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2011.05.25

迫り来る8×4の脅威!シーブリーズ逃げて~!

 「マネっこ」をすると先生に叱られたり、友達に嫌われたりする。それは子どもの世界の共通認識でありルールだ。しかし、生き残り競争に支配されたビジネスのルール、オトナの世界では必ずしもそれは通用するものではない。

 「シーブリーズ」と聞いて「夏!」や「サーファー」などというキーワードが思い浮かんだら、ちょっと中年の証拠かもしれない。1969年に日本で正式発売され、1982年に外資系医薬品会社のブリストルマイヤーズスクイブがブランドを獲得、翌年にテレビCMが放映され若者の人気に火が付いた。シャンプーから始まり、デオドラント製品(パウダー入りローション)を展開したのは96年のこと。しかし、徐々に売上は低迷し2000年に資生堂に事業譲渡。ブリストルマイヤーズスクイブ社は本業とのシナジーがないため、同時にパーソナルケア事業を閉鎖した。
 一方、資生堂はシーブリーズの従来のターゲットとポジショニングである、「若い男性」「夏」「サーファー御用達」から、大胆に「女子高生」「恋の気分」にシフトし、微妙なオトメゴコロに対応できるよう香りのバリエーションを多数拡大し、同時に「通年対応」も実現した。今日では女子高生の定番ブランドであるといっていい。

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 シーブリーズに危機が迫っている。デオドラント製品の大定番、「8×4」だ。
 1974年にドイツの化粧品会社の製品を技術提携し、花王(ニベア花王)が日本市場に展開。今日に至るまで、パウダースプレーやロールオンタイプを基本として様々な製品バリエーションを市場に送り込み、常にマイナーチェンジを繰り返している。
 写真はあるドラッグストアの棚の写真だ。右がシーブリーズ。左が8×4そっくりだ。
 8×4は今年3月に発売された「デオウォーター」という製品である。花王は石けんやシャンプー、洗剤、柔軟剤などに用いている、「香りが長続きする」という得意技、「はじける香りカプセル」も用いてシーブリーズのシェアを切り取り、定番のポジションを奪取する意欲満々であることがうかがい知れる。

 業界№1のポジションにある「リーダー」の基本戦略は「全方位戦略」である。大きな市場シェアを誇り、強大な商品開発力や販売力を背景として、全方位的に戦い方を展開する。その戦略パターンの一つが「同質化」である。
 リーダー以外の企業がヒット商品を開発したら、余りある技術・開発力を総動員して同種の製品を上市。流通チャネルに働きかけて店頭の棚を確保して、一気にシェアを奪う。
 飲料業界の門外漢であった大塚製薬が自社の輸液の技術から、カリウムなどの電解質を補い水分吸収に優れた飲料、「ポカリスェット」を開発・上市した。それに対して、飲料業界のリーダー企業である日本コカ・コーラは、同様の製品を開発して「スポーツ時の水分補給に」と「アクエリアス」売り出して一気にシェアを奪取したという例がある。

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 資生堂は大手化粧品会社であるが、従来の流通チャネルは百貨店であり、販売手法は美容部員による対面販売だ。しかし、ドラッグストアの台頭により化粧品もセルフ販売と低価格化が進み、資生堂もついに千円以下の「3ケタ化粧品」に参入した。昨年9月中旬に「専科 保湿クリームからつくった化粧水」を発売したのだ。
 領空侵犯されたリーダー企業は報復攻撃に出た。その1つがシーブリーズ対抗の8×4デーウォーターである。左の写真は別のドラッグストアの店頭だ。花王が体力勝負の価格構成に出たことがわかる。一方、資生堂はシーブリーズブランドの新製品である日焼け止めのサンプルをセットにして差別化を図っている。
 リーダーに攻め込まれたチャレンジャーとしては、何といっても「差別化」がキモである。リーダーが同質化を仕掛けようとしても簡単には真似できない戦略を展開するしかない。しかし、サンプルのパッケージ同梱というレベルでは防衛できるか不安である。両製品を組み合わせて使ってこそ得られる便益などの訴求ができるかが差別化の要諦となってくるだろう。

 気温と湿度が上がり、暑さが本格化してきた季節。店頭の戦いも価格競争で一層の熾烈さを増しはじめた。特に今年は震災の影響の影響による暑さ対策で、デオドラント市場も大きな伸びが見込める環境にある。8×4とシーブリーズの攻守から目が離せない。

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