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2010.05.14

話題のMOSDO! に行って来た。

■本日は弊社スタッフの書き下ろし記事をお届けします。

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西幡 治美 (にしはた・はるみ)

有限会社金森マーケティング事務所
コピーライター・プランナー

大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。広告制作会社、大手アパレルメーカー販売促進担当を経て現職。
スポーツ分野から農業まで、幅広い分野で販売促進提案から商品開発のプランニングまでを行う。

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話題のMOSDO! に行って来た。

 広島の人気お買い物スポット、イオンモール府中ソレイユに記念すべき第一号店として開店したMOSDO! (以下、モスド)は、ミスドとモス、企業側の思惑とイオン陣営の思惑、そして私達消費者の思いがあれこれ垣間見える興味深い所だった。

Mosdo2_3


 モスドは、ミスタードーナツ(以下、ミスド)を経営するダスキンと、モスバーガー(同、モス)を経営するモスフードサービスが資本業務提携する事により生まれた新しいブランド。
 1号店オープンに伴う両社連盟の発表に「新商品開発や、共同販売をはじめとするさまざまな側面において、両者の強みを生かした施策を展開していきます。」(2010年3月4日付)とあるように、今までも様々な取り組みが実現されてきた。同じ食材を使ったコラボメニュー、共通テーマでのCMや、互いへのオマージュ的メニューなど、ハンバーガーも食べたいドーナツ好きや、ドーナツも食べたいハンバーガー好きに対して、両方が一度に楽しめるアピール提案を消費者に対して行ってきた。
 企業側としては、同食材の一括仕入や、近隣店舗への配送一本化、顧客の共有といった良い事が共同運営の難しさよりも勝るし、投資家さん達にも資本増大、業務拡大、輸送時のCO2排出減少などエコへの取り組みもアピールもできるしで「素晴らしい!」となり、現在に至るというわけだ。

Mosdo1


 さてさて、巨大モールの中、若干迷子ぎみにたどり着いたモスドは、森の中に突如現れたお菓子の家のように、魅惑のたたずまい。
 子供の頃に体験した食堂車でのドキワク感や、往年のミスド&モスを彷彿させるかのようなボックス席のしつらえは、女子はもちろん、親子連れにとっても魅力的。隣はマクドナルド、向かいはサーティワン、というファスト&スイート激戦地ではあるものの、その期待に応えて店内は行列をつくるほどの混雑ぶり。店内をのぞいて驚いたのは店員さんの多さ。客席も混んでいたが、それよりもごった返し感が目立ったのはカウンター(とキッチン)。ユニフォームのハンチングがひしめく、うごめく!

 「平日だというのにすごい入りだ…」といよいよ中に突入…と思いきや、入り口にはこんな看板が。
 「モスバーガーの注文はこちら ミスタードーナツの注文はこちら」
Mosdo3_2
 え?何これ?モスドじゃないの?と若干の不安を抱きつつ、とりあえずゴー。L型のカウンターには、レジがずらり。「片方のメニューだけご希望のお客様の為に分けた」という「モスレジ」「ミスドレジ」の2種類が角を隔てて並ぶ。このレジがちょっと不思議。ミールメニューはどちらも頼めるが、ドリンクはそれぞれのレジからしか頼めない仕組み。つまりコーヒーをモスで頼んだ人と、ミスドで頼んだ人がいたら、ミスドの人にだけ「おかわり」が貰えるのだ。
 ほんとに「お客様の為に分けた」のかな? 「同一商品一括仕入れ」のメリットはお客に還元無し?あれれ?
 というわけで、バーガーメインのお客、とドーナツメインのお客は、並ぶレジが限定されるのであった。
 セットメニューは、頼みやすいように(?)シンプル。売り上げ主軸とみられる「モスドセット」で買える相手方のメニューは限定され、モスからサラダ等の新商品を含めた5種、ミスドからは3種。ドリンクはそれぞれのレジこと。Tea Time Setは新製品ドーナツパフェと、ドリンクを選ぶ。セットメニューでない物を選ぶには追加注文する。

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 百聞は一見にしかずということで、私も頼んでみる。
 モスド店舗限定ドーナツ「もみド(広島銘菓もみじまんじゅう風ドーナツ)は売り切れたようで、いやはや残念。ということでフツーにモスドセットの注文をし、追加でドーナツを頼む(並んだのがたまたま「ミスドカウンター」だったので、モスの他メニューは分からなかった)
 席について、美味しくいただきながら、あたりを眺める。
 平日夕方の利用時のお客さんは実に様々。放課後の学生さん、親子連れ、カップルさん、スーツの皆さん。隣のマクドが狙う客層と同じく、バリエーション豊か!食べているものも、主食におやつ、飲み物だけと、取りこぼしがないように見える。

 けど、なんか物足りない…。インパクトが、ガーンと来るものがないのだ。
 店にいる間中、そして帰途についてからもなんだか満足を覚えない私の気持ち…なぜだ…?
 そんな私に一緒に行った連れ合いが帰りの車中で一言。
 「あれやったらマクドでもええよね」
 うん、そうだよね……そうなのだ。
 モスでも、ミスドでもない、モスドはマクドみたいなのである。

Mosdo4 私達消費者が外食する時に大事なものは、TPOに合わせ変化する。しかし根底にあるのは「美味しくて満足できる時間」。それが地域限定だったり、さらに特別だったりすると素敵さは倍増する。
 企業側のオペレーションや出荷物流の効率化とかいった、バリュー・チェーンなんて関係ない。匂いやプロセスの増大回避の為のメニュー簡素化や、きっと最後まで調整できなかった飲み物のこだわりやしがらみだとかは「何それ?」なのである。
 もし私が今後、混雑日に立ち寄ったフードコートでモスドとマクドの前に立ったならきっと「混んでなさそうな方」に入る事だろう。
 理由は「どっちの店にも主食もお菓子もコーヒーもあるし、どっちの店でも同じような時間を過ごせる」からだ。しかもスピードという軸で各店を切ったなら、マクドはかなり優位になる。ファストフードでの「時間軸」はかなりの強烈カードだろう。

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 折角合体したミスドとモス。2つの会社がタッグを組む所まで行ったのだから、ここはもう一段思い切って「日本ではじめて」に踏み込んだら良かったのにと思う。企業としての「競合に対抗する手段」まずありきではなく、「大好きなお店が一つになった!」という顧客のハッピーサプライズ欲求を満たす事をまず、考えてみて欲しい。それをふまえなくしての合理化や効率化は、顧客側の立場で言わせてもらえば「面白くない」のである。

 そうは言っても「仕方ない」部分は多々あっただろう中で、新たに提案されている「もみド」などの限定メニューは、それ目当てで行きたくなるし、カワイイ店内やPOPは、どちらの既存店舗にもない新しさが感じられつつも「ボックス席」の設置などは、なんだか懐かしかったりもした。
 匂いやスペースの問題で複雑な調理が出来ないのであれば、サンドしたり暖めるだけのベーグル系とか「菜摘」シリーズの復活もいいなと思う。
 スイートポテト等の「焼き目入れ」系やアンドナンドのような「ひと手間かけ」系も、そんなに多くのスペースは必要ではない気がするから、モスドはこれからどんどん進化していくのだろう。という気がする。
 別に既存メニューが1つ2つ、でもいいじゃないか。
 やっぱり「モスバーガー」がイチバン!
 それでも「オールドファッション」フォーエバー!
 というファンが多い大御所を押さえつつの「モスドでしか食べられないスペシャル」が満載のお店は、なんと魅力的な事か。(それができりゃ苦労しないか…)
 両社名を伏せる事無く、「みんなのために、タッグを組んだよ!」と堂々と正面切って言える両社の思い切りは、互いのブランド力を信じるが故。きっと各地に進出が予想されるだけに、行方を楽しみに見守りたい。全国各地に「地域限定メニューがあるモスド」が増えて「MOSDO!巡礼の旅」などをファン達が楽しんでくれたりすると面白いなと思う。

 ところで、このMOSDO!が出店した広島のイオンモール広島府中ソレイユ。テイクアウトカフェが1階だけでも3店舗、全部合わせるとなんと5軒にもなる。フードモールを見回してみると、カフェだけでなくタピオカスイーツや、ハンバーグ、丼、アイスクリームなど、競合他社店舗が軒を連ねているジャンルがある。なんとスーパーも2つ(これはターゲットが明確に分かれているので競合とは言えないかもしれないが)競合が無くて多くの店が揃う方が、集客率が上がりそう…なんて思ってしまうけれど、そこはアミューズメントな巨大ショッピングモール。多くの人が訪れる場所でお客を分け合う方が顧客のゆとりにつながる、目につく・気になる・流される…のね、きっと。
 各店に対してもお互いが差別化を図り、しのぎを削って切磋琢磨する状況をあえて作り出すことでモール自体が活性化し、さらなる集客を生む…こんなイオン側の計算もちらっと見えたりして、大きなプロジェクトっていうのは、本当にたくさんの脳みそが集まって動いているんだなぁと感心することしきりの一日だった。

 そしてやっぱりもみドが気になるのであった…。


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