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2011.08.31

【加筆修正】 「BIG ISSUE」のおじさんに教わったこと

 「ビッグイシュー(BIG ISSUE)」という雑誌を知っているだろうか。全32ページで300円という体裁と価格だけを聞くと高いと驚くかもしれない。その価格にはワケがある。「ホームレスの自立支援」だ。1991年に英国で発足し、世界で展開。日本版は2003年にスタートした。300円には、路上で雑誌を販売するホームレスの取り分、160円が含まれている。雑誌の販売収入を得て「路上生活→簡易宿泊所(1泊千円前後)→アパート賃貸・住所取得→住所をベースに新たな就職活動開始」という自立への目標ステップがあるという。
 老子の言葉「授人以魚 不如授人以漁」(人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣りを教えれば一生食べていける)と同じ思想だが、目標達成は容易ではない。暑さ寒さに耐え、1冊ずつ160円の収益を積み上げていく日々だ。買ってもらうために身なりをこざっぱりとし、「ベンダー」と呼ばれる売り子としての登録を証明する身分証を首からさげ、雑誌を高く掲げてアピールするのが彼らのスタイルである。

■2010年11月のはじめ:売り手と買い手の「あるべき姿」とは・・・

 ある日の夕暮れ時、筆者は足早に有楽町・交通会館側の駅前を歩いていた。目にBIG ISSUEの売り子が目に入ったが、少々急いでいたことと、財布に小銭がなかったことを思い出して、その横を通り過ぎた。通りすがりざまに売り子と目が合った。そして、なんとなく気になって、100メートルぐらい進んでから引き返し、彼に「ください」と声をかけた。
すると、その売り子は「きょうは線路の反対側に来て売ってるからね」と笑顔を浮かべて妙なことを口にした。その笑顔、少しいたずらっぽい目の光を見た刹那に記憶が蘇った。BIG ISSUEを買う場所はいつもバラバラで、出張先の名古屋駅前で買ったこともある。だた、確かにこの売り子から何度か購入したことがある。
 彼は話を続けた。「いつも反対側(東京国際フォーラム)を通るでしょ?今日はどうしたのかな、違う人だったのかなと思っちゃった」。

 彼は、何度か不定期に購入しただけの相手のことを覚えていたのだ。そして、覚えていることがさも当然というように話しかけてきたのだ。それ以前に、すれ違いざまに「ここにいるよ」と目で合図を送ってくれていたのだ。

 「顧客の認知」。売り手が顧客を覚えていること。それは商売の基本だ。しかし、不特定多数の顧客を相手に低廉な商品を販売する場合、なかなかに実現は困難だ。それを彼はやってのけている。簡易宿泊所と食料を確保するためには、BIG ISSUEを毎日10~20冊は売らなくてはならないのにだ。

 そこまで考えてから、ふと、「きょうは線路の反対側に来て売ってるからね」と唐突に言った彼の言葉を思い出した。彼は、買い手である筆者も売り手である彼を認知していると信じて「きょうは・・・」と話を切り出したのだ。
売り手が顧客を覚えていたとしても、顧客も売り手を覚えておく義理はない。ましてや、通りすがりに何度か雑誌を買っただけの相手だ。「顧客も自分を覚えていてくれるに違いない」と思うのは、単なる彼の思い込みにすぎない。だが・・・。
 あまたいるBIG ISSUEの売り子。何人もから購入した経験の中で、思い起こしてみれば彼ほど明るく人なつこい表情と話をする人が何人いただろうか。そして、ホームレスとは思えない、前向きな目の輝きを持った人は。そもそも、通り過ぎてからその目が気になって、きびすを返して彼の元へ引き返してきたのだ。
 
 雑誌を手渡し、千円札を受け取って釣り銭を数えながら、彼は言葉を続けた。「年末宝くじが始まったら、また反対側に戻っちゃうからね」。その言葉に筆者は「ああ、それじゃあ、今度は気をつけて探してみるよ」とほほえみを返した。
300円の対価として受け取ったもの。それは、薄い雑誌だけではない。形容しがたい満足感だった。何か、胸が温かくなるような。

 売り手と買い手の関係は、商品と対価の交換において対等である。であれば、「顧客満足」があるなら、「販売者満足」があってもいいのではないか。顧客は自分のことを売り手が認知してくれていることに満足する。顧客も売り手を認知していれば、売り手もうれしくなるはずだ。
 顧客は自らの支払う対価以上の満足を得ることが当然の権利と思いがちだ。そして顧客の過度な要求にモチベーションが低下した売り手は、顧客への信頼と敬意を忘れ、対応が形骸化する。そんな悪循環を顧客の側から断ち切る努力があってもいいと思った。少なくとも、どんな商品を購入する時にでも、売り手のステキな対応にであった時には、顧客の側も敬意を払い、相手を認知するようにしたいと思った。

■2011年1月のはじめ: 人の好意にどう応えるべきなのか?

 お互いが顔見知りになったという認識ができると、とかく相手が気になるもの。特に彼のいる駅前は、筆者の定番タウンウォッチのルートになっている。
ところが、彼の姿が年末年始と見当たらなかった。年の瀬が慌ただしくなる前に最新号を買った。月2回発行なので、少なくとも松飾りが取れる頃には次の号が売り出されるはずだ。
正月休みにして、郷里に帰ったのだろうか。それとも、晴れて自立して売り子を卒業したのだろうか。もしかして、病気でもしたのだろうか。名も知れぬホームレスの雑誌売り。その姿のない駅前を通るたびに、気がかりさと期待がない交ぜになりつつ増していく自分の心を不思議に思った。

 何度目かの通り道。雑誌を右手に高く掲げた「BIG ISSUE」売り独特のポーズの彼を見つけた。いつもの如く、筆者を遠くから見つけてニコリと人なつこい笑顔を投げかけてきた。
ポケットの小銭入れから300円を取り出しながら、彼のところに歩み寄って雑誌と交換する。
 「しばらく見かけなかったから、故郷に帰ったか、卒業したか、病気にでもなったのかと思ったよ」。と話しかけると、いつものクリクリとした瞳が少しだけ伏し目がちになった気がした。
 「故郷に帰りも、卒業もしないですよ」。
 いつもより小さな声でポツリと言ったあと、
「カラダは見た目以上にポンコツですが、何とか病気はせずにやってます!」
 と、少し声を大きくして言葉を続けた。
 何か、触れない方がいいものに触れた。開いてはいけないものを開いた気がして、少し気まずかった。

 「もっと寒い故郷で新聞屋をやってたんですよ。頬が切れるくらい冷たい風が吹くところで、真っ暗で星が出ているうちから新聞を配っていたんです。だから寒さには強いんですよ」。
 問わず語りに初めて彼が身の上話のようなことをつぶやいた。
 もっと自分のことを話すのか。聞いて欲しいのかと思ったが、話はそれで終わりだった。いや、話したかったというふうではなかった。少し昔を思い出したことが、口から出たというような話し方だった。

 筆者は一旦その場を去って、再び戻り、彼にレジ袋を差し出した。近くの果実店で買い求めたバナナ四本と蜜柑一山。合計500円だった。現金を渡したのでは、商売をしている彼に失礼だ。かといって、何かできないかと思案した結果の代物だ。それでも恐らく、差し出す筆者の姿はひどくおずおずとした様だっただろう。

 「ありがとうございます!遠慮なく!」
 思案したのは全くの無駄であった。彼はいつもの人なつこく、クリクリした目を輝かせて躊躇なくレジ袋を受け取った。
 決して、ちょうど空腹であったからとか、「タダでもらえるものならば」といった様子ではない。かといって、差し出されたので義理で受け取るという風情でもない。

 人の好意に感謝して素直に受け取る。その表現が最も適切に彼の反応を表現する言葉であるはずだ。
 思えば、自分自身が人に対してそんな応え方をいつしただろうか。
 「いやぁ、いいですよ~」。
 「本当ですかぁ~、いいのに・・・。スミマセンねぇ・・・。」
 また一つ、大切なことを彼から思い出させてもらった。

■2011年1月のおわり: 街の人の視線

 「BIG ISSUE」は月2回発行される。1月の2号目の発売日からだいぶたったある日の夕方、いつもの駅前で雑誌を左手で高く掲げ、販売のアピールをした彼の姿を見つけた。
 久しぶりだった。発売日には欠かさず駅前に立つ彼の姿がここしばらく見えなかったのだ。

 私が彼を見つける以前に、彼はこちらに気がついていたようだ。遠くでニコッと笑顔をみせている。近づいてみると、もともと小柄な彼の姿が一回り小さくなったように感じた。雑誌代を手渡す前に、珍しく彼から話しかけてきた。
「いや~、ついに風で寝込んじゃいましたよ・・・」
インフルエンザではなかったというが、一時は体温が39度近くになり、都合10日間は寝込んだという。
 「ちょうど新刊が出る前後だったんで、何とかしようと思ったんですが、無理をすると死んでしまうんで・・・」

 日常的に「死ぬ」という言葉は比ゆ的によく使う。「仕事が多すぎて、もう死にそう」とか。しかし、彼の日常で「死ぬ」は、文字通り「死ぬ」なのだ。ほんの少しの差で、死が隣にあるある暮らしをしている。

 「保険証を持ってないんで、こじらす前に休む。なけなしの金をはたいて、薬局で薬を買って、とにかく寝る。本当は医者の薬、抗生物質があれば一発で治るんでしょうが、そういうわけにもいかないんで、とにかく手に入る薬を飲んで寝て治す。これしかないんですよ。で、10日もすると、たいがい手元の金も、食べるものもなくなって、それ以上休むと首をつらなきゃならないようになる頃、治るんです」。

 完治して調子がいいのか、シリアスな内容に似合わないニコニコ顔で、いつもよりよくしゃべった。
 病み上がりには見えないほど、いつも以上に身奇麗にもしている。きれいにヒゲをあたって、頬が青々としている。シャツの襟首もきれいだ。「身支度はモノを買ってもらう以上、お客に対する最低限のマナーだ」というのが彼のポリシーである。しかし、路上ではなく簡易宿泊所に泊まって身支度を整えるためにも、雑誌の販売収益を上げることは欠かせない。病床から復帰して間もない今日は、特に気合が入っているということだろうか。ちょっと見た限りではホームレスには見えない。
 
 寒い故郷出身だといっていた彼だが、今回は不覚だったなどと語り、大事にしなくてはなどと私が話す。そんなやり取りの横を通る街の人々の視線が気になった。

 彼は独特の間合いで待ち行く人々に声をかける。
 「BIG ISSUE 最新号発売中です」
 大きな声で叫ぶのでなく、彼の「間」入った人に呼びかけるような、問いかけるような動作だ。私と話している間も販売の基本動作として途切れることはない。
 彼の「間」に入っても、多くの人は一瞥もくれずに通り過ぎていく。それはそれで仕方ない。私も「BIG ISSUE」のことを理解する前はそうだった。
 中にはチラリと侮蔑の色が浮かぶ眼差しを向けて通り過ぎる人もいる。確かに身奇麗にしているとはいえ、おしゃれな街の入り口の駅前広場では、いかんせん彼の姿はみすぼらしくみえる。

 そんな人々の視線を見ながら彼と会話をしていると、ふと彼が言った。
「今回は何人ものお客さんに心配されちゃいましたよ。『発売日に姿が見えないってことは、これはきっと寝込んでいるに違いないと思った』ってね。ありがたいことですよ」。

 彼は雑誌を売って、ものを食べ、簡易宿泊所で眠り、身支度を整える。そして金をため、いつか定住できる部屋を借りて職業を探すことを夢見ている。無関心だったり、蔑んだりする街の人の視線の中で、「死」がすぐ近い距離にあることを意識して生きているホームレスの雑誌売りを、その名前も知らぬ人のささやかな再起をかけた夢を支え、心を通じて暖かい視線で見守っている人がこの街にも何人もいたのだ。

 この街も、この世の中も悪くないじゃん・・・。久しぶりに、そんな気持ちになった。

■2011年8月中ごろ:人と人の思い

 有楽町駅前に立つ「BIG ISSUE」の売り子のおじさん。その姿を見かけなくなって、既に半年以上が経っていた。1月頃にも偶然タイミングが合わなかったり、彼が体調を崩して休んでいたりで幾度か姿を見かけないこともあった。しかし、最後に姿を見かけたのは2月ごろだった。以前、「帰る郷里やあてなどない」とも言っていたので、よほど重い病気にでもなったのかと心配になった。しかし、その消息を知る術はない。彼の姿がない駅前を通る度に気になったが、「きっと、立派に自立したんだ」と思うようにしていた。

 ある日、何事もなかったかのように販売する雑誌を高く掲げて駅前に立つ彼の姿を発見した。
聞けば、3月11日の震災の日が「BIG ISSUE」の発売日だったそうだ。発売日には大量の雑誌を抱えて、電車賃の節約のために簡易宿泊所まで歩いて40分かけて戻る。ただでさえ大変な道のりなのに、その日は大勢の帰宅困難者に巻き込まれて動きが取れなくなったという。

 「ホームレスが帰宅困難って、笑えないですよね」と、彼特有の人懐っこい顔で笑う。「ビルのエントランスで普通の人と一緒に夜明かししたんですよ」と、日頃の立場、地位、境遇に関わりない連帯感が生まれた夜を懐かしそうに語ってくれた。

 その日の無理がたたり1ヶ月以上ダウンしたとのことだが、5月には復帰。結局その後3ヶ月は筆者とは街でタイミングが合わなかったため出会わなかったようだ。

 「先生が消息がわかった最後のお客さんですよ」と、彼が妙なことを口にした。聞けば、彼は5月に復帰して以来、馴染みの購入客に再び会えたたびに無事を喜んでいたという。
 彼の姿が見えないと心配していた筆者であるが、筆者もまた心配されていたのだった。

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2011.08.29

水は方円の器に随うのか?~ゲロルシュタイナーの機会と課題~

 「ゲロルシュタイナー」(GEROLSTEINER)は、100年の歴史を持つドイツ№1の天然炭酸水。強い炭酸性を持ち、しかも、カルシウム、マグネシウムといったミネラル類を豊富に含んでいる。ユニークな特性を持ち、私自身ヘビーユーザーでもある商品だが、拡販においては悩みもあるらしい。日本国内での販売を手がけるサッポロ飲料にお邪魔してみた。

■導入当初は、チャネル確保に苦慮

 「この商品の取り扱いを決めたのは、ほとんど勘でしたね」と、2004年当時を振り返るのは、同社ブランド戦略室長の古林秀彦氏。ドイツ№1のナショナルブランドであり、海外展開の実績もある。だが、日本市場にはまだ並行輸入も含めて入ってきていないという希少性も魅力だった。当時日本はミネラルウォーターの成長期。その中で、ただのミネラルウォーターではなく、「次は炭酸水のブームが来る!」と直感が働いたという。

 とはいえ、その直感の正しさが立証されるまでには、相応の歳月を要した。炭酸水という商材自体の認知が低く、チャネルの確保に地道な交渉を要したためである。

 2004年の日本市場への導入時は、料飲店など外食での利用を視野に、まずはガラスびん入りの1リットルと330ミリリットルでスタート。その後、顧客が日常の中でより気軽に手に取れる形態として、500ミリリットルペットボトルのタイプを2007年3月に首都圏のコンビニエンスストアに配架、翌2008年5月に1リットルペットボトルが量販店に並ぶ運びとなった。「ドイツ本国や欧州、北米で流通しているのはガラスびん。ペリエ、サンペレグリノなど日本国内で先行していた炭酸ミネラルウォーターもガラスびんでの流通であったため、ペットボトルでの展開はチャネル拡大に奏功すると考えた」(古林氏)ことが効いた。

 その後、さらなる販路拡充のため自動販売機への投入を検討したが、「ドイツ側に日本の自販機に合うサイズのペットボトルを作ってもらうのが、大変だった」と古林氏。ゲロルシュタイナーは、<購買物流>→<製造>→<出荷物流>→<営業・販売>というバリューチェーンのうち、<購買物流>→<製造>まではドイツで行うことが前提の商品である。「官報に掲載された特定水源より採水された地下水で、源泉から直接採取され、そのままボトリングされたもののみを『ナチュラルミネラルウォーター』と呼称できるとEUにより定義されている」(古林氏)ためだ。従い、なんとかしてドイツで日本用のパッケージを作ってもらわなければならないわけだが、ドイツ側からすれば、「どれほどの規模のなるかもわからぬ日本市場だけに特化して新しいパッケージの製品を作る必要性は感じられない」というのが正直なところだったのだろう。結局、約2年後となる2010年にようやく自動販売機に収納できるサイズのペットボトルが開発され、全チャネル展開が完了した。

■割り材→直接飲用という消費者の変化が追い風

 ただ、古林氏らの「次は炭酸水が来る!」との直感は的中した。通常のミネラルウォーターと比べると市場規模はまだ5%程度と小さいものの、とりわけペットボトルでの展開を始めた効果は大きく、2007年の投入以来2010年までにゲロルシュタイナーは250%の急成長を遂げることとなった。この期間、日本のミネラルウォーター市場では輸送中のエネルギーロスが問題とされる「フードマイレージ」が注目され、輸入ブランドのシェアが低下していたにもかかわらずである。同商品の「天然炭酸水という特性と、同一カテゴリーの輸入ブランドがガラスびん入りなのに対し、ペットボトル入りで扱いやすく、加えて150円(税別)という手ごろな価格が消費者の支持を得た」と古林氏は説明する。成長をさらに確固たるものとするため、2009年には俳優・城田優を起用したテレビCMも投下しプロモーションも強化した。

 また2009年頃を境に、日本市場では炭酸水の用いられ方に変化が現れていた。天然由来か否かは別として、従来、多くの炭酸水はカクテルやチューハイ、ハイボールなどを作るための、アルコールの“割り材”として用いられていた。それをストレートで飲用する消費者が増えてきたのだ。

 では、この変化はなぜ起こり得たのか。「ビール会社のグループ企業にいながら、こんなコトを言うのも変な話なのですが・・・」と前置きし、古林氏は自身の仮説を説明してくれた。

「炭酸水という商品の物性的な価値を突き詰めていけば『のどごし』です。つまり、ビール系飲料に消費者が求めるものの大きな要素と同じ。おりしも市場はビール系飲料離れが進んでいる。また、2006年~2007年にかけては『ゼロカロリー炭酸飲料ブーム』がありましたが、それも既に一巡しています。ビールや炭酸飲料から様々な要素を取り去ってみると、最後には『のどごし』が残る。それを直接的に求める層が、炭酸水のストレート飲用をしているのではないかと考えられるのです」。

 全てのビール系飲料や炭酸飲料ユーザーが「のどごし」だけを求めているとは限らないが、そうしたセグメントが存在するのも確かだろう。商品を手に入れることによって実現したい「中核的価値」を「のどごし」と考えると、それがどのように実現できるのかという「実体価値」はどうだろうか。ビール系飲料なら「ほどよい酔い心地」、炭酸飲料なら「爽快感」をもって実現できることが価値だ。さらに、中核的価値の実現に直接影響はないが、製品の魅力を高める要素である「付随機能」は、ビール系飲料なら「低カロリー」や「糖質ゼロ」、炭酸飲料なら「カロリーゼロ」がそれにあたる。

 ビールの実体価値である「ほどよい酔い心地」はもはや不要として、アルコールゼロのビール系飲料を常用する人も増えてきた。そうした消費者ニーズの変化の中で、ゲロルシュタイナーは「のどごし特化飲料」というユニークなポジションが取れるのではないかと古林氏らは考えているという。

]■しかし「のどごし」だけでは機会損失が発生する・・・

 古林氏の言う「のどごし」ニーズは確かに市場に存在し、ゲロルシュタイナーはそれに応えることができる。端的に考えれば、このニーズに向かって適切にマーケティング施策を打ち、一気に市場拡大、シェア獲得へ・・・となるのだろうが、「でも」と、同・ブランド戦略室の長谷川聡氏は、ことがそう単純ではないことを説明する。

 ゲロルシュタイナーの特性は「のどごし」だけではなく、他にも多くの優れた特性があり、多様なニーズ開拓が可能、というのである。例えば、「硬度1310mg(1Lあたり) ph値6.5」という硬度は「スリミングウォーター」としての特性も持っており、健康志向の高い女性の支持を集めている。また、「カルシウム36mg、マグネシウム10mg(100mlあたり)」と理想的な配分、量で天然ミネラルを含有する特性は、妊娠中の女性に最適であり、爽快なのどごしと相まって、つわりが出る時期に飲みたい飲料の?1ともなっている。もちろん、主要販路であるコンビニエンスストアの主客層である男性の支持も高く、非アルコール飲用層からは「アルコール代わり」として、アルコール飲用層からは「お酒を飲んだ後に」というようなシーンで愛用されているという。

 驚くべきは、リピート率の高さである。実に飲用者の81%が再購入をしているという。その理由は、「天然炭酸水だから」とミネラルの含有などが支持され、続いて「爽快な味わいが楽しめるから」と、強めの炭酸が支持されている。

 これら特性、数値をサッポロ飲料、古林氏や長谷川氏の立場から眺めると、「『のどごし』ニーズに絞った訴求では、大きな機会損失を発生させてしまう」という悩みがリアルに感じられるのではないだろうか。

 サッポロ飲料はこうした多様な消費者ニーズに対し、ゲロルシュタイナーの特性のどこかをフォーカスして訴求するのではなく、各種飲用シーンの提案を行う戦略をとっている。例えば、「目覚めの一杯に」「食事と共に」「お風呂上がりに」「スポーツに」「リフレッシュに」「就寝前に」などだ。ソーシャルメディアでの口コミ喚起など、コストをかけない施策を多く打つなど多々工夫をしているが、しかし結果として、マーケティング費用が散逸してしまう感は否めない。さて、この商品、皆さんだったら、どう売っていかれるだろうか?

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2011.08.26

【連載リンク】金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!・第7回:カルビー「じゃがりこ」

※連載のアップがつっかえていたので連日になりますが、第7回をお届けします。

 今回はカルビーの「じゃがりこ」。今日では当たり前になっている「カップ入りスナック」は同製品がパイオニアなのだ。そこにはマーケターが感じ取った市場のニーズと、解決すべき自社の事業課題、そして販売チャネルへのアピールポイントまでが詰まっているのだ・・・。

 <金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!・第7回:カルビー「じゃがりこ」>

 ○記事はこちらから!→http://tinyurl.com/3qf9bu5

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2011.08.25

【連載リンク】金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!・第6回:ユニリーバ・ジャパン「ダヴ」

朝日新聞社広告局が運営する「ウェブ“広告月報”」。企業トップや広告クリエーターのインタビュー、朝日新聞に掲載された広告キャンペーン事例、紙面調査の結果や海外論文紹介などのマーケティング情報が提供されています。

 同サイトで金森がインタビュアーとして、数々の「ロングセラー商品」を生み出したメーカーを直撃取材。そのヒミツを解き明かす連載です。

 今回は世界的なブランド「ダヴ」。1999年に先進国最後の未展開市場である日本に満を持して上陸。同年に放映されたCMの「ダヴなら、ハニワが有田焼になれたって感じで……」というフレーズが大きな反響を得た。翌2000年は固形せっけんにリトマス試験紙をつけて中性であることを訴求するCMを放映放映するなど硬軟取り混ぜたコミュニケーションを展開していった。実は、その手法はダイレクトマーケティングとも共通するポイントがある・・・。

 <金森努のロングセラー商品の戦略を聞く!『第6回:ユニリーバ・ジャパン「ダヴ」』 >

 ○記事はこちらから!→http://tinyurl.com/3vep7b8 


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2011.08.24

「お試し獲得」がキモ?:ゼビオの新戦略

 スポーツ用品販売のゼビオが7月下旬に横浜市に開業した新型店舗「XSPOT(クロスポット)」。そこでは、シューズやテニスラケット、インラインスケートが無料で貸し出しされ、近くの新横浜公園内の施設で利用できるという。その販売戦略を読み解いてみよう。

 8月24日付日経MJの連載記事「販売拠点 あすを拓く」でゼビオのXSPOT(クロスポット)が紹介された。タイトルには「スポーツ用品 試して購入」とあり、同施設の概要が囲みでまとめられている。
▽開 業  2011年7月29日
▽所在地 横浜市港北区小机町3302の5
▽売り場面積 504平方メートル
▽ポイント
 ①スポーツ用品の最新モデル80種類 300点を無料レンタル。気に入れば購入可能。
   レンタル用品は順次拡大
 ②シャワールームを完備しランニングステーションとしても利用可能
 ③新横浜公園内の施設でイベントや運動スクールを運営  (以上記事より)

 <試してから購入できる施設は全国初>という画期的な試みだが、<当初はブースでの展示だけだったが、来店客の要望が強く、現在では展示品のうち7割を貸し出すようにした。今秋までに全商品を対象に広げる方向で検討している>と、顧客からの要望に後押しされて誕生した形態であることがわかる。ゼビオとしても<これまでもゴルフクラブやテニスラケットの試打やサプリメントの試飲などを積極的に開くなかで、商品を使用してもらった方が購入率が高いことがわかっていた>との勝算もあったという。
 節約志向は依然として高いが、多くの人が趣味の用品には財布のひもは緩みがちである。だが、クラブやラケットならまだしも、シューズは買っていざ走ってみたら足に合わなかったとなったらガマンできない。購入前に丁寧なコンサルティングや足形の診断をしてもらえる店もあるが、空前のランニングブームで今も産まれる初心者ランナーにとって、自分の希望やフィット感を正確に伝えることは意外と難しい。履いて一定時間・距離を走ってみるのが何より安心であり、確実だ。「お試し」の意味は大きい。納得して購入した客はロイヤルティーも高くなる。<ロッカーやシャワールームを完備している点が受け、来店客はランニング愛好者が中心>と記事にある。

 店内で待つだけではなく、積極的に打って出る展開もしている。<店員がスポーツ用品を積んだリヤカーを引き、公園で遊ぶ人たちに声をかける。トライオンキャラバンと呼ぶ取り組みで、商品説明をした後、30分程度利用してもらう>という。さらに、フットサル大会やサッカー教室、ランニング教室の開催などイベントの積極的開催も行っているという。

 消費者が商品を認知してから購買行動に至るまでの態度変容を表したモデルは「AIDMA」が有名だ。A(Attention:認知)→I(Interest:興味)→D(Desire:欲求)→M(Memory:記憶)→A(Action:行動)である。しかし、そこには2つの弱点があることに留意が必要だ。
 1つは前述の通り、ランニングシューズのように「試さなければわからない」という商品の場合、そこが1つの購入のハードルになることだ。ゼビオはクロスポットで「お試し」をさせることで解決している。
 2つめがAIDMAのActionは初回の購入までは設計できるが、顧客の囲い込みの設計ができないことだ。スポーツ用品を買ってもらったら、使い続けてもらい、ソックスやスポーツドリンク、サプリメント、テニスならラケットのガット、ボールなど関連商品を購入してもらったり、商品の買い換えをしてもらったりしたい。だが、得てしてスポーツには三日坊主や挫折などが付きものだ。いかにして日常的に使用してもらい、さらにはロイヤル顧客になってもらうかを設計しなくてはならない。ランニングした後、さっぱりするという気持ちよさを提供するシャワールームで、ランニング後に気になる汗やカラダの臭いなどのネガティブ要因を払拭し、クロスポットをスタート&ゴールとするコースを日常的に利用してもらう。さらには、各種の教室、イベントでレベルアップしたり仲間を増やしたりしてロイヤルティーを向上してもらう。そんな仕掛けがクロスポットには用意されているのだ。

 上記を態度変容モデルで表すと、AMTULというモデルになる。A(Awareness:認知)→M(Memory:記憶)→T(Trial:試用)→U(Usage:日常利用)→L(Loyal:ファン化)である。ゼビオのクロスポットは単にお試しを獲得して購買を誌苦心するだけではなく、日常的に継続利用して囲い込む、ロイヤル顧客育成の戦略拠点として機能しているのである。

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2011.08.23

変化する食卓とキッチンの風景

 個食化の時代。働き方が多様化すると共に子どもの塾通いなどが増加し、家族の生活サイクルがかみ合わないことが多くなり、1990年代頃から家族全員で食卓を囲む機会が減少したといわれている。家庭料理を代替したのがファストフードやコンビニエンスストアの食品だ。個食の進行で、家族が揃ったときでも各々が好みの食事をすることもアタリマエになり、大鍋を家族で囲むのではなく一人ひとりが好みの鍋を食べるという「銘々鍋」の風景も珍しくなくなってきたという。家族そのものがいない世帯も増加している。日本の世帯数は、単身世帯の増加によって2015年までは人口減少とは裏腹に増え続ける見込みである。食卓の風景を一変させる大きな要因だ。

 個食対応の食品はとにかく手間がかからないことが肝要だ。和食ファミリーレストラン事業と冷凍食品製造を展開するキンレイが、<火にかけるだけの具材付き冷凍麺「お水がいらない すき焼うどん」>を発売した。同商品のUSP(Unique Selling Proposition=独自の提供価値)は、<水を加える必要もなく、専門店のような本格的な味を楽しめるとのこと。「節電」「時短」商品としてもおすすめ>(マイライフ手帳@ニュース)だという。

 家庭の変化はキッチンの調理器具の風景も一変させている。インターネット調査のマイボイスコムの調べによると、「電気ポット」所有率は40.2%。「電気ケトル」所有率は19.0%だという。つまり、4割以上の家庭が「お湯を沸かす専用調理器がない」のである。鍋で沸かすのかといえば、カップに水を入れてレンジでチンして沸かす派も多いのだ。

 使用調理器の変化に対応して、カップ麺の最大手・日清商品は「冷凍 日清 太麺堂々 辛味噌ラーメン」を発売した。
1971年、日本マクドナルドと同じ年に誕生したカップ麺のパイオニアブランドであるカップヌードルを持つ同社にとっては由々しき事態である。かつてはアーノルド・シュワルツネッガーが筋骨隆々肉体にヤカンを2つ持って体操を披露するCMが一世を風靡したが、そのヤカン自体が家庭から消えているのだ。
 市場の変化を狙って様々な企業が「チンする麺」を上市し、従来型のお湯を注ぐカップ麺の代替品としてシェアを切り取っていく。前出のキンレイも「お湯を加えてレンジでチンするだけで出来上がる」という「チンして食べてね!もっちり太麺の豚骨醤油らーめん」などのシリーズも発売している。売り切れが相次ぎ、話題となった日清食品の「カップヌードルごはん」も市場の変化に対応し、「電子レンジ対応商品」を開発するために誕生したと同社はホームページの開発秘話で明かしている。まずは「ごはん」で先行し、完璧を期して「ヌードル」に移行するというシナリオが見て取れる。「太麺堂々」は電子レンジ対応カップ麺でも牙城を築くための負けられない先兵なのである。
 進む個食化と簡便化によって変化する食卓とキッチンの風景。そこで生き残るためのキーワードは何か。

 フジッコの「おまめさん」。内容量が平均で160グラムある家族向け商品の「おまめさん」は、個食化が進んだ時代に合致しない商品となり、一時は売上が低迷。そこで、「食べきれる量目・食べやすい容器・そのまま食卓に置ける」をコンセプトに商品開発を進め、新製品を発売したところ、工場の能力が追いつかないほどの売れ行きとなった。
 定番中の定番ともいえる「ノザキのコンビーフ」も変化している。内容量を100グラムから1回使い切りサイズの75グラムに減じると同時に、缶のフタをゼンマイ状にねじって開けていくという伝統的な構造を変え、開けやすいプルトップの「イージーオープン缶」にした商品を発売した。
 単なるパッケージのデザイン変更は「付随的価値」の向上に過ぎないが、「一人前にピッタリのサイズ」や「開けてすぐ食べられる」と用いられ方に関わるものは「実体的価値」として訴求力が強い。また、「量が多くて余ってしまう」「開けにくい」等、消費者の購買棄却理由を抽出して最適化することも「手に取って買ってもらう理由」として重要だ。

 市場はどんどん変化していく。しかも残念なことに、かつての大量生産・大量消費の時代のようにカンタンでオイシイ話はなくなっている。変化をつかみ、先取りし、消費者に「買う理由」を提示し続けること以外には生き残る方法は見つけにくいのである。

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2011.08.21

ニンテンドー3DSの劇的値下げと任天堂の決意

 ニンテンドー3DSが8月11日に1万円の値下げに踏みきり、新価格15,000円となった。発売わずか5ヶ月での大幅値下げ。そこには任天堂のどのような意図が隠されているのだろうか。

 自社製品の価格(Price)を設定するには、3Cの視点が欠かせない。自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の要素である。
 まず、自社として、コスト積み上げて価格を考える。「原価志向」の価格設定という。自社で製品の生産にかかったコスト(固定費の償却分+変動費=原価)にいくら利益を上乗せしていこうかと考える方法だ。但し、商品は常に競合と比べられるため自社の都合だけでは決定できない。競合の視点も必要だ。「競争志向」の価格設定という。同種の製品特性を持つ競合商品がどのような価格設定をしているのかを把握し考慮する。さらに価格が顧客にとって妥当と受け取られるためには、顧客の視点が欠かせない。「需要志向」の価格設定という。「顧客がその製品にいくらまでなら払ってくれるか(どれだけの価値を感じてくれるか)」という考え方が「カスタマーバリュー(Customer value)」だ。

 値下げ前の3DSの価格は、主に自社の視点での設定だったといえるだろう。3D化に際してハードウエアの原価が上昇しただけでなく、従来のDSに対してOSを大きく進化させる必要があったため、その開発費を価格転嫁したと業界筋は解説していた。
競合価格に対して2万5千円という旧価格はどのような位置付けであったのか。裸眼で3D映像が見られるという機能は、大きく括ればグラフィック性能に属する。とすれば、ポータブルゲーム機でグラフィック性能に定評があるのはPSP(プレイステーション・ポータブル)である。価格比較サイト「カカクコム」で調べてみれば、同機種は最安値で14,100円となっている。3DSの旧価格との開きは1万円以上あることになる。競合になるのは他社製品だけではない。任天堂の従来のDSシリーズも消費者が「まぁ、3Dじゃなくていいか」と割り切れば競合になり得る。同カカクコムでDSiは最安値12,400円、大画面のDSi LLは15,980円だ。ここでも1万円前後の開きがある。
 最も問題だったのは何といっても顧客の視点である。値下げ効果で3DSの週間販売台数は21万台を超え、値下げ発表前の7月18~24日の販売台数である3万2381台から約6.6倍の増加を記録したとメディアが報じている。それは、2万5千円ではカスタマーバリューに合致していなかったことを証明しているのに等しい。

 任天堂は製品原価や開発費の負担か大きかったという事情があるにせよ、3DSに2万5千円という価格を設定し、「売れる」と踏んだわけだが、それにはどのような意図があったのか。
製品の価値を分解して明らかにする「製品特性分析」で考えてみる。ポータブルゲーム機という製品を手に入れることで実現したい中核価値は、「どこでもゲームソフトをプレイできること」ことであり、それを実現するために求められる実体価値は「持ち歩きに適したサイズや重量」と「快適な操作性」ということになる。中核価値には直接影響を与えないものの、あるとうれしい付随機能は、「通信機能」や「美しいグラフィック性能」などが挙げられるだろう。
 製品の価値とカスタマーバリューの関係を飲料で考えてみると判りやすい。飲料を購入することで実現したい中核価値は「喉をうるおすこと」だ。それは100円のミネラルウォーターで実現できる。さらに、喉をうるおしながら、「スッキリする」「美味しい味を楽しむ」という実体価値が実現できるなら、清涼飲料という製品に消費者は150円という価格、ミネラルウォーターより50円高い金額を払う。一方、喉をうるおすという中核価値と直接は関係ない、「痩せられる」「健康になれる」という価値を実現するトクホ飲料は189円という価格、89円高い金額で買われている。

 任天堂が当初2万5千円という価格で3DSを発売した意図は、単なるポータブルゲーム機というカテゴリーと一線を画す製品であり、自社のDSシリーズやPSPと競合となる存在としてはとらえていなかったのではないだろうか。中核価値として、どこでも裸眼で3D映像のゲームが楽しめるという機能を置いた。3DSで新たに搭載されたゲームしている間、常時他の3DSユーザーを無線探索して通信を行う「すれちがい通信」の機能が実体価値だ。(3Dポータブルゲーム機はまだ成熟期に達していないため、付随機能は付加しなくとも売れるという読みもある)。ところが、消費者にとっては3DSも単なるポータブルゲーム機の1つにしかすぎなかった。つまり、3D機能は、「あればうれしい」という付随機能として受け取られたため、そこに競合機種より1万円高い金額を払うことはしなかったのだ。

 1万円値下げで1万5千円に設定したことは、自社のDSi、DSi LL、競合のPSPと価格的に同じテーブルに着いたというだけではない。任天堂が3DSを特別扱いすることなく、あくまで「普通のポータブルゲーム機」として提供し、3D機能を実体価値に位置付けたことを意味する。これからもDSi、DSi LLの販売は継続するであろうが、自社のDSシリーズのメインストリームはあくまで3DSとし、「ポータブルゲーム機に3D機能が付いているのはアタリマエ」という訴求を展開していくと考えられるのである。

 別の側面でも検証してみよう。新製品の価格設定には高価格・高利益を目指す「スキミングプライシング(上澄み吸収価格)」と、低価格・高シェア獲得を目指す「ペネトレーションプライシング(市場浸透価格)」がある。スキミングは高価格でも受け入れてくれる支持層がいることを背景に、高い利益を得て開発費などの初期投資をできるだけ早く回収し、徐々に価格を下げてターゲットの裾野を広げていくことが基本だ。一方、ペネトレーションは利益ギリギリの価格でとにかく市場のシェアを自社で押さえて、競合に参入障壁を築くことが目的だ。利益は販売数を増して「規模の経済」と「経験効果」で原価率を低減して創出していく。3DSは当初、スキミング価格の戦略であったのを、一気にペネトレーション価格に転換したのだ。ゲーム機が普及しなければ、ソフトも売れず、ソフトが売れなければサードパーティーも開発してくれない。魅力あるソフトがなければゲーム機も売れないという悪循環を発生させないことを最優先したのである。ペネトレーションは販売数がさばけ、シェアが取れて原価低減効果が出なければオシマイな戦略だ。任天堂は今後、背水の陣で販売攻勢をかけてくることがもはや明らかである。

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2011.08.11

付録付き雑誌バブル崩壊!…では、どうする?

 有名ブランドのバッグなどが付録に付いた…というより、バッグに雑誌が付いているような形態の女性誌の売り上げがついに減速してきたという。その気になる原因と打開策を考えてみたい。

 8月9日付日本経済新聞に「付録付き雑誌品定め厳しく 部数、今年はマイナス基調に」という記事が掲載された。

記事によれば<出版科学研究所(東京・新宿)によると、雑誌全体の推定発行部数が5~10%のマイナスを続ける>という環境下で、女性向け付録付き雑誌は<昨年に前年実績を4%上回る月もあった。だが、今年1~6月の部数は8.6%減。7.8%減だった同期の雑誌全体の減少率を上回った>という。特にムック(不定期刊行物)に限っては<オリコンによると、昨年1~6月に25.1%伸びたムックの推定売り上げ部数も、今年同期間は3.4%減に。「付録付きの減少が全体を押し下げた」(オリコン)>と、雑誌界の救世主から、一転してブレーキ要因とされてしまっている。

 雑誌不況を乗り切るために、日本雑誌協会が付録の流通に関する自主規制を緩和したのが2001年のこと。その後宝島社がブランドとのコラボレーションを開発して「付録時代」に突入した。20代向け女性月刊誌「sweet」の昨年10月号は過去最高の115万部を記録したという。
 人気のヒミツは「価格」だろう。人気ブランド、高級ブランドのバッグやポーチなどが1000円前後で買える。しかも、ブランドショップには売っていない、その時時価手に入らないオリジナルだというからみんなが欲しがるワケだ。ブランド小物が1型100万個の数量を作ることはあり得ない。価格のヒミツは「規模の経済」が効いているからだ。そこに至って、1991年のバブル経済崩壊後、「賢い消費」を模索してきた消費者も、ついつい「付録バブル」に踊ってしまったわけだ。消費者の書籍・雑誌離れに悩んでいた書店も渡りに舟と一緒に踊った。従来書店に足を運ばない層を取り込むという趣旨で、「書店内書店」として「宝島社専用売り場」を宝島社が持ちかけ、昨年4月に福岡紀伊国屋、9月に池袋リブロが開催した。
 古い話だが、「仮面ライダースナック」などのヒーローモノのカードが付いたスナック菓子が流行した時代、カードが欲しくて菓子を捨てていた子どもがいた。「食べ物を捨てるなんて」と当時問題になったが、「付録バブル」に踊るオトナたちも、書店店頭で付録だけを取り出し、荷物になるからと雑誌本体の廃棄を依頼するケースもあったとメディアが伝えていた。

 いつか弾けると思っていた「付録バブル」がついに崩壊したという感が否めない。
 記事には「まとめ買いが減少」というサブタイトルがあり、<「何冊も購入する人が昨年より減った」>とのジュンク堂三宮店(神戸市)のコメントもあるが、<以前は雑誌なら色違いを揃えたり贈答用に買ったりする女性客が多かった。1人で20冊“大人買い”するケースもあったという>と、どうにも大人気ない、買い方があまりまともだったとは思えないのだ。「付録バブル」に踊っていた消費者が、ふとその夢から覚めたのだ。
 「女性客、目新しさ薄れ」とのサブタイトルもあるが、何よりバブルの夢から覚めたきっかけは東日本大震災にあるようだ。前出の出版科学研究所は<「もともと雑誌は衝動買いが多い。こうした消費行動に震災がブレーキをかけ、付録付きにも影響が及んでいる>と指摘する。

 一方で宝島社は依然強気のようだ。<「地方など付録付きの需要を開拓する余地はまだある」>とコメントしている。
 記事は<衝動買いを誘うカンフル剤としての付録効果はじわじわ薄れてきている。付録のみに頼らず、読者をつなぎ止めるコンテンツそのものの充実が、今後改めて問われることになりそうだ>と結んでいる。
 さて、宝島社の見込みと日経の読み、どちらが正しいのか。

 筆者は、「読者」「消費者」と市場を一律に見ることを改める時期にきているのだと考えている。その意味では、市場全体としての「飽き」は否めないが、「地方需要」は確かにあるだろう。なぜ、地方なのか。それは、都市部ほど簡単にブランドものやオシャレなものに触れる環境にないからだ。それが、近所の書店やコンビニで手に入れられるのだ。その新たな流通チャネルとしての役割に対する支持はまだ続くだろう。また、日経は「付録はあくまでオマケ、雑誌本体のコンテンツこそ商品」との立場であるが、宝島社の付録界初に対する力の入れようは「付録こそコンテンツ」との勢いだ。それをさらに強化するという方向性も否定はできない。

 具体的に考えてみよう。ターゲティング・ポジショニング・4Pをきちんと整合させて考えることがポイントだ。

【ターゲット】
 地方在住でオシャレ感度が高いが、都市部までなかなか出られない層。属性でいうと、時間的余裕が少ない主婦層がメインターゲットとなるか。
【ポジショニング】
 ちょっとしたお出かけ時に持ち歩けるオシャレグッズ。それが、最寄りの書店やコンビニで手に入るという利便性と、ブランドもの所有の自己満足の充足を提供してくれる存在。
【商品】
 雑誌の付録形態。但し、現在の「ただの袋物にロゴを入れただけ」ではなく、実体としての質感を向上させるなり、付随機能としての便利な機能を付加するなりの価値向上が必要。ここは宝島社のより一層の努力が必要。
【価格】現在より規模化できないため、価格上がらざるを得ない。また、価値向上も価格上げ要素。Customer Valueの上限いっぱいを見据えてプライシングが必要。ギリギリ2000円未満か。
【販路】
 書店及びコンビニに専用什器を設置。特にコンビニは客単価交渉に貢献してくれる商品を優遇するため、有望なチャネル。(チャネルのニーズとの整合)
【販促】
 店内POPや販売事前告知チラシ。

 最後に、まだまだ付録の支持が得られるという証左に消費者の声も紹介しよう。筆者と同年代の本家バブル世代の女性だ。「最近は向井くん表紙のMEN's non-noにビーサンが付録についてたのを本屋で見つけ買いました。喫茶店で25ansの次号付録に英国妃愛用のYSLの特製スカーフが付くことを知ったので25ansの来月号は買うつもりです」。ターゲットは地方・都市部というエリアだけでなく、年代というセグメントの属性ももう一度見直すことも再活性化のポイントであると考えられる。


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2011.08.08

サンリオ×エドウイン×土屋アンナのコラボは何を狙う?

 サンリオとジーンズのエドウインは、サンリオのキャラクター「クロミ」をモチーフにした子供服を土屋アンナがデザイン監修するコラボレーション商品「ANNA×KUROMI」シリーズを2012年春から展開するという。その狙いはどこにあるのだろうか。

 超肉食系で気っぷがいい姐さん。そんなイメージの土屋アンナは、サンリオキャラクターの「クロミ」とどこか似ている。赤いずきんをかぶったうさぎキャラの「マイメロディ」のライバル。黒いずきんを被った悪役キャラながら、どこかドジっ子で憎めない性格は、「バカでいる」という土屋アンナの座右の銘と共通するのかもしれない。
 そんなクロミをキャラクターとした子供服の監修を、2児の母でもある土屋アンナが担当。記者会見ではクロミのコスプレまで披露した。

 <サンリオとエドウイン、土屋アンナさんと「クロミ」がコラボした子供服を発表、「アンクロ」に扮した土屋さんが商品の魅力をPR>(8月6日マイライフ手帳@ニュース)
 http://www.mylifenote.net/009/110806pr.html

 土屋アンナはエドウインのイメージキャラクターも務め、愛用者でもあるとのことだが、注目ポイントは「子供服」という商品と、そのプライシングにある。

 今回のコラボ商品「ANNA×KUROMI」の価格は、ジーンズ4000~4500円、 Gジャン5000~5500円、Tシャツ2000~2500円というおおよそのレンジのようだ。この価格はターゲットである親のCustomer Value(支払ってもいいと許容できる価格)をズバリ狙っている。
 今日日ユニクロに行けば子供服ももっと安く買えるが、サンリオで、わざわざコラボ商品を買うのだ。それなりにこだわりを持って服を選択する顧客層か、ちょっとお出かけ用的な使用用途として購入するシーンだと考えられる。故に、競合価格としては、ユニクロのジーンズ(UJ)は3つの価格レンジの最上級が3980円なので、その少し上を狙える。
 少子化によって「6ポケット」という言葉も定着したが、価格が高すぎるのは厳禁だ。2000年頃、子供服としては一世を風靡した「ナルミヤ」の失敗が教訓となる。2000年当時の親は「DCブランド」で育ったバブル世代。その後、バブル以降に厳しい選択眼を磨いて、様々なブランドや価格帯をうまく組み合わせて着こなす世代が親になった。百貨店を中心とした販路を展開していたナルミヤとは、重要なKBF(Key Buying Factor=購買決定要因)の1つである受容価格が合わなくなってしまっていたのだ。その後、ナルミヤも手ごろな価格を設定したショッピングセンター(SC)向けの「ラブトキシック」、百貨店向けの「リンジィ」の2ブランドを投入している。

 中価格帯でちょっとこだわりのサンリオキャラクターとタレントとのコラボ商品が買えるという価値を、もう1つのコラボ元であるエドウインが提供しているわけだが、そこには明確な狙いがある。

 8月8日付日経MJに「ジーンズ市場 縮小続く 昨年度生産数9.3%減 6年連続前年割れ」という記事が掲載された。<ユニクロやジーユー、スーパー独自ブランド商品などは含んでいない>とあるが、それらに喰われたという原因が大きいが、もう一方で<チノパンや女性用のレギンスに追われた格好だ>とも記事は分析している。
 有名メーカーの一角であるボブソンの民事再生法適用申請は記憶に新しいが、記事でもダブタイトルに「販売戦略 各社に変更迫る」とある。その一例として、リーバイスは<総合スーパー向けが中心だった低価格品から撤退し、1万円以上するジーンズに経営資源を集中。市場全体が縮小するなか、売り上げをいったん減らしてでも、粗利益の高い商品に特化することで利益の改善を目指している>とある。高価格、プレミアム戦略での利益改善は1つの解であるが、その反面、ニッチなポジションになってしまうという面は否めない。

 同記事は<ジーンズは団塊世代と20代までの若年層が中心購買層。これらの世代に対し、新しい販売促進策を打ち出すなど業界全体の活性化が求められている>と結ばれているが、エドウインが「ANNA×KUROMI」で狙っているのは購買層から抜けた30~40代の親だ。ナゼなら、親の「ジーンズ離れ」は子がジーンズに親しむ機会の喪失も意味するからだ。このままでは次の20代はジーンズを着用せず、ジーンズは「老人の服」になってしまうかもしれないのである。また、「将を射んと欲すればまず馬を射よ」。子どもが「カワイカッコイイ」ジーンズを身につけたなら、その親もおそろいにジーンズでキメたくなるかもしれない。そんな期待も当然、込められているに違いない。

 コラボブランド「ANNA×KUROMI」は、「手が届く価格」を実現し昨今の子供服が売れる条件を満たしつつ、次世代ユーザーを育成し、購買層からスッポリ抜けてホワイトスペースとなっている30~40代の呼び戻しを狙った戦略であると考えられるのである。

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2011.08.05

定石を考える:リーダーの戦略とチャレンジャーの戦略

 8月5日付日経MJに注目すべき2つの事例が掲載されていた。ミツカンの「ぽんジュレ香りゆず」と、キリンビールの「アイスプラスビール」だ。いずれも話題の商品だが、その開発の背景に注目してみたい。

■リーダーの戦略:ミツカンの「ぽんジュレ香りゆず」

 同日の日経MJの一面は「ぽん酢ジュレ新市場かける 三つ巴の戦い“開蓋”」という記事であった。2010年の夏にヒートアップした「食べるラー油ブーム」。その後、にわかに注目が集まっている新形態調味料の大本命と思われるのがゼリー形態に加工されたぽん酢。「ぽん酢ジュレ」である。ヤマサ醤油、ハウス食品、ミツカンの3社が熱きシェア争奪戦を繰り広げる。
 先陣を切ったのはヤマサ醤油。2月15日に発売を開始したが、震災で出荷を休止し、7月13日に再出荷となった。続いたのはハウス食品で、2月21日発売で同様に8月1日再出荷となっている。それに対して明らかに異なる動きをしているのがミツカンである。8月19日に初めて出荷を予定している。
 記事によれば、ハウスは多様化する調味料市場の中、消費者が冷蔵庫の調味料棚のスペース確保のため選択をはじめるとの予想に基づき、「冷蔵庫内シェア確保」のために「単一目的ではない汎用性の高い調味料の開発」を目指したという。それに対し、ヤマサ醤油は醤油の消費量減少に対し、第2の柱である、ぽん酢の「使用用途拡大」を目指して開発をしたという。
 「定石」から考えると、ここに1つのイレギュラーケースが見て取れる。製品の使用用途を拡大して市場を拡大すると、最も得をするのは誰か。それはシェアが最も高い「リーダー」だ。リーダーの戦略の1つに「周辺需要拡大」がある。かつて、歯磨き粉シェア1位の企業は「ランチ後にも歯を磨きましょう」と提案することによって、他社の売り上げも増えるが、シェアに比例して自社の売り上げが最も高くなる。では、ぽん酢のシェア1位はどこかというと、ミツカンである。ヤマサ醤油は醤油業界共通の悩みである、醤油消費量の減少という背水の陣で、他の醤油メーカー同様に別カテゴリー商品開発を図ったのだ。ある意味、覚悟の上で「パンドラの箱」を開けたのだとも考えられる。
 ミツカンがその好機を見逃すはずがない。別のリーダーの戦略の1つに「同質化戦略」がある。下位のプレイヤーと同様な商品を開発し市場に投入。強大な販売力でポジションを固めてしまうのだ。飲料の例では大塚製薬の「ポカリスェット」に対する日本コカ・コーラの「アクエリアス」が有名だ。記事にはミツカンは<「競合2社が出たことで、市場の将来性に着眼」>したと、開発担当者のコメントが掲載されている。ミツカンが行ったのは同質化戦略の中でも「改善同質化」というものだ。その改善点が記事にある。先行2社の商品はメニュー提案の載った袋をむくとボトルが裸の状態になる。<「袋を捨ててしまうと、ぽん酢ジュレを何に使ったらいいのかわからなくなる」>という問題点を、ゼリー飲料などに使われる口栓付きパウチ容器を採用し、容器の両面にメニューを印刷した。また、<パックの上からもむことで好みの堅さに調節できる>という特性も加えたという。

■チャレンジャーの戦略:キリンビールの「アイスプラスビール」

 キリンビールの「アイスプラスビール」は「氷を入れたグラスに注いで飲むビール」だ。7月に発売を開始したが出足好調であるという。
 ビール、発泡酒、第3のビールを含めたビール系飲料のシェアは、近年アサヒとキリンがトップ奪取を繰り返しているが、「ビール」に関しては「スーパードライ」が牙城を築いて以来アサヒがトップを保っている。通常であれば、市場縮小で最も困るのはシェアが高いリーダー企業だが、僅差のシェアを持ち、市場が予想以上に急速に縮んで困るのはキリンも同じだ。記事には<ビール系飲料市場は若者のアルコール離れなどから6年連続で過去最低を更新。需要回復に向けた新たな切り口を求めていた>という開発の背景があるという。しかも、このビール、恐らくアサヒは決して作ることはできないのである。
 アサヒが技術的に作れないのではない。これは、キリンがチャレンジャーの戦略である「理論の自縛化」を仕掛けているのである。
 アサヒはキリンに圧倒的にビールのシェアの差をつけられていたが、1987年に「スーパードライ」を発売し、それまでビールの「うま味」や「コク」を訴求していたキリンに対し、「辛口」「キレ」という新しい概念をぶつけて消費者の関心を引きつけ、大成功を手にした。翌年、キリン、サッポロ、サントリーのビール各社も同様な切り口を持った製品を市場に投入し、「ドライ戦争」が勃発した。しかし、各社とも急速な訴求の方向転換ができずドライ戦争を制したのはアサヒであった。リーダー企業が今まで発信してきたメッセージと異なることを訴求し、方向転換を封じるチャレンジャーの戦略を「理論の自縛化」という。
 その後、アサヒはビールではシェア1位となったが、キリンの復讐は発泡酒、第3のビールというカテゴリーが誕生したときから始まった。販売価格の低いカテゴリーの商品とカニバリゼーション(共食い)することを嫌い、アサヒはビール以外では積極的に「キレ」というキーワードを使っていない。それに対し、キリンは「淡麗生」などの商品で徹底して「キレ」や「スッキリ」を訴求しているのだ。シェア1位となったことで、逆に「理論の自縛化」をかけられたのである。
 キリンビールが「アイスプラスビール」で仕掛けた「理論の自縛化」は、その味だ。記事には<氷を入れれば味が薄まるため、まずは濃い味設計を目指した。だが、通常の濃いビールでは苦みを感じてしまう>そこで、「甘み」を出す工夫をしたとある。<最終的に「エール」と呼ばれる、英国で親しまれるタイプの発酵法を採用し、甘く複雑な香りを強調した>という。つまり、「キレ」や「スッキリ」とは全く異なる方向性だ。
 氷を入れて飲むビールは過去にサッポロビールも開発している。1988年発売の「オン・ザ・ロック」。氷に負けないアルコール度数9%というパンチの効いた商品だった。冷蔵庫で冷やしていなくても、氷に注げば冷え冷えで飲めるというメリットも訴求したが市場に定着するには至らなかった。しかし、2009年以来のハイボール人気、氷を入れて飲む「かち割りワイン」も居酒屋では人気を集めている。記事には<日本酒に氷を入れて飲むスタイルが拡大しているのに着目>したという背景もある。キリンビールの「アイスプラスビール」は市場の追い風をリーダーが受け止められない好機を活かした商品なのである。

 戦いには「定石」がある。もちろん、「勝負は時の運」という言葉もある通り、いつも定石通りに行くとは限らないが、自らの状況を打開する策が見えてきたり、相手の出方がわかったりする場合もある。今回の2つの事例以外にも、市場ポジションを活かした戦いは展開されている。そこから自社のポジションに適合したパターンを学ぶこともいいだろう。


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2011.08.04

外食店の店頭はどう変わる?:とんかつチェーンの挑戦!

 低価格のとんかつ店「坂井精肉店」を展開する「ユナイテッド&コレクティブ」が、相次いで施策を展開し、さらにその狙いを絞り込みはじめた。同社にはどんな風景が見えているのだろうか。

 日経MJに低価格のとんかつ店「坂井精肉店」を今夏中に加工工場を新設し、店舗数を2012年2月までに首都圏で32店、当時の2.5倍に増やすという記事が掲載されたのは、4月27日のこと。とんかつはアークランドサービスが展開する「かつや」などのチェーンもあるが、高コストになりがちで低価格が実現できず、チェーン化しづらかった業態だ。そのため、気軽なランチメニューとしては牛丼などに圧されて存在感が希薄だといえるだろう。
 それに対し、坂井精肉店は、「ソースかつ丼390円」という低価格メニューを実現した。KSF(Key Success Factor=成功のカギ)はセントラルキッチンの導入と、大量購買、テイクアウトが多い住宅地近隣立地出店で、低コスト・高回転を実現している。

 8月3日の日経MJにはさらに新展開の記事が掲載されていた。新たな屋号は「サカヰ精肉店」。住宅地の駅前などで展開するモデル店としての展開だという。従来の「坂井精肉店」でもテイクアウトには前述の通り実施していたが、一度店内に入って購入する必要があった。それを、店外に向けたショーケースによって、通行客が気軽に総菜や弁当を帰るようにしたのだという。

 実は、「サカヰ精肉店」の例だけでなく、昨今、住宅地駅前立地の外食店はこのスタイルを強化している。筆者の地元でも、店外ショーケースを設けた焼き鳥店と鶏唐揚げ店が相次いでオープンした。その狙いは明確だ。つまり、店内で提供する既存メニューを、店内に取り込めない新規顧客に販売しようという「新規顧客×既存商品」の成長戦略である。
 テイクアウト客は店にとってオイシイ。売上=客数×客単価であり、客数は飲食業の場合、客席数とその回転数によって決まる。しかし、テイクアウト客はその席数のカウント外で売上をもたらしてくれるのである。
 「サカヰ精肉店」はさらに一段上の狙いを持っている。「坂井精肉店」では、価格を約600円に抑えたハンバーグの定食を提供していたが、「サカヰ精肉店」ではハンバーグメニューを強化し、和牛と白金豚を使った「金のハンバーグ」をとんかつと並ぶ目玉にするという。価格は何と、200グラムで1,092円。

 しかし、坂井精肉店は低価格で勝負するハズなのに、1,092円のハンバーグとはどういうワケだ?という疑問が湧く。そう考えると、「サカヰ精肉店」はターゲットとポジショニングが異なるのではないかと考えられる。事実、記事には<坂井精肉店の路面店は好調なため、従来のまま営業していく方針。ただ、首都圏の住宅地の駅前などでは、客層を広げる余地があると見込む><子どもに人気のあるハンバーグにも力を入れ、家族連れなど新たな顧客を獲得したい考えだ>とある。つまり、「新規商品×新規顧客」の成長戦略である。
実はこのパターンは、ニーズが明確になっていない顧客を相手に、従来と異なる商品に手を出すという、最もリスクの高いパターンである。しかしこの場合は、同じセントラルキッチンでの調理による「生産シナジー」と、既存の店舗を使った「販売シナジー」が効いていて、原価低減が図れているのがポイントだ。

 「サカヰ精肉店」は、<まず5店舗を出し、営業状況を見た上でフランチャイズチェーン(FC)での展開に乗り出す>と記事にあるが、もう少し考えると、店頭ショーケースによる「客数増加」と、この「金のハンバーグ」もテイクアウト化することによる「客単価増加」が切り札になって行くように思われる。顧客インサイトとしては、「店で食べるとドリンクやサイドメニューなんか頼んで高くついちゃうけど、持ち帰りだと単品買いだから、どうせならいいものを買っちゃおう!」という気持ちになる。一方、店としてはクロスセリング、アップセリングの機会を失うが、前述の通りテイクアウト客は客席を埋めない超高回転客なので、オイシイ客なのだ。

 従来から「中食需要」は高まっていたが、3月11日の大震災以来、「家族と一緒にいる時間を多く取るようにした」「夕食は家族と食べる」などという層の拡大が各種のインターネット調査で浮き彫りになっている。記事写真には東京都世田谷区経堂の店舗が映っている。従来の「坂井精肉店」を改装したものだというが、キャプションには「持ち帰りコーナーにはショーケースを設け、店外から帰るようにする」とあるが、3段の棚がついたガラスケースは本当の精肉店、肉やとんかつ、コロッケなどを売っているお肉屋さんのようである。こうした、飲食店と総菜店のハイブリッド型で、外食客と中食客を同等の比重で狙う店舗は今後も数多く登場するように思われる。「ユナイテッド&コレクティブ」の「サカヰ精肉店」はその先頭を走っているのだろう。

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2011.08.03

「国内最小・超豪華高速バス」は誰がためにある?

 8月2日の日経MJに新型の高速バスが紹介された。今年4月から東京都徳島を結んで運行している、海部観光のマイ・フローラ。大型バスであるにもかかわらず、全12席と「国内最小」なのだという。誰が、どのような目的で利用するのか。そして、提供する企業の狙いはどこにあるのだろうか。

■「5つの力分析」で考える「格安徳島交通路線市場」の環境

 リーマンショック以来のデフレ不況によって企業は地方拠点を相次ぎ縮小し、東京・大阪2大拠点体制に移行する例も少なくない。地方への出張需要は増加する。一方、個人の旅行需要は「安・近・短」が顕著になっているが、遠距離の移動であれば「安い」ことが重要視され、航空機なら早期予約割引の利用が進んでいる。しかし、航空機では発着便数、高速バスも路線が限られており、需要を供給が満たしきれていない状況だといえる。つまり、「買い手の交渉力」は弱い。
 航空機だとJALもANAも早割なしの正規料金なら片道31,800円。(以下、比較は全て片道)。それに対し、ANAの25日前まで予約の旅割は12,770円、45日前までのスーパー旅割は9,970円とかなりお得だ。高速バスなら、JR四国バスのドリーム号は9,800円、海部観光マイ・フローラは12,000円と、航空機と同等。フェリーなら、オーシャン東九フェリーは2等客室が10,200円だ。航空機、高速バス、フェリーの料金が9,800円~13,000円の範囲に収まって拮抗している状態で、「業界内の競争」は激しいといえる。
 「代替品の脅威」に関しては、上記に含めなかった鉄道は、新幹線のぞみと特急で18,920円となり、所要時間は約6時間30分と、時間がかかる割に高い感じが否めない。また、自家用車利用の場合、高速料金だけで20,800円なので、人数がある程度まとまらないと明らかに割高になる。つまり、ここで「格安徳島交通路線市場」は、あくまでメインは航空機、高速バス、フェリーを中心に考えれば代替品になり得るものはなく、「脅威は少ない」といえる。
 「新規参入の脅威」に関しては、国内でも格安航空会社・LCCが設立された動きがあり、また、高速バスは車体以外の初期投資が少ないため参入障壁が低いことなどから、具体的な動きは未知数ながら「中程度」と考えるべきだろう。
 調達に関わる「売り手の交渉力」では、燃料高などが主な心配だが、それ以外には大きな要素が見当たらないため、「中程度」と考えられる。
 以上のことから、「5つの力分析」で考えれば、「格安」という武器を持って航空機、高速バス、フェリーが戦っているが、代替する要素も特になく需要も供給以上にありそうなため、概ね魅力的な市場であることがわかる。

■顧客は誰なのか?

 航空機、高速バス、フェリーが戦う市場であるが、各々が本当に競合しているのかを、ユーザー視点でまずは検討してみる必要がある。
 前述の通り、企業は地方拠点を相次ぎ縮小しており地方への出張需要は増加している。徳島も例外ではないと思われるが、その時「格安」が使われるかは疑問だ。出張の予定は直前に決まることも多く、早期割引は使えない。かといって、労働環境の遵法性が重要視されている中、高速バスを使うと移動時間に50%増の深夜残業代を支払うことになって高くつく。所要時間約19時間のフェリーは論外だ。だとすると、企業が業務目的・会社負担で社員を移動させるというケース(BtoB)は「格安徳島交通路線市場」のターゲットになり得ない。あくまで「個人客(BtoC)」であると考えられる。
 では、その「個人」にはどんなパターンニーズがあるのだろうか。個人旅行者は旅行のスケジュールをかなり前から決めているだろう。故に、航空機の早期割引の利用が主となるだろう。しかし、航空機で最も早い到着はJAL便なら8:50着の朝便だが、羽田発7:40と空港までのアプローチを考えたらかなり辛いものになる。朝から行動したいなら前泊が必要であり、ホテル代がかかる。そうなると、限られた時間と予算を有効に使おうと思った時には、移動が深夜で早朝に市内に到着する高速バスが威力を発揮する。(フェリーは13:20着なので、のんびり派向き)。
 個人で見逃せないのが、「自腹帰宅派」だ。企業の地方拠縮小という流れもあるが、単身赴任者も残されているのも確かだ。単身赴任者には企業から月1回程度、週末、東京の自宅に戻る交通費手当が出る場合も多い。しかし、月2回程度帰りたいと、自腹を切る単身赴任者も多い。そうした「自腹帰宅派」にはどのようなニーズがあるのだろうか。

■「3C分析」で「自腹帰宅派」のニーズを浮き彫りにする

 顧客(Customer)に注目してみよう。ターゲットを上記の「自腹帰宅派」とした場合、まず、航空機の早期割引を使いたいところだが、週末も業務が入ってしまうため、なかなか思い切って予約を入れられない人も多いだろう。一方、高速バスはどうしても窮屈だ。金曜の夜、仕事を終えて土曜の朝に帰宅して家族サービスにいそしむ。また、日曜の夕食を家族で一緒にとって、月曜の朝には元気に出社するためには、「移動中の快眠」というニーズの充足が欠かせない。KSF(Key Success Factor=購入要因)は「航空機の早期割引と同等の価格で、時間が有効に使えて、快眠できること」である。
 競合(Competitor)の動きはどうだろうか。JR四国バスのドリーム号は9,800円に+2,300円でプレミアムシートが設定されていて、シート自体の仕様に大きな違いはなさそうだ。しかし、3列仕様であり個室的快適性はない。「もっと快適性を!」というニーズギャップはありそうだ。
 では、自社(Company)はターゲットのニーズをすくい取れるのか。活かすべき強みは何か。実は海部観光の会長は元バス運転手で、「いつかゆったり移動できるバスを作りたかった」というビジョンを持っていた(読売テレビのインタビューより)。その意味では、マイ・フローラの仕様は現場で顧客のニーズに長く触れてきた、会長ならではのビジョンの実現である。
 日経MJの記事でインタビューに答えている人が如実にそれを示している。<「他の交通手段よりも快適で熟睡できる」。7月の中旬の夜、東京駅近くで乗車した東京・江東区の男性公務員(40)は、今回が3度目の利用。座席にゆっくり横たわり、単身赴任先に向かった>
問題は、本当にそれで収益が上がるのかということだ。試算してみると、収益は12,000円×12席(満席)=144,400円。支出は、高速料金は20,800円。軽油はリッター127円として、距離870Kmを燃費リッター10Kmで走ったとして約11,000円。人件費は税込み年収400万円×法定福利費30%の乗務員2名が平均月15日乗務したとして1回(片道)あたり58,500円。原価合計約9万500円。粗利53,500円。
 試算にはバスの減価償却費と保険料を含んでいないが、他に固定費として大きいのは広告費だ。その点、「マイ・フローラ」で検索してみれば、多数のメディアに取り上げられていることと、口コミが多数発生している。また、海部観光には東京・徳島だけでなく多数の路線があることもわかる。つまり、マイ・フローラが収支トントンであったとしても、波及効果が大きいと考えられるのだ。

 今回は高速バス・海部観光のマイ・フローラを題材に、市場の環境→顧客とそのニーズ→競合優位と自社の戦略・ビジョン及び収益性との整合性を検証してみた。こうしたマーケティング分析のキモは、「詳細に分解して考えること」と「ターゲットとそのニーズを明確にすること」である。分析結果の正否は筆者の「勝手分析」であるため定かではないが、一連の流れを参考にしていただければ幸いだ。

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2011.08.01

「価格設定」と「売上」に関する3つの事例

 マーケティングマネジメント全体の中でも価格戦略(Price)は重要な要素だ。製品(Product)を作る、販路(Place)を構築・維持する、広告・販促(Promotion)を展開する。マーケティングの具体的施策は全てコスト要因である。それ故、価格戦略を失敗すると、利益を生むことができずコストも回収できないことになるからだ。

■値下げ原資はどこから捻出する?:キューピーの場合

 キユーピーは、9月1日から、咀嚼・嚥下能力が低下した高齢者向けの家庭食のうち20品について、小売価格を200円から180円へ引き下げると発表した。同社が家庭用高齢者食を初めて発売したのが1998年のこと。翌1999年に「キユーピー やさしい献立」としてブランドを立ち上げ、アイテム数を増やし現在49品目を数えるという。
この間、販売店舗数の増加・通信販売の強化を図り、身近な場所で購入できる環境を整えつつ、経済的な負担も考え、毎日使えるように価格の引き下げも行ってきた。2010年には20品を250円から200円へと引き下げた。この結果、物量・売上ともに伸張し、2011年度の物量は前年比140%で着地する見込みだという。さらにこの秋、より一層のコストダウンを図り、200円から180円へ引き下げる。(以上、7月30日マイライフ手帳@ニュースより抜粋)

 価格設定には自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つのCの視点が必要だ。その意味では、キューピーの狙いは明確である。自社が市場を広げ、さらに値下げによる売上伸長の実績を元に、顧客がさらに手を出しやすい100円台とし、競合の台頭を抑えこむ戦略であると思われる。低価格に設定して市場のシェア押さえる価格戦略を「ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)」という。スケールメリットを活かして原価を低減し利益を捻出する一方、競合に対して低価格で参入障壁を築くのである。
(逆に高利益率を狙うのは「スキミング・プライシング(上澄み吸収価格)」という)。
 値下げは報道にある「コスト削減効果」だけで決定したわけではない。“利益=売上-コスト”なので、当然、売上増も見込んでいる。また、“売上=客数×客単価”なので、低価格化でターゲットとなる購入層を広げる狙いもあるのだ。

 上記の例では、利益=売上-コスト、売上=客数×客単価という最も基本的な考え方で考えたが、モノゴトはもっと分解して考えることによって問題点やチャンスが見えてくる。商品の価格・単価だけではなく、売上を分解して考える事例をみてみよう。

■「売上」を分解して考える:伊勢丹の場合

 大震災とその後の原発事故による節電は、各産業の業務のあり方を一変させてしまった。それは百貨店も例外ではない。伊勢丹は8月に首都圏の3店舗で定休日を復活させ、新宿本店も4日間休むという。節電のためだけではない、業界に先駆けた動きの狙いを「お客sまの話をきちんと聞いて接客時間を長くするため」と同店の店長が日経MJの記事で応えている。
 同記事には以下の記述がある。<交代で休んでいた従業員が一斉に休むことで、逆に営業日の店員数は大幅に増える。これを目に見える形で接客力の向上につなげ、「客単価を引き上げたい」と意気込む。定休日を作れば売上高が減るという指摘に対しては、「これまで百貨店は営業時間を長くしてきたが、売り上げ増にはつながらなかった」と断じる。>

 売上高を分解して考えれば、=営業日×来店客数×購入率×客単価である。
 今までは営業日数を無理して増やし、営業時間を延ばしてもきちんと顧客のニーズを充足させる接客ができずに、「欲しいものが見つからない」などの理由から「購入率」が低くなり売上増にはつながらなかったというわけだ。それを、「営業日の店員数は大幅に増える」ことを活かし、本当に顧客の琴線に触れる対応と、それを「価値」と感じる客層の集客し、営業日数減少、来店客数減少を購入率と客単価向上で補おうという狙いなのである。

 価格戦略(Price)はいわゆる4P=マーケティングミックスの4つのP要素の1つである。故に、単独で考えることは無意味だ。次に新たなターゲットを設定する場合のプライシングとその他のPの要素の整合性における事例を見てみよう。

■ターゲットとの整合性を考える:高島屋の場合

 百貨店業界のもう1つの事例を見てみよう。
 日経MJの記事によれば、高島屋は「ジェシカ・シンプソン」という米国で20代の女性に人気のシューズブランドを9月から独占販売するという。その意図は顧客層の「若返り」だ。忘れがちな「顧客も歳を取る」という事実。顧客の高齢化を回避するための施策である。ミソはプライシングだ。パンプス1万5千円、ブーツ2万7千円とターゲットにあわせた手頃な価格を設定している。
 整合を図っているのはターゲットと価格の関係だけではない。同ブランドは日本においてはま認知度が低い。そのため、一部セレクトショップにも扱いを依頼し認知促進を図るなど、顧客接点を確保し、販路(Place)としつつ、口コミを発生させ販促(Promotion)の効果も狙っているのである。ターゲットの購買と情報取得の行動を考慮し、整合性を図った施策であるといえる。

 デフレによる不景気や震災の影響から消費は思ったより早く回復しているといわれている。しかし、急速に進んだ円高など、まだまだ先行きには不透明感が伴う。そんな環境下においては、価格も売上も利益も分解して整合性を図り徹底して考えるしかないのだ。


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