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2011.06.22

メローイエロー&スプライト復活のナゼ?を考える

 コカ・コーラシステムのニュースリリース(6月21日付)によると、<1980年代に人気を博した炭酸飲料として、シトラス系のフレーバーでなめらかな味わい、そしてほどよい炭酸が心地よい「メローイエロー」を2011年6月27日(月)より、そしてクリアで爽快な飲み口、キレのあるレモンライムテイストと強炭酸が特長の「スプライト」を2011年7月25日(月)より、それぞれ全国で発売>するという。今ナゼ、リバイバルブランドを引っ張り出してきたのか。その背景と狙いを考えてみよう。

 6月22日付の日経MJに1971年以来、年2回恒例となっている「ヒット商品番付」が掲載されている。しかし、今回は異例ずくめだ。何といっても、東西の横綱が不在なのである。<バブル崩壊直後の1991年以来、約20年ぶり>のことだという。
 同紙によれば、<東日本大震災で新製品の発売が相次いで中止になったり、延期されたりしたため>だという。そして<三役以上(横綱、大関、、関脇、小結)をはじめ、震災がらみの商品・サービスが上位を占めました>という結果となっている。

 震災の影響は飲料業界も直撃した。ミネラルウォーターの需要が高まり、サントリーは3~4月は例年の1.5~1.6倍の出荷体制を組んだという。(3月29日・msn産経ニュース)しかし、<ミネラルウォーターの急激な需要の伸びに、ペットボトル容器のほか、ラベルに使うフィルム、キャップといった資材の供給が追いついていない>(同)という状態が続いた。資材が足りない。足りた分はミネラルウォーター優先。当然、清涼飲料の新発売は先延ばしされる。

 震災の影響から様々な業種が脱してきた中、今月に入ってようやく飲料業界にも新発売のニュースが戻って来つつある。筆者も先週末から今週にかけて、「ペプシドライ」と、「ウィルキンソン ジンジャエール 辛口」の記事を伝えた。サントリーとアサヒ飲料の肝いりの新商品である。では、飲料業界第1位の日本コカ・コーラはどう動くかと見ていれば、「メローイエロー」と「スプライト」のリバイバルであった。
 メローイエローは日本では1983年に販売開始。松居直美を起用したCMのキャッチコピーは「とっても訳せない味」だった。2006年には検索サイトgooのgooランキングにて、「もう一度飲んでみたいソフトドリンクランキング」第1位となった経緯があるが、それを遡る2年前、2004年にセブンイレブンよりファンタとともに復刻版が発売されている。(Wikipediaの記述)。スプライトは現在も発売中で今回はリニューアルであるが、そのポイントは<日本初登場時の緑のガラス瓶をモチーフにしたラベルデザインとロゴマークに変更>(リリースより)とある。

 過去にリバイバル発売を行い、再度復活を望む声も高い「メローイエロー」。そして、発売中のスプライトはパッケージ変更でメローイエローに年代を合わせるように80年代のパッケージにリニューアルをする。そこに、巷の話題をさらおうという意図が見える。

 飲料業界第1位のコカ・コーラの力の源泉は日本に設置された飲料自販機、約290万台のうち98万台を保有しているというカバレッジの広さだ。自社で自由に製品を置くことができる自販機の特長を活かして、日本コカ・コーラはコーヒー、ミネラルウォーターや茶系飲料、清涼飲料とバランス良くオールラインナップを揃えている。赤い自販機にずらりと揃ったその商品の彩りは、他社に比べ圧倒的に美しくすらある。
 そんな日本コカ・コーラにとって、1商品をリバイバルさせたり、現行商品のパッケージをレトロ調にしたりということは、全体戦略にとって本来あまり意味はない。商品はあくまで、自販機の中で「面」を構成する1要素であるからだ。

日本コカ・コーラが今回のリバイバルを決めた背景の1つは「自販機の節電」ではないだろうか。
 <清涼飲料各社が今夏、東京電力管内にある自動販売機を対象に、時間をずらしながら冷却機能を止める輪番節電に取り組む。最大手の日本コカ・コーラは15日、6月下旬から約25万台で実施すると発表した>(4月15日日本経済新聞)
 自販機は従来から節電対策として電力ピーク時の13時から16時までは冷却運転を止めていたが、さらにその前後で冷却停止時間を延長する。そのため、最大で6時間冷却が止まる自販機も出る。実際上、自販機は断熱性が高いため、商品温度に大きな影響はないとされているが、買う側の気持ちとしては節電で暑さが身にしみる中、少しでも冷え冷えの飲料を求めたくなる。となると、自販機での購入を忌避する動きも出てくるかもしれない。
 日本コカ・コーラは業界の中でいち早く「他社よりも高い33%の節電を行う」と発表をしている。その一方で、コンビニという販路の重要性が増しているのだ。

 コンビニだ。飲料の販売チャネルにおいてその重要性はどんどん増しており、飲料全体における自販機の販売シェアはかつて50%台だったのに対し35%に低下。コンビニは25%と自販機に迫る勢いとなっている。
 「面」の自販機に対して、コンビニは飲料棚フェイスを獲得する「点」の戦いだ。1つ1つの商品力が求められる。また、話題に乗り遅れ、売れなくなった商品は容赦なく棚から外される。そんな「単品勝負」の厳しいコンビニの売り場でまず求められるのは、話題になる商品、手に取って買ってもらえる商品だ。そうした商品を用意してプレゼンスを発揮してこそ、定番のコカ・コーラや爽健美茶という安定した売上を作り出す商品に加えて、今後新しく発売する商品の棚も確保してもらえるというものだ。

 メーカーにとっては消費者の手前に「販売チャネル」という名の顧客が存在する。リバイバルの要請もネットのアンケートで高い商品。そして、懐かしいボトルの商品。それらはコンビニチェーンのマーチャンダイザーとコンビニのFCオーナーにアピールすること間違いなしだ。そして、飲料の棚に並び、今日ではコンビニの主要層ともなっている中年顧客が購入していくのである。

 モノが売れるしくみ。それを作り出すには、現在の環境がどのように変化しているのか。そして、モノがどのような人の意思決定と手によってデリバリーされ、最終消費者の手に渡るのかという視点が欠かせない。
 懐かしのメローイエロー&スプライトが、どのように消費者の手に取られ、売れていくのか、ウォッチしてみたい。

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