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2010.05.24

B to B営業担当者にとって欠かせないこと!

 「カナモリさんはコンシューマー向け(B to C=Business to consumer)のマーケティングが専門なんですか?」とよく聞かれる。実はそうではない。対企業向け(B to B=Business to Business)の生産財やITソリューションに関連するクライアント業務も結構手がけている。当Blogで記事として取り上げないのは、当然のことながらクライアント関連のことは書けないだけでなく、事例として解説しやすいB to Bの情報があまり流通していないことに起因する。

 その意味からすると、貴重な記事がネット上に掲載されていた。
マッキンゼーのサイトにある<The basics of business-to-business sales success>という記事だ。
 http://tinyurl.com/2fmjeez (記事全文閲覧には登録が必要)
 
 さらに、上記記事を翻訳・解説してくれているBlogがある。
 Web戦略コンサルタント・Takeshi ADACHI氏のBlog「Think CREATIVE」である。
 http://www.thinkcreative.jp/blog/web/1180/

 同氏が「成功するB2B営業のための原点回帰」と翻訳している上記記事の要点を引用させていただく。
 <営業マンがお客様との関係作りを行う際に押さえておくべき「基本」>に関して注目のポイントはまず、<お客様は製品やサービス(の仕様よりも)が自社のビジネスにどういう効果をもたらすかを知りたがっている>という点。
 当たり前といえば当たり前なのだが、この一文がB to BとB to Cの違いを端的に表している。つまり、消費者が購入の意思決定をする際には、まず、購入者自身が満足することが重要だ。また、購買行動は、ある時は衝動的に、もしくは日々の暮らしの中で習慣的に購入が行われることが多い。対してBtoBの場合は、その商品・サービスによって、何らか、収益の向上や生産性の向上、経費削減効果があるなど、企業の利益を目的として購入される。その前提で、<自社のビジネスにどういう効果をもたらすか>が明らかにされるのは、企業の購買担当者に取っては至極当然の要求なのである。なぜなら、その取引の内容によって、自身の業務評価にかかわる場合もあるため常に真剣であるからだ。購買は計画的かつ合理的な判断の下に購買が決定されるのが常である。それに応えることが基本だ。

 さらに「関係作り」に必要な要素<営業マンは取り扱う製品やサービスだけでなく、競合他社との訴求点の違いまで熟知している必要がある>と、<購買決定を左右する「被営業体験」>とされている要件である、<サプライヤーをどう評価しているかをマッキンゼーが調査したところ、最も重要な要素は(価格ではなく)製品・サービス自体の特徴と、そして営業活動を通した印象であることを発見できた>という点に注目だ。その発見は、マッキンゼーが1,252社を対象にした調査から抽出されたファインディングスであるという。

 つまり、B to B においては、営業担当者も「商品の一部」であるということなのだ。
 コトラーの「製品特性分析」では、製品の価値を3層に分解してとらえる。顧客が製品を手に入れて実現したい価値を「中核」という。そして、それを実現するために欠かせない要素が「実体」。中核の実現に直接関係ないが、その魅力を高める要素が「付随価値」という。
 製品の複雑さが高まったり、消費者の欲求の高度化したりという変化が顕著な今日、消費財でも「付随機能」のレベルが重要になってきているのは事実だが、B to Bにおいては、それ以上に付随機能が重要なのだ。なぜなら、新規のITソリューションや生産ラインの機器を導入したら、安定稼働するまでのサポートが欠かせない。つまり、サポートは「付随機能」であり、商品の一部である。
 さらに、導入に際して、その製品は自社にとって最適か。問題が起きないかといった情報を得るのは、購買担当者の死活問題だ。前述の通り、導入の正否は担当者の評価にも関わる。信頼できる営業担当者とそれがもたらす情報は、購買担当者にとって「対価を払うべき商品の一部」であることは間違いない。故に、商品の本体価格だけでの比較ではなく、営業担当者の価値までが「カスタマー・バリュー」として評価あれるのである。

 B to Bにおける最も重要な要素は、自社の優位性やポジショニングが「QCD」でほぼ表されるという点だ。QCDとは「Quality(品質)」「Cost(価格)」「Delivery(納期)」である。B to C においては自社の優位性を示す「ポジショニング」を、顧客の「KBF(Key Buying Factor=購買決定要因)」を基本として手を変え品を変えてアピールする方法を考える。しかし、前述の通り、企業の購買意志決定は極めて経済合理性に基づいているため、「QCD」でほとんどが決まってしまう。
 例えば、有名な日本電産の永守会長のスローガンは「確かな技術、値段は高め、しかし納期は半分」である。つまり、Quality=最高・Cost=高め・Delivery=半分というわけだ。

 営業担当者は価格や納期に関して、各部署や上司などと調整に最善を尽くしてクライアントに最もフィットする提案を行おうと努力するだろう。しかし、品質に関しては、営業担当者の範疇でない場合も少なくない。
もちろん、いわゆるソリューションなら、営業担当者がクライアント企業の問題を正確かつ、詳細に聞き出すことが適切なソリューション(問題解決)を提案するのに欠かせない。 
 しかし、いわゆる仕様が決まっている製品でも、営業担当者のアプローチの仕方次第では、それが製品の「付随機能」として、製品の一部として評価され、本体価格だけの価格勝負を回避できるということをマッキンゼーの記事は示唆しているのだ。

 今回のマッキンゼーの記事は極めて基本的なことを述べているが、1,252社もの企業を対象としたて行った実証調査の結果である。「基本」と思われるようなことも、その意味を十分理解して励行することが重要なのだ。

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Comments

法人営業の面白さは、「リサーチャー」でもあり「カスタマーセンター」でもあるところですね

Posted by: 山本@五反田 | 2010.05.24 09:33 PM

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