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2010.12.01

変わらなければ生き残れない:スーパー・DSの今を読む

 日経MJの12月1日付けと11月26日付けの紙面に、ディスカウントストアとスーパーの「これからの姿」を示すような記事が掲載されていた。そこから何を学び取ればいいのだろうか。

 12月1日の一面記事は、著しい成長を遂げているという、九州発のディスカウントストア(DS)「トライアルカンパニー」。「激安PB 数こそ力 59円ポテチでも利益」との大きな見出しが紙面に記されている。「主な激安PB」として紹介されているその他の商品は、缶コーラ29円、2リットルペットの緑茶79円、カップ麺59円、キムチ300グラム129円と、どれも文字通りの激安である。
 別の見出しとして「国内外 厚い生産網」という文字が記されている。前述のポテチは中国メーカーへの委託生産。以下、コーラは日本、緑茶は自社生産、カップ麺は韓国、キムチは中国だ。激安価格を支える委託先のメーカー数は、非公開ながら日中韓で数百社に上ると紙面にある。
 同社の戦略は明解だ。現社長が米国でウォールマートの経営に驚き、徹底してそれを研究し模倣する戦略を決意した同社は、調達・物流・販売と、それを支えるバックエンドのシステムと人材の活用まで「ウォールマートの徹底模倣」を貫く。「少しでも安く。少しでも効率的に」。そのための「しくみ」をウォールマートに学んで最も今日的に実現したことが、同社の強みなのだ。
 しかし、日本の人口は2005年に減少に転じた。世帯数も2015年から減少に転じるという推計がなされている。そんな「縮む日本」でどれだけ規模を拡大しようというのか。そんな同社の視線の先には、中国市場がある。ウォールマート同様、最大の武器であるシステムは中国・大連にシステム子会社を設立して構築した。システム部門の70名の中国人だけでなく、グループ全体2800人の正社員中、4割が中国人だという。将来の中国市場での店舗展開を視野に入れてのことと記事にある。

 「縮む日本」の中での最適化を目指す企業もある。同日の日経MJ5面のコラム「売る技術 光る戦略」に紹介されている「京成ストア」。「改装し接客充実」「対面販売、調理も眼前で」と見出しにある。千葉県松戸市にある店舗には60歳以上の高齢者の来店客が多いことから、野菜を顧客の要望に応じて細かくカットするなど、徹底した接客路線が高齢者に好評だという。特にカボチャなど堅い野菜を自分で着るのが困難な客に一段の小分けを行うというサービスを行っている。総菜も四方をガラス張りにした調理場で作り、ライブ感を演出し、出来たてを提供する。コロッケや天ぷらなどが好評といい、80歳の顧客の「作っているところが見えるとおいしそうに感じる」という声を紹介している。揚げ物は老人世帯には面倒になり、つい自分では作らないことが多い。それをおいしく提供しているのだ。
 日本は前回2005年の国勢調査で、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合である「高齢化率」が初めて20%を超えた。2010年の集計がまだであるが、推計では既に23.1%、4人に1人に迫る数字になっているとされている。同社は「価格では勝負できないし、小手先の改装では限界がある」と、接客重視を実現するための全面改装を順次予定しているという。高齢少人数世帯化すれば、大量の商品を安く売ることに意味はなくなる。そこでは、高齢者に親身に接客することが最大の武器となるのだ。改装店舗では直後に対前年比5割増しの売上げ。その後も毎月1割増を記録しているという。

 11月26日付けの5面には「小型スーパー 個性競う」という記事が掲載されている。大手スーパー各社が都心で小型店の出店を増やしているという旨の記事だ。都心ではかつて、都心部からどんどん人口が周辺部に流出した「ドーナツ現象」の反対で、「アンパン現象」とも呼ばれる人口回帰が起きている。その需要を狙う動きである。「ヨーカ堂 こだわりの商品」「イオン ローコスト運営」と、各々の戦略の骨子が見出しとなっている。
 都心型小型店のひな形として10月に出店したという食品館阿佐谷店(東京・杉並)は、比較的生活にゆとりのある高齢者、共働き夫婦、単身者を顧客に想定し、通常店にあまり厚内のない商品や刺身などの鮮魚を店内加工するなど高価格帯の商品構成に特徴を出している 対照的と紹介されているのがイオン「まいばすけっと」の展開だ。プライベートブランド(PB)を中心とした100円以下のペットボトル飲料、ビール飲料。弁当の価格も398円。店舗はオフィスやコンビニエンスストアの跡地を活用し、出店コストを抑えるとある。
 都心回帰は職住近接のメリットの反面、古くからの商店街は既に廃れて買い物に窮する地域も少なくない。また、都心のコンビニは既に過当競争が激化した状態にあり、廃店も相次いでいる。両者の狙いは、同じ小型店による都心部出店でも狙うターゲットとそのニーズが異なる。しかし、「生活圏において、各々のターゲットが欲しいものが手に入らないという不便さを解消する」ことに勝機を見出しているのだ。

 「変わらなければ生き残れない」。かつては「小売の王様」と呼ばれた百貨店。その一角であり、バブルの頃に華々しくデビューした有楽町西武が、12月1日から最後の売り尽くしセールを始めた。
 市場環境は刻一刻と変化している。確実に日本の人口は縮小し、高齢化し、生活圏も狭くなってきている。その中で、日本市場で力をつけて、新たな成長市場である中国を目指す動きもある。一方で、高齢化した顧客に寄り添う動きもある。狭い生活圏の中でのニーズを拾う動きもある。ディスカウントストアとスーパーの業界は、生き残りを賭けて狙いを研ぎ澄まし、得意技を磨いて、確実に姿を変えつつある。


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