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2010.09.21

ハンバーガー秋の陣:フレッシュネス&バーガーキング

ハンバーガー秋の陣:フレッシュネス&バーガーキング

 圧倒的なコストリーダー、マクドナルドが君臨するハンバーガー市場において、下位企業がその意地をかけた戦いを展開しはじめた。フレッシュネスバーガーとバーガーキングである。

 日経MJ9月20日フードビジネス面に「フレッシュネス、初のCM 健康志向訴え認知度向上」との記事が掲載された。11月5日から開始されるというCMは、大手ハンバーガーチェーンは<大半が商品やキャンペーン告知が目的。フレッシュネスのブランド認知に絞ったテレビCMは珍しい>(同記事)という。
 消費者の商品・ブランド認知から購入に至までの態度変容はAIDMAモデルで表すことが多い。Attention(認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買行動)である。
 記事によると、首都圏及び近畿圏におけるハンバーガーチェーンの認知度と利用率は、マクドナルド99.8%:97.5%、モスバーガー99.3%:85.8%、ロッテリア98.8%:79.8%であるのに対し、フレッシュネスバーガーは41.8%:24.8%に留まるという。業界第3位のロッテリアも店舗数は2009年2月時点で524店あるのに対し、フレッシュネスバーガーは189店と規模の差があるため利用率の低さはやむを得ない。しかし、今後300店体制を目指す戦略を打ち出している以上、まずは認知度の低さから解消していくのは急務であるということだろう。
 実際に、同社の戦略課題は明確だ。巨大マッシュルームを使った「ベジタブルマッシュルームバーガー」が人気を博すなど、ブランドを挙げてヘルシー志向の加速している。同社の特徴であった喫煙席も以前と比べて分煙化や縮小を進めているのも、健康志向の文脈であろう。記事でも<肉類を使わないパティ仕様の「ベジタブルバーガー」などに象徴される独自のブランドを訴えていく>とある。ターゲットを「ヘルシー志向層」と絞り込み、まずはAttention→Interestを強化。次いで、メニューや店舗の魅力で欲求(Desire)喚起集客し、利用率(Action)も改善していく。そうして、規模だけでは勝負できない上位チェーンに対して、まずはニッチャーとしてのポジションを堅固にするという戦略にかけているのだ。

 マス広告による集客と対照的な戦略をとっているのがバーガーキングだ。世界的にはマクドナルドに次ぐ第2位のポジションであるが、日本では2001年に一度は日本から撤退。2007年に再上陸するも、現在のところ店舗数は首都圏に35店あるのみだ。マス手法では効率が合わない。
 そこで同社が9月16日から開始したのが、<『WHOPPER®』おかわり自由の「“B”iking」 キャンペーン。である。
 (同社ニュースリリース)http://www.burgerkingjapan.co.jp/release/pdf/PressRelease1016_02.pdf

 同社の看板商品は“とてつもなくでかい”を意味する『WHOPPER』であるが、そのセットを<ご購入のお客様に限り、店内でバーガー類とサイドを全て召し上がっていただいた際に、量にご満足いただけなかった場合には、ご購入いただいたバーガーと同じ商品を、ご満足いただけるまでご提供させていただきます>(同リリース)というキャンペーンだ。
 キャンペーン開始と同時に各メディアの記者が体験しレポートをWebサイトに掲載した。

 <ハンバーガーおかわり自由に挑戦!残すと商品相当額お支払い…>(9月16日フジサンケイZAKZAK)
 http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20100916/dms1009161158000-n2.htm

 一般の来店客も挑戦しているようで、体験記なども含めてBlogやTwitterでも盛り上がりを見せている。AIDMAのAttention(認知)やInterest(興味)を口コミで促進しようという戦略であるが、その前提として市場のフォローの風を利用していることも見逃せない。
 バーガーキングは「直火焼き本格バーガー」が売りであるが、本格バーガーや高級バーバーはここ数年、静かなブームとなっており、ハワイ生まれの「クア・アイナ」などの歴史ある小規模チェーンから新規出店する単独店まで、数多くの店舗が参戦している。
 バーガーキングのもう一つの売りは、前述の<“とてつもなくでかい”を意味する『WHOPPER』>だ。本格バーガーは総じてサイズが大きめであるが、大型サイズを一般化し、ブームにしたのは、やはりマクドナルドの功績が大きいだろう。2007年に販売されていた「メガマック」に始まり、現在の看板である「クォーターパウンダー」にいたる大型メニューはマクドナルドがリードしてきたといえる。現在も「クォーターパウンダー200円キャンペーン」で、さらに市場拡大を図っているところだ。
 バーガーキングは市場のトレンドやリーダー企業の市場開拓にうまく乗って自社の需要を促進する、フォロアー的アプローチを極めてうまく展開しているといえる。それは、わずか35店舗という規模からすれば実に合理的だ。

 さらにバーガーキングは「おかわり自由」での注目を利用する二の矢三の矢を用意することも忘れてはいない。「WHOPPER」に次ぐ、日本オリジナルの戦略商品「グリルTeriyaki(テリヤキ)」を「おかわり自由」開始と同日に発売した。いやが上にも注目が集まる中で、マクドナルドを始め先行チェーンが何年も前から成功させている、日本市場における鉄板メニューである「テリヤキ」を投入する。これもフォロアー的アプローチとしては極めて正しく効率的だ。
 その翌日には、ランチタイム終了後の時間に、ドリンクを購入するとポテトやパイが無料でもらえるキャンペーンと、平日のランチセットが割引になるキャンペーンを展開するなど、かつてないペースで新施策を展開しはじめた。集めた注目をムダにしないという意図であるのは間違いない。

 業界リーダーとチャレンジャーの息をのむような戦いを見るのは楽しい。消費者としてもお得な話も多い。しかし、ニッチャーやフォロアーの知恵を絞った高い方にも、学ぶべき点は多い。特にその制約条件をどのように解消したり、活かしたりしているのかは注目のポイントなのだ。


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Comments

ありがとうございます。ビジネスマンとしてマクドナルドのマーケ戦略は見習うべき点が多いな、なんて思っていたのですが下位企業にも見習えますね!
今回、誤字多くないですか?
■結構思考→健康思考
■修了→終了

Posted by: ズーカー | 2010.09.28 08:25 AM

ズーカー様
ご指摘、恐縮です。 m(_ _)m
修正しました。
これに懲りずに、今後ともご愛読ください。

Posted by: 金森 | 2010.09.28 04:37 PM

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