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2010.05.25

日本市場のこれから:「あなたの顧客は何歳ですか?」

 喜多方ラーメン「坂内」「小坊師」を全国で56店展開する株式会社麺食が、若者向けラーメン店を開くという。そこからは、ラーメン店や飲食業界だけでない、今日の日本市場全体の課題が見えてくる。

 日経MJ5月24日フードビジネス欄に「喜多方ラーメン 若者客開拓へ新型店 麺食 量重視、メニュー拡充」の見出しで記事が掲載されていた。その理由は、「来店客が中高年や高齢者に偏っているため」であり、「メニュー、量、内装の見直しで若者の来店を促し、客層を広げる」狙いであるという。

 麺食が展開する2ブランドの喜多方ラーメンチェーンに行ったことがあるだろうか。
 同店は、喜多方地方の蔵をイメージしたナマコ壁の外装と民芸調の内装が特徴だ。肝心の味は、はもちもちシコシコの「平打ち熟成多加水麺」。 豚骨の旨味がしみる透明スープ。 余分な脂を落とした、とろけるような特製焼豚。それらが一体となって醸し出す、あっさりとコが同居した深い味わいのラーメンなのである。

 名物である焼豚ラーメン850円也は、丼からあふれんばかりに焼豚が麺を覆い尽くしている迫力メニューなのだが、何と、客層は「他のラーメン店より高齢者が多く、30~40代が4分の3を占め、10~20代は2割にとどまる」(日経MJ)という。
 若い客層がいないのは、同店は主に「ボリューム不足」に起因するとして、セットメニューの拡充と量の多いメニューを新規開発するという対応を中心に据えた。客単価は現状より20円アップの750円とするようだが、ボリュームアップを考えると、実質値下げに近いかもしれない。

 新戦略の正否はまだわからないが、同社の戦略転換のきっかけとなった危機感は、多くの企業が学ぶものがあるだろう。
 顧客は歳を取る。しかし、馴染み客・固定客が多いほど、その変化には気づきにくい。従来の常識で考えれば、「高齢者にラーメン」はあまり親和性がないように思い、通ってきているのは元気な顧客ばかりだと思い込んでしまう。ところがどっこい、ラーメンが国民食となった高度成長期あたりでその味を占めて、ラーメン大好きになった人々ももはや老人だ。同様な例では、ファストフード店に結構な勢いで高齢者がいるのも同様だ。しかし、「老い」は人に不連続で訪れる。
 例えば喜多方ラーメンであれば、元気いっぱいに、肉があふれんばかりの焼豚ラーメンを平らげていた客が、「最近ちょっとキツイかも…」とぱったり来なくなってしまうこともあり得るのだ。同社の危機感はまさにそこにあったのだ。
 ラーメン店ばかりではなく、多くの高齢客は嗜好の変化だけでなく健康上の理由などから、離反ではなく来店できなくなるリスクが常に存在するのである。

 人は永遠の存在ではない。故に、それは常に考慮すべき要素なのだが、検討し、対応策を考えられている企業は少ない。例えば、百貨店が苦境に立っている一因もそこにある。
 日本と比べて好調さが伝えられる韓国の百貨店の強さのヒミツもそこにある。
 日本より国民人口が少なく、より少子高齢化が進んでいる韓国においては、「待ち」のビジネスは通用しない。ニーズを掘り起こして需要を喚起することが欠かせないのだ。
 日本においては、若者の需要は各種専門店に奪われている。しかし、韓国では若者需要を百貨店がしっかりと取り込んでいる。それは、積極的に若者のニーズを探って、それに対応した品揃えや売り場作り、また、出店計画などを実行してきた成果である。

 但し、ターゲット層を大胆に変更すると、今まで自社の売上げを支えてくれていた子損顧客層の離反を招くことになる。その点、喜多方ラーメン坂内・小坊師の戦略には若干不安が残る。
新型店は、既存の「坂内」ブランドで展開し、現在の56店から13年までに100店を目指す新規出店計画は、いずれも内外装・メニュー共に若者向けに転換し、既存店も順次新型店に改装していくという。(日経MJより)

 韓国の百貨店は、実は若者客の取り込みだけでなく、高齢者へのライフスタイル提案が真骨頂なのだ。例えば、現代百貨店では、「中高年への若返り提案に力を注ぐ。実際の年齢より10歳程若い着こなしや健康管理、趣味などを、商品やイベントを通じて積極的に訴える」(日経MJ10年1月1日号より)という。つまり、新規顧客への転換だけでなく、既存顧客への提案による囲い込みを同時に行っていて、それらが車軸の両輪となっているのだ。

 もちろん、ラーメン店と百貨店では環境が違い、戦略が異なるのは当たり前で、どちらが正解というわけではない。しかし、この2つの事例から学ぶべくは、「自社の顧客層はどのような年齢なのか」を正確に把握し、それに対して、今後どのように対処すべきなのかを考えて、明確な手を打っていることである。

 少子高齢化によって、日本市場が縮小することはもはや避けられない。
 その環境下では、もはや今までの方法論は通用しない。検討すべき切り口として「年齢層」が大きな要素となっていることを認識して、戦略を練ることが欠かせないのである。

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