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2011.02.23

花盛り「コラボレーション店」の成功のカギはどこにある?

 小売業や外食などをはじめ、様々な異業種コラボレーション店舗の展開が盛んだ。その背景と成功のカギを考えてみよう。

■日本の現状というマクロ環境

 日本は2005年から人口減少という局面に突入した。そして2010年、性別でも女性人口も減少に転換した。一方、独居老人や非婚・晩婚化の影響などで単身世帯化が進み世帯数は増加している。しかし、それも2015年までのこと。世帯数減少という転換点がやってくる。日本市場はどんどんと「縮んでいく」のである。

■縮む日本と海外市場進出

 国内市場が縮小するとすれば、「新市場開拓」は欠かせない。小売業でいえば、ファミリーマートは既に全店売上高の2割を海外が占める。外食は吉野家の安部社長が、中国での店舗数を早期に現在の約4倍である1000店体制にすると発表している。
 では、多くの企業は日本市場から海外に軸足を移すのかといえば、それはそんなに簡単にはオサラバできない。特に小売りや外食はモノを作って売れるところに持っていく製造業とは異なり、地に根を張る業種であるといえる。とすれば、縮む日本市場での生き残りを考えなくてはならない。

■コラボレーションと商売の基本

 商売の基本は「利益を出すこと」と「売上げを上げること」だ。
 縮んでいく市場で店舗効率を上げようと思えば、自店だけで勝負するのでなく店舗をシェアし、コストを低減するという考えに自ずと思い至る。商売の基本である「利益」は『利益=売上げ-コスト』である。コラボレーションという発想の1つの原点だ。
 しかし、異業種コラボレーションによる店舗シェアはそんなに単純ではない。業種が異なるだけに、一方には都合がよくとも、もう一方にとっては最適立地ではなくなるかもしれない。また、シェアすることによって店舗面積縮小で両店ともに魅力が低下する懸念もありえる。故に、コラボレーションによる「シナジー」が発生し、より売上げがアップすること。1+1が2以上になることが欠かせないのである。

■コラボレーションで売上げをアップするには・・・

 1+1を2以上にするにはどうするか。「売上げ」を要素分解して考える必要がある。『売上げ=客数×客単価×利用率』である。
 客数がコラボレーションによって増す条件としては、以下のパターンが考えられる。
 ・一方に集客力がある=一方にとってメリットがある
 ・両店の併設によって集客力が増す=両方にメリットがある
 ということになる。後者であればどちらにも文句はない。前者であれば、集客以外のメリットが顕在化することが求められる。
 客単価がコラボレーションによって増す条件としては、以下のパターンが考えられる。
 ・「ついで買い」の発生=両店にとって機会
 ・「利用提案」による購買促進=両店の努力で機会創出
ということになる。つまり、1+1を2以上にするキモとしては、この部分が大きいともいえる。
 利用率をコラボレーションによって増す条件としては、以下のパターンが考えられる。
 ・両店併設の魅力で両方の利用が増す=両店にとってメリット
 ・一方が高頻度利用形態であり、もう一方の利用が底上げされる=一方にとってメリットがある
 ということになる。この場合もメリットを提供する側は、他要素でメリットを享受する必要がある。

■成功するコラボレーションのパターン

 上記の通り、コラボレーションによるコスト低減効果だけでなく、売上げを増し利益も創出するためには、両店が以下のようなパターンであることが望ましいといえる。
 A店=身近で利用頻度の高い商品を扱っている店(反面、「身近さ」が低ければそこで買わなくてもいい)
 B店=希少性のある商品を扱っている店(反面、「希少性」が低ければわざわざ買いに行かない)
 つまり、AB両店は単独で本来の強みである「身近さ」「希少性」で勝負できるのであれば、コラボレーションする必要はないのだが、「縮む市場」においては、「身近さ」や「希少性」を感じてくれる消費者自体が減少し、競合他社との取り合いが激しくなっている。そのために、「1+1を2以上にする」こと、つまり併設、コラボレーションをするのである。

■「カラオケ店+ケーキ店」という事例

 2月21日付日経MJに「郊外カラオケ店 ケーキ店を併設」という記事が掲載された。カラオケ「ビッグエコー」を運営する第一興商が、「シャトレーゼ」とFC契約を結び、まず、三鷹の店舗1階部分の有休スペースを活用するということだ。
 「利益=売上-コスト」という原則で考えれば、受付・待合スペースなど以外の機能を有しないカラオケボックスにおける1階部分を有効活用できるということは、店舗効率を上げることができる。コスト低減と売上げアップである。
 「1+1を2以上にする」という考え方では、A店=身近で利用頻度の高い商品を扱っている店(反面、「身近さ」が低ければそこで買わなくてもいい)=カラオケ・ビッグエコーとなるだろう。身近ではあるが、カラオケの利用客は減少しており、カラオケボックス業界全体の客室総数も減少している。B店=希少性のある商品を扱っている店(反面、「希少性」が低ければわざわざ買いに行かない)=ケーキ・シャトレーゼとなる。シャトレーゼはFCで全国500店を展開し、ポイントカード会員500万人を有する。スイーツブームの昨今、利用機会のポテンシャルは高いと思われるが、「希少性」は高くないといえるだろう。
 記事からは、ケーキ店部分に飲食スペースは設けないという。そして、ケーキ購入客の「カラオケついで利用」と、カラオケ客の利用後のお土産「ついで買い」利用を狙っていると読み取れる。つまり、両店併設によって、来店客数・利用率を高め、ケーキとカラオケの「クロスセリング(購買機会増)」、カラオケにケーキを「アップセリング(購買金額・店数増)」という客単価を高める戦略である。

 市場縮小という決定づけられた未来。しかし、座して死を待つわけにはいかない。生き残りをかけたコラボボレーションは様々な業種で今後、模索、展開されることになるだろう。その際は、人間関係とも同じように、お互いの特性を十分見極めることが欠かせない。


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