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2010.11.18

バナナ自動販売機に学ぶ「AIDMA補完計画」

 この夏話題になった「バナナ自動販売機」をご存じだろうか。6月から渋谷に、8月には銀座にお目見えした「生のバナナを売っている自動販売機」だ。銀座は終了したものの、渋谷の自販機は今後も設置継続の予定であるという。一体、何が狙いなのだろうか?

 バナナといえば、2008年にTBS系のテレビ番組でオペラ歌手の森久美子が挑戦した「朝食に水とバナナだけを摂る」という「バナナダイエット」を覚えているだろうか。話題が話題を呼び、全国のスーパーの店頭からバナナが軒並み売り切れになる騒動が起こったが、熱しやすく冷めやすいのが日本の消費者。昨今ではどこのスーパーにもバナナはきちんと並んでいる。

 バナナ自動販売機は「バナナブームよ、もう一度」という狙いではないようだ。ブームに頼らずとも、国内の果実消費量が減少傾向にあるのに対し、バナナの消費量は増加傾向にある。輸入果実の中でも数量、金額とも最多であり2005年時点で輸入果実(輸入統計品目表第8 類)では、数量では48.5%、価額では25.3%を占めているという。(神戸税関資料より)。

 「バナナ自動販売機」を展開した株式会社ドールによれば、<忙しくてなかなかスーパーマーケットにも行けず、健康や美容のためにフルーツを取りたくても取れない一人暮らしの学生やビジネスパーソンをはじめとした、あらゆるお客様の声にお応えする日本初のサービスです>と狙いを語っている。(7月22日同社ニュースリリース

 バナナダイエット騒動の後からか、一部のコンビニエンスストアやスターバックスでも1本売りのバナナを目にするようになった。バナナの販路は増えている。しかも、ターゲットとする「一人暮らしの学生やビジネスパーソン」が立ち寄りそうなところに。しかし、そこで目にするものの、筆者は購入している人の姿をあまり見たことがない。「そこにあっても、手に取らない」ということが問題なのだろう。

 「ドール」といえば。「バナナ」だ。実際にはパイナップルやグレープフルーツ、キウイやパパイヤ、マンゴーなど様々な果物を扱っているにも関わらずだ。「バナナはおやつ300円までの中に入りますか~?」という、こどもの頃の憧れ(←かなり年齢がバレる・・・)のブランドだったからというワケだけではない。最近では、テレビでは香取慎吾がアタマや耳、ひげ、指にまでバナナを生やした「Doleマン」に扮したコミカルなCMが忘れられないからという理由も大きい。なのに、若者やビジネスパーソンは買っていないようなのだ。・・・もしかしたら、「若者のバナナ離れ」か?まさか、バナナからも?

 消費者が商品を認知してから購買に至るまでの態度変容を表すモデルに、「AIDMA」がある。注意(Attention)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→購買行動(Action)である。
 「Doleマン」のCMは面白い。テレビで目にすれば、確実に目が引き寄せられるし、興味も湧く。何度か見れば、しっかり記憶にも残る。しかし、自らとバナナの「接点」がなければ購買(Action)には至らない。故に、スーパーに行かない・いけない人との購買接点として「バナナ自動販売機」は機能する。

 しかし、数台の自動販売機でカバーできるターゲットは限られている。ましてやバナナは生ものだ。輸入→袋詰め→自販機に配荷→販売というバリューチェーン(VC)の中で、加工度を高めて付加価値を上げる部分は袋詰めだけで、利益率は高くないと考えられる。生もの故に、廃棄率も低くないだろう。自販機の設置・維持費を考えれば、1本130円の販売価格はよくてトントンぐらいではないか。では、何のために自販機を展開するのか。

 「Doleマン」のCMを起点とした上記のAIDMAを見ると、欲求(Desire:購買欲求)がスッポリ抜けていることがわかる。欲求が起こらなければ、コンビニやスターバックスでバナナを見ても手にとって購入することはない。では、ナゼ、欲求が起こらないのか。・・・バナナはオイシイのに・・・。
 ダイエットという特殊な購買理由を持った層。筆者以上の世代に多い、バナナが貴重品であった経験から、日常的にありがたく食べる層やその家族にとっては、バナナは身近な存在だ。しかし、バナナから縁遠くなってしまっている層にとっては、自らが「購入する」という行動を起こすこと自体が認識の範疇になくなる。「Doleマン」はあくまで、テレビCMのコンテンツの一つで、商品との結びつきを喪失し、欲求を喚起することはない。

 バナナ自動販売機の重要な役割。それは、バナナと縁遠くなっている層に、「そういえば、バナナ買って食べてもいいな」と「自分のこと」として注意を喚起し、購買欲求を起こさせることなのだ。
 バナナ自動販売機が話題となってメディアで取り上げられる。注意(Attention)→バナナ自動販売機という存在が面白く、興味(Interest)を持つ→いろいろな人が買っているという報道・情報に触れることによって、自分も機会があれば購入してみようという欲求(Desire)を持って、記憶(Memory)する→自販機に接触しなくとも、コンビニやスタバ、もしくは久々にスーパーに行った時、バナナが目に触れて購入する(Action)。

 消費者に向けて、広告という刺激を与えること。自動販売機という購買接点を展開すること。それぞれを単発で行っても最後の購買行動まで誘導することができなければ、商売としては完結しない。また、限定的な購買接点(自動販売機)だけでなく、様々な接点に向かわせる方が販売を完結できる可能性が高くなる。つまり、「バナナの自動販売機」は、広告だけでカバーできないターゲット層の購買を喚起するためのAIDMAを補完する機能を担っているのである。

 上記の通り、AIDMAは途中で止まってしまっては意味がない。最後の購買行動(Action)に消費者を導くために、1つだけでなくいくつものルートを設計し、刺激を与えて誘導していくことが肝要なのである。


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Comments

ところで、スタバでバナナを食べている人、見たことないですが・・・
売れているのですかね? バチガイ(場違い)な気がする。

Posted by: | 2010.11.26 08:35 PM

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