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2010.03.23

気持ち・読んでる。西友の「KY」絶好調!

 「西友がなんで他社の宣伝してるんだ?」とCMが話題だ。それは2008年から継続して現在絶好調の「KY」の一環なのだ。

 「西友にとり、あえ~ずいけあ♪」。陽気な外人新婚夫婦が西友で次々と新居のアパートに家具・雑貨を運び込む映像のバックで、ちょっと舌足らずな男の子の歌声が響く。「だって家具や雑貨も安いんだもの。新生活も西友」と、続けてアナウンス。「西友に、取り敢えず、行けや!」と、生活用品を買い揃える価格・利便性をアピールしているのだが、明らかに「ニトリ」「IKEA」と聞こえるように狙っている。「新生活のうた編」と名付けられたCMだ。
 狙いの一つは「西友でも扱っているけど、高い」と思われている商品カテゴリーに注目させることにある。昨年3月には、「シャンプーと洗剤を買ったっけ?」という夫に、妊婦の妻が「そういうのは西友では買わない!」とピシッと言うCM「夫婦編」を放映した。同7月は、当時話題のギャルの「盛りヘア」をパロディーに使ったCM「盛ってます編」で「KY=暮らしのものも安く」を訴求した。
 今回と全く同じ狙いだったのは、「盛ってます編」の一つ前の「バッタリ編」だ。『「コジマさーん」「ヤマダさーん!」「あ、ビックさん!」「ハーイ!」「タカタさん!」「どうしたの、みんな西友にあつまっちゃって!」だってスーパーのテレビがスーパー安いんだもの。家電も安く。西友。』
 つまり今回は、「家具・寝具・雑貨などの生活用品は西友は高い」という認識を払拭するだけでなく、「専門店のニトリ・IKEAと同等以上に安いのだ」という訴求のため、あえて他社の社名を想起させているのである。
 「どうせ西友は○○は高いでしょ!」という消費者の気持ちを読んで、「そうじゃないよ!」と訴求するのが一連のCMのキモなのだ。

 西友が消費者の気持ち読んでる(KY)の訴求で、筆者が「おっ!」と思ったのが、冷凍食品の価格訴求だ。
 2002年にウォルマートと包括提携し、西友の筆頭株主となり、2008年に完全子会社となった。ウォルマートの基本はチラシに頼らない「EDLP=Every Day Law Price:毎日が最低価格」だ。しかし、毎日チラシで買い物計画を立てる(Every Day Chirashi-de Planning?)な日本の主婦には受け入れられず苦戦した。そのブレイクスルーがKY戦略の一環である、「他社のチラシに掲載された特売価格が西友よりも安い場合に販売価格を引き下げる”他社チラシ価格照合制度“」だ。その中でも西友が絶対の自信を持っていたのが当時一層の値下げをした生鮮品と冷凍食品なのだ。
 その自信の源である冷凍食品の価格について、西友は自らアンチテーゼを行った。店頭にポスターを掲出したのだ。
 『「冷凍食品」の割引表示やめます。 「5割引」と言われると、確かに安いと思ってしまうけど、元になる定価が高かったら、たいしてお得じゃありません。だから私たちは、まぎらわしい割引表示を一切やめます。正々堂々、価格表示で勝負することを宣言します。』

 とても穿った見方をすると、「他社チラシ価格照合制度」を開始した時点では、PB(プライベートブランド)の比率10%程度と、他社よりかなり低かったが、昨今PB比率が高まって同一条件で比較されることが少なくなったという背景があるのかもしれない。しかし、ポスターに書いてあるように、「5割引って、どういう定価設定だよ!」という気持ちは誰しも頭の片隅にあっただろう。その証拠に、企業間取引(B to B)で 出した見積金額をあっさり半値にしたら、喜ばれるより最初の見積もり根拠を疑われ信用をなくす。
 そんな、消費者の「心の底を読んだ」のも、西友の「KY」なのだろう。

 カジュアル衣料はウォルマートの購買力を活かし、安いけど結構カッコイイ「Georgeブランド」を展開している。しかし、「H&M、Forever21などと並ぶファストファッションの一翼である」などと主張はしていない「SEIYU FASHION PROJECT」として、昨年は『あなたが思っているかもしれない「スーパーの服は安いけどダサイ」を、「安いけどカッコイイ!」に変えるプロジェクト』と公表して、庶民の支持を集めることに成功している。あくまで「気持ちを読んでいる」のだろう。
 アパレルでカジュアル以上に目立つのが、昨年後半からさらに注力している「スーツ」だ。従来、7900円で展開していた紳士ビジネススーツを、昨年10月8日からGeorgeブランドに組み込み、業界最安値の5000円でセットアップスーツとして発売した。ここでもウォルマートの購買力を活かして中国で集中生産したり、カラーをブラックのみに集約したりして実現した価格だ。さらに、今年2月から同じくGeorgeブランドで3800円の女性用就活スーツを発売。 “氷河期再来”といわれる就職戦線に挑む学生を低価格スーツで応援するという。
 低価格衣料は「デフレの根源」といわれたり、海外の労働力搾取の犠牲・国内産業にダメージを与えるといわれたりすることも多い。しかし、激安就活スーツは、実家からの仕送りゼロの学生が初めて1割を超え、さらに活動期間が延びるという厳しい環境下で、学生の「気持ちを考え」たら「ありがたい存在」となるだろう。

 ちょっとおとぼけなCMが楽しく、何かとだじゃれでKYに持って行く、西友の「KY戦略」。しかし、日本市場で消費者の気持ち読むことがうまくなってきているように思う。これからも、ますますKYになって消費者の味方になって、厳しいといわれるスーパー業界の生き残りのキーワードとして定着させてほしい。

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