多いだろう。だが、直販モデルなので、商品との接触ポイントを作って「お試し」させることが極めて重要なのだ。それを担っているのが「ブティック」なのである。

さらに、ブティックは口コミの拠点としての機能を担っているであろうことが、「AISAS」の態度変容モデルで考えられる。Awareness(認知)→Memory(記憶)→Search(検索)→Action(試用・購買行動)→Share(ソーシャルメディアによるネット上での口コミ)だ。
広告などを認知したら、昨今はWebでの検索をまず行う。そこで、既存ユーザーや、ブティックで試飲した人がTwitterやFacebook、mixi、Blogなどに書き込んだ感想にヒットする。そして、試飲や購買などの行動をして、その結果、感想を自らネットに書き込んでShareする。それが次の人のSearchに引っかかるという循環を生むのである。その核となるのがブティックなのだ。記事にある大阪の「ネスプレッソブティック大阪心斎橋店」には1日約250組が訪れるという。

自社商品を最終的に消費者が手に取って、買い続けてくれるにはどのようなプロセスが働かなくてはならないのか。また、その中でキモとなるのはドコなのか。それを正確に設計するためには、有名なAIDMAモデル(Attention=注意喚起→Interest=興味喚起→Desire=欲求喚起→Memory=記憶→Action=購買行動)だけでは不十分なのだ。
より効果的なプロセス設計のためには、より適切なフレームワークを用いてキモをおさえることが重要なのである。

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2012.05.07

ホンダ・インサイトの販売中止は計画的か?

 ホンダのハイブリッド車、「インサイト」が販売終了となる。対トヨタ・プリウスという鳴り物入りの当初の登場を考えれば、あまりにあっけない最後といえるかもしれない。ホンダの意図はどこにあったのか。

<ホンダが次期インサイトの開発を中止、現行モデルで終了【自動車リサーチ】>

http://car-research.jp/honda/insight-4.html

<ホンダのハイブリッドカー、インサイトの次期モデルに向けての開発が中止になった。昨年2011年のマイナーチェンジでは、ライバルのプリウスの車格に近づけるべく、1.5Lハイブリッド搭載のエクスクルーシブを追加ラインアップした。しかしそれでも販売不振の状況を覆すことができずにいた。>

 本来、リーダー企業、それも圧倒的なコストリーダー企業にチャレンジャーが後から同種の商品をぶつける、いわゆる「同質化戦略」を仕掛けることはあり得ない。ナゼなら、本来の同質化は、リーダーが優れた開発力で先行商品をキャッチアップし、圧倒的な販売力で市場を席巻する戦略だからだ。

 トヨタはお家芸であるハイブリッドで「逆同質化」をかけられた。そのため、利益ギリギリの価格設定による値下げを行ったり、ホンダに対するネガティブプロモーションを展開したりと、一気呵成に反撃をした。まさに尻尾を踏まれた虎の様相だ。トヨタの事情としては、値下げした以上、とにかく数を売って規模の経済を働かせて原価率を引き下げ、利益を出すしかない。そのため大反撃をして、インサイトをたたきつぶす勢いとなったのである。

 では、インサイトは潰されたのか。それは、現象面を見ればそう見えるが、それにしても販売終了の判断が異様といえるほど早いのが気になる。

 ホンダには2つの目的があったと考えられる。
 1つはリンク先に記述されている通り、<次期インサイトの開発は中止となるものの、(圧縮比は10.4から13.5にまで高めた)新型ハイブリッドシステムについては開発が継続される。今後は、このシステムがフィットハイブリッド系統の車種に搭載され、JC08モード40km/L超の燃費性能で市販化される見込みだ。>と、より販売台数が見込めるフィットへの移植だ。数の勝負をするなら、販売台数で実績のあるフィットに搭載するのは理に適っている。
 もう1つが中国への基本技術の供与だ。2012年4月22日付日本経済新聞に以下の記述があった。< 【北京=遠藤淳】ホンダはハイブリッド車(HV)の基幹技術を中国の自動車メーカーに供与する。>クルマを売るのではなく、プラットフォームを売る戦略に転換したのだ。

 こう考えると、インサイトの短命は、当初から予定されていた戦略オプションの1つだったのではないかと考えられるのである。

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2012.05.02

ブランド・アンチエイジング

 人は老いる。それは絶対的な法則であり、遡逆的に若返ることはない。故に、本来永遠の命を持つはずのブランドにも不幸な出来事が訪れるのだ。即ち、顧客と共に歳を取り、老いたブランドとなって衰退していくという現象である。

 4月25日付の日経MJ記事に「オンワード五大陸刷新」というタイトルがある。「40~50代ターゲットから5歳若返り。デザインをスタイリッシュへ」という狙いだという。
 具体的にはイマドキのデザインとしてスリムタイトなシルエットにして、パンツは股上浅めになる。
サラッと書いたが、これは大胆な変化だといえるだろう。ナゼなら、体型的に付いてこられなくなる従来顧客を切り捨てることも辞さないという覚悟がにじんでいるからだ。スーツの価格は7~8万円と従来からの据え置き。決して衣料の低価格化の波に飲まれて値下げをし、さらに新たなターゲット層を取り込もうということではない。戦略の要諦は「ブランドの若返り」に集中しているのだ。
 売れている主力ブランドといえども、定期的に若返りを図らねば「老いたブランド」になる。「顧客も歳を取る」というのは忘れがちな事実。その打開策を決断した事例。有名な事例ではバッグの「コーチ」なども同様である。

 同・日経MJ4月27日付記事。「そごう西武がPB“ビバユー”を新展開」。との記事が掲載された。
 ・・・と書けば、ある程度の年代の人は「あれ?」と思うはずだ。「ビバユー」は80年代の人気DCブランド。メーカーのサンエーが廃止を決めたところをそごう西武が買い取ったとのこと。狙いは、「母親と買い物をする娘」。
DMU(Decision Making Unit=購買決定関与者)という。この場合は、ターゲットである娘本人に対して、母親を指す。「あら、○○ちゃん、これ、いいじゃない。お母さん、若い頃このブランドよく着たのよ。買ってあげましょうか?」という具合だ。
 この例では、ライフサイクルが終焉を迎えたブランドを、ターゲットを変えることによって復活させ、さらに往年のターゲットまでを関与させて販売に貢献させているのである。ターゲティングを行う場合、本人だけを見ているのではなく、その周辺をよく見てDMUを洗い出し、利害関係を考慮せねばならないということの好例である。

 ブランドが歳を取るのか、永遠の存在でいられるのかは、ターゲティングとポジショニングの問題だ。つまり、デザイナーとブランドのマーケターの意志で決まるといっても過言ではない。それ故、定期的な「アンチエイジング」が必要になるのである。

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2012.05.01

製品の価値構造を変えよ!

フィリップコトラーの考案したフレームワークの中で、「STP理論」ほど有名ではないが、実は有用なのか「製品特性分析」である。
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製品の持つ価値3つの階層に分解して、その意味合いを明確化している。
・中核=その製品を手に入れることで実現される中心的な便益(ベネフィット)。
・実体=中核を実現する上で欠かすことのできない要素
・付随機能=中核の実現には直接影響を及ぼさないが、存在することで魅力を増す要素。

このフレームワークをアタマに入れておくと、企業が新製品やサービスを発表したときに、その意図を推察することができるのだ。例えば、以下の3つの例はいずれも4月25日付の日経MJに掲載された記事である。

まず、1つめがブラジャー。
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ブラジャーの「中核」は「バストを保護し、美しいカタチにすること」だろう。その意味においては、記事の良品計画の「ノンワイヤーブラジャー」も変わらない。しかし、それをどのように実現するかという「実体」を徹底して改造しているのだ。製品化コンセプトは「リラックスできる下着」であるという。その実現のため素材通常はポリエステル製が多い所を綿100%などにし、肌にあたる部分の縫い目を減らし、付け心地を向上しかぶれをなくすことに成功したという。結果は上々だ。記事には「売上高、計画比3倍」だとある。

もう1つがテープカッターだ。
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セロハンテープのカッターの切り口を直線にするため、金属刃に変更したとある。もちろん、怪我をしないような工夫をした上でだ。テープの切り口はプラスチック製のカッターで切り取るため、ギザギザになりどうにも美しくないのが通常であった。消費者にとっては、もはや「アタリマエ」になっている「潜在的なニーズギャップ」をこの製品は改善しているのである。これは、「テープを切り取れる」というテープカッターの中核価値を支える、「どのように切り取れるのか」という実体価値の部分に小さな工夫であるが、実は大きなメスを入れた結果の製品であると解釈できる。

3つめは、「中核」の価値に手を入れた例だ。
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カラオケボックスの「中核」は「歌が歌える」ことである。その中核価値を捨て去り、「コンサート中継を見られる」としたのが、第一興商のビッグエコーである。これはなかなか持って勇気のある決断だといえるだろう。ナゼなら、「自分たちは何者であるのか」「どのような戦いの土俵で戦うのか」という「ドメイン」を拡張しているからである。
当然、戦いの土俵が拡大すれば、競合も増える。本家のコンサート会場はもちろん、近頃同様な「パブリックビューイング」に力を入れはじめた映画館とも競合するのだ。しかし、これは必要部からざる決断だともいえるだろう。カラオケボックスの利用は1998年頃をピークに右肩下がり。中小零細の淘汰は進み、大手といえども安泰ではない。故に、中核価値を拡大するという決断をしたのだ。もちろん、映画館も観客動員数の現象という不安を抱えているが故に同様の決断をしたのだと推測できる。

売上を伸ばすためには、生き残るためには、勇気を持って常識にとらわれず、価値構造を変化させていくことが必要だ。そのための指標となるのが、この「製品特性分析」である。「売れない」と嘆く前に、一度お試しあれ。

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