サンリオ×エドウイン×土屋アンナのコラボは何を狙う?
サンリオとジーンズのエドウインは、サンリオのキャラクター「クロミ」をモチーフにした子供服を土屋アンナがデザイン監修するコラボレーション商品「ANNA×KUROMI」シリーズを2012年春から展開するという。その狙いはどこにあるのだろうか。
超肉食系で気っぷがいい姐さん。そんなイメージの土屋アンナは、サンリオキャラクターの「クロミ」とどこか似ている。赤いずきんをかぶったうさぎキャラの「マイメロディ」のライバル。黒いずきんを被った悪役キャラながら、どこかドジっ子で憎めない性格は、「バカでいる」という土屋アンナの座右の銘と共通するのかもしれない。
そんなクロミをキャラクターとした子供服の監修を、2児の母でもある土屋アンナが担当。記者会見ではクロミのコスプレまで披露した。
<サンリオとエドウイン、土屋アンナさんと「クロミ」がコラボした子供服を発表、「アンクロ」に扮した土屋さんが商品の魅力をPR>(8月6日マイライフ手帳@ニュース)
http://www.mylifenote.net/009/110806pr.html
土屋アンナはエドウインのイメージキャラクターも務め、愛用者でもあるとのことだが、注目ポイントは「子供服」という商品と、そのプライシングにある。
今回のコラボ商品「ANNA×KUROMI」の価格は、ジーンズ4000~4500円、 Gジャン5000~5500円、Tシャツ2000~2500円というおおよそのレンジのようだ。この価格はターゲットである親のCustomer Value(支払ってもいいと許容できる価格)をズバリ狙っている。
今日日ユニクロに行けば子供服ももっと安く買えるが、サンリオで、わざわざコラボ商品を買うのだ。それなりにこだわりを持って服を選択する顧客層か、ちょっとお出かけ用的な使用用途として購入するシーンだと考えられる。故に、競合価格としては、ユニクロのジーンズ(UJ)は3つの価格レンジの最上級が3980円なので、その少し上を狙える。
少子化によって「6ポケット」という言葉も定着したが、価格が高すぎるのは厳禁だ。2000年頃、子供服としては一世を風靡した「ナルミヤ」の失敗が教訓となる。2000年当時の親は「DCブランド」で育ったバブル世代。その後、バブル以降に厳しい選択眼を磨いて、様々なブランドや価格帯をうまく組み合わせて着こなす世代が親になった。百貨店を中心とした販路を展開していたナルミヤとは、重要なKBF(Key Buying Factor=購買決定要因)の1つである受容価格が合わなくなってしまっていたのだ。その後、ナルミヤも手ごろな価格を設定したショッピングセンター(SC)向けの「ラブトキシック」、百貨店向けの「リンジィ」の2ブランドを投入している。
中価格帯でちょっとこだわりのサンリオキャラクターとタレントとのコラボ商品が買えるという価値を、もう1つのコラボ元であるエドウインが提供しているわけだが、そこには明確な狙いがある。
8月8日付日経MJに「ジーンズ市場 縮小続く 昨年度生産数9.3%減 6年連続前年割れ」という記事が掲載された。<ユニクロやジーユー、スーパー独自ブランド商品などは含んでいない>とあるが、それらに喰われたという原因が大きいが、もう一方で<チノパンや女性用のレギンスに追われた格好だ>とも記事は分析している。
有名メーカーの一角であるボブソンの民事再生法適用申請は記憶に新しいが、記事でもダブタイトルに「販売戦略 各社に変更迫る」とある。その一例として、リーバイスは<総合スーパー向けが中心だった低価格品から撤退し、1万円以上するジーンズに経営資源を集中。市場全体が縮小するなか、売り上げをいったん減らしてでも、粗利益の高い商品に特化することで利益の改善を目指している>とある。高価格、プレミアム戦略での利益改善は1つの解であるが、その反面、ニッチなポジションになってしまうという面は否めない。
同記事は<ジーンズは団塊世代と20代までの若年層が中心購買層。これらの世代に対し、新しい販売促進策を打ち出すなど業界全体の活性化が求められている>と結ばれているが、エドウインが「ANNA×KUROMI」で狙っているのは購買層から抜けた30~40代の親だ。ナゼなら、親の「ジーンズ離れ」は子がジーンズに親しむ機会の喪失も意味するからだ。このままでは次の20代はジーンズを着用せず、ジーンズは「老人の服」になってしまうかもしれないのである。また、「将を射んと欲すればまず馬を射よ」。子どもが「カワイカッコイイ」ジーンズを身につけたなら、その親もおそろいにジーンズでキメたくなるかもしれない。そんな期待も当然、込められているに違いない。
コラボブランド「ANNA×KUROMI」は、「手が届く価格」を実現し昨今の子供服が売れる条件を満たしつつ、次世代ユーザーを育成し、購買層からスッポリ抜けてホワイトスペースとなっている30~40代の呼び戻しを狙った戦略であると考えられるのである。
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