その先のトレンドを読め!ゼロ系飲料の栄華は続くか?
炭酸飲料、特に「ゼロ系」といわれる糖類やカロリーがゼロの飲料が好調だ。一部のメディアでは「飲料の勝ち組」と持ち上げている。しかし、その売れ行きはいつまで続くのか。
<ゼロ飲料が勝ち組に浮上、夏を前に飲料市場に大異変>(livedoorニュース・ZAKZAK 6月7日 )
http://news.livedoor.com/article/detail/4813050/
上記の報道では、飲料の中の「勝ち組」としてゼロ系炭酸飲料、特に「透明炭酸」、即ち「サイダー」をあげ、一方の「負け組」をミネラルウォーターとしている。そして、その象徴として<キリンビバレッジは4月6日、糖類ゼロの炭酸飲料「大人のキリンレモン」を発売し、ゼロ飲料市場に進出してきた。その2日後、ハウス食品がミネラルウォーターの「六甲のおいしい水」事業をアサヒ飲料に売却し、撤退すると発表している>という業界内の動きをあげている。
確かに上記は業界内のマクロ的な動きをとらえている。さらにその要因として消費者の行動を加味するとわかりやすいだろう。
景気の低迷による節約志向の高まりから、ミネラルウォーターは代替として水道水を浄水器で浄水すれば事足りるため、低迷しているのだ。業界筋によれば、売上げがプラスなのは若年層の支持を集めるコカ・コーラの「いろはす」だけであるという。その代わりに、「ブリタ」などのポット型浄水器が売上げ好調で、それを用いてマイボトルを持ち歩く「水筒男子」やら、浄水器を愛用する「水道男子」やらという人々が登場した。同様の理由で、自分で淹れられる緑茶飲料も低迷中だ。
そもそも、炭酸飲料がプラスに転じたのは、「炭酸=高カロリーで身体に悪い」という常識を打ち破る「ゼロ」が登場したためだ。記事中で<ブームの火付け役は、2006年3月にサントリー食品(現サントリーフーズ)が発売したカロリーゼロの「ペプシネックス」だ>と指摘しているとおりである。
記事中で流通担当アナリストのコメントとして、かつての緑茶飲料は乱売合戦で市場がマイナスになった。そして、<緑茶の二の舞になったのがミネラルウォーター。急成長を遂げているゼロ飲料も、同じコースをたどるのではないか>とコメントしている。
筆者としては、前述の通り、ミネラルウォーターと緑茶飲料の低迷は、乱売合戦というよりは主因は消費者による代替だと考えているが、ゼロ系炭酸飲料も今のままで右肩上がりを続けるワケではないことには賛同できる。
「乱売合戦」の影響といえば確かにそれにあたるのだろう。炭酸飲料に限らず、ゼロ系飲料には大きな懸念がある。「ゼロ」が氾濫しすぎて、「何ゼロ?」だかわからなくなっているのだ。同じ「ゼロ」でも、それが示すものが「糖質」だったり「カロリー」だったりする。また、厚生労働省所管の健康増進法の栄養表示基準の示す「ゼロ」は、完全なノンカロリーや糖分ゼロではなく許容値範囲があることも問題視され始めている。
そのような、「ゼロ」のわかりにくさの問題以外にも、「ゼロの氾濫」による「消費者の飽き」も懸念される。過ぎたるは及ばざるがごとしだ。「こんなに美味しくてゼロでカラダにいい!」という驚き、喜びをなくしてしまっては、消費が鈍化するのは否めない。
では、今後「ゼロ系飲料」はどこへ行くのか?
勝負を分けるのは、「ターゲットを明確にする」ことと、単なるゼロに「足し算」や「引き算」をうまく行って差別化をすることだ。
記事に登場した「大人のキリンレモン」はその名の通り、「大人」をターゲットに据えている。従来、「キリンレモン」は「家族品質」をキーワードに、子どもを中心として家族全員に愛されるブランドを目指していた。しかし、競争環境の激化と少子高齢化のマクロ環境の変化を受けて、ターゲットを鮮明化したのである。
5月25日に発売され、氷室京介のCMをガンガン流しているアサヒ飲料の「グリーンコーラ」も、同社が仕掛ける「大人炭酸」シリーズの第1弾だ。続く第2弾は、恐らくジンジャーエールが控えている。
上記の両商品は同時に、「足し算」によるポジショニングの明確化を図った商品でもある。
「大人のキリンレモン」は、「回復系アミノ酸オルニチン」を投入し、オトナの元気を応援する。アサヒ飲料の「グリーンコーラ」は、着色料・保存料・カフェインが「ゼロ」だが、あえて糖質やカロリーをゼロにしてはいない。糖類に果糖・ぶどう糖液・砂糖を用いて自然な甘みに仕上げている。どちらも既存の商品カテゴリーに、独自性を示す要素を「足し算」して差別化を図っているのだ。
一方、「引き算」を行っているのが日本コカ・コーラの「コカ・コーラ ゼロフリー」だ。
<オトナが夜のリラックスしたひとときを楽しむための飲み物><糖分ゼロ、保存料ゼロ、合成香料ゼロに加えて、カフェインもゼロ(=カフェインフリー)>という徹底ぶりだ。「カフェインまでなくしたらコーラじゃない?」とも思ってしまうが、それでいてコーラらしい味わいを失っていないという驚きを与えてくれる。さすが炭酸飲料、コーラ飲料のリーダーといえるだろう。
競争が激しくなれば、当然、差別化ができないものは淘汰される。
しかし、その中でターゲットとポジショニングを明確にして製品特性を際立たせることができたものは生き残ることができる。「勝ち組」という「ゼロ系炭酸飲料」に淘汰も確かに波がやってくるかもしれない。だが、消費者にとって魅力を明確に示せて、支持を得られた商品は残っていくという変化が今後予想されるのである。
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