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2010.09.29

ウルトラマンに仮面ライダーそして、侍。ダイドーの戦略は何だ?

 街角にあるダイドードリンコの自動販売機に入っている、ウルトラマンや怪獣、仮面ライダーを模した缶飲料を見たことがある人は多いだろう。「ウルトラコーラ」「ウルトラ大怪獣レモネード」「仮面ライダーサイダー」という商品だ。そして、今度は「侍」を発売するという。

 <復刻堂ヒーローズ缶シリーズに歴史の英雄達が登場!戦国と幕末の侍たちがデザインされた砂糖ゼロの本格エスプレッソ缶コーヒーが登場!「復刻堂 侍エスプレッソ【砂糖ゼロ】」>(9月14日・同社ニュースリリース)
 http://www.dydo.co.jp/corporate/news/2010/100914.htmlリリースによると9月27日から発売しているという。

 商品名にもなっている「復刻堂」は、同社が2004年から用いているブランドで、そもそもは甘いミルクコーヒーやサイダーなど、レトロな雰囲気を醸し出す懐かしい飲料や、「リボンシトロン」など、他社ブランドの絶版商品を復活させたラインナップである。その復刻堂にヒーローものが登場したのが2009年2月発売の「ウルトラマンサイダー」からである。
 確かにユニークな商品ではあるが、悪い言い方をすれば「キワモノ」であり、当たるか外れるかわからないリスクを売る立場で考えれば誰しも感じるだろう。しかし、他の飲料メーカーがそうした理由で手を出さない商品でも、ダイドードリンコにはそれができるのだ。
 昨今、缶や小型ペットボトル入り飲料の販路として重要性を増しているのはコンビニエンスストアだ。その店頭に商品が並ぶためには、コンビニチェーンのマーチャンダイザー(MD)が商品の取扱いを決め、各店フランチャイズのオーナーが本部に発注をするというプロセスを通らねばならない。その過程で、「これ、本当に売れるのか~?」と思われたらオシマイなのだ。
 ダイドードリンコという企業のユニークさの一つは、その販路にある。同社商品は実に9割が自動販売機での販売が占めており、コンビニへの依存度が極めて低いのだ。自社で企画して、自社の自販機に並べる。故に、自社が面白い、売れると思ったものをどんどん開発することができるのだ。ある意味、やりたい放題である。しかも、その自販機の台数たるや、全国に約29万台を有しているのだ。全国の飲料自販機は約250万台といわれている。そのうち、飲料業界第1位の日本コカ・コーラが約90万台、第2位のサントリーが40万台。それに継ぐ数である。キリンビバレッジやアサヒ飲料の保有台数が20万台前後ということを考えれば、ダイドードリンコの自販機のカバレッジがいかに高いかがわかるだろう。

 ダイドードリンコにとっては、自動販売機は店舗と同じであり、自販機の飲料見本は店舗の棚に相当する。コンビニで販売されるペットボトル飲料のボトルは、自販機とは異なる形状をしている。機械に入れるために形状を揃えたり、商品取り出しの落下に耐える強度が必要だったりという理由もあるが、むしろコンビニ棚でユニークなボトル形状で商品を目立たせるという意味合いが強い。また、季節限定商品などで、店舗関係者にアピールして棚を確保し、消費者の目に留まらせて購入させるのも常套手段だ。
 それが、ダイドードリンコにおいては、「目立つ商品を自販機に入れること」を意味する。復刻堂のなつかし商品だけでなく、ヒーローシリーズはいやでも目に留まる。販売チャネルの形態が商品作りの方向性に大きく影響しているのである。

 しかし、自販機の保有台数が多く、その依存度が高いことは昨今では大きな弱みともなっている。全国250万台の飲料自販機はもはや飽和しているといわれ、良好な立地の新規設置は難しい。さらに、飲料が大量に購入される建設現場に設置される自販機も、不況で現場が減少し縮小を余儀なくされている。同様に、ホワイトカラーの職場でも人員削減、オフィス縮小が進んで自販機が撤去されるような事態が起きている。
 そうした自販機逆風の環境下でも、販路を簡単に変更することはできない。なぜなら、販路=Placeはマーケティングの4P(Product・Price・Place・Promotion)の中で、最も社外の利害関係者が関与する要素であるため、調整が難しく、変更するには時間がかかるのだ。「自販機の調子が悪いから、そちらのチェーンで扱ってください」とはとてもではないが、簡単にいかないのだ。そこで、同社は立地の条件に合わせて自販機をスクラップ&ビルドしたり、様々な機能を持たせた新型自販機へのリプレースを進めたりしている。

 自販機のコストはどうやって捻出するのか。そこも同社がユニークな点である。同社は飲料メーカーであるにも関わらず、生産設備を持っていない。OEM(相手先ブランド)方式で製品を供給する株式会社ニッセーなどに委託しているのだ。固定費を重くしない経営ポリシーである。さらに、自販機9割の売上げは、コンビニなどに比べればチャネルマージンを抑えることもでき、さらに商品代金は消費者がその場で支払うため、日銭で入ってくる。極めてキャッシュフローに優れているのである。そうしたファイナンス的なメリットを実現するためにも、ダイドードリンコは、何より「自動販売機で売れる」魅力的な商品を開発し続ける必要があるのだ。

 一消費者として、何気なく目に留まる面白い商品。しかし、その背後には企業としての様々な戦略や制約条件の中で勝ち残るための工夫が隠されているのである。


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