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2011.11.19

日清食品が「レンジ対応・袋麺」に進出するワケ

 日清食品が11月28日に「日清のラーメン屋さん ちゃんぽん シーフード風味」を発売する。11月18日付日本経済新聞に掲載された記事によると、最大の特徴はタイトルが表している「レンジで楽チン 袋入り即席麺」。<丼に水と一緒に麺を入れ、500ワットの場合で7~8分加熱すれば完成する>という。この商品に込められた戦略意図は何だろうか。

 読者の家に電気ポットや電気ケトルはあるだろうか。かつては一家に一台、アタリマエのようにあったが、もしそれがあれば昨今では少数派ということになる。インターネット調査のマイボイスコムの調べによると、「電気ポット」所有率は40.2%。「電気ケトル」所有率は19.0%だという。つまり、4割以上の家庭にお湯を沸かす専用調理器がないのだ。では、ヤカンや鍋で沸かすのかといえば、カップに水を入れてレンジでチンして沸かす派も多いのだという。

 1989年、アーノルド・シュワルツネッガーが筋骨隆々とした肉体にヤカンを2つ持って体操を披露するカップヌードルのCMが一世を風靡した。それから20年。ヤカンやポットが家庭から消えている。使用調理器の変化はカップ麺の最大手・日清食品にとって由々しき自体である。それに対して、今年8月には「冷凍 日清 太麺堂々 辛味噌ラーメン」を発売したが、実はレンジ対応食品にはその前段がある。「お湯をかけて調理」という商品が得意であるが、レンジ対応商品には決して強くない同社は、先兵として「カップヌードルごはん」を開発・上市した。結果は売り切れが相次ぐ大好評であった。

 今回の「日清のラーメン屋さん ちゃんぽん シーフード風味」は、実に周到な「売れる要素」を詰め込んだ商品だ。記事によれば<袋麺市場はここ数年低迷してきたが、震災以降の非常食需要もあって盛り返し>を見せているという。マクロ環境の変化だ。一方、<袋麺のちゃんぽんは9月に明星食品やサンヨー食品が新商品を発売し販売が好調>だという。競合環境の変化である。それに対し、同商品は<つるみのある麺でコシの強い麺を上下に挟む、独自の「3層太麺ストレート麺製法」を袋麺として初めて使用した>とある。麺の食感向上のため、「全麺革命」と銘打ってカップ麺の製品改良に打ち込んだ成果を導入しているのだ。また、<スープは「カップヌードルシーフードヌードル」の味をベースにしている>と人気定番商品の味を用いて鉄板の体制を作り上げているのだ。

 「戦略」は、「目的+手段」を明確にすることがキモだ。
 日清の場合、カップ麺の市場縮小要素となる調理器具の変化に対応し生き残りを賭けつつ、増販傾向のある袋麺領域でも「レンジ対応」の先行者利益を確保しようという「目的」を設定している。その実現手段として、「カップヌードルごはん」で構築したレンジ対応技術、得意の「太麺製法」、根強い人気の「カップヌードルシーフードヌードル」の味という、優位性を遺憾なく発揮できる手段を取り入れているのである。よい戦略とは、外部環境と内部環境の整合性が確保されているのが条件なのである。

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