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2010.04.23

「若者の焼きそば離れ」対応?エースコックが成功したワケ!

 エースコックのカップ焼きそば、「JANJANソースやきそば」が売れているという。カップ焼きそばの不動の3強といえば「日清焼きそばUFO」(日清食品)、「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」(明星食品)、「ペヤングソースやきそば」(まるか食品)であった。その一角に食い込み、切り崩すことに成功したのだ。その秘密は何だろうか。

 <若者にうけた? “縦型カップ焼きそば”売れ行き好調 ~販売個数TOP3に食い込む>(4月19日oriconグルメ)
 http://gourmet.oricon.co.jp/75478/full/
 日経POSデータによると、3月15日の発売週はトップの「焼きそばUFO」次ぐ販売個数。を記録。4月に入ってからも「 一平ちゃん夜店の焼そば」と競い合いTOP3に食い込む(同)という好調さだという。

 同商品はエースコックが2年の歳月を費やして開発した、「若者向けカップ焼きそば」であると、同社ホームページの開発ストーリーにあるが、そもそもの開発のきっかけは、「10~20代の食用率の低下」にあるという。

 商品の大きな2つの特徴は、「縦型容器」と「ソース練り込み麺」だ。
 まず、前者の容器については、カップ焼きそば市場30余年の歴史の中において、ほとんどの商品が角形、もしくは円形の平型容器を用いてきた。それに対して、若者の評価は「持ち運びが面倒」「容器が大きくて食べにくい」という不満を持っていた。例えば、従来の平たく大きな容器はデスクに置くとパソコンのキーボードを片付けなくてはならない。縦型にしたことで手軽に食べられ、何か作業などをしながらの「ながら食べ」にも対応できたという。
 味は食生活の変化から「濃い味を好む」若者の嗜好に対応した結果、従来のように味付けソースを添付するだけでなく、麺の中にソースを練り込んだのだという。

 「JANJANソースやきそば」は「10~20代の食用率の低下」に対応して、若者をターゲットに、「うける」商品を開発したということから、ちょっと考えると、よくある「若者の○○離れ」に歯止めをかけた成功例にも見える。
 「○○」は「車」「ビール」に始まりもはや枚挙にいとまがないくらいにメディアに取り上げられ、消費低迷の原因の一端のようにもいわれる。それに対してネットでは「まぁ~た始まった」という反論がなされる。今回も一部でそのような書き込みが散見される。
 しかし、「JANJANソースやきそば」の真の価値は全く異なるのだ。

 コンビニでカップ麺の棚の構成を思い出して欲しい。カップ焼きそばはどこに置かれているだろうか。多くの店で棚の下の方、最下段に置いてある。平たい形状のため、上から見下ろす方が視認性が高いためかもしれないが、腰をかがめて、手を伸ばそうという気持ちは起こしにくい。平たくて大きな容器の形状は食べるときにも、いかにも「焼きそば食べてます!」という風情を醸し出してしまって、女性には手を出しにくい。新規顧客を獲得しにくい状況にあるわけだ。
 試しに食べてみると、どうだろう。
 容量の主流は麺100gオーバーだ。最大サイズの「ペヤング ソースやきそば超大盛タイプ」に至っては237gである。それは、ボリューム感を求める顧客の要望を反映して、長い歴史の中で徐々に大型化していった経緯を反映している。食後に炭水化物で胃を満たしたとき独特の膨満感に苛まれることになる者も少なくない。具材はフリーズドライのキャベツ、鳥ひき肉、ごま、香辛料、紅しょうが、青のりなどが一般的だが、この青のりがクセ者で、食後の歯ブラシを欠かすと午後の職場で恥ずかしい思いをすることになる。つまり、慣れないものが食べると、少なからず後悔することが多くリピートしづらい商品なのだ。

 つまり、従来の商品はカップ焼きそばのユーザー層を固定化する形状であるわけだ。まるか食品の「ペヤング」という商品に代表されるように、カップ焼きそばは本来、「ヤング」がターゲットの商品であったのだ。それが、いつしか若者のニーズに合わなくなって、「若者が離れた」のではなく、「若者が手を出さなくなっていた」のである。

 「JANJANソースやきそば」の意義深いところは、ターゲット層とする若者の「ニーズギャップ」を徹底して解消したことだ。

 前述のPCを操作しながらの食用スタイルを実現したのもその一例。また、従来は容器の形状から、いかにも「焼きそば食べてます!」という風情を醸し出してしまっていたが、20代女性が「オフィスでも食べやすそう」というコメントをしている。商品容量は膨満感防止のために85gに抑え、しっかりとした味付けや具材に黒こしょうのスパイスを加え満足感を高めている。一方、歯に付くと敬遠されがちな青のりはあえて外しているう細かな工夫もこらしている。

 ユーザーが固定されていれば、加齢と共にボリュームや味についていけなくなった者が櫛の歯が欠けるようにぽろぽろとこぼれ落ちていく。それは、焼きそばだけではなく、高齢化社会においては多くの商材で同様な問題を引き起こす。それを埋める若者層の取り込みを、「若者のカップ焼きそば離れ」などという短絡思考でとらえ、真のニーズギャップを解決しなければ問題は解決しない。

 従来の常識を打ち破るチャレンジは<「トライアル、リピートともに順調」>(oricon)と同社がコメントするとおりの成功をおさめている。この事例から学ぶものは多いはずだ。

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