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2011.03.30

ついに全面禁煙!モスバーガーの狙いは何だ?

 3月30日付・日本経済新聞に「モスバーガー 新店全て禁煙に 既存店も10年内に転換」との記事が掲載された。高まる嫌煙傾向は、ハンバーガーチェーンからも愛煙家を締め出しに動き出した。しかし、モスバーガーの狙いはどこにあるのだろうか?

 記事では「4月以降に開店する新店を全て完全禁煙とし、既存の店舗も移転などの際に禁煙対応を進める」とあり、現状4割ある禁煙店を10年以内に100%禁煙にするという。

 完全禁煙といえば、スターバックスが1996年に銀座松屋デパートの裏に第1号店を開店した時から「コーヒーの香りを損なわないために」というコンセプトで徹底してきたのが思い出される。スターバックスもその後、店外のテラス席では喫煙を認める店舗が多くなったが、やはり外は冬寒く、夏暑い。話をするにも通りのクルマの音が騒がしい。店の中で吸いたくなる。その受け皿となったのが、ドトールコーヒーショップだろう。
 1980年開店のセルフ式コーヒーショップの草分けである同店は、当然、当初には「禁煙」などという考え方はなかった。「スタバブーム」においては、「喫煙難民」と化したスモーカーたちの避難場所となり、特にスタバの近隣店は、紫煙たなびき入り口から店の奥が見通せないような状況もあった。さすがに昨今ではしっかりと分煙化が進められてそんなことはなくなっているが。

 上記のように禁煙・喫煙可はターゲット顧客をどう設定するかというセグメンテーションとターゲティング、そして、どのような店のコンセプトにするのかという重要な要素となる。
 そもそもスタバが禁煙を日本に持ち込んできたのは、本場・米国シアトルでのスタイルの輸入であったが、それは従来日本に定着していた「コーヒーとタバコ、喫茶と喫煙はセット」という考え方のアンチテーゼでもある。そして、「煙たくない空間で美味しいコーヒーを飲みたい」という未充足ニーズを持ったターゲット層が一定のボリューム存在していることを見抜いての進出であったことは間違いない。

 ハンバーガーショップにおける禁煙・喫煙の動きはどうなっているのだろう。
 マクドナルドは昨年「次世代店舗」といわれる「オシャレでゆったりした店内空間。メニュー価格はちょっと高め」な店舗の展開をはじめた。そこは全面禁煙だ。しかし、上記記事によれは「現状で全面的に近縁を採用すると売上げが落ち、株主価値を損なう」と、日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸会長兼社長がコメントしている。
 リーダー企業たるマクドナルドは「全方位戦略」が基本だ。来るものは拒まず。むしろ誰も彼も幅広く集客し、大量販売して規模の経済を効かせる。喫煙者を切り捨てるわけにいかない。そこが、チャレンジャーたるモスバーガーの付け目である。チャレンジャーは「差別化戦略」を基本とし、巧みにリーダーが取りきれないセグメントを切り取っていく。記事にはJTの調べとして、10年5月時点で喫煙率は23.9%、前年比1%減で15年連続過去最低とある。そこでモスフードは「喫煙者の減少は加速する」(桜田厚社長)と判断し禁煙化に乗り出したのだという。

 記事には書いていないが、完全禁煙化はもう一つの差別化を実現する。対「フレッシュネスバーガー」だ。
 フレッシュネスバーガーは1972年創業のモスバーガーより20年も遅い1992年に1号店をオープンしている後発。その戦略はフォロアーの模倣戦略だ。店内装飾はアーリーアメリカン調。ファストフードであるが、注文を受けてから作るスタイルなど、モスのスタイルを巧みになぞっている。しかし、単に模倣しているのではない。さらにコンセプトを徹底しているのだ。例えば、果汁ジュースは店内で果実から手絞りし、ガラスの容器に入れて出されるなど、「手作り感」を高めている。
 模倣と徹底だけではなく、差別化要素も持ち込んでいる。例えば、メニューはビールなどのアルコール類を提供し、店内は当初「全面喫煙可」であった。つまり、「オトナの店」としてモスバーガーに差別化も図っていたのだ。しかし、「受動喫煙問題」などもあり、昨今は店内の分煙化が進んでいる。

 フレッシュネスバーガーは店舗数約200店。ハンバーガー業界第2位で1400店を持つモスバーガーの地位を脅かす存在だとはいい切れないが、模倣・徹底・差別化の合わせ技を展開するフォロアーとして、うるさい「目の上のたんこぶ」であることは確かだろう。

 モスバーガーの「全面禁煙に向けた取り組み」。それは、リーダー企業であるマクドナルドと、フォロアーであるフレッシュネスバーガーに対する差別化施策として1粒で2度オイシイ狙いがあるのである。
 但し、「狙いを絞る」ということは「捨てる」ことでもある。いくら店外喫煙スペースを設けても、離反する喫煙客はいる。その離反客より多くの非喫煙客を取り込めるだけの魅力ある店舗やメニューの開発が求められるのも事実である。

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