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11 posts from November 2011

2011.11.29

チャレンジャーはリーダーにどう戦いを仕掛けるべきか?

 後発だったり、圧倒的に彼我の力に差があったりするとき、戦いはどのように展開されるべきなのだろうか。2つの事例から考えていこう。

 11月25日付日経MJに紹介された、資生堂「スーパーマイルドシャンプー」のアプローチが面白い。狙っているポジションは「親子で使う家族のシャンプー」だ。しかし、「家族のシャンプー」というポジションには強力な先行ブランドがある。花王「メリットシャンプー」である。
 メリットシャンプーが登場したのは1970年のこと。コマーシャルは女優の田中裕子が若い女性に向けてアピールしていた。しかし、それから四半世紀以上が経った今日、若い女性向けシャンプーは最新の成分を配合し、華やかな広告で訴求する新しい商品が目白押しだ。故に、その後は歴代有名タレント夫婦をCMキャラクターに起用し、「家族全員が健やかな髪と地肌で過ごせる」ということを訴えて、「家族のシャンプー」というポジションを確固たるものにしている。
 メリットシャンプーにチャレンジャーとして戦いを挑んだのがスーパーマイルドシャンプーだ。同紙には「父と子の入浴を応援 資生堂“スーパーマイルド”で “風呂場遊び”カード配布」とタイトルにある。<育児期の父親と子どもの楽しい入浴を応援する「パパフロ」キャンペーン>を始めたとある。そのキャンペーンもなかなか大がかりだ。入浴中の遊びを提案する12種のカードを店頭で配布し、ワークショップも開催。普段から父子入浴を実践している芸能人を「パパフロ大使」として任命するという。
 ポジションを確固たるものにしているリーダー商品がある場合、真正面から戦いを挑んでは消耗戦になり得策ではない。そこで、スーパーマイルドはターゲットを絞ったのだ。狙いは「育メン(育児に積極的に関与する夫)」だ。チャレンジャーは真っ向勝負をかけるのではなく、特定セグメントから切り取っていくのが定石。まさにその原則通りの戦いがこれから展開されようとしているのだ。

 一方、「ダウンジャケットといえば・・・」という問いを発すれば、多くの人が「ユニクロ」と答えるだろう。ユニクロのウルトラライトダウンは、今年も数百万枚レベルの販売目標数を発表している。押しも押されもせぬリーダーのポジションを確固たるものにしているのである。
 そこに「アミアン・カンパニー」という企業が切り込んだ。11月28日付日経MJで紹介された商品は「フローラルフレグランスのダウンコート」。その名の通り、ほんのりとした芳香を楽しめる女性用コートである。ヒミツは羽毛にある。独自技術でフッ素樹脂に香水を練り込んでおり内側に香気をためる。昨今、潜在や柔軟剤で衣類の香りにこだわる人も多い。価格は8,295円から。ユニクロのダウンよりも価格は高めながら、「芳香」という独自の付随機能価値でアピールするニッチャーの戦略だ。リーダーであるユニクロからの同質化が心配されるが、香りには好みがあるため、「万人向け」が基本のユニクロは恐らくスルーだ。そこにニッチャーたる独自の生存領域を見出しているのである。

 「チャレンジャーはリーダーの10倍頭を使え」が戦いの基本姿勢。そして、全面戦争を避け、勝てるところで勝つ。独自の生存領域を確保するのである。もはや日本市場は成熟し、人口縮小という衰退期に向かっている。黙って新規顧客を獲得できる環境にはない。他からむしり取らねばならないのだ。そんな時、対リーダー戦略はどんな企業・ブランドにも課題となってくる。今回の事例のその後をウオッチし、自社の参考にすることをオススメしたい。

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2011.11.25

若者を狙う「青山商事」の課題は何だ?

 あなたがもし、担当商品の「売り上げを倍増させよ」と命じられたら、どうするだろうか?商品に新たな特徴を加える。価格を改定する。販路を拡大する。広告を増やす・・・。それらは全て4P(Product・Price・Place・Promotion)の一要素だ。それらを1つ、2つ思いつきでいじっても効果は出ない。

 11月23日付日経MJのコラム「早耳遠耳」に青山商事社長のコメントが掲載された。
 タイトルは「少子化でも若年層は魅力」。コメント内容によれば<「(若い世代向けの商品は)稼げる所だし、稼いでいかないといけない」>と、顧客生涯価値の高さという魅力を獲得すべく市場のパイは縮小するも重点ターゲットとする構えだ。

 マクロ的に見れば、あまり時間はない。来年、2012年問題がやってくる。団塊の世代の大量定年による社内ナレッジの確保が問題になった2007年問題。多くの企業の解決策は根本的なものではなく、「5年間の定年延長。嘱託職員としての5年間再雇用」など、問題の先送りだった。そのいわば「社内職人からの借り物の時間」を返すべき時が来年やってくるのだ。完全リタイヤ。もうスーツは着ないだろう。ついでに日経新聞も読まなくなる。否が応でも若年層にフォーカスせざるを得ない。それが、社長コメントの底流にあるのである。

 記事によれば、若年層ターゲットへの手は打っている。<今秋冬に「次世代スーツ」と称して、若年層を主要ターゲットとして伸縮性に富んだスーツの販売を強化する>という。
 ・Product:流行りの細身のスーツを、伸縮性に富んだ素材やカットで動きやすさも確保した「次世代スーツ」を開発。
 ・Price:49,800円だが、クーポン使用で実質定価は24,800円。十分手が届く。
 ・Place:青山の店舗は郊外ロードサイド型から都市部中心に移行してきている。車に乗らない若者対応の意味合いも大きいだろう。
 ・Promotion:CMのキャラクターは溝端 淳平や佐々木 希などフレッシュな面々をそろえた。メディアも従来のテレビに限らず、ウェブ限定のドラマを放映するなどの取り組みも始めている。

・・・さて、これで販売は万全だろうか。4Pを考えるにはまず、「相互の整合性」が欠かせない。どれか単独の一要素が優れているのではなく、「マーケティングミックス」というように、相互作用でターゲットに魅力が伝わるかが問題だ。
 訴求のポイントは、「高品質・高機能」「手軽な価格」だといえる。 

 「高品質・高機能」「手軽な価格」がポジショニングだとすれば、どこかで見たポジショニング軸だ。そう、「ユニクロ」。「デザインはともかく、品質ではもはや勝てない」と大手アパレルの幹部が漏らすその品質と管理手法。販売予測を徹底し、極限までアイテムを絞り込み大量発注し、低価格を実現するというリスクの取り方。それらがユニクロの力の源泉だ。極端なハナシ、洋服をトータルな「ファッション」として提供するのではなく、個々の「パーツ」として提供している。では、青山は「ビジネスとしての道具」を提供する、スーツのユニクロになるのだろうか。

 そうなると少々悩ましいのが、別業態として展開している、2プライス(19,800円、29,800円)店の「ザ・スーツ・カンパニー」だ。2プライス店は手ごろな価格でちょっと凝ったデザイン、豊富なサイズ展開が消費者の支持を得て競合各社も続々と参入してくるほど活況を呈し、都市部の路面店、ショッピングセンターなどのそこかしこで見かけるようになった。特に青山の「ザ・スーツ・カンパニー」の縫製は中国だが、ディテールのこだわりなどなかなかのものなのだ。ここのスーツは「ビジネスの道具」ではなく、「ちょっとしたオシャレの演出」がポジションとなるだろう。このブランドと統合するのか、あくまで別路線で行くのか。

 スーツをスーツ然として着るシーンが、ビジネスウェアのカジュアル化にともなって減ってきている。「いいモノを安く」的なポジションでは生き残っていけないのは必定。だとすれば、両者の関係にも一度メスを入れねばならないはずだ。そのためにも、「顧客のニーズをよく見る」という原理原則から再度検討すべきなのだろう。

 
                                                              

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2011.11.23

のび太はしずかちゃんとドライブデートの夢を見るのか?

 トヨタの大ヒットCM「のび太のバーベキュー」篇。路線バスでバーベキューに出かけたのび太(妻夫木聡)はクルマで来たスネ夫(山下智久)に、しずかちゃん(水川あさみ)をあっさり連れ去られる。いつもの如く机の引き出しから登場したドラえもん(ジャン・レノ)に「クルマ出して~」と懇願するが、「ダメ、免許ないじゃん」と諫められる。CMのメッセージは「免許を取ろう」だ。

 2011年11月22日付日本経済新聞の記事によれば、免許取得率は20代前半層は77.6%と4年で4.6%低下しているという。免許を取ってもクルマの購入にはハードルがある。ソニー損保が新成人1000人に実施したアンケートによれば、車を持たない理由として7割が「経済的余裕がない」と回答したという。
 「若者のガム離れ」に対し、シェア6割のロッテはフィッツで「ガムの楽しさ」を訴求し復活した。しかし、低価格なガムと違ってクルマは「買いたくても買えない」 という現実がある。「若者のクルマ離れ」と揶揄する言葉が出ると、必ず若者側からは「離れているのではない、近づけないのだ!」と反対の論が起きる。机の引き出しから出てきたジャン・レノが、ドラえもんではなく不景気の元凶を探しだして、ぶち殺してくれるレオンだったらよかったのだが、コトはそんなにカンタンではない。

 「楽しい」「便利」「カッコいい」でみんなが購入するのはもう無理で、クルマは嗜好品・贅沢品か、地方の生活の足と二極化している。
 そんな環境下で、思いもよらぬ競合が登場している。同日同紙の記事に、「秋冬レジャー バスツアー若者も乗る 入場料・食事込みでお得感 免許証離れも影響」とある。中高年向けとのイメージが強いバスツアーの客層が変化しているのだ。はとバスによると、20代の利用者は全体の約2割と、この4年で倍増したという。
 クルマの価値要素を分解して考えれば、中核的便益は「移動・輸送」だ。欠かすことのできない実体的価値は「デザインやインテリア、燃費や走行性能、安全装置」。魅力を高める付随機能が「サービス・メンテナンスやローンの支払い方法」などになる。
 現在の若者のクルマに対するニーズは中核的便益の実現にしかないため、バスツアーが思いもよらぬ競合として登場しているのである。
 地方においては公共交通機関が弱いため、自家用車の「移動、輸送」という車の中核価値が欠かせず、免許取得率も高い。都市部では代替手段が多く免許の絶対的必要性が低い。さらに長引く景気の低迷で、取得費用や車の購入費用を捻出するのが厳しい状況では、スネ夫よりものび太が主流になっていくのではないか。 また、「経験をシェアする」という価値観が高まれば、ツアー自体にテーマ性を持たせることによって同好の志と出会えるという、付随機能も提供できる。 そう考えると、「免許を取ろう」よりも、「バスツアー活況」の方が環境との整合性があるように思える。また、「免許を取ろう」であれば、その先にあるのは「クルマをシェアしよう」になるのかもしれない。

 かつての若者は、DCブランドにはまってローン組んで服を買った。現在はファスト全盛。
 可処分所得の低下と共に、見栄を張る、モノにのめり込むといった肩に力の入った消費は過去のものとなった。トヨタは業界1位の座にかけて、市場の縮小に歯止めをかけたいというキモチはよくわかる。しかし、ドラえもんに頼みたいのはトヨタ自身で、若者のニーズは既にそこにないのかもしれない。
「経験」を「シェアする」ことに重点が置かれるなど、人と人の付き合い方・関係は確実に変化している。それにつれて、モノとの付き合い方も変化しているはずだ。クルマありきで考えていると解は見えてこないだろう。

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2011.11.22

地域電器店を巻き込め!・小型蓄電池の前に青い海は広がるのか?

 2011年11月21日付日経MJ記事に「ジーバ、地域電器店向け蓄電池発売」という記事が掲載された。電気製品の企画・開発をするジーバ(東京・港)が発売した製品に関する内容だ。タイトルに「小型・低価格で量販店と一線」とある。その戦略の要諦はどこにあるのだろうか?

 製品は容量150ワット時と小さいが、その分価格も49,800円と手軽に手を出せる設定である。そして、販路は同社が東京都電気商業組合(東京・文京)と組んで開発したこともあり、地域の家電販売店に絞っており、大手家電量販店では発売しない。地域密着型の家電店チャネルのいいところは、設置・メンテナンス・修理などを通して家庭に深く入り込んでいるところだ。
 大手は店舗での販売→業者による配送・設置→メーカー(関連会社)による修理・メンテナンス対応とバリューチェーン(VC)の担い手が分断されている。多くの地域家電店は、店主・社員が顧客の家におもむき自ら対応する。販売・プロモーションも、いわゆる「人的販売」として行うが、蓄電池に関しては「高額・大容量」の製品には関心のない一般消費者に提案・説得するというプッシュセールスがかけられる。こうして考えると、大手との展開はターゲットと4Pの組み方が根本的に異なることがわかる。

 記事によれば家電量販店が震災後にこぞって販売を始めた蓄電池は、価格は15万~180万円程度と高額で、ジーバの商品の150倍もの容量を持って平時は太陽光発電などと組み合わせてエコに家庭内の消費電力の一部をまかなうという存在として訴求されている。
対して「小型・低価格蓄電池」はがもっと明確にポジショニングが絞り込まれている。「災害時の最低限の電源確保」と「アウトドアでも使える」と、大型据え置き型より気軽・身近で小回りのきく商品としてのポジションだ。

 そんな商品の主たるターゲットは誰だろうか。それは何より、「地域電器店」が抱えている顧客だ。家電製品への関心やリテラシーは高くはなく、コストオリエンテッドでもない、電器店とリレーションのできているいわゆる「いいお客さん」である。その多くは高齢世帯でもある。
 「小金持ち高齢者」をターゲットと考えれば、家電量販店はターゲットにリーチすることができない。「エコ」にまでなるというような、高性能高額蓄電池はターゲットのニーズに合致していない。プロモーションをしようにも、興味がないのでチラシは見ないし、店頭にも来ない。ターゲットと4Pが整合していない。突き詰めれば、ジーバの展開は商品とターゲットを絞った「差別化集中戦略」だといえるだろう。

 ターゲットを絞り、チャネルの特性を考えると具体的な訴求方法が明確になる。単に災害時の灯火確保なら電池で十分なため使い方提案をして、機能ではなく「安心感」という情緒的価値を売ることが重要だ。設置・説明などで顧客が安心を実感したら、家電機器毎や部屋毎に追加販売(アップセリング)をしたり、LEDライト、小型テレビ等の低電力使用量の関連商品販売(クロスセリング)の提案をしたりという機会が得られる。また、顧客は「お得意様」である高齢者が多いため、「安心感」を獲得できれば、子供世帯へのギフト需要の創出という顧客紹介のチャンスも取り込むことが可能となる。

 同記事は<年間の販売目標は3,000台。顧客を開拓しきれていない大手家電量販店を尻目に、蓄電池の需要を掘り起こせるか。正否は地域店の強みであるきめ細かな顧客対応にある>と締めくくっている。だが、前掲の通り基本的なフレームワークやセオリーで検証する限り、同社と地域販売店の前には大手家電店が取り込めていない潜在ニーズのブルーオーシャンが広がっているように思われる。一歩一歩、着実に顧客とのリレーションを強固にしながら展開していくことが肝要だろう。

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2011.11.19

日清食品が「レンジ対応・袋麺」に進出するワケ

 日清食品が11月28日に「日清のラーメン屋さん ちゃんぽん シーフード風味」を発売する。11月18日付日本経済新聞に掲載された記事によると、最大の特徴はタイトルが表している「レンジで楽チン 袋入り即席麺」。<丼に水と一緒に麺を入れ、500ワットの場合で7~8分加熱すれば完成する>という。この商品に込められた戦略意図は何だろうか。

 読者の家に電気ポットや電気ケトルはあるだろうか。かつては一家に一台、アタリマエのようにあったが、もしそれがあれば昨今では少数派ということになる。インターネット調査のマイボイスコムの調べによると、「電気ポット」所有率は40.2%。「電気ケトル」所有率は19.0%だという。つまり、4割以上の家庭にお湯を沸かす専用調理器がないのだ。では、ヤカンや鍋で沸かすのかといえば、カップに水を入れてレンジでチンして沸かす派も多いのだという。

 1989年、アーノルド・シュワルツネッガーが筋骨隆々とした肉体にヤカンを2つ持って体操を披露するカップヌードルのCMが一世を風靡した。それから20年。ヤカンやポットが家庭から消えている。使用調理器の変化はカップ麺の最大手・日清食品にとって由々しき自体である。それに対して、今年8月には「冷凍 日清 太麺堂々 辛味噌ラーメン」を発売したが、実はレンジ対応食品にはその前段がある。「お湯をかけて調理」という商品が得意であるが、レンジ対応商品には決して強くない同社は、先兵として「カップヌードルごはん」を開発・上市した。結果は売り切れが相次ぐ大好評であった。

 今回の「日清のラーメン屋さん ちゃんぽん シーフード風味」は、実に周到な「売れる要素」を詰め込んだ商品だ。記事によれば<袋麺市場はここ数年低迷してきたが、震災以降の非常食需要もあって盛り返し>を見せているという。マクロ環境の変化だ。一方、<袋麺のちゃんぽんは9月に明星食品やサンヨー食品が新商品を発売し販売が好調>だという。競合環境の変化である。それに対し、同商品は<つるみのある麺でコシの強い麺を上下に挟む、独自の「3層太麺ストレート麺製法」を袋麺として初めて使用した>とある。麺の食感向上のため、「全麺革命」と銘打ってカップ麺の製品改良に打ち込んだ成果を導入しているのだ。また、<スープは「カップヌードルシーフードヌードル」の味をベースにしている>と人気定番商品の味を用いて鉄板の体制を作り上げているのだ。

 「戦略」は、「目的+手段」を明確にすることがキモだ。
 日清の場合、カップ麺の市場縮小要素となる調理器具の変化に対応し生き残りを賭けつつ、増販傾向のある袋麺領域でも「レンジ対応」の先行者利益を確保しようという「目的」を設定している。その実現手段として、「カップヌードルごはん」で構築したレンジ対応技術、得意の「太麺製法」、根強い人気の「カップヌードルシーフードヌードル」の味という、優位性を遺憾なく発揮できる手段を取り入れているのである。よい戦略とは、外部環境と内部環境の整合性が確保されているのが条件なのである。

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2011.11.17

「狭小店フォーマット」で勝負をかけるユナイテッドアローズ

11月10日付日経新聞に来春の開業予定として<羽田に「メンズ館」 三越伊勢丹 新規立地を開拓>という記事が掲載されたが、その戦略意図を考察し、以下の記事として掲載した。

 < 夢のパラダイス「三越伊勢丹・羽田メンズ館」?>
 http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2011/11/post-5822.html

 売り場面積が伊勢丹新宿本店のメンズ館の約10分の1・1千平方メートルという陣容で望む、昨今の流通グループの戦略である狭小店開発と一線を画す展開だ。

 一方、セレクトショップのユナイテッドアローズは、その狭小店フォーマットに磨きをかける展開で勝負をかけてきている。11月9日に東京メトロ表参道駅地下鉄構内(改札外)に小さなショップをオープンした。看板には「ザ ステーションストア ユナイテッドアローズ」と書いてある。
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 開店から1週間の11月16日に現地取材をしてみたが、改札を出てすぐの良好な立地とも相まって、店舗内に足を踏み入れる人、商品を手に取る人、レジに並ぶ人が引きも切らない状態だった。品揃えは雑貨、女性向けアクセサリーと袋物、衣料品。通行客のついで買い、衝動買いの取り込みを狙ったと思われるが、狭い店舗にオンナゴコロをくすぐる商品の数々をよくもここまで詰め込んだという感じのショップとなっている。ユナイテッドアローズを表す「UA」と、メトロを象徴したマークを組み合わせたロゴを配した駅ナカショップ限定のグッズも取りそろえている。

 同社の狭小店攻勢はそれだけでは終わらない。2011年11月16日付日経MJに<高速道SAに出店>という記事が掲載された。12月開業の店舗名は「ザ ハイウエイストア ユナイテッドアローズ」という。東名高速道路海老名サービスエリア(上り線)の商業施設への出店だ。30平米の狭小スペースに<商品は衣料品から雑貨まで幅広くそろえ、男性向けと女性向け、子ども向けがそれぞれ20%、雑貨が40%>だという。駅ナカ同様、オリジナルロゴの限定品も扱うということだ。
前掲の「三越伊勢丹・羽田メンズ館」同様、「非日常需要」を狙う展開だが、但し、こちらは家族が揃っているシチュエーションなので、各々向け商品と家族皆で使える雑貨が最も多くラインナップされていることが特徴だ。東京メトロの駅ナカショップに一人でふらりと立ち寄る女性の購買行動とも異なる、家庭内DMU(Decision Making Unit=購買決定関与者)の利害調整が円滑に進むよう配慮した結果だと思われる。

 セレクトショップブームももはや成熟期を迎えた。取り込めるファッション感度の高い顧客層は自社・競合とで争いつつ、概ね刈り取ったのだろう。そこから、いかに売上を伸ばしていくかが問題だ。「売上=客数×客単価×購買回数」だ。狭小店の狙いは、いままで接点のなかった新規客に店舗が近づいていくことと、既存顧客の来店利便性を高め購買回数を上げることだ。
 黙っていても顧客は増えない。ならば、どんな小さなスペースにでも積極的に打って出るユナイテッドアローズの戦略は、これからの「縮む日本市場」において、多くのリテールの参考になると思われる。


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2011.11.15

夢のパラダイス「三越伊勢丹・羽田メンズ館」?

 11月10日付日経新聞に<羽田に「メンズ館」 三越伊勢丹 新規立地を開拓>という記事が掲載された。そこには、どのような意図が隠されているのだろうか。

 記事によれば、羽田空港への出店は来春であるという。売り場面積は伊勢丹新宿本店のメンズ館の約10分の1とあるが、それでも1千平方メートルと、昨今都心で流通グループの戦略として散見される「狭小店開発」という規模では全くない。
 強気の背景は、まずメンズ館のノウハウにある。記事では同館は<東京地区の百貨店の紳士服売上高の3割を占めるまでになった>とある。そして、もう1つは羽田空港の市場としての有望性だ。<国交省によると、羽田空港の10年の乗降客数は約6421万人と前年比約4%増加。今後も発着枠の拡大などで利用者の増加が見込まれる>というから、「縮む日本市場」においては見逃せない優良立地なワケだ。そこでのターゲットは<30~40代を中心とする男性出張客>だという。

 前出の通り伊勢丹メンズ館は、バブル崩壊後のアパレル冬の時代における数少ない成功事例のひとつである。それを追撃しているのが阪急だ。梅田に続き有楽町メンズ館を先月オープンさせ、連日活況を呈している。しかし、それら以外の多くの百貨店の紳士服売り場に集う顧客は決して多くないという状況だ。では、「オシャレ男子」はどこにいるかといえば、いわゆる「セレクトショップ」に多く生息している。
 百貨店紳士服売り場とセレクトショップの違いは何か。もちろん、セレクトショップの名の通り、品揃え・マーチャンダイジングの優位性はあるが、構造的な問題も見逃せない。多くの百貨店で紳士服売り場は上層階の一部に追いやられている。決定的にアクセシビリティーが悪い。なかなか来ないエレベーターを待ったり、何度もエスカレーターを乗り継いだりするのはイライラするし購買意欲も萎える。それに対し、セレクトショップは路面店だったり、テナントビルのいい場所に入居していたりする。ふらっと立ち寄る気にもなる。
 ネットで「服を買いに行くための服がない」という言い回しが流行ったことがあるが、それもあながち冗談では済まない独特の「バリア感」がセレクトショップにはあるのも事実だ。ふらっとは淹れるのは、「但し、オシャレ男子に限る」のである。その点、百貨店は万人向けというか、公共的といういか、格段にバリアは低い。ただ、「30~40代を中心とする男性」にとってはそこで自由に買い物をするということは、なかなかに困難な事情が存在する。

 DMU(Decision Making Unit)という。「購買決定単位」と直訳されるが、モノの購買決定に関与する立場の人のことをいう。企業内のITソリューションであれば、利用部門の担当者、決裁者、システム部門の担当者、購買部門の担当者などがDMUとして関わってくる。個人の場合でも妻帯者は奥方が強力なDMUとして関与してくる家庭が多い。ナゼか財布のヒモを奥方が握っている家庭が多いからだ。働いて得た果実を一度中央に集約し、必要に応じて配分されるという、家庭内共産制。愚痴をこぼす夫君も多い。
 そんな環境にある「オシャレ男子願望」を持つ30~40代妻帯者にとっては、「三越伊勢丹・羽田メンズ館」は夢のパラダイスになるはずだ。ファーストレディーでもなければ出張に同行される奥方はいない。夫君は解き放たれた状態になる。ましてや出張漬けの日々を過ごしている人でなければ出張は「非日常モード」である。高揚感に背中を押され気が大きくなり、購買意思決定もしやすくなるだろう。

 「三越伊勢丹・羽田メンズ館」の計画からは、ターゲットには購買に至るどのような心理的・物理的障壁があり、それをどのようにして低減することができるかを設計すること。DMUを洗い出し、その関与具合によっては回避する方法を検討することの重要性が学べるだろう。
 ちなみに、筆者はすべての購買意思決定を自ら下しているが、「三越伊勢丹・羽田メンズ館」の開業にワクワクするキモチには変わりはない。そうしたターゲットの購買行動と自己心理分析はまた、改めてしてみたい。

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2011.11.13

コメダ対スタバ?カフェ業界に異変あり!

 「カフェ業界」に異変が起きている。すっかり市場に根ざしたセルフサービススタイルから、旧来の喫茶店が提供していたオーダーテイク~配膳・片付けまでを提供する「フルサービス回帰」の傾向だ。いったいナニが起きているのだろう。

 カフェ業界・東海圏の覇者といえば「コメダ珈琲店」だ。その魅力をひとことで言うなら、「ゆるさ」だろう。ログハウス調のゆったりとした店内。雑誌や新聞が自由に読めるように多数用意されている。分煙がなされている点を除けば、昔ながらの喫茶店の雰囲気ほぼ踏襲しているといっていいだろう。フランチャイズ展開であるが、マニュアルでガチガチに縛った応対ではなく、これまた「ゆるい」。それがまたいい。店内でPCを使って仕事をしている人はほとんど見かけられない。皆、くつろぎ、ゆるく過ごしている。
 出店ペースは決してゆるくない。2011年11月10日付日本経済新聞。<名古屋の「コメダ珈琲店」 店舗数、5年で倍増 1000店規模 関東・関西に重点>という記事が掲載された。現在約420店。2012年2月期の出店計画は50店。来期は70~80店、14年2月期以降は毎期100店ペースだという。

 1996年、銀座松屋デパートの裏の小さな2階建て店舗で日本での展開をスタートして以来、進撃の手を緩めないスターバックスの昨今の目玉はプレミアムコーヒー「リザーブ」。今年2月に東京・京都の2店舗でスタートした「特別な豆を特別なコーヒーマシンで淹れて、特別なカウンター席で提供する」というサービスは、11月9日付の日経MJに記事よれば現在は提供店舗を約90店に増やしたという。記事には<リザーブにこだわった背景には、ここ数年、少量ながら個性的な豆を扱う個人販売店などが増えてきたことに対する危機感がある>としているが、リザーブがこだわっているのは「豆」だけではない。その豆の由来や、エスプレッソの抽出方法などに関するコーヒーの知識をバリスタがカウンターに腰掛けた顧客に説明するという洒脱な会話も提供価値の一部だ。
 スターバックスコーヒージャパンが新業態店への進出をメディアに明かした。11月12日の日本経済新聞、経済面の社長インタビューコラム「人こと」に、同社の関根CEOが登場し、<来年、個人が経営するような喫茶店のような新業態の実験を始める。主婦らが自宅近くで従業員と話をしながら結った知と滞在できる店を想定している>と語っている。

 スターバックスの対抗馬、タリーズも黙ってはいない。11月9日付の日経MJ記事。<タリーズ、接客強化の店舗 「コンシェルジュ」が注文取り・配膳 都内に実験店 集客強化狙う>とあり、記事写真のキャプションには「コンシェルジュが客席スペースに常駐、客の要望に応える」とある。その意図は<業界でフルサービス式のチェーンが好調ななか、同社も客がくつろげる店作りで客数増を狙う>とある。
 スターバックスに代表される「シアトルスタイル系」コーヒーショップは、消費者のニーズギャップをとらえて発展した。当時のカフェ業界の覇者はドトールコーヒーやカフェベローチェといったセルフサービス店だ。コーヒー1杯を500円~600円程度で提供する、個人経営やフランチャイズによる従来型の「喫茶店」に対し、セルフサービスカフェはコーヒー1杯150円~180円以下の低価格が主流。その価格は狭い空間に座席数を少しでも多く確保することと、客の滞在時間が短く回転が早いことで成立していた。そこに「ゆとり」はなく、ビジネスパーソンのちょっとした時間調整や休憩、ニコチン補給という意味合いが強かった。一方、スターバックスは北米ではスペシャリティコーヒーストアとしての地位を確立。最高級コーヒー豆を使用し、マニュアル化によりコーヒーの味をはじめとした品質の徹底管理。高級ソファや絵画などを使用したファッショナブルな店内の雰囲気も商品として展開していた。つまり、日本市場においては美味しいコーヒーとオシャレな空間を提供できるスターバックスが、300円~500円台の価格で展開すれば旧来の喫茶店やセルフサービスカフェに不満を持つ非喫煙者や女性、若年層を取り込める環境であったのだ。

 近年は「モノ需要からコト需要へのシフト」が一層進んでいる。その意味からすれば、カフェ業界もコーヒーの味、店内空間という目に見える物性的価値だけの勝負ではでなくなってくるのは理に適っている。ちょっと難しい舌を噛みそうな名前のコーヒーをレジカウンターで注文し、自分で席を確保、お片付けもしっかりしなくてはならない行儀の良さを求められるセルフサービススタイル。それに対し「お任せ」にできる、「ゆとり」や「ゆるさ」という情緒的価値を提供してもらえるフルサービススタイル。商品・サービスの普及が成熟化するにしたがって、求められる価値は中核・実体価値から付随機能に移行してくるのが市場の常だ。禁煙(分煙)、洗練された応対と店内空間、多彩なメニューという「シアトルスタイル」と、従来の喫茶店の「お任せスタイル」の良いとこ取りが今後の主流となっていくのだろう。


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2011.11.08

秋の装いに異常あり?

 いつまでも秋らしい涼しさがやってこず、クリーニングをいつ出したものか思案に暮れている日々が続くが、今日あたりから秋も本格化するようだ。そんな中で、この秋の装いを考えてみたい。

 個人的にここのところ、興味も向くままファッション関連のネタを追っているが、その中で確実に「潮目の変化」を感じるようになった。それはモードの先端でのハナシではない。いわゆるE.M.ロジャースの普及論でいうところの、最先端である「イノベーター」層の動きではなく、新たなイノベーションを評価し取り入れる「アーリーアダプター」層。そして、その動きに倣って行動を起こす「アーリーマジョリティー」層へと変化が伝播しようとしているように思うのだ。

 ユニクロが世に送り出す今期のヒートテックは総計1億枚を目標としている。高機能な衣料を低価格で提供する。それはいいことだ。だが、それは「ファッション」ではない。「部品の提供」だ。
H&Mのレディース向けのブラウスの典型的なシルエットは、襟元のV字のカットで、袖は七分。先端はボタンではなく伸縮性を持たせている。シルエットはタイトではなく、ゆったり目だ。誰もがそれなりにカッコよく着られるデザイン。実は1つのパターンを素材を変えていくつか展開していることに気がついている人は少ない。
 それでもユニクロもファストファッションも人気が続いている。安価に購入し、自分なりのコーディネートをする技術が消費者に備わってきたともいえるが、一方、そこまでファッションにこだわらない層を生み出しているともいえるだろう。

 
 昨今、気になる動きとは、「画一性からの脱却」だ。いわゆる「一点もの」が脚光を浴び始めているように思える。
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 私事ながら、有楽町阪急メンズ館で思わず一目惚れして購入したのは、デザイナー「ジュン ヘイガン」が2008年から立ち上げたリメイクを中心とした一点物のブランド「HAGAN」のベストだった。ベスト1枚で2プライススーツ2着が買える値段。しかし、それを気にしたら買い物はできない。
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 2011年11月7日付日経MJのコラム「モード最前線」で紹介された「Koko and Yosuke」。デザイナー二人の間にある商品が目を惹く。<白いカシミアのカーディガンをめくると花やフルーツの絵柄を転写プリントした鮮やかな裏地がのぞく。その絵柄を切り取り綿を詰め、数十年前に作られたフランス製のスパンコールを付けて大小様々なアップリケに仕立てた。それをキャンバスに絵を描くようにカーディガンの表面に縫い付けた>とある。当然一点ものだ。

 1点ものを購入するのはまだ、イノベーター層にすぎないかもしれない。セレクトショップ業態が好調である。メーカーの画一性にとらわれず、顧客に似合うコーディネートを提案してくれるというコトから人気を呼んでいる。そこでも1点ものが扱われ始めている。

 モノゴトは一方に極端に振れると、その反動が確実に出る。画一的に工業化された衣料の反対側で、ハンドメイドの一点ものに火がつき始めている。イノベーターが食いついた。現在、セレクトショップ通いをしているアーリーアダプターにまでその動きが伝播すれば、面白いことになるだろう。
 ユニクロは海外外出に大きく舵を切った。縮む国内に留まっては成長の絵が描けないからだ。一方で、規模を追わず、縮む市場の中で小さく同好の士が楽しむブランドが台頭を始めている。そんな縮図が見える秋の装いである。


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2011.11.07

戦略の極意は「捨てること」:ベンチャーアパレルの挑戦

 選択するとは捨てること。わかっていてもなかなか難しいその原則を確実に実行して伸びているベンチャー企業がある。その秘密は何だろうか。

 ファストファッションの店舗に行くと、筆者は密かな楽しみ方をしている。商品のタグに書いてある生産国を確認するのだ。ZARA、H&M、フォーエバー21、トップショップなどの海外勢の商品を見るとよくわかる。バングラデシュ、ベトナムなどの東南アジア。トルコなどの中東圏、ギリシャ、ポーランドなどの欧州。実に多彩だ。比べてみれば、ユニクロはまだまだ中国製がほとんどで、生産国シフトと分散化が遅れていることが明確だ。
 生産国シフトは中国の人件費高騰を考えれば火急の懸案事項だ。分散化の重要性も今回のタイの洪水の例でよくわかるだろう。

 11月4日付の日経MJに、そんな海外生産どこ吹く風とばかりに、日本国内生産にこだわっているベンチャーのアパレルメーカーが紹介されている。エスワンオー(東京・目黒)。ブランド名は「サティスファクション・ギャランティード(sg)」。主な購入客は日本人ではない。<フェイスブックの登録ファン数は64万人><ファンの97%がインドネシアやインドなどアジアの若者>だという。実店舗は<東京・渋谷と代官山の2店舗しかない>という堂々たるネット企業である。それもそのはず、社長はネット広告会社に属していたこともある。

 同社の戦略は、マイケルポーターの「戦略の3類型」で考えれば、明確な「差別化集中戦略」、限定的な市場で差別化を武器にする戦い方だ。まず、日本という市場は<少子化に加え、低価格なファストファッションの台頭など市場縮小が続く>ため、バッサリと「捨てた」のだ。東京の2店舗は、あくまで広告等の位置づけであるはずだ。狙いはアジア。
 アジアなど新興国を狙う場合、「BOP(Bottom Of Pyramid)」がキーワードになっているが、そんなトレンドにはれには目もくれない。<「新興国では富裕層が年々増えておりそのうちのわずかの人が買っても、収益は大きい」>とターゲティングは明確だ。

 「差別化集中」の武器は「日本製であること」。クールジャパンに代表されるように、アジア諸国から日本に注がれる視線は熱い。しかし、単に日本製であることにあぐらをかいているわけではない。ダイヤモンドとスカルを組み合わせた「スカル×ボーン」のロゴは社長がデザインを手がけた。なかなかクールなデザインだ。情緒的な価値だけではない。<シャツには速乾性の機能素材を使い、日本の縫製工場で製造するなど日本製にこだわった>という。暑いアジアの国でこそ、速乾性の機能素材は生きる。機能的価値もクールである。
 日本製へのこだわりは、バリューチェーン(VC)から考えてもメリットがある。<sg(サティスファクション・ギャランティード)はサイトでファンの反応が得られる。好感触を得たデザインに絞って製品化すれば、在庫も極力減らすことができる>という狙いがある。ファストファッションのZARAは店頭での商品の売れ行きを完全に把握し、好評な商品をわずか2週間で再度アレンジして新商品として並べることで知られている。その、ZARAの必殺技をネット空間に絞り込むことでさらに高速回転させることも可能になるというわけだ。

 「選択と集中」とはいうものの、「捨てること」はとても難しい。エスワンオー社がサティスファクション・ギャランティードで、様々な可能性を捨て、「日本のデザイン+機能性を、日本で造りアジアの富裕層にネットで販売する」という極めて限定的な戦いの場を設定したのだ。
少し前から「断捨離」がブームである。いろいろな情報を絶って狙いを絞り、アタマの中にはびこるアイディアのがらくたを捨て、「でかく儲けよう」という妄執から離れると新たなモノが見えてくるかもしれない。


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2011.11.01

ルミネ・阪急メンズ館で変わる有楽町・銀座~視察雑感~

 10月30日日曜日、28日のルミネオープンの日に、あまりの行列の長さに断念したリベンジを果たすべく有楽町駅に降り立った。その日はルミネだけでなく、有楽町~銀座エリアをざっと視察する予定だった。その外観をお伝えしよう。

<有楽町エリア>

【マロニエゲート】
 スタートはマロニエゲートでで早めのランチを済ませてからの予定だった。マロニエゲートは2007年9月にオープンした、東急ハンズを中核として、アパレルのショップと飲食を集合させたショッピングビルである。当日、ハンズには固定客が集まって来ているものの、アパレルショップは来店客少な目なのが気になった。ルミネ、阪急とも被るセレクトショップも多く、影響は免れなかったのか。駅からの距離も400メートルほどと若干遠く、実は最も客の取り合いで苦労する施設なのかもしれない。

【丸井】
 イトシアのオープンも2007年だが、有楽町駅前に立地する。ルミネ・阪急のあるマリオンにJR側からアプローチすればいやでも前を通る格好だ。マロニエゲートとは逆に、ルミネ・阪急に至近であるため、イトシアの中核店舗である丸井には客が流れて来ており活況だ。あるショップの店員は「近くに大きな施設ができてくれると助かりますよ」と語っていた。丸井も通常の店舗と異なり、ターゲット年齢を30代以上に置いている。ターゲットが被るが、ここでは相乗効果が出ているといえるだろう。


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【ルミネ】
 館づくりとしての新機軸や、初出店のショップもあり、集客力は抜群。オープン初日には何と、5000人が行列をしたという。オープン3日目も時間帯によっては行列が長くなっていたが、物見遊山の客も多いものの、品物はしっかり買われて動いている。「オトナ」をキーワードとした新たな館作り、初出店のショップをかき集めた効果は高かったといえるだろう。また、通常のルミネは1000円台の単価の商品も少なくないが、なかなかの高単価アイテムも目立つ。客単価は高い。今後、客数と客単価、購買率や客の回転率がどうなっていくか要チェックだ。

【阪急】
 1階にフレグランスとブランドバッグを配し、プレステージフロアを下層階に集めるという手法は大阪の「阪急百貨店メンズ館」を踏襲しているといえる。ルミネに先立ち15日にオープンしているが、既にオープニング後の物見遊山客だけでなく、固定客が付きつつあるのがわかる。一様にお洒落な姿で来店し、購入意欲も高いのが特徴だ。

 有楽町エリアではリニューアルオープンしたLoftと無印良品が気になったが、時間の都合で割愛した。施設的にはハンズと一部被りながらも相乗効果が狙えるポジションにあるといえるだろう。

<銀座通り・ファストエリア>

 銀座エリアは現在1~4丁目、三越と松屋を中核とした旧来の「百貨店エリア」と、5~8丁目の松坂屋を含めた「ファストファッションエリア」に区分することができる。当日は後者を視察した。

【アバクロ】
 相変わらずの世界観だが、ブランドショップの三分の二程度の価格とオーソドックスなのデザイン、ファストよりマシという程度の商品品質のアンバランスが否めない。世界各地の路面店と共通の独特の店内プロモーションが売り物であるが、再来店する固定客をどこまでつかんでいるのか少々疑問が残った。

【フォーエバー21】
 もはや松坂屋の中核施設といっても過言ではないだろう。商品の品質は最もファスト的だが、価格の安さから顧客の買う気は満点。まとめ買いの光景多数。特に顧客の商品の買い方が特徴的だ。まず、商品の外観を見て、すぐにプライスタグをチェックする。ディテールではなく、ぱっと見と価格が重要。まさにファストファッションのKBF(Key Buying Factor=購入要因)を表している。

【うふふガールズ(松坂屋)】
 大阪・京都の大丸で成功している百貨店としての若返り施策で、若年層に人気のショップを集積させたコーナーを作っている。銀座松坂屋の場合、ガールズ向けという割には主要顧客は二十代前半から半ばか。その意味では一部ルミネとターゲット客数が被る観もある。SC(ショッピングセンター)では、10代女子市場が活況だが、「うふふ」のターゲットとポジショニングをどうするのかテコ入れが必要に感じた。

【H&M】
 価格と商品品質の整合性も高く、はファストとしては安定感がある。固定客も多い。

【ZARA】
 価格と商品品質の関係性であるバリユーラインを高めに設定しているが、こちらも整合性があり固定客も多い。

 視察前には、有楽町の台頭で銀座エリアの客が奪われるのではないかと考えていたが、少なくともファストエリアには影響は見えなかった。そもそも、ターゲット客層が違うのだ。そう考えると、当日は視察できなかった「百貨店エリア」もターゲット客層は有楽町的な「オトナ」ではなく、「もっとオトナ」だ。昨秋新館をオープンさせ、従来の1.8倍に増床した三越は顧客層の若返りを狙っているが、既に固定客は付いており、そこでも有楽町とは「棲み分け」の感が強い。
 ルミネオープン以来、メディアでは連日取り上げられ、昨日も客足が途切れる時間帯は全くなかった。一連の過剰ともいえる来店ラッシュが落ち着きを見せたとき、各店、各エリアはどうなるのか。継続的にウォッチしたい。
  

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