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2011.01.20

リユースから学ぶ、新たな価値創造と新コンセプトの作り方

 市場環境が変わった。消費者のニーズが変化した。そして、既存の製品が行き詰まった。手をこまねいているわけにはいかない。リニューアルだ。しかしどうやって?・・・そんな時には、「製品の価値を見直して、コンセプトを明確にすること」である。

 1月17日~19日付の日経新聞夕刊1面に、「捨てたもんじゃない リユースのすすめ」という興味深い特集が掲載された。「リユース」とは、エコロジーのキーワードである、3R=Reduce(ゴミをなるべく出さない)・Reuse(モノをすぐに捨てずに何度も使う)・Recycle(ゴミを再生して利用する)の2番目のRだ。
 リユースの1つめの事例は姫路市のベンチャー会社「コウメイ」。使い古された50CCスクーターのエンジンや燃料タンクをモーターと蓄電池に置き換えていく。改造費は25万円から。記事では「ガソリン仕様の新車より高いが、長期的に見れば経費節減につながる点をアピールし、多くの台数を保有する金融機関などに売り込む」と同社社長のコメント。他に納入実績は「音が静かなため、早朝の配達でも迷惑にならない」と新聞販売店が導入を決めたとある。

 スクーターの価値とはなんだろうか。コトラーの製品特性分析のフレームワークで分解して考えてみよう。
手に入れて用いることによって実現される「中核価値」は、「簡便な移動」だ。それを実現するために欠かせない「実体価値」は「(クルマと比べて)安価な本体価格・維持コスト・燃費の安さ」という「経済性」が第一。加えて「取り回しの良さ」などの操作性だろう。中核の実現に直接貢献しないが、モノの魅力を高める「付随機能」は、デザインの良さなどだ。
 中古スクーターは、電動化の過程で価値構造が組み替えられていることがわかる。
 「実体」の本体価格は高くなるが、燃費が安くなる。「付随機能」は中古なのでデザイン性の新しさはないが、リユースされた電動スクーターということで、「環境への貢献」という価値が加わっている。生産しているコウメイ社の狙う金融機関などには、地域の顧客にアピールできる魅力ある価値となるだろう。
 ターゲットによってどの価値が魅力となるかは異なる。導入を決めた新聞販売店にとっては、「中核」の「簡便な移動」が、「静かで簡便な移動」と、その魅力が高まっているのである。

 18日の記事で紹介されたのは中古パソコンだ。山形市で携帯電話などの塗装を手掛けている「ノア」は、中古パソコン店「オンデマンドスリー」を展開している。店頭に並んでいるのは、カラフルなノートパソコン。中古品を同社の塗装技術を応用し、携帯電話並みの耐久性と、超高級車塗装に用いられる研磨材仕上げによってピカピカでカラフルに変身させていく。価格は2001年~02年型のモデルで1台3~4万円程度だという。

 例え既存の価値構造を分解し、組み替え、新たな製品価値を創造したとしても、それが受入れられなければ全く意味がない。製品にどのような価値があるのか認められるには、それを用いる人やシーンによって大きく異なるからだ。自社が検討した「価値構造」を、顧客が理解できる「コンセプト」に変換する必要がある。

 上記のカラフルに生まれ変わったノートパソコンの価値構造をます、検証してみよう。
 計算・ドキュメント作成・インターネットの使用がパソコンとしての「中核」だ。ノートパソコンなら移動可能なことも加わる。計算・ドキュメントの作成・インターネットなどがやっとやっと動くのではなく、快適に利用できる性能、さらに持ち運びするならある体の軽さや丈夫さが中核を実現する「実体」として求められる。製品の魅力を高める「付随機能」は、メーカー独自のデザインやカラーバリエーションなどがそれにあたる。
 オンデマンドスリーで販売されているパソコンは、旧式なので、実体の性能に関しては最新モデルや年数の新しい中古機より劣るだろう。一方、付随機能は昨今のノートパソコンはカラーバリエーションを競い合っているが、同社の塗装仕上げは色の多彩さ、仕上げのキレイさで次元が違う。

 コンセプトは、いわゆる「4W1H1B」で整理できる。Who?:誰が・どんなターゲットが/When?:いつ・どんな時に/Where?:どこで・どのような状況で/How?:どのように用いると/Benefit:どのような便益があるのか/Why?:なぜ、その便益が実現できるのか。

 まず、「誰にとって」:Who?というターゲット像が重要だ。上記の通り、性能はシビアに求めないとすると、ネットの閲覧やメールのやりとり、カンタンなテキストの作成を主とする初心者か、サブマシンを使う人ということになるだろう。
 When?・Where?=外出先、特に人に見られるような状況で、How?=バリバリと仕事をこなす道具ではなく、ファッションの一部として用いることで、Benefit:自分自身を演出することができる。Why?:安っぽく見えない、携帯電話や超高級車並の塗装で高級感が演出できるから。というようになるだろう。
同社のWebサイトを見ると、商品が紹介されており、次々に「完売しました!」の表示が出されている。コンセプトを受入れ、価値を認めた顧客が多数いることが見受けられる。

 ともすればうち捨てられてしまう中古品に新たな価値を吹き込んで、価値を認めてくれる人に届けるリユースの取り組み。その価値構造の組み替えと、新たなコンセプトの構築は、冒頭に記したように、中古品だけでなく、販売が行き詰まった製品を生まれ変わらせる時などにも十分応用できる。
 大切なのは、自社の製品がどのような価値を顧客に提供しているのかを「分解」して考えることと、価値を認めてくれる「顧客は誰なのか」をしっかりと考え直すことである。


※記事は1月17日~19日付の日経新聞夕刊「捨てたもんじゃない リユースのすすめ」を参考にし、一部引用しています。
※本記事中、及び日経記事でで紹介された企業のWebサイトは以下を参照のこと。
  ■コウメイ http://www.eonet.ne.jp/~koumeijapan
  ■ノア(デマンドスリー) http://www2.ocn.ne.jp/~demand3/index2.html

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