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2010.03.01

「地産エキ消」を仕掛けるJR駅ナカ自販機の狙い

 JR東日本のエキナカで自販機事業を展開するJR 東日本ウォータービジネスが、「地産エキ消」ともいうべき商品ラインナップを展開しようとしている。地味で見過ごしてしまいそうな動きだが、よく考えれば意義深いチャネルの動きなのだ。

 同社ニュースリリースによると、2月23日に<エキナカ専用”地産飲料”第1弾「もぎたて”んまいもも”」発売!>とある。
 商品の特徴は国産果汁で<既存の桃飲料と差別化を図るために「高果汁(果汁50%)」としましたが、さらっとお飲みいただけます。白桃の上品な甘みと香りが特長で、桃本来の味をお楽しみいただけます。>ということらしい。
この商品の製造元は「山形食品(株)」とある。Webサイト(http://www.ym-foods.co.jp/)を見てみると、山形県南陽市にある従業員90名の会社だ。JR 東日本ウォータービジネス(以下JR東WB)は今までにも、朝の茶事(伊藤園)、朝にすっきり野菜と果実(カゴメ)ジョージアキックオフ(日本コカ・コーラ)など、自社がJR東日本管内で展開するエキナカ自販機「acure」専用、またはエキナカコンビニ「ニューデイズ」との共用の商品を各飲料メーカーと共同開発している。しかし、今回のような地場の中小メーカーとのタイアップは初めてだ。

 筆者は個人的には「桃のジュース」というと、「不二家のネクター」なのだが、同商品は白桃ピューレ30%(ネクター濃いめ果実は40%)なので、それより高果汁なのだ。なのに、さらりとした味わいを実現している。
 山形食品のWebサイトを見てみると、昨年開始された通信販売ページがあり、「SUN&LIV 山形もも」という果汁100%ジュースが確認できる。野菜ジュースや野菜&果汁飲料でも、昨今はドロリとした口当たりの商品から軒並みさらり系へと売れ筋が移行している。消費者の好みの変化を捉えてJR東WB一緒に商品作りをしたのだと考えられる。

 とはいえ、このような商品は街中の自販機で目にすることはなく、「売れるのかなぁ~」と心配になるかもしれない。しかし、同社の自販機は他社と違う事情が数多くある。その一つが顧客層である。街中の自販機のユーザーは実に90%が男性であるという。仕事中に缶コーヒーをグビッと飲むイメージそのものだ。対して、エキナカ自販機は4割を女性が占める。永谷園の飲料「冷え知らずさんの生姜チャイ」などは、正にエキナカ自販機ならではの売れ筋商品なのだ。

 もう一つの違いは、資本関係だ。JR東WBビジネスが独自商品の展開ができるのは、国内唯一の飲料メーカー資本が入っていない自販機ビジネス事業者であるからだ。商品ラインナップは各メーカーの売れ筋や、同社こだわりの商品を混載して構成している。飲料がメインではない永谷園の飲料や、街中ではほとんど目にすることのなくなった、缶入りの「汁粉」飲料などが自販機に入っているのはエキナカぐらいだ。同社は自販機の商品構成は全て「顧客視点」でラインアップすることに腐心しているという。とかく飲料メーカーの販路として「売りたいもの」が並べられる自販機を、コンビニエンスストアの「棚」に見立てて、消費者が買いたくなるモノを揃えるという。つまり、街中自販機ではあり得ない商品を、独自に盛り上げていくことも可能なのである。

 自販機は現在全国に約240万台が展開されているが、清涼飲料販売におけるシェアは1990年代の50%弱から約35%にまで低下しているという。景気低迷のあおりを受け、道路や建設工事が減少し、現場に設置されていた自販機が大幅減。企業内の事業所に設置されていた自販機の撤去も進んでいる。街中の自販機も立地の悪いものは統廃合が進んでいるというような背景がある。競合はコンビニであり、豊富な品揃えと弁当などのついで買いの利便性で確実に自販機の販売シェアを浸食してきている。

 JR東WBは自販機事業として、縮小する他事業者と一線を画して独自展開を加速する必要がある。その中で、大手飲料メーカー以外の、地場メーカーを発掘しての「地産エキ消」も、顧客に選ばれる生き残り策の一手なのだといえる。同社は3月初旬に第2弾として「青森のりんご飲料」を発売予定だという。
地方の地場メーカーとしては、JR東日管内に1万台の自販機チャネルが販路として拡大し、suica対応であるため決済情報を利用した時間帯別売れ筋情報なども把握することができる。市場カバレッジと情報収集という、チャネルに求められる機能を得ることができるのだ。
今後、このWin-winの関係がどのように発展するのか。また、消費者にどのような利便性を提供してくれるのかに、継続して注目してみたいと思う。

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Tracked on 2010.03.01 03:41 PM

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