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2011.02.09

顧客視点のマーケティング (第2回)

初出:「バリューコンピテンシー:第27号・2010 Summer(社団法人日本バリューエンジニアリング協会)」全4回

「マーケティングの全体像で考える」


◎市場と顧客の変化をつかめ

 低経済成長下、「売れない時代」に必要なことは、まずは「顧客をよく見ること」だと前回述べた。顧客の抱えた「不便・不満・不自由」などの「不」の字から「ニーズ」をすくい取ることだと。そのために必要なことは、市場と顧客の変化を確実につかむことだ。ヒット商品の事例を見てみよう。

 09年2月に発売され、好調な売上げを上げている花王「メリットさらさらヘアミルク」。「親子で使えるトリートメント」というコンセプトが女児を持つ母親の人気を博している商品である。同社がつかんだ市場と顧客の変化は、女児の定番ヘアスタイルであるおかっぱアタマが激減し、現在はセミロングが増え、10年には五割を超す可能性があるというトレンドだった。さらに、ターゲットの設定とニーズの拾い方が出色である。子どものロングヘアはヘアセットの際に、「くし通りや指通りの悪さ」「絡まる」といった問題が発生していることをつかんだ。子どもの髪は大人と比べて細く、柔らかい。調べてみれば成人女性の半分ほどの太さと男性しかなかったという。ヘアケア製品メーカーである花王の技術で問題を解決するなら、髪をさらさらにするためには、トリートメントを用いることを推奨することだ。しかし、トリートメントは大人の女性用というイメージが強く女児の使用率は二割に留まっていたという。そこで、「親子で使う」というコンセプトを考案したのである。

◎「マーケティングマネジメント」の流れで考える

 顧客のニーズをつかんだと思って商品を開発・上市したとしても、それだけでは本当に成功するという確証は得られない。果たして市場に受け入れられるのか、競合環境の中で勝ち抜けるのか。それを明らかにするにはマーケティングマネジメントの流れ、全体像を見て検証する必要がある。

・マクロ環境(PEST分析)=政治・経済・社会・技術といった、世の中の大きながなれ、影響要因を明らかにする。この場合は、「さらさらヘアミルク」で考えれば、経済環境は不景気の影響が顕著だ。社会環境は少子高齢化が進んでいる。
・ミクロ(競合)環境(3C分析)=市場の環境・顧客のニーズ(Customer)、競合の動き(Competitor)、自社の状況(Company)の中から、顧客は誰で、そのニーズは何か。自社の活かすべき強み、克服すべき弱みを明らかにする。市場環境は不景気と少子高齢化・人口縮小という市場縮小傾向が顕著だが、子ども関連では、一人当たりにかける費用が増加する傾向もある。「子ども向けトリートメント市場」を開拓しようと考えれば、使用者は女児だが、顧客は母親だ。前述の通り、「子どもの髪が絡まることを解消したい」というニーズはつかんだ。競合には現状では該当商品はない。では、子ども向けトリートメント」を花王が開発・発売したら競合はどう動くか。同様の商品を上市してくる可能性は否めない。では、花王はというと、「メリット」というブランド資産を持っている。メリットブランドは、発売開始以来39年の歴史を持つ。当初は「フケ・かゆみを抑える若い女性向けシャンプー」というターゲットとポジショニングであったが、2000年頃から「家族の髪と地肌の健康を守るシャンプー」とターゲットとポジショニングを変更し、その浸透に注力してきた。それが奏功し、消費者調査でも「定番シャンプー」として常にトップブランドをキープしている。つまり、購入者である母親が「子ども向け」を考えたときには最も想起率が高く、競合には優位な状況にあることが判る。「家族のための」というブランドを活かして、「親子で使う」ことを訴求すれば、使用量は二倍になり、しかもブランドスイッチしにくい指名買いのポジションを確保することができるのだ。
 以上のように、市場環境を適切に把握・検証することが成功のカギとなるのである。

◎マーケティングのキモはSTP

 「さらさらヘアミルク」の成功は、市場環境に適合していたことと、ターゲット顧客とそれに対する魅力の打ち出し方であるポジショニングが明確であったことだ。その意味からも、マーケティングにおける最重要ポイントはSTPであるといえる。
 STPとは、”Segmentation””Targeting””Positioning”の略。市場を魅力のある切り口に切り分けるのがセグメンテーション。魅力あるターゲットに自社製品の独自性や差別化ポイントが明確に伝わるような打ち出し方を考えるのがポジショニングである。

◎セグメンテーションはニーズで括る

 セグメンテーションは性・年齢を「共通項」として括る例がよくある。テレビ業界や広告業界などで用いられるM1、F1といったセグメントはその際たるものである。M1とは男性20~34歳。以降、M2・M3。女性はがF1。以降F2・F3。しかし、少し考えれば、F1層でも20歳と34歳の女性は趣味、嗜好、行動、ニーズにかなりの差異があることがわかるはずだ。第一の問題点として、セグメント=カタマリが大きすぎることが上げられる。それ以上に「性・年齢」という切り口が、いつも「共通項として働くとも限らないのが問題である。では、もっとカタマリを細分化すればいいのか。例えば、以下のような切り口が考えられる。性別・年齢・未既婚・家族構成・職業・収入・学歴など人口動態(デモグラフィック)。都市部か郊外か地方か・温暖か寒冷かという、地理的な切り口など。しかし、どれを用いればいいのかに悩むだろう。
セグメントに切り口は、ここでも「ニーズ」に注目することがポイントだ。のようなニーズを持った人々がいるのか、ニーズに注目してある程度大きなニーズのカタマリを見つけたら、そのニーズを持っているのはどのような属性(性・年齢等)に落として考えるのだ。属性から考えてしまうと、共通のニーズを持っているとは限らない。ニーズから考えて、属性に落とすのがポイントなのである。この場合は「逆もまた真なり」ではないのだ。

 では、「共通項」を何にするのか。性別・年齢・未既婚・家族構成・職業・収入・学歴など人口動態(デモグラフィック)。都市部か郊外か地方か・温暖か寒冷かという、地理的な切り口などがある。しかし、今日の生活者の価値観や行動そうした切り口で共通項を見つけられるほど単純ではなくなっている。
 注目すべき切り口は、「ニーズ」だ。
どのようなニーズを持った人々がいるのか、ニーズに注目してある程度大きなニーズのカタマリを見つけたら、そのニーズを持っているのはどのような属性(性・年齢等)に落として考える。従来のように属性から考えないことがポイントである。

◎ターゲットの魅力度は3Cで評価する

 ニーズに注目して、共通事項を元に属性に落として、いくつかのセグメントに括ることができたら、どのセグメントをターゲットとするのか評価を行う。それには前出の「3C分析」と同じ3つのCの視点で検証する。Customer(市場と顧客)、Competitor(競合環)、Company(自社)だ。Customerにはどの程度の市場規模があるのか、どの程度の成長性があるのか、収益性はどうなのか。Competitorとして、どんな力を持った競合相手が、どれくらいいるのか。Companyとして、そのターゲットを取りに行くことは今までの自社の戦略と整合性はあるのか。以上の要素を勘案し、魅力度の高いセグメントをターゲットとして設定するのだ。


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Comments

私のお気に入りのブログです☆これからも楽しみにしていますね!(^ー^)b

Posted by: いのこ | 2011.02.13 at 01:13 PM

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