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2010.06.22

全くスキなし!チキン覇権を狙うマクドナルドの精緻な展開!

 マクドナルドがチキンメニュー強化に動いた。「ケンタッキーに対抗」とメディアや消費者は受け止めているようだが、マクドナルドの狙いは遙かに上をいっているように思われる。
 
 <マクドナルドはチキンでもNo.1を目指します(中略)7月2日(金)より全国のマクドナルドで順次販売開始>(6月20日・日本マクドナルド・ニュースリリース)
 http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2010/promotion/promo0621a.html

 上記リリースによれば、<これまでマクドナルドでは、2008年の「QUARTER POUNDER」、2009年の「マックカフェ」、2010年の「Big America」など、独自性のある商品を投入することにより、お客様の期待を超える価値を提供してまいりました。そしてこのたび、2010年度下半期の戦略的商品として、チキンを主役にした新商品を、自信を持って投入いたします>と、満を持しての発売であることがわかる。

 ところが、「チキンでもNo.1を目指します」とは控えめな発表であることが、新製品発表会での原田社長の発言から垣間見えたのである。

<マックが「チキン」新メニュー発表 「クォーターパウンダー」超え狙う>(J-CASTニュース6月20日)
 http://www.j-cast.com/2010/06/20069165.html?p=all

 同記事にあるように、原田社長は<チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円。すでに16.3%のトップシェアを持っているが、まだマクドナルド=チキンという認知がされていない層がある>と述べている。つまり、現在でもケンタッキーなどを上回る1位の座を占めているのだが、誰しもが認める揺るぎないものにすることが目標だということなのだ。

 既に1位であるにも関わらず、さらに上を目指すのは資本市場における企業の使命であるが、ともすればgreed(貪欲)が指弾される世の中になりつつある。しかし、同社の戦略は理にかなっているのだ。
 原田社長のコメントにある16.3%というシェアを、クープマンの目標値で考えてみれば、多数のプレイヤーがひしめき合っていて、いずれも安定的なシェアを占めることができていない状態を示す「並列的競争シェア」におけるトップシェアの数=19.3%にも届いていない。この状態では、トップといえどもいつ逆転されるかわからない状態だ。となると、一刻も早く、頭一つ抜け出した市場ポジションを取りたい。それが、市場影響シェア=26.1%という状態である。
 つまり、今回のチキンメニュー攻勢で、マクドナルドは一気にシェアを10%押し上げようという狙いなのである。

 シェア10%アップ達成のシナリオをどのように描いているのかを推測してみよう。
 原田社長の発言にある「640億円16.3%」の状態から10%押し上げる。メニュー平均単価300円とすれば、チキンメニュー約1億3000万食を販売することになる。

 1億3000万食に向けて初速を付けるためのプロモーションが1000万人試食キャンペーンだ。
 <チキンの美味しさをお楽しみいただく1000万人のお試しキャンペーンにチャレンジ>
 http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2010/promotion/promo0621b.html

 6月4日から開始されたキャンペーンでは、各種の新メニューを一口サイズのお試しで手を変え品を変えて提供し、7月1日には商品のチキンを丸々1本配布するという太っ腹な展開を用意しているという。その様子と味の感想をTwitterでつぶやいている人も多く、好評のほどがうかがい知れる。
 1000万人のサンプル効果をちょっと乱暴に試算してみる。体験者の35%が購入。体験者が5人に対して口コミをして、そこから25%の購入が発生。さらに再購入を1~12回する人が35%~10%程度に分布するという楽観シナリオで考える。すると、1億3千万食のうち、サンプルと口コミ効果で達成率50%強のところまで持っていくことができる。初速は十分得られるだろう。残り半分は、通常のテレビCMやクーポン等のプロモーションが担うことになる。

 チキンでも覇権を狙うマクドナルドであるが、それは原田社長によると<「原動力は客単価よりも客数の向上。チキンでさらに新規顧客を獲得したい」>(同J-CASTニュース)と、客数増が目標であるとしている。そして、その目標は大型メニューであるクォーターパウンダーの登場期を上回るという。

 マクドナルドの基本戦略は、筆者はクォーターパウンダーやビッグアメリカ等の高単価メニューと、客数を稼ぐ100円メニューやコーヒー無料などの展開を交互に投入し、売上=客数×客単価のコントロールを絶妙に行うことにあると考えている。時折、復刻版や改良版の「照り焼き」や「月見」バーガーなど日本オリジナルメニューを投入し、「中価格帯」を補完するのもその調整の一つだ。
 しかし、今回のチキンは「客数獲得」と「高利益」を狙うオールマイティーなメニューであることが、原田社長の<「他のメニューよりは粗利は高い」>(同)というコメントから伺える。100円メニューを廃し、メニュー単価を最大50円引き上げた新型店舗の投入で、利益率向上を狙うマクドナルドの戦略とも符合しているのである。

 チキンでの覇権を一気に狙い、壮大な目標数をクリアするための大規模キャンペーンを展開。さらにその背後には、客数増と利益率向上を同時達成しようという狙いも用意するという展開が今回のキャンペーンの全容だ。毎度のことながらスキのない展開を魅せてくれるマクドナルドなのである。

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