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2011.03.18

「背水の陣」のジーンズメイトは生まれ変われるか?

 業績低迷にあえぐカジュアルウェア大手、ジーンズメイトが大きな曲がり角を迎えている。その背景と狙いを読み解いてみよう。

 ジーンズメイトは1988年に第1号店が開業し、平成10年98年に24時間営業を開始して話題を呼び、99年に、2001年に1部上場を果たした。しかし、ユニクロを運営するファーストリテイリングが98年に2部上場、99年に初の都市型店である原宿店を出店して以来勢いを増して追撃したこともあり、近年業績低迷にあえいでいる。前期の決算数字も売上高:168億円、純利益:-13億円、営業キャッシュフロー:-12億円とそれを反映している。

 ユニクロの業態としての特徴はSPA(speciality store retailer of private label apparel:企画製造小売業)にある。「価格以上の品質」を実現する力の源泉だ。昨今人気の外資系ファストファッション勢の多くもSPA方式であるが、力の源泉は「品質」以上に注力している「ファッション性」である。例えばZARAは自社に200名以上のデザイナーを抱えて最新の市場のファッショントレンドを超短期間でキャッチアップし、商品を製造して店頭に並べる。では、ジーンズメイトの魅力と力の源泉とは何か。

 ジーンズメイトはまさに「背水の陣」を張った。
 3月18日付・日経MJ記事に「ジーンズメイト 今期出店、新業態店のみ 格安衣料や雑貨 SCなど施設内に」とある。112店舗、東京世田谷区に始まり西は山口・福岡まで広げた版図、単独路面店の出店を凍結したのである。
 新業態店の1つが「ワケあり本舗」。記事には「89円の靴下など格安品を展開する」とあるが、いわゆる「アウトレット店」だ。もう1つの展開が「ハッピードア」。記事の写真には「格安衣料のワケあり本舗(手前)に化粧品や雑貨を扱うハッピードアを組み合わせた新店(東京都町田市)」という説明が添えられている。「ハッピードア」は昨年、映画配給やレジャー施設運営の東京テアトルから3店舗を事業譲渡された。同社西脇社長のコメントが記事に掲載されている。「ジーンズメイトでは出店できなかった施設内に新業態で進出を狙う」とある。行間を読めば、ジーンズメイト単体では収益が低いためSC(ショッピングセンター)などの施設に入居することができず、単独路面店の出店に終始していたとも考えられる。

 2010年5月21日付の日経MJに「ジーンズ専門店背水の陣―ジーンズメイト、「非衣料」で女性客開拓」という記事がある。「ハッピードアの協力を受け、ららぽーとの新店にはキャラクター雑貨などを導入。6月末までに他のジーンズメイト15店に同様に雑貨を取り入れるほか、女性用化粧品などに品ぞろえを広げる」とあるが、今後、その動きを加速するのである。

 そもそも、ジーンズメイトはなぜに業績が低迷しているのか。
 ジーンズメイトはSPA方式をとっていない。旧来の小売り事業である。しかし、それだけが弱点として低業績に直結するとは限らない。ファストファッション勢の一画であり、銀座松坂屋にグッチの後継テナントとして入店、大型店舗「XXI Forever at GINZA by FOREVER 21」を展開したことでも話題になった、「フォエバー21」もSPA方式ではない。「フォエバー21」はマーチャンダイジング(商品政策)、品揃えや店としての統一したイメージづくりによって消費者に魅力を演出し、KBFを提示しているのだ。
 業績低迷の原因は、ジーンズメイトが消費者に明確な「KBF(Key Buying Factor=買う理由)」を提示できていないことにある。
 例えば、予算が限られた中で服を買おうと思った消費者が「価格の割には品質がいい」という価値を求めるなら、ユニクロに行くだろう。「ファッション性」を求めるなら、ファストファッション店に行く。では、ジーンズメイトはどのような「KBF」で選択されるのか。そのコタエが今まで見えなかった。特に業績が急速に低迷しはじめた2007~08年以降はその傾向が顕著だ。2009年に東京・秋葉原にメイド服の店員が来店客にコーディネートをしてくれる「アキバあそび館」などもオープンさせたが、決定打にはなり得ていない。低迷した状況から大きく舵を切るのが今回の決断である。

 3月18日付・日経MJ記事は「ジーンズを主体とするカジュアルウェア衣料店の販売環境は総じて厳しい。大手の一角であるジーンズメイトの主力業態への依存見直しは、同業他社の戦略にも影響しそうだ」と結んでいる。また、2010年5月21日付の記事には、「 “男性の購買はもう伸びないと思った方がいい。ジーンズから脱却し女性客を取り込む”。西脇昌司社長は事業転換への決意を語る」とある。

 ユニクロやファストファッションにメインターゲットである若い男性や、サブターゲットのカジュアル志向の女性客を奪われ、価格的にも魅力を喪失して苦戦していたジーンズメイト。もはや、若い頃から習慣的に来店・購買する中年男性が主要購買層となっていたと思われるが、既存路線ではターゲット拡大も、それに対するKBFの提示もできないため、決断したと思われる。SCの集客力と雑貨やワケあり商品で来店ターゲットを拡大することはできるだろう。残された課題は、収益の取れる既存商品とのクロスセリングを図るための、KBF、店舗全体としての魅力を作り上げることができるかにかかっている。

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