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11 posts from April 2012

2012.04.20

ノジマのエキナカ携帯ショップの武器は何だ?

 4月20日付日本経済新聞の消費欄記事「JR東京駅の店舗 ノジマ 携帯、素早く機種変更」とある。八重洲側の日本橋口近くにある店舗を昨日視察したが、白く明るい店舗はエキナカであるにもかかわらず40平米という数字以上に広く感じる。記事によれば、通常30分はかかる機種変が、最短5分だという。
 ヒミツは、通信キャリアから通常各店に1台しか貸し出されない契約用端末を3台設置していることだという。どのような交渉の成果かは分からないが、その効果は高い。

 ここの店舗・サービスが今後指示されるか否かを考えるには、消費者のメリットを通常の「4P」ではなく、ロバート・ラウタボーン提唱の「4C」で検証すると分かりやすい。

Customer Value(Productに置き換わる要素)=ここでは何と言っても「早さ」が価値である。この「時間」に対する価値が近年高まっている。「すすぎ1回の洗剤」や「お掃除ロボット」などによる家事時短もその一端だ。

Customer Cost(Priceに置き換わる要素)=この時短製品は通常製品より割高だったり、移動に関わるコストは特急料金が取られたりすることが多いが、場合、早さに対する代償を求められるわけではない。かなりお得だといえるだろう。

Convenience(Placeに置き換わる要素)=それは東京駅にエキナカという立地(Place)あってのことであるが、昼休みや仕事帰りに5分という圧倒的な利便性を提供している。

Communication(Promotionに置き換わる要素)=特にプロモーションを行っている様子はないが、口コミを中心として利用客は拡大するだろう。視察時にも夕方の帰宅時にあたったこともあり、かなりの客が足を運んでいた。

 ここで、今一度注目したいのが、各要素の「整合性」である。
 「4P」を考えるキモも、各々の要素がバラバラで効果を挙げようとするのではなく、全体として消費者にアピールできることが求められるが、「4C」においても同様なことがいえる。この場合、最大の武器である「早さ」を顧客提供価値として整合性を図っていることが分かるだろう。つまり、顧客に「安さ」や「品揃え」という家電量販店にありがちなKBF(Key Buying Factor=購入理由)だけでなく、「時間」を提供するというという明確な差別化戦略の軸を持ち込んでいるのだ。

 ともすると「時間」の概念はマーケティングのフレームワークでは明示されることが少ないため見落としがちである。しかし、現代社会においてその重要性十勝は益々増している。それを忘れないためにも、同じ事象を異なるフレームワークで検証するなどして、明確化することをオススメする。

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2012.04.19

フレームワークで解く・バラのミスト化粧水が売れたワケ

 売れている商品にはワケがある。そのヒミツを深掘りしてみよう。

 4月18日付・日経MJのコラム「ヒットのヒミツ」は住友商事ドラッグが都内で130店舗展開する「トモズ」で販売しているプライベートブランド(PB)商品についてであった。商品はミスト状の化粧水、「モイスチャーミスト」。2011年9月に発売して以来、毎月1000本ペースで売れているという。
 記事によれば、「爽やかなバラの香りが広がるミスト状化粧水。顔だけでなく体や髪などの保湿にも使える。価格1260円」とある。商品は20~30代の働く女性を中心に人気拡大中だという。こだわりは、香り。「嫌みのないバラの香り」を求めて試行錯誤を繰り返したと記事にある。また、商機は海外高級ブランドにはミスト状化粧水はあるものの、4000円程度の価格で市場に浸透しなかったという様子からだという。

 さて、その他の記事のFact情報も含めて、フレームワークで整理をしてみよう。

 ・ターゲット=20~30代の働く女性
 ・ターゲットのニーズ=時間の節約に風呂上がりや寝癖直しなどに1本で済ませたい
 ・競合とターゲットのニーズギャップ=海外ブランドの高級品は市場に存在するが、価格が1本4000円程度とターゲットには手が出ない
 ・製品
     →中核価値:髪や肌に艶を与える成分
     →実体価値:素早く吸収される
     →付随機能:心が和む香り
 ・価格=1260円(ターゲットの手が届くCustomerValue、競合が存在しないエアポケットの価格帯)
 ・販路=ドラッグストア(ターゲットとの高接触頻度が保てる)
 ・プロモ=口コミのみでコストをかけず、製品原価低減に貢献

 上記のように整理すると、ターゲットの未充足ニーズをすくい取り、さらに製品だけでなく4Pの他の要素も全て補完関係にあって整合性がとれていることが分かるだろう。
 記事によれば、「記録的なヒット」とのことだが、「売れているモノにはワケがある」のである。

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2012.04.13

ジーンズメイトの接客販売強化の狙いは何だ?

 カジュアルウェア専門店のジーンズメイトが大きな戦略の転換を行おうとしている。かつてはカジュアル、ジーンズ店の代名詞であった同社であるが、近年はユニクロやファストファッション勢に圧され11年度まで4年連続で最終赤字を計上するという低迷した業績であった。戦略転換によって、12年度は黒字転換をめざすと4月13日付の日経MJにはあるが、果たして切り札になるのだろうか。

 同記事は「セルフ主体を転換 商品説明、丁寧に」とあり、写真のキャプションには「女性店員も積極活用して売り場の活性化につなげる」と記されている。

 戦略=目的+実現手段である。ジーンズメイトの「接客販売への転換」は何を目的とした手段なのだろうか。
 記事によれば、「経費を削減するため、配布するチラシを減らしており、特売効果による来店客増加は当面見込めない」ということから考えられた策であるようだ。つまり、目的は「チラシ削減による集客不足の補完」であり、そのための「接客強化」なのである。

 記事にあるもう一つのキーワードが「買い上げ率向上」だ。
 売上=来店客数×買い上げ率×客単価である。チラシ削減によって来店客数が減少したなら、来店客が買わずに帰るということは何としても避けねばならない。
 買い上げ率だけではなく、購入する際は1点でも多く。また、少しでも高額なモノを買ってもらうという客単価向上も欠かせない。そのための接客販売強化なのである。

 上記のように書くと「でも、接客販売って何かウザくないすか?」といわれそうだ。しかし、そこは戦略とターゲットの整合性が確保されて老いるかにかかってくる。
 かつては若者のファッションを先導するポジションであったジーンズメイトも、近年ではすっかり競合にそのポジションとファッション感度の高い顧客を奪われてしまっている。現在の顧客層は「昔から行っているから」という習慣的来店客がほとんどではないか。年齢層でいえば、かつての若者、現在の30~40代以上だ。そこを狙って、記事にも今春には「服飾雑貨のプライベートブランド(PB)“ブルースタンダード”を発売した」とある。

 ターゲットは年齢層だけでなく、心理属性も重要だ。この場合、あまりファッション感度が高くない、自分でコーディネートを考えるのは面倒だったり自信がなかったりするという点が重要だ。同社に若い頃から、悪い言葉でいえば惰性で通っていた中年層。行けばなんとなく安くて周りのみんなが来ているような服が置いてある。それを購入するというような購買行動を取っていた顧客だ。その顧客も年齢が進み、同時に世の中のファッションがカジュアル化していく中で「何を着たらいいんだ?」と悩みを抱えるようになる。そこを狙うのが今回の戦略のキモなのである。

 「戦略」という言葉は安易に使われるが、そもそもの「目的」は何なのか。その実現のための裏付けとなる「手段」とt達成目標」は何なのか。それはどんな「ターゲット」に向けて展開されるのかを明確にしなくてはならない。
 このジーンズメイトの新戦略、どのように効果を挙げていくのかに注目したい。

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2012.04.12

ネスレのコーヒーマシン「バリスタ」の壮大な計画

 販売台数50万台突破だという(ホームページより)。コーヒーマシンとしては異例の売れ行きではないだろうか。その狙いを勝手分析してみよう。

■日本市場におけるインスタントコーヒー市場と顧客ニーズの変化

 かつては「オトナの飲み物」として、全国の家庭どこにでもあったネスカフェのボトルコーヒー。その変遷と今日に至る消費者ニーズとはどうなっているのだろうか。インスタントコーヒーも、従来と売れているモノも飲まれ方も様変わりしているのではないか。そこには、日本の人口動態(家族構成)の変化が反映されている。少人数・単身世帯の増加と共に個食化が進みボトルコーヒー自体の売上は減少している。

■競合の変化

 ボトルコーヒーに変わる商品の開発を各社が進めている。スターバックスなどが切り拓いた、多様なバリエーションでの外飲みコーヒーはすっかり定着した。家飲みコーヒーでも単純な「粉末とお湯とミルクを入れて混ぜる」というモノではなく、マシンを使うタイプ(自社内競合も含め)、スティックタイプなど多様な商品が展開されている。実は、業界では家飲み用の「コーヒー戦争」ともいわれている今日の環境なのである。その中で強力なのがAGFのスティックタイプである。流通チャネルでも多数のフェイスを確保し、流通業界筋の情報では売上ではネスレを軽く上回るという。それにつれ、普通のボトルコーヒーの値崩れは顕著であり、客寄せのための商品、「ロスリーダー」に設定されることもしばしばだ。ネスレにとってはうれしくない事態であるはずだ。

■画期的なインスタントコーヒー「エコ&システム」の登場

 競合環境を考えると、1つには【手軽←→本格派】という味わいの軸と、【サードプレイス←職場等外出先→家庭内】という飲まれる場所・シチュエーションの軸が考えられ、各社が独自性を出そうと考えている。
 その中で、ネスレは専用カートリッジを用いる「ネスプレッソ」や「ドルチェグスト」で【超本格派・家庭内】というポジショニングを確保しているが、専用カートリッジを用いるという点において流通面での弱点(消費者にとっては不便)がある。そこで、従来流通に乗せられるインスタントを用いて本格派の味を出すという「エコ&システム」とその武器である「バリスタ」が考案されたのではないか。
 「エコ&システム」は従来のガラスびんのボトルのインスタントコーヒーに比べると画期的な商品だ。パッケージは廃棄の際のロスが少ない「紙」でできている。中身は普通のインスタントコーヒーであり、普通にスプーンでカップに入れてお湯を注いで飲むこともできる。しかし、真骨頂は「バリスタ」にカートリッジ的に直結して用いたときにある。無駄な圧力がかかったりしない理想的な状態でコーヒーマシンにインスタントコーヒーが供給できる。つまり、「バリスタ」は「エコ&システム」のボトルがあって初めて真価を発揮するのである。

■バリスタの絶妙なプライシング

 値段は7,980円。マシンの質感もデザインも先行するネスプレッソやドルチェグストに遜色がないにもかかわらず、非常に安い。これは、「ペネトレーションプライシング」であることがわかる。利益率を低く抑え、シェアを一気に奪取する価格設定だ。
 ネスレが売りたいのは「バリスタ」ではなく、「エコ&システム」なのだ。もはやロスリーダーとなってしまったガラスボトルのインスタントコーヒーと中味は同じだが、新たな価値を提供することで価格は守られる。
 「バリスタ」と「エコ&システム」の関係はPCのプリンタとインクカートリッジに置き換えて考えるとわかりやすい。プリンタはその精密な機能にもかかわらず、実売価格は極めて安いといえるだろう。それは、利益は専用インクカートリッジで取るからだ。顧客に使い続けさせることで、利益をだす。「アフターマーケティング」という。ネスレの狙いもそこにある。

■「付随的価値」までの設計

 商品の価値は3段階に分けられる。手に入れることで実現したい中核的便益。それを実現するために欠かせない実体価値。さらに、全体として魅力を高める付随的価値である。
 「バリスタ」と「エコ&システム」の場合、【手軽に飲める本格派家飲みコーヒー】という価値が「中核」だ。そのための実体価値は、7,980円という手軽なマシン価格と、エコ&システムのコーヒーが、食品スーパーやドラッグストアなどどこでも手軽に買えるという利便性が「実体」。そして、パッケージ全体を紙化して環境に配慮し、さらに東北復興支援商品として売上から寄付を行うなどの施策を行っていることが「付随」だ。いかに価値を高めるかを細部まで設計していることがわかる。

■世界に向けた戦略

 「バリスタ」と「エコ&システム」に関しては、「ネスプレッソ」や「ドルチェグスト」と異なり、日本発の施策であることが特筆できる。もちろん、日本国内だけでなく世界に広げていこうという意図を持っていることは想像に難くない。少子高齢化/人口縮小という日本市場だけに留まっていては「規模の経済」を発揮することができない。「エコシステム」のさらなる成功を国外に求めていると考えられるからだ。
 どのような方向性で展開するのか。「手軽さ」などのポイントでアジアなどの新興国に展開するというのも一手である。しかし、パーソナルユースという点の優位性で日本に続く少子高齢化成熟国を狙うということの方が商品を受け入れられやすいように思える。日本は「成熟市場先進国」という特性を持っている。後に続く国のロールモデルとなり得るのだ。

 「バリスタ」50万台。その陰で順調に売上を伸ばしている「エコ&システム」。その日本国内での普及と売上がそこまで伸びるのか。また、世界に向けてどのような舵を切ろうとしているのか。目が離せない商品であることは間違いない。

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2012.04.09

あの会社が、高級メガネをお値打ち価格で売るワケは・・・?

 4月8日付日経MJ記事。「メガネフレーム5割軽く」。「素材にチタンより軽いベータチタンを使い、ネジの必要な接続部もなくすことで、重さを4~6グラム程度に抑制」とある。商品写真を見ると、蝶番のネジがない。オーストリアのメーカー、シルエット社の高級フレームにも似たデザインのメガネフレームは、レンズ込みで14800円というお値打ち価格。
 ・・・と、ここまでの話、どこのメガネチェーン店の話かと思うが「ビックカメラ」の話なのだ。

 え?と思うかもしれないが、ビックカメラにはメガネを扱っている店舗が19店舗ある。畑違いの商品を販売する狙いは記事にある。「(メガネの)洗浄や形状の調整といったアフターサービスを無料で実施するなど購入店の来店動機を増やすことで、レンズのくもり止めや花粉防止グラスといった関連商品や他の売り場の販売増を狙う」。
 正直なところ、メガネ関連商品のアフターマーケティング(くもり止め等)やクロスセリング(花粉防止グラス等)などの収益はたかがしれている。狙いはズバリ後半に書いてある、「他の売り場の販売増」というところだ。とにかく来店頻度を増やしたいのである。

 4月2日付の日経MJ記事では家電量販店「コジマ」の会長のインタビューコラムが掲載されていた。リフォームや太陽光家電の販売を住設関連の商品をパッケージ化し、LIXILグループと共同で販売を強化するという主旨であった。家電、特に白物家電を販売するタイミングで新たな関連商品として販売する作戦だ。
 一方、ビックカメラは前述の通り、家庭内個人(例えばオトーサン)向けのPC関連などのいわゆる黒物家電に触れさせる機会を増やすことが何よりの目的なのだ。そのため、メガネはほとんど収益を見込んでいないだろう。いわゆる「ロスリーダー」として設定しているに違いない。そうでなければ、「レンズ込みで14800円」という価格は安すぎる。ちなみに、シルエット社の製品はフレームだけで3万円台である。

 家電バブル崩壊はもうすぐそこまで来ているはずだ。そのための生き残りに家電量販各社が知恵を絞っている。
戦略=目的+実現手段。目的は生き残り。すると、両者の戦略の要はコジマが企業の成長戦略を考える「アンゾフのマトリックス」でいうところの、「新商品開発」。つまり、既存の顧客に新たな商品を販売すること。同様の取り組みは業界最大手のヤマダ電機も展開している。一方、ビックカメラはメガネの収益を度外視した「ロスリーダー」として、既存の商品の販売機会をさらに深掘りする「市場深耕」にかけているのである。

 両社の知恵の絞り合い。どちらが奏功するかはまだわからないが、今後の市場動向と共に注目したい。

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2012.04.06

レンタル市場はどこへ行く?

 4月3日付日本経済新聞・消費欄記事。高級ミシンのレンタル利用広がる。ミシンに限らず「まず、購入して使用する」というスタイルはもはや昔。まずは「お試し」。もしくは「ずっとお試し」。その根底にあるものは何だろうか。

 消費者の価値観は確実に変化している。「モノの所有」より、「賢い使用」が主流になってきている。故に、レンタル市場が活況を呈しているのである。
 「レンタル」といえば、以前は「レンタカー」などは、「クルマを所有することはできないが、必要なときに借りたい」という需要に応えていた。つまり、「所有の次善策」。もしくはレンタルの定番といえば「運動会」などの非日常的イベント用品。必需品ではないものをレンタルするのがアタリマエだった。しかし、昨今では「家具」「カーテン」などの生活必需品のレンタルが活況を呈している。

 レンタル市場活況の背景として、「モノを持つリスク感覚」が大きくなってきたことも挙げられるだろう。も使わなくなったときに「捨てる」という行為が法的(家電リサイクル法など)にも面倒な手順が存在するようになり、意識の上でも「エコ感覚」の発達がハードルを高くしている。記事の「ミシン」はそれらの意味で、レンタルの王道であるといえるだろう。

レンタル市場は今後、さらに拡大するだろう。例えば、一部で運営されているが「ペットレンタル」などはさらに環境を呈するのではないか。「飼いたくても飼えない」という人は多い。現在はそれを「猫カフェ」「犬カフェ」などが代替しているが、自分の好きな場所、自室などで触れ合いたいというニーズに対応できる。また、面倒な世話や各種の手続きという面倒を回避できるができるし、病気・死別などのリスクもない。

 キーワードはTime saving(利便性)と、Peace of mind(心の平穏)の提供。便利で手軽。それでいて面倒やイライラから解放されて、そのモノを使ったコトを心から楽しむことができる。そんな消費者のニーズがレンタル市場を拡大させているのだろう。

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2012.04.05

【連載リンク】金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!・第11回:はとバス

 今回はシリーズ初の社長インタビューです。1948年からの長い歴史。その中で移り変わってきたこと、決して変えていないこと。そして最新の情報なども伺ってきました。

 ・ ・ ・ ・ ・ 

 戦後の荒廃した東京。まだ車両や燃料の確保が難しいなかで遊覧バスの運行を目指し、監督官庁への2年越しの陳情を実らせて1948年にはとバスは営業を開始した(前身は新日本観光株式会社。63年にはとバスに改称)。創業当初、皇居や日本橋など都内の名所旧跡を主としていた観光コースは、58年の東京タワーのオープンを契機にバリエーションを広げ、時代のニーズに応じた進化を遂げました。代表取締役社長の金子正一郎氏に聞きました。


○記事はこちらから!→ http://adv.asahi.com/modules/long_seller/index.php/hatobus_0.html

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2012.04.04

QBハウスの「新サービス」のキモは何だ?

 10分1,000円カットのQBハウスの新展開が4月2日の日経MJで報じられていた。だが、同店はカット以外、洗髪もセットもしないのが特徴である。果たしてその狙いはどこにあるのだろうか。

 記事のタイトルは「美容機器をお試し QBハウス パナソニックに協力」。対象となるのは銀座本店で、6席あるカットスペースのうち1席を期間限定で頭皮エステの専用コーナーとする。また、サービスを告知するため、店舗自体をラッピング広告で目立たせ効果アップを図るという。

 商売の基本は売上=客数×客単価×回転数。故に、1ブースがつぶれるということは、おそらく、1,000円×60分(6回転)×営業時間(12時間として)=72,000円/日はメーカー持ちだろう。しかし、それだけではカットブースの数が減り頭皮エステに関心のない客の待ち時間が増えるという問題を解消できない。そのため、待ち客全員に、カラーリング剤などの頭髪関連商品を無料配布するというサービスも同時に展開している。もちろん、メーカーとの共同販促である。QBハウスの戦略は、メーカーとの関連商品販促の本格化に移行を目指しているのだ。

 「戦略」という言葉をサラリと使ってしまったが、そもそも「戦略」とは、「戦略=目的+実現手段」である。
QBハウスの目的は、同種の1,000円カットの競合店が続出しているので差別化を図ることだ。但し、差別化といっても、同店の基本ポジションは「10分1,000円カットのみ。洗髪・セット・ひげそり無し」である。基本オペレーションに変更を加えれば、「2,000円でシャンプーとセット付き」という美容業界の低価格サロンと競合することになってしまう。
 そこで、「他人のふんどしで相撲を取る作戦」が「実現手段」となるわけだ。記事によれば15年3月をめどにメーカーとの共同販促を年間30件に増やすということだ。

 QBハウスの「他人のふんどしで相撲を取る作戦」が最終的に目指すものは、同種の模倣店、亜流店との差別化を図ることだ。「最低価格・時間で必要なだけの理容サービスを提供してくれる店」という従来のポジションにくわえて、「行けば何かお得がある店」というポジションに拡張することにあると思われる。

 「ポジショニングの変更、及び拡張はブランドの命がけのジャンプである」とコトラーは記している。QBハウスの「安い・早い」にくわえた「いろいろお得」というポジションへの拡張は、来店客が少しでも「煩わしい」と思ったり、従来の「早さ」を阻害していると思ったりしないことがキモなのである。「安くて、早くて、お得」に期待したい。

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2012.04.03

現代風立ち飲み屋はオイシイ商売か?

 秋葉原にある高架下の、フードが缶詰だけというバーの話。と聞けば、「ああ、立ち飲みね」と思われるかもしれない。確かに個人商店の立ち飲み屋の基本形ではある。だが、40種類もメニュー(缶詰)があるのが特徴だ。同店は「缶’sBar」という屋号で今年1月にスタートしたという。(4月2日付日経MJより)

 同店を運営しているのは個人商店ではない。株式会社日本レストランエンタプライズ。通称、NRE。各駅の駅構内での駅弁の販売や駅そば店などの営業なども手がけているが、メイン業務は新幹線や特急列車での車内販売を展開している。同NREの社内ベンチャーとして出店したのだ。

 商品のラインナップを考えるときには、通常「幅(商品カテゴリ)」と「深さ(アイテム数の多さ)」で考える。幅が広ければ、より多くの顧客ニーズにマッチし、深さがあればその魅力度を増すことができる。
「缶’sBar」の特徴は、幅を「缶詰」だけに絞り込んで、深さを40種類も増やしたことだ。幅の狭さは専門店なら珍しくはない。ラーメン屋はチャーハンなどの飯モノを扱う程度だし、そば屋もうどんもありますよ的な展開ぐらいに絞っている。しかし、40種類も用意はしていない。
 ナゼか。飲食店のバリューチェーン(VC)を考えればすぐにわかる。「食材の調達」→「保管」→「調理」→「配膳・下膳」→「廃棄」だ。最後の「廃棄」は料理の残滓だけではなく、調理されずに鮮度の悪くなった食材も含まれる。つまり、「缶’sBar」は缶詰故に、食材の廃棄リスクが極めて低いのである。
 VCを見てもう1つ気付くだろう。「保管」は全て常温保存可能だ。また、「調理」は缶を開けるだけ。つまり、VCが極めてシンプルなのである。

 VC上では問題点も見えてくる。VCはビジネスのプロセス上のどこで、どの程度コストをかけて付加価値を生み、最終的にどれだけマージン(利益)を出せるかを見るものでもある。その観点からすると、他のプロセスをシンプル=低付加価値・低コスト化している代わりに、「調達」のコストが極めて高いだろうことが想像できる。
しかし、今度は業界内の力関係を見る「5つの力分析」で考えてみると、缶詰を納品する食品メーカーの「売り手の交渉力」はNREという巨大な調達力の前にさほど大きくはないことがわかる。ナゼなら、NREが扱っているのは車内販売で提供する大手メーカーの菓子やスナックなどの乾き物が多く、缶詰なども食品卸会社に一括発注できるであろうからだ。規模の経済が効く。

 一方、VCと飲食業で言われるF/L比を併せて考えると、同店の魅力も見えてくる。「調理」缶を開ける→時々チンをするぐらい。「配膳」も客がセルフで席に持っていくためかからない。つまり、L=Labor(人件費)のコストが低減できるので、Foodの原価が上げられる。スーパーやディスカウントで売っている「さばの水煮缶100円」的なものではなく、ちょっといいモノ、珍しいモノがラインナップできるのだ。

 日経MJの記事では、同店のこだわりも記されている。立ち飲み屋的な雑然とした店内ではなく、シックな内装とジャズが流れる空間に仕上げたり、ドリンクの品揃えや酒器でも特徴を出したりしているという。しかし、社内ベンチャー起業の原点は「調理しなくても済むので、飲食業の素人でも簡単に出せるから」と同店の店長は説明している。細かな制約条件を取り払い、最もシンプルな出店形態を考えた末が缶詰立ち飲みバーだったと言うことなのだ。
 起業のアイディアはあちこちで見つけることができる。大事なのは、それを束ねて一つの形にすること。その中で自社としての強みを明確にすることだ。そして、いつまでに、どうありたいかを明確にすることなのである。

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2012.04.02

「仕事PM」で時間管理を見直そう!

 良くも悪くも仕事は人生に大きな影響を与える。今日から初出社、初の職場という新人や異動者も多いだろう。この機会に、旧年度から異動のなかった人も含めて「仕事」への取り組み方を考え直してみてはいかがだろうか。


■プロダクトポートフォリオマネジメントを思い出してみよう

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 自己の保有資産をいかに効率的に運用するかという意味で使わる「ポートフォリオマネジメント」(PM)。1960年代、ボストンコンサルティンググループがこれにプロダクトライフサイクルの考え方を取り入れて開発したのが、「プロダクトポートフォリオマネジメント」(Products Portfolio Management=PPM)だ。

 一度は見たり聞いたりしたことがある人も多いだろう。有名な四象限のマトリックスは図1の通りである。

基本的な考え方は以下の通りだ。


●問題児…… 成長率が高いものの、市場占有率が低く成長の可能性は未知数である。これを育てるには投資が必要となる。
●スター…… 成長率も占有率も高く、利益が上がっている状態だが、そのポジションを維持するためにはまだ適切な投資が必要。
●金の生る木…… 市場が成熟し成長率は低下しているものの、占有率は高い。つまり、投資も必要なく利益が上がっている状態。
●負け犬…… 成長率も占有率も低く、投資が回収できないため、基本的には順次撤退すべき状態。

 ここでの“キモ”は、「金の生る木」にはできるだけ手をかけず、生み出した“利益”を「問題児」に投資し、「スター」に育てていくことである。

 このPPMを自らの仕事の優先順位付けの方法として転用しようというのが、今回のメッセージである。仕事に対する評価が労働時間の長さとは関係なくなれば、いかに時間を有効に使うかという“中身”が問われる。となれば、どの業務に注力するのかを意識的に取捨選択する必要がでてくるし、場合によっては「割に合わない仕事」は断るというようなシーンも出てくるだろう。それが「自己管理」だ。そのための判断基準作りにPPMを転用してみたい。仮に「仕事PM」と呼ぼう。


■自己の時間管理術=「仕事PM」を考えてみよう

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 「仕事PM」を考える上で、自らの仕事における「市場成長率」は「その仕事の魅力度」と解釈できるだろう。「魅力度」の基準は人によって異なるはずだ。自分にとって「キャリア計画に欠かせない」「スキルアップにつながる」とか、単純に「やりがいがある」と解釈する人もいるだろう。一方の「市場占有率」は「実際にどれだけ会社(上司)から評価されるか」と置き換えてみよう。

 この定義に従って、各象限の仕事の意味を考えてみよう。「金の生る木」は、「仕事の魅力度」は低下しているものの、すでにルーティン化しており、かつ、一定の評価も得られる仕事であると解釈できる。だとすれば、その仕事は従来のやり方を見直してできる限り無駄を省き、時間をかけないことが肝要だ。「やりがいはないが、評価はされるので時間をかけざるを得ない」という考え方に固執しないこと。でなければ、評価は未知数ではあるが、「魅力度」が高い「問題児」の仕事を作り出せない。それ故「魅力も評価も高い」という「スター」のポジションの仕事を育てることができず、ひたすらマンネリ仕事の面倒を見るはめになり、モチベーションも一段と下がる悪循環に陥ってしまう。

 もう一度繰り返すが、PPMのキモは「金の生る木」にはできるだけ手をかけず、生み出した“利益”を「問題児」に投資し、「スター」に育てていくことである。「仕事PM」でも「金の生る木」は時間をかけず効率よく済ませる。そして、ねん出した“時間”を将来的に可能性を秘める「問題児」に振り向けていく。将来の「スター」予備軍である「問題児」を積極的に作り出すチャレンジ(自己投資)をしていくのだ。もちろん、評価が低く魅力もない、「負け犬=割に合わない仕事」はさっさとお断りである。

 実際の企業のPPMにおいても、「問題児」のポジションに製品が1つもない場合、将来性における大きな不安点として指摘される。「問題児」の不在は、次期「スター」不在につながり、やがて「金の生る木」が衰えたとき、全ての事業が「負け犬」になっていくからだ。変化とスピードの時代、「仕事PM」においても積極的に「問題児」にチャレンジして欲しい所以である。

 「そうは言ってもしがらみが・・・」「誰かがやらなければならない仕事だから」などと言っている場合ではない。「自己管理」の時代なのだから。


※本稿は2006年に発表した原稿を加筆改訂しています。

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2012.04.01

マイケルとフィリップからの電話

【4月1日のエイプリルフール記事です】
※特別ゲストの来場はネタですが、セミナー開催は事実です!!

 弊社の電話のベルが鳴ったのは、日付が今日に変わった頃だった。
 そろそろ仕事を仕舞いにしようかと思っていた矢先に、電話からは英語が聞こえてきた。なにやら怒っている。クレームだ。厄介な予感がした。

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 低く重みのある声で男は次のように話した。「そちらが発売された書籍を偶然に手にした。ひどい内容だ。友人とも話したが、『ポーター×コトラー2.5時間』というタイトルのわりには、両者以外の人の理論もゴチャゴチャと詰め込んである。例えば、『3C分析』は大前研一の理論だし、『4P』は元々はエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱したものだ」。
「ちょっと代わって」と横にいたと思われる別の男が少し甲高い声で電話口に出た。「だいたい、『勝手分析』とかでさんざん企業の事例を書いちゃってるけど、ボクがVCのフレームワークを作ったときにはゼネラルモーターズを徹底的に調査したんだ。事例の数が多いのはいいけど、ちょっと安易じゃないか?」

男たちはフィリップとマイケルと名乗った。何でも、大学の教授をやっていて、学会仲間で飲み友達だという。日本語で書かれた本を酒の肴にマーケティング談義をしていて、勢いづいて電話をしてきたという風情だろう。
 私は丁寧に二人に話した「ポーター、コトラーの両巨頭の名前を冠したのは、近頃日本ではドラッカーブームになっているが、本当にビジネスパーソンが『使える』という理論は両者のものだと考えた次第だ。両巨頭以外の他の論者のフレームワークを盛り込んだのは、企業戦略とマーケティングの理解がより理解できると考えたからだ」と。

 「そういう主旨なら理解できる」と二人には納得してもらうことができた。男たちは、フルネームで再び正式にあいさつをしてくれた。ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール教授 フィリップ・コトラーとハーバード大学経営大学院教授 マイケル・ポーターと名乗った。

 「より多くのビジネスパーソンに『使える』理論として広めてくれるのはいいことだ」とすっかり打ち解けた二人からは提案があった。
 マイケルが言った「今度、名古屋でセミナーをやるんだって?ちょうど4月末に私はプライベートで『名古屋飯ツアー』に行こうと思っているんだ。『矢場とん』が楽しみでね。会場も近いようだし、ちょっと顔を出していいかい?」
 フィリップも言った「私は5月の東京会場に顔を出したいな。『スカイツリー』の入場チケットが当たってね。せっかくのラッキーなので、東京に行くことにしたんだ」。

 セミナーには思わぬ巨頭が紛れ込むこととなったが、予定通り開催する予定だ。
 以下に開催概要を再掲する。


【東京・名古屋】 『ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本』出版記念セミナー
「傾きかけたお店、あなたは立て直せますか?」
~経営者の視点で学ぶ『使える』マーケティング~


■名古屋会場:4月26日(木)18:30~21:00・栄にて

■東京会場:5月11日(金)18:30~21:00・半蔵門にて

あなたは、シビアな状況に追い込まれた経営者です。
放っておいては倒産必至、窮地を脱するためにマーケティングの手法を具体的にどう使っていくのか。
セミナー修了後、あなたはきっと
『使える』マーケティングノウハウを身につけているはずです。


<詳細>

■ 名古屋会場:https://www.insightnow.jp/communities/application/130

■東京会場:https://www.insightnow.jp/communities/application/131


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