« 日経の「ブランド広告」は誰がために? | Main | だれが百貨店を殺すのか?ネットで百貨店は変わるのか? »

2010.12.08

「オトナの関係・こどもの関係」「オトナの時間・こどもの時間」

 「大学生はTwitterをあまり使っていないし、利用意向も低い」。そんな調査結果が発表された。そこから、人間関係の構築と可処分時間に関して考察してみたい。

 <大学生に聞く、Twitterを利用していない理由>(12月7日・Business Media誠)
 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1012/07/news019.html

 首都圏の大学生816人を対象とした東京広告協会の調査では、Twitterの利用について、57.0%が「利用したくない(利用し続けたくないを含む)」という。利用・アカウント登録状況は「利用している」23.4%、「登録しているが全く利用していない」12.3%、「登録なし」64.3%。利用しない理由は、「興味がない/なくても困らない」が169人でトップ。以下、「常に更新しないといけない感じがする/面倒くさい」129人、「使い方が分からない」80人、「mixiなどの他のツールで十分足りている」72人、「Twitterが何か分からない」48人と続いたと発表されている。

 上記記事と関連して考えたいのは、先月11月23日にネット上でわき起ったある議論だ。
ネットメディアである「Tech Wave」に、ある大学生が『蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義』という記事を寄稿したことに端を発する。記事は現役大学生らしい視点で「そもそも“ソーシャル”とはなんぞや」「SNSの定義・バーチャルとは」といった論述を展開している。議論となったそれらの定義の正否はともかく、大学生という存在が自分の周囲の人間関係と、いわゆる「ソーシャルメディア」というものをどのようにとらえているのかを知る貴重な内容であることは間違いない。
 <蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義【水谷翔】>(11月22日・Tech Wave)
 http://techwave.jp/archives/51525441.html
 <蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義 大学生が書いたTechWaveの記事への反応まとめ>(Togetter)
 http://togetter.com/li/71864

 大学生の“ソーシャルメディア論”は、筆者なり解釈すると、少々乱暴ながら次のようになる。
  1.大学生という存在は、現実(リアル)な人間関係を極めて重要視(大切に)しており、それをインターネット上にも持ち込んでいて、現実の人間関係を補完・深化するメディアとしてmixiに代表されるSNSが利用されている。
  2.上記を前提とすると、CGM(Consumer Generated Media)やUGC(User Generated Content)という実名・匿名混在の不特定多数の人々が集う、記事中では「インターネット」と定義されるメディアと、リアルな友人・知人が集う「ソーシャルネット」であるSNSを峻別している。

 記事は一人の大学生の意見であり、Togetterの投稿での議論では、同世代と思われるユーザーからの異論も散見される。しかし、現役大学生の「人間関係」を基軸とした考え方としては正鵠を射ているように思う。

 では、Twitterを「オトナたち(社会人)」はどのように利用しているのか。
 オトナの間でもTwitterを「使い方がわからない」「面倒」という、冒頭の大学生の調査結果と同様の理由で使用していない人はまだまだ多い。しかし、そろそろTwitterは「キャズム超え」をして一般化したという見方も多い。そんな現状で、オトナたちの一部(というより結構な数)の人々は、匿名・不特定多数の「フォロアー」の数を集めるのに血道を上げて「follow me」と懸命につぶやき、「フォロアーが1,000名を超えました!」と喜んでいる。極めて希薄な関係構築をしているのだ。もう一方で、ツイート(=つぶやき・投稿)の内容も140字という制限もあり、「今、○○食べてるなう」的な、これまた希薄な内容を、著名人も含めて書いている。

 筆者は大学で講師をしていたり、大学生が主催するビジネスコンテストに毎年協力していたりという関係で、大学生のTwitterのフォロアーが多い。上記のオトナたちと何ら変わらない利用実態の人もいるので一概にはいえないが、全体的な傾向としては、大学生はアカウントを増やすことに慎重で、ツイート内容も「つぶやき」というよりは、自分の「考え」や「思い」を文字として表しているように思う。そして、多分に「寡筆」。投稿数が少ない。

 Twitterの利用意向とその実態から考えても、大学生の世界は現実世界の仲間が中心であり、それが最も大事なのだ。オトナもかつての自分たちを思い出すとわかるだろう。それに対して、オトナになれば、「とりあえず名刺交換はしたけれど、それっきり」的な関係が山ほどできる。人間関係の構築の仕方が全く違うのだ。もちろん、オトナもプライベートな関係をとても大事にする人も多い。そんな人は、匿名アカウントでmixiを使って限られた仲間うちを対象に楽しんでいたりする。
 大学生が寡筆なのは、その時間の使い方に関係する部分が多いだろう。大学のキャンパスで仲間と過ごす時間。授業の時間。アルバイトの時間。意外と、バーチャルに充てる可処分時間は少ない。故に、ツイートしている時間をみると、一人の夜(深夜)に集中している。オトナも仕事の時間に拘束されているものの、既に自分のペースを作ることになれているため、「スキマ時間」でツイートすることができる。そうした違いが大きいのではないか。

 昨今では「Twitter面接」なる言葉も登場しつつあるなど、厳しい就職環境の中で少しでも情報収集をしたり、人間関係の接点を広げようとしたりと、大学生のTwitter利用は高まっている。しかし、最も重要な価値観としては、4年間という限られた「人生の夏休み」を有意義に過ごすためには、希薄なバーチャルの関係より、リアルな仲間との関係・時間が大切というのが本音だろう。それが冒頭の調査結果、「利用したくない」57.0%に現れているのだろう。

 新しい有望なメディアがあれば、それを有効に活用しようとすることは重要だ。しかし、そのユーザーの心理を十分考慮して、どのようなターゲット層に適し、適さない層は誰で、その理由は何なのかを十分考えることが欠かせない。調査結果はそれを示しているといっていいだろう。


ツイッターでこのテーマに関するつぶやきをする時には、こちらのボタンをクリック

|

« 日経の「ブランド広告」は誰がために? | Main | だれが百貨店を殺すのか?ネットで百貨店は変わるのか? »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/93392/50244906

Listed below are links to weblogs that reference 「オトナの関係・こどもの関係」「オトナの時間・こどもの時間」:

« 日経の「ブランド広告」は誰がために? | Main | だれが百貨店を殺すのか?ネットで百貨店は変わるのか? »