「Fit’s」に見る、ロッテのブレないリーダー戦略
ロッテのガム「Fit’s」にまた、ニューフレーバーが登場した。しかし、今回は単なるフレーバーの追加ではない。それは、ガム市場のシェア6割ともいわれる圧倒的なリーダーであるロッテが「Fit’s」で切り開く戦略の第3章を意味しているのだ。
2009年3月24日の発売直後からバカ売れし、4ヶ月で3,000万個という未曾有の記録を樹立。3種のフレーバーのうち1種は生産が間に合わず、4ヶ月も販売休止。日経MJのヒット商品番付にも載るなど、その話題は佐々木希と佐藤健の大人気CMだけに止まらない。
「Fit’s」はそもそもロッテが、<ガムのトップメーカーとして、特にガム離れが目立つ若年層をターゲットに、今までにない新しいガムでチューインガム市場を活性化させなければと、強い危機感を持って>開発したガムである。<若い人の食生活を調査した結果、「ガムを噛むと口やアゴが疲れる」など、硬い食感を好まない人が多いことから、20代前半の男女をコアターゲットにした、ソフトな食感のガムの開発>をしたという。(同社ニュースリリースより)
柔らかな噛み心地は「かむとフニャン」というコピーにも代表されているが、CMのダンスも全て「フニャン」で整合を図っている。
その「フニャン」に微妙な変化が起きたのが、今年に入ってからのことだ。噛み心地を少し堅めにリニューアルしたというのだ。
さらに今回新発売されたのが新ブランドの「Fit's LINK」。「オリジナルミント」と「ノーリミットミント」の2種のフレーバーである。
商品の特徴としては、<これまでと一線を画すスタイリッシュなデザイン>という黒をベースとしたパッケージデザインと<噛むたびに砕けるメントールチップの新食感&清涼感>であるという。(同社ニュースリリースより)。食べてみれば、確かにミントが強く、「ノーリミットミント」はなかなかの刺激感である。そして、ニュースリリースによれば「メインターゲットは30代男性層」だという。
「Fit’s」は前述の通り、「20代前半の男女をコアターゲットにした」という明確なターゲティングが成功の大きな要素であったので、さすがに今回は戦略にブレを感じる…かというと、実は裏には別の狙いが感じられるのである。
「Fit’s」発売当初のフレーバーは、大人気で売り切れとなった「ミックスベリー」と「シトラスミックス」「ペパーミント」の1種だ。若者好みの果実系2種にミント1種。その後、発売されたのが少しミントの刺激を強めた「エアーミント」。続いて、再び果実系の「ピーチミックス」を加えた。そして、今回が派生ブランドで今までになく刺激の強い2種のミントを展開したわけだ。
フレーバーの変化で見れば、本来のターゲットの好む果実系を中心に、それでもしつこくミント系を展開している。フレーバー以外では、噛み心地を堅めにするという調整をしている。これが何を表すのか。
筆者は、若者への「ガムのトレーニング」であると見た。
ガム市場のリーダーであるロッテにとって、ガム人口の減少は大きなダメージとなる。それに対応した「Fit’s」だ。楽しいダンスでAttentionを獲得して、ダンスコンテストで口コミで流行らせ、ガム離れに歯止めをかけることに成功した。次は、使用回数を向上させることだ。
ガム市場のピークは2004年であり、その牽引役となったのは「ボトルガム」だ。今もデスクにガムのボトルが乗っている人も多いだろう。ガムで最も習慣的に食べられるのは、刺激のある「ミント系」なのだ。果実系ではない。
つまり、ロッテは「Fit’s」でミントの刺激に徐々に慣れさせ、さらに噛み心地も堅くしていき、他商品も含めて使用頻度を高めるという狙いに移行していると考えられるのである。
では、なぜ、ターゲットを30代男性としたのか。それは恐らく2つの狙いがある。
1つは、すっかり有名になった「Fit’s」ブランドを使って、コアユーザー層をさらに獲得する意図だ。コアユーザー層は、過半を抑えたリーダー企業とはいえ、まだ競合との獲得競争が続いている。
もう1つは、「保険」だろう。あまり大きなポジショニングチェンジをすると、既存ユーザー層の離反を招く。あくまで、「Fit’s」は「フニャン」であり、優しい果実系の味わいが中心なのだ。それを、ガムの王道である刺激ミント系をガッツリ出しては、整合性がとれなくなる。あくまで派生ブランドとし、ターゲットも違うという打ち出し方をして、従来のユーザーには「興味があれば、どうぞ…」的な展開を装っているのだ。
以上のような読みが当たったとしたら、「Fit’s LINK」はしばらくしたら「Fit’s」ブランドに統合されるかもしれない。もしくは、そのまま存続だとすれば、もっと刺激を強めたフレーバーが「Fit’s」に加わるかもしれない。
いかに需要を確保し、それを高めていくかという、業界リーダーの戦略がどうなっていくのか、またしばらくは目が離せない。
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たぶん、キャドバリーの新製品ストライドに対抗して作ったと思いました
ティザーTVCMの猿が本日発売で成宮くんになりますよ!
Posted by: よかったら | 2010.05.10 01:36 PM