ユニクロまさかの失速?復活のキーワードは?
4月5日、3月のユニクロの既存店売上高が前年比16.4%減という発表。それを受けて東京株式市場でのファーストリテイリング株が急落。
まさかの失速の原因は何だ?復活のキーワードは何だ?
<ファーストリテ株が急落、ユニクロ売上減は消費回復を象徴も( http://tinyurl.com/y8nauvg )>(4月5日ロイター)
上記記事で、<3月既存店動向は、売上高だけではなく、客数も同10.7%減と2ケタ減少を記録。客単価は6.4%減となった。直営店を含めた売上高は同8.4%減ダイレクト販売を含む売上高も7.9%減と全社的にマイナス>と、ずっと右肩上がり「のぼり坂」を続けてきたユニクロに「まさか」の全面急ブレーキがかかったことを伝えている。
筆者は2月24日に「競合をすべて撃沈させるユニクロUJの破壊力( http://tinyurl.com/yef23yj )」という記事を発表した。ファーストリテイリングはUJを中核として、グループ会社のg.u.,ユニクロ、キャビン傘下の女性向けブランドまであわせると、990円~4990円までの価格で、品質・デザイン共に極めて高いレベルのジーンズをラインナップした。それは、既存ジーンズブランドの全てをバリューラインの下に沈める一人勝ち体制が完成したことを意味すると分析した。
しかし、今回のユニクロまさかの失速は、そのUJにあると、コア・コンセプト研究所の大西宏氏がBlog「大西 宏のマーケティング・エッセンス」で記している。
<ユニクロはUJで自らも破壊してしまったのか( http://tinyurl.com/yd44px8 )>
つまり、ユニクロはUJで他のジーンズブランドをことごとく撃破したと同時に、図らずもカジュアルファッションとしてのジーンズの魅力とジーンズマーケット自体も同時に破壊してきたのではないか。もしくは、UJの尖ったコマーシャル展開に反して、ジーンズにファッション性を人びとは求めていなかったのではないかという分析である。
<激安ジーンズに揺れる老舗ブランド あの手この手で対抗策( http://tinyurl.com/yenychj )>(4月3日SankeiBiz)
上記記事では、<リーバイ・ストラウスジャパン(東京都渋谷区)の平成21年11月期の売上高(単体)は、前期比27%減の171億円と大幅ダウン。「ボブソン」ブランドで知られたボブソン(岡山市)は昨年11月にジーンズ事業を企業再生会社に譲渡した>と、ユニクロに加え、大手流通の激安ジーンズによる、1~2万円台の商品を中心とする老舗ブランドの「破壊されっぷり」を明確に伝えている。
ジーンズには「プレミアム」や「ビンテージ」というカテゴリも存在する。
イタリアのブランド「ディーゼル(DIESEL)」など、2~3万円、高いものでは5万円もの価格帯の「プレミアムジーンズ」というカテゴリは、海外セレブも御用達のすっごいオシャレであることが価値だ。一方、えもいわれぬ雰囲気を醸し出すマニアな「ヴィンテージジーンズ」は一物一価でものによっては目が飛び出るような価格である。
同記事では<同じジーンズでも「ビンテージもの」と呼ばれる高級品には根強い愛好家が多く、「販売は意外と落ちていない」(業界関係者)>(同)というコメントも伝えている。
ユニクロが破壊したのは「フツーのジーンズ市場」だ。「価格」と「価値」の関係を表すバリューラインを高いレベルに設定し、競合を全て撃沈したUJだが、その「価値」とは「寝室と、ちょっとカッコイイ(もしくは、自分にぴったりな)ファッション性」である。価値基準が全く異なる「プレミアム」や「ビンテージ」には影響はない。
では、そのフツーのジーンズユーザーの実態はどうなのか。<リーバイ・ストラウスジャパンが今年1月に20~30代の男性250人を対象に行った調査によると、35・6%が「低価格ジーンズを持っている」と答えた>という。
「35・6%」を高いと見るか、低いと見るか。
筆者は前掲の記事で「すべての人々のクローゼットにUJが2~3本入っているようになるのかもしれない」と予測した。少なくとも筆者の予測は過大であったといえるだろう。
ユニクロの誤算も正にそこにあったのではないだろうか。
ユニクロの戦略の基本は「アップセリング(同種の商品の複数購入)」である。大ヒットしたヒートテックにしても、ブラトップにしても、一人複数枚。多い人では10枚以上を購入している。それが大ヒットの原動力だったのだ。そうでなければヒートテック5000万枚、ブラトップ900万枚の目標など立てられない。
大西氏は<ジーンズにそういった(CMで訴求しているような)ファッション性を人びとは求めていなかったということかもしれません>と分析している。
フツーのジーンズであれば、何も慌てて買うことはない。まして、1枚あれば十分用に足りる。複数枚買う理由がない。そんな判断が働いたのかもしれない。そこが誤算だったのではないか。
では、ユニクロはこのままへこんでいるのかというと、筆者は全くそうは思っていない。
前述の通り、ユニクロの価値パターンは「アップセリング」である。まとめ買いと買い増し。正にそれに最適な商品が発売されている。
<冬がヒートテックなら、夏はこれです、ユニクロの高機能サマーインナー「シルキードライ / サラファイン」( http://tinyurl.com/ycaxmuc )>(同社ニュースリリース3月34日)
とにかくサラサラで着心地のいい男性用の「シルキードライ」。女性用には夏のエアコンでも寒くなりすぎない機能の付いた「サラファイン」。これを一度着ると、「今までの綿や混紡のインナーは何だったんだ?」と思うほどの快適さだ。大手インナーウェアの商品は2000円以上だが、990円とこれまた激安だ。洗い替えも含めて1週間分、3~5枚は購入してしまうだろう。販売目標数も1700万枚であるという。
ユニクロの勝ちパターンのもう一つのキーワードは「クロスセリング」である。関連商品の販売を意味し、ユニクロ得意の「ついで買い」を促進することだ。UJが意外にも集客・購買のキラー商品として機能しきれなかったことは、「ついで買い」の減少という連鎖的なマイナス現象も生んだはずだ。
桜の季節ももう終わり。これから春本番の少し汗ばむ日もある暖かくなる季節に向けて、インナーを少し買い足そうかという消費者の購買を刺激することができれば、「シルキードライ / サラファイン」をキラー商品としたアップセリング、クロスセリングという勝ちパターンにはまれば、業績は早期に回復してくるのではないだろうか。
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その通りで、「シルキードライ / サラファイン」は本来のユニクロの強みが発揮できる商品のように思います。
それといくら一時的に売上げが下がったといっても、ありあまる体力があると思うので、きっとまたうまくやるのじゃないでしょうか。
Posted by: 大西宏 | 2010.04.08 04:41 PM