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15 posts from February 2010

2010.02.26

明日から始める! 初めての自転車通勤(最終回)

■メディアに掲載された弊社スタッフの執筆記事を当Blogでも随時紹介していきます。

※掲載のタイミングが悪く、少し季節と合わなくなっていますが、記事後半に金森の自転車通勤スタイルが紹介されています!!

Business Media 誠 連載記事

著者プロフィール:西幡治美(にしはた・はるみ)

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金森マーケティング事務所の体育会系コピーライター&プランナー。スポーツ市場の販促やプランニングを得意とする。

まずは体験してユーザーの立場に自分をおく事から商品や企画を始めたい性質(タチ)。根性系の自転車レースやトレイルランに好んで出場するが、大抵はレースの制限時間と格闘、誰よりも長くレースを楽しんでい ることが多い。

「いつ取材されてもいいように」とおしゃれなコーディネイトを考えるため、毎回遠征は大荷物。めったにないくせに「表彰式用のウエア」までいつも用意している。「スカートをはいてランニングを始めたのは私だ」と言い張っているが……。
(Photography by Sho Fujisaki)

運動不足だが忙しい、そんな人にピッタリな自転車通勤。最終回は、5万円程度で買える最新スポーツバイク、金森努氏に学ぶ自転車通勤スタイル、初心者向けのメンテナンスツールやレースなど、実践的な情報をお伝えしよう。

冬場の通勤、どんな服装がいい?


 本連載では、過去3回にわたり「自転車通勤を始めよう」と皆さんにお伝えしてきた。有酸素運動によるシェイプアップ効果、リフレッシュ、そしてエコ! いいことずくめのように思える自転車通勤にも、実はいくつかの“逆境”がある。今回は、そんな「乗り越えねばならない壁」に立ち向かう皆さん、自転車通勤に興味はあるがまだ踏み切れないという皆さんに役立つような情報をお伝えしよう。


明日から始める! 初めての自転車通勤(1)

明日から始める! 初めての自転車通勤(2)

明日から始める! 初めての自転車通勤(3)


■5万円以下! お値打ちスポーツバイクの最新モデル

 以前この連載では、自転車通勤を始めるにあたっては、スポーツ車を強くおすすめした(参照記事)。しかし実際には困った方も多かったかもしれない。デフレ、不景気、賃金カット、小遣いダウン……など、不景気な話が多いこのご時世。

 「ただでさえ厳しいのに、高級自転車に乗ってスポーツ感覚で通勤なんて余裕が、どこにあるの!」「ルック車※でもやっとなのに、危ないから駄目って、どうすりゃいいの?」そんな声にお応えできる、お値打ちバイクをいくつかご紹介しよう。

※ルック車……一見マウンテンバイクやクロスバイクのように見えるのだが、頑丈な作りをしておらず壊れやすい。よく見ると、「悪路を走らないでください」などと極小の文字で注意書きがあったりする。

→続きはこちら:Business Media 誠 初めての自転車通勤(最終回) (1/6) 

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2010.02.25

世界のキッチンから VS カルピスのガチンコ勝負・その裏側

 商品は工場から出荷されてから、様々な段階で試練と戦いを経て消費者が手にとって購入に至る。そこに携わる人々の様々な知恵と工夫が込められている。商品が並ぶ棚から、その断面が覗けることがある。

 コンビニエンスストアの飲料棚。ヒット商品として生き残れるのは「1,000に3つ」といわれるほど厳しい競争の舞台である。そこで今、巧妙な戦いが繰り広げられている。

 「大人に甘いごほうびを。」のカルピスの高級ライン「ザ・プレミアム カルピス」がいちごの王様といわれる「あまおう」をブレンドした季節限定商品「『ザ・プレミアム カルピス』シーズンブレンド あまおう」。カルピス社が「こだわり乳酸菌と「あまおう」が織り成す季節限定の華やかなおいしさ春の季節にふさわしいコク深く華やかなおいしさに仕上げました。 」という自信作である。
 棚に3フェイス確保されているが、そのスリムPETボトルのショルダーにPOPのシールが貼られている。そして、1フェイスごとに「今だけの、贅沢。」「特別なカルピス」「絶妙。」とシールが違う。商品は同じなのに。

 棚の隣にはキリンビバレッジ「世界のキッチンから とろとろ桃のフルーニュ」が並んでいる。実は、今回「ザ・プレミアム カルピス」が展開した、“1商品3種POP”は前回「とろとろ桃」が展開していた作戦だ。今回はカルピスにきれいにお株を奪われた格好である。

 しかし、「とろとろ桃」も負けてはいない。店舗によって異なるが、多くの店で5フェイスぐらい確保している。秘密は同じくボトルのショルダーに貼られたPOPシールだ。こちらは「世界のキッチングッズ当たる。」とある。こちらは購入インセンティブ付きである。しかも、その場でシールを開けば当たりがわかる。はずれても3口で抽選応募ができるという「インスタントウィン・ダブルチャンス方式」だ。さらに、賞品は家庭でヘルシーな蒸し料理ができると大人気・モロッコ生まれの「タジン鍋」である。実は筆者もタジン鍋を最近購入したのであるが、店頭に常に在庫がなく予約して手に入れたぐらいの人気なのだ。モロッコ生まれとの鍋だと、「フルーニュ」はハンガリー生まれの料理をヒントにしたので、ちょっと地方が違うが「世界のキッチンから」のコンセプトにはあっている。実にうまいインセンティブの設定である。

 PETボトルに貼られたPOPシールは誰に訴えかけているのだろうか。もちろん、購入してもらうべく消費者に向けてであることは間違いない。しかし、その前にメーカーと消費者の間の流通チャネルがある。コンビニエンスストアチェーンの本部のマーチャンダイザー(MD)に取り扱いを決めてもらう。さらにフランチャイズであるコンビニの店主が本部に発注してくれなくてはならない。さらに、商品棚になるべく多く並べてほしい。そうした思惑があるのだ。
 カルピスの3種POPはとろとろ桃の2番煎じではあるが、何とか3フェイス確保しようという必死の戦法だ。とろとろ桃の時に、異なるPOPを見て多くの店主が3本並べて売り場を作りたくなった成功事例をそっくりいただこうという思惑なのだろう。
 一方、とろとろ桃は、昨年のキャンペーンで3フェイスどころか多くの店で6フェイス以上を確保した実績がある。今回はその場で当たるという「実弾戦」だ。しかも、ダブルチャンスだと確実にはずれた人のリピート買いが期待できる。とろとろ桃は美味しいので多くの人がはまって、黙っていてもリピート買いする。しかし、確実にリピートするような期待を抱かせることがコンビニ店主へのアピールには欠かせないのである。

 商品を購入してくれるターゲットに対して魅力をアピールするのは欠かせない。しかし、その購買に至る過程に絡む人のケアを忘れると、購入確率は低下してしまう。
 購買意志決定に至る関与者をDMU(Decision Making Unit=購買決定単位)という。企業の場合、DMUは購入の窓口となって稟議を挙げてくれる担当者に対して、決済をする上司がであったり、システム製品であれば、社内サポートを担当するITセクションの担当者だったりする。家庭内ではご主人に対する奥方が強力なDMUである場合も少なくないだろう。しかし、企業内や家庭内、BtoB、BtoCに関わらず同一組織内にDMUが存在するとは限らない。この場合、コンビニ本部のMD、フランチャイズの店主がDMUなのだ。

 商品は棚に並ばねば、消費者の購入意思決定の俎上にも上がらない。そして、棚をたくさん確保できれば、圧倒的に自社商品が並んだ棚の場の魅力度が増す。そして、最後の最後に、商品自体から消費者に魅力をアピールするのである。
 たまたま隣り合わせに並んだかに見える、よく似た乳酸飲料の両商品。見えないところで壮絶な花火が飛び散っているのである。そんな背景にも思いをはせて、飲み比べてみてはいかがだろうか。


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2010.02.24

競合をすべて撃沈させるユニクロUJの破壊力

 勢いが止まるところを知らないユニクロ。次の一手はカジュアルウェアの最もベーシックなアイテムであるジーンズだった。しかし、その戦略はあらゆる競合を撃沈させるインパクトを持った一撃だったのだ。

 2月17日、ユニクロは新ジーンズブランド「UJ」を発表した。ユニクロがジーンズを発売というと、あまりに当たり前に感じてしまうのか大手メディアではあまり大きな扱いの記事にはなっていなかったが、ファッション関連の専門サイトFashionsnap.comが詳しく伝えていた。
 記事は次のように始まる。<「UNIQLO(ユニクロ)」のジーンズが生まれ変わり、新ジーンズブランド「UJ」が誕生した。2010年春は54型を揃え、1,990円〜3,990円の3プライス制を導入。「ジーンズを変えていく。」をコンセプトに、世界一のジーンズブランドを目指す。>加えて、ユニクロ取締役COO大苫 直樹氏のコメントも掲載している。<「グローバル戦略商品であるUJをユニクロの代表的ブランドとして育て、世界で一番売れているジーンズブランドになるのが究極の目標。」>とのことで、<これまでのユニクロのジーンズの年間販売数である1,000万本を大幅に越える規模の販売を狙うことを示唆した>という。

 UJの登場は、ジーンズ製品を扱うすべてのアパレルメーカーを震撼せしめたことだろう。ユニクロを持つファーストリテイリングには、傘下にジーユーがある。昨年3月に990円ジーンズとして市場に登場し、9ヶ月間で100万本の販売実績をたたき出した。日経MJのヒット商品番付でも西の横綱に輝いたことも記憶に新しい。グループで1000円~4000円の価格レンジが揃うことになる。しかもUJは54の型番を持っている。恐ろしいまでの「面」を押さえる戦略だ。
 さらに<定番デザインに加え、いま最旬のデザインジーンズを毎月5〜7型リリース>(Fashionsnap.com)するというから、時間軸でみれば面ではなく奥行きも持っていることになる。<あらゆる人が自分の一本を見つけることができるだろう>(同)と伝えているが、ユニクロの戦略は顧客に複数購入させる「アップセリング」が基本だ。すべての人々のクローゼットにUJが2~3本入っているようになるのかもしれない。

 UJのインパクトはそのポリシーにある。
 <"UJ"は、3つの「F」を追求する 本当に良いジーンズに欠くことのできない「FIT」、「FABRIC」、「FINISH」、という3つの「F」を追求しつつ、歴史や伝統に縛られない新しいジーンズを創造していきます。><FIT:あらゆる人が自分にとって最高の一本を選べる豊かなフィットバリエーション FABRIC: 厳選された生地と糸が生み出す、世界中のジーンズ好きが驚くほどの素材 FINISH:日本生まれの高度な技術を用いた縫製と加工>(同社ホームページのニュースリリース)
 ユニクロとしての気合いがひしひしと伝わってくる。

 かつてロードサイド店だった頃、価格が安く品質はそこそこだったユニクロは、SPA方式の採用とともに品質向上に全力を挙げて「品質だけで勝負したらどこも敵わない」と大手アパレルメーカー幹部が口にするまでに一気になった。次にヒートテックやブラトップ、新しいところでは姿勢矯正下着のスタイルアップインナーなどの「機能性」を高めた。さらに、デザイナーのジル・サンダーと契約し「+J」ブランドを上市しただけでなく、デザイン監修契約によってデザイン性の向上も図っている。
 「価格」は人によって安く感じたり高く感じたりするが、金額だけは絶対値だ。安く感じるか否かは、人の金銭感覚だけではなく価格に対していかに「価値」が高いかによる。ユニクロはその「価値」を高め続けているのだ。

 「バリューライン」で考えてみよう。横軸に製品・サービスの「価格」、縦軸に「価値」の二軸を取ると、「安くてそれなりの価値のもの」から「高くて価値の高いもの」という比例した関係が出来上がる。それがバリューラインで、世間の相場だ。アパレル市場、もしくはカジュアルウェア市場でユニクロ全体としては、低価格なのに高価格のものと同等の価値である「スーパーバリュー」のポジションを取る戦略である。

 では、UJがジーンズ市場に与えるインパクトを考えてみよう。ジーユーの990円ジーンズからUJのプレミアムラインである3,990円で、バリューラインの価格レンジはすべて押さえたことになる。「ユニクロとしての価格に見合った品質」に従った、「ユニクロとしてのバリューライン上のラインナップ」である。すると、何が起こるか。ほとんどの、いや、全てと言っていいかもしれない。競合となる他社ジーンズは、ユニクロの作ったバリューラインを下回る構図ができあがるのだ。
 競合の価値が低いのではない。しかし、価格と価値の二軸で考えれば、金額の絶対値が高くなるためバリューラインの下にポジションされてしまうことになるのである。

 今回のUJのインパクトは、スーパーバリューのポジションを取りに行くのではなく、自らのラインナップを「標準」として、競合を全てバリューラインの水面下に撃沈させるという戦略であるということだ。「どうしても特定のジーンズブランドが好き」とか、「ずっとご氏名の型番をはいている」とかでなく、こだわりがなければUJ以外のジーンズを購入するのは不合理であることになる。
 もちろん、人は経済合理性だけでモノを買うわけではない。筆者のご指名はエドウィン503ZZだ。しかし、もう一本となったら、UJで十分かな?と思ってしまう。昨今の消費者の購買行動はどんどん合理的になっているのだから。

 ジーンズ市場はもはや勝負あったの感が強い。ユニクロが次に狙うのはどの市場か。その興味は尽きない。

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2010.02.23

ダイエー「レジ袋辞退率」30%超えは実現するか?

 ダイエーグループが「2010年度までにレジ袋辞退率30%達成」を目指した取り組みを展開している。2008年度で約26%だという。前倒しで2009年度に達成なるか?

 同社ホームページによると、06年度実績は約16%、07年は約21%だったという。数字手的には順調だといえるだろう。初年度の16%という数字が実に面白い意味を持っている。そこから考えると、数字はさらに伸びていくと考えられるのだが、まずはそこから検証してみよう。

 E.M.ロジャースのイノベーション普及論によると、イノベーションが市場に登場したときに、第一に飛びついてくる新しい物好き、「革新的採用者」または「イノベーター」といわれる層が存在する。ロジャースは市場に2.5%存在するとしている。別名「冒険家」とも名付けられているイノベーターは、何よりも自ら新しいものを取り入れる行為自体に価値を見いだす人々であり、情報感度が高い。
 イノベーションの成功の第一段階次のターゲットにかかっている。「初期少数採用者」または「アーリーアダプター」という層は、市場に13.5%存在する。別名「尊敬される人々」とも呼ばれ、とにかく飛びつくのではなく新しいものをきちんと評価して採用するという傾向がある。ここまでの合計が16%であり、この普及率を超えると、次の「前期多数採用者」または「アーリーマジョリティー」という市場の34%というボリュームを占める層が動き出すといわれている。そのため、「普及率16%の論理」ともいわれるのだが、ダイエーのレジ袋辞退率は初年度で既にこの数値を超えている。

 但し、地域や店舗によってバラツキがあるのも否めないようだ。Twitterである店舗の達成率を掲示したポスターをアップしていた。( http://twitpic.com/14b9xf )
その店舗では2009年12月度20.9%で、前月比±0%の足踏みのようだ。

 レジ袋辞退が進まないとしたら、どのような問題があるのだろうか。
 ジェフリー・A・ムーアは1991年に「キャズム理論」を提唱し、特にハイテク製品などにおいては、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間には「深く大きな溝(chasm:キャズム)」があるとしている。しかし、レジ袋辞退はそれほど理解できないような複雑なメカニズムではない。

 ロジャースは「普及論」で、イノベーションの普及がある程度の速度をもって進捗していくための要因を記している。それに従って考えてみよう。
(1)相対優位性…今まで使っていたものと比較し、優れているかが分かりやすいこと。
 辞退するとレジ袋の代わりに「マイバッグ」を使うことになるが、ダイエー部場合は2円分のポイントがつくようだ。2円を優位と考えるか否かは人の経済観念によるところが大きい。むしろ、「環境への貢献」という要素で考えるべきかもしれない。
(2)両立性…当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。
 辞退しなければレジ袋は支給されるので、マイバッグと両立はするだろう。だとすれば、あえて辞退するだけの前項の優位性をどう考えるかが重要そうだ。
(3)複雑性…理解できないほどの複雑ではなく、適度にありがたみのある仕組みになっていること。
 レジ袋辞退ではこの項目は当てはめにくいが、ダイエーの場合で考えると、少々面倒さが漂う気もする。スーパーの西友などは、辞退によってその場で会計から2円現金キャッシュバックがされる。ダイエーは買い物200円で1ptが付いて、500pt集めると500円分の買い物券代わりに使用できる「ハートポイント」が2pt分つくという仕組みのようだ。
(4)試行可能性…本格的な購入・導入の前に自ら効果を認識できること。デモンストレーション、プロトタイプの提供、試供品のサンプリングなど。
 マイバッグを提供されなくとも、以前もらったレジ袋を持ち込めばいいだけのことだが、自ら持ち込むというのは手間かもしれない。なぜなら、ほぼ手ぶらや小さな鞄だけで買い物に来ていた客はそこに一手間かかるのだから。
(5)察可能性…目に見えない効果ではなく、明らかに効率が上がるもしくは質が向上するなどの効果が観察・実感できること。
 この点に腐心しているのは、店舗ごとにレジに月別の辞退率を掲示している点にも現れている。いわゆる「可視化」「見える化」である。しかし、30%に向けた企業の目標が、自分にとってどんな意味のある数字なのか理解できる人は少ないだろう。

 以上から考えると、総じて個々人には比較的小さなメリットに対して、意外と仕組みが複雑で、取り組み全体としての効果がわかりにくいといえるのではないだろうか。
 しかし、それはダイエーグループの問題ではない。この「レジ袋削減」という運動の全体の問題点がここにある。
 レジ袋削減は、名古屋市は緑区で2007年10月からレジ袋有料化促進モデル事業を実施しており、2010年度までに名古屋市内全域でレジ袋有料化を実施することを目指しているという。しかし、その環境への効果・効用はまだまだ認知が低く、「マイバッグが増えて環境負荷はむしろ高まっている」というも論一部にある。
 
 たとえば、こんな説明がある。<年間使用枚数は、300億枚(1人1日約1枚)とも言われる。しかし、レジ袋の原料は原油であり、国内の使用枚数は原油換算で約56万リットル(大型タンカー2艘分)に相当する。また、レジ袋は最終的にはほとんどがゴミとして廃棄されており、容器包装全体の量では、容積で家庭ゴミの6割を超える>(環境gooより http://eco.goo.ne.jp/word/life/S00251_kaisetsu.html )
 一方で、工学者の武田邦彦氏のように「レジ袋は石油の余り物からできているので削減は意味がない」とする論者も少なくない。
 
 議論百出は結構だと思う。しかし、「レジ袋辞退」の効用が明示されず、「環境負荷軽減」の手段自体が目的化した状態で、さらに異論も放置されたままであれば普及にブレーキは自ずとかかるだろう。
 30%は達成されるかもしれない。しかし、普及の後半は、周囲の大半の人が採用する様子を見てようやく自らも動く懐疑的な人である、「後期多数採用者」または「レイトマジョリティー」という層が残っている。
 ダイエーのCSRとしての努力には敬意を表したい。しかし、名古屋市のような「全市有料化」というような取り組みに動くのであれば、一企業の努力や個人の善意に支えられるのではなく、もっと根本的な説明・普及を行政が行うべきではないかと考える。

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2010.02.22

顧客を動かす、そのひと言・「サブコピー」の力

 人目を惹くメインコピーではなく、製品やその周囲にそっと添えられたサブコピー。その例から、顧客を動かす「ひと言」を考えてみよう。

 広告において「コピー」とは、人の関心を引きつけ、商品説明の文章を読み進めさせたり、手に取らせたりという重要な役割を担っている。大別すると、最も少ない文字数のヘッドコピー、メインコピーともいう、「キャッチコピー」。そのキャッチコピーを補う「サブコピー」はセカンドコピー、ショルダーコピーともいう。そして、最も長文で商品の説明をし、理解させる「ボディーコピー」に分かれる。
 人の目をひと言で惹きつけるキャッチコピーは、キラリと光る才能に裏打ちされたコピーライターたちのキラ星のごとき名コピーが誰しもいくつか思い浮かぶだろう。それに対し、ボディーコピーはネチっこく長文を読ませ、説得する。目の前にない商品を売る通信販売などは派手なキャッチより、いかに買う気にさせるボディーをしっかり読み切らせるかに成果がかかっている。

 そう考えると、サブコピーは少々位置づけが曖昧だともいえる。しかし、実は大事なのだ。例えば、ベテラン店員が購入を躊躇している来店客の耳元でふとささやくひと言。購入客へのリピート促進の声掛けそんな「人を動かすちょっとしたひと言」となり得るのだ。

 昨今、いくつかのコンビニチェーンで頻繁に目にする、有楽製菓の「ブラックサンダー」をご存じだろうか。以下、Wikipediaの記述を引用する。
 <ブラックサンダーは、有楽製菓が製造しているチョコレート菓子である。標準小売価格は税抜き30円>であり、どのような菓子かというと、<ココア風味のクランチをチョコレートで固めたもの>だ。ザクザクとした食感が特長である。その商品パッケージが何とも特徴的で、黒字に金のイナズマ模様が商品写真のバックに配されている。ネーミングの由来は<見た目のインパクトを表現するために黒い雷神、ブラックサンダーという名前になった>そして、<キャッチコピーは「おいしさイナズマ級!」>である。
 商品名、パッケージ、キャッチコピーのどれをとっても厳つい。ゴツイ。オトコっぽい。しかし、これが女性に売れているという。
 <元々は九州地方限定であり生協などで発売されていた>のだが、<学生や女性層を中心に評価されていた>ため、パッケージにサブコピーとして<「若い女性に大ヒット中!」>を記載したという。有楽製菓のホームページによると、2003年のことで以来、売れない時代が長く続いていたが本当に大ヒットになったという。
確かに売れているのだ。狭小店舗のため、売れる商品には実は目ざといJR東日本のエキナカコンビニ「ニューデイズ」では、レジ周りに常に置かれている。では、誰が買っているのか。東京急行電鉄が展開している、東京・渋谷を中心とした「流行」をテーマとして、ランキング上位商品と新商品だけを扱うというコンセプトのバラエティーショップ、「ランキンランキン(ranKing ranQueen)」が、毎週発表する売上げ上位商品でも常に常連だ。主要顧客は若い女性だ。確かに「若い女性に大ヒット中!」なのである。
 サブコピーの効用だけではないかもしれないが、前述の通り厳ついネーミングやパッケージで購入を躊躇した時、このサブコピーが効果を発揮していると考えても不思議ではない。

 永谷園の新カテゴリー商品「生姜の知恵」シリーズ。主要ブランドである『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』は生姜を用いたカップスープや飲料、菓子までと幅広いラインナップを展開している。今まで同社製品の主要顧客は、ふりかけやチャーハンの素などを買うスーパーで買い物をする主婦であった。同シリーズによって、チャネルを各コンビニチェーンやJR東日本管内に展開されているエキナカ自販機「acure(アキュレ)」などに大きく拡大。接点のなかった若い女性を取り込むことができた。自らが作り上げた「生姜ブーム」は正に収穫期を迎えているところだ。
 しかし、接点のなかった若い女性にとって「永谷園」というブランドは馴染みが薄かったはずだ。「冷え知らずさん」というネーミングと、女性を意識したパッケージは確かに手に取りにくい。食べたり飲んだりしてみると、確かにオイシイ。体も温まる。だからといってリピートしてくれるとは限らない。カップスープ類ならともかく、acure自販機で永谷園製品は「生姜チャイ」のみ。物珍しくて一度は飲んだとしても、自販機内には競合が目白押しだ。しかも、同商品は283gで150円と割高だ。
 そんなボトルのパッケージにはさりげなく、「ポカポカ美人になろう」というサブコピーが添えられている。生姜飲料で美人になれるかはわからない。しかし、飲み続けて、血行がよくなって何となくキレイになれる気はしないだろうか。「また飲んでみよう」と。少なくとも、ほんの数十円の違いなら、リピートさせる気になるコピーの力であるといえよう。

 正確にはサブコピーではなく、展示商品周りに添えられるPOP(Point of purchase :売り場に設置される宣伝材料)のコピーなのだが、秀逸なものを最後にご紹介したい。
 筆者が15年以上前にうかがった、桂文珍師匠のお話だ。いわく、「大阪で980円カメラのワゴンセールをしていた。そこは客の心が良くわかる大阪の商人がすることで、東京だったら『激安!』と書くところを、ズバリ一言書いていた。『写る』だ。980円が安いのは当たり前で『安っすいなぁ』と見ればわかる。手に取って次に『ちゃんと写るんやろか?』という客が不信感を口にすることなくそれを書いておけ。ということだった。人を動かすひと言は、徹底的に顧客の心を洞察し、先回りして目に触れさせねばならないのだ。
 サブコピーの話だけではない。ここから学ぶことは数多くあるといえるだろう。

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2010.02.18

「マーケティング」もニッチに売れ!?

 「ターゲットをそんなに絞り込んだら売れる数が減るじゃないか!」・・・そんな意見がしばしば会議で出される。高度成長期を経験している高齢の役員、バブル期を経験している幹部社員などがよくそんな話をする。作れば売れる、イケイケで買ってもらえる。そんな時代ではないのに・・・。

 地元のエキナカに小さな無印良品のショップがある。何やら改装をしていたのは知っていたが、久々に店内に足を踏み入れてみた。驚いた。「親父は入ってくんな」ぐらいの勢いで、思い切り女性向け商品にシフトしているのだ。食品や文具などは以前通りだが、男性向けのシャツや靴下、下着などは影も形もない。女性ものばかり。アロマポットなどまで置いてある。
 世の中の「男性・女性」というセグメントの一方をバッサリ切り捨てたのだ。元もと、店内には女性客が多かった。いや、ほとんど女性。であれば、メインターゲット向けの商材に絞って展開した方が絶対に売上げは上がるのは間違いないのだから。普通はわかってはいるが、なかなか思い切れない。一つの英断である。

 老舗のマーケティング関連セミナー会社の「マーケティング研究協会」の担当者に話を聞いた。最近集客が抜群なセミナー。一つが「販売戦略を推進する担当者のための リベート制度の総点検 ~コンプライアンスとリベート政策の適正化~」。もう一つが「駅消費の実態と活用法~なぜ駅で買ってしまうのか~」。どちらも、どえらくピンポイントでニッチだ。世の中にリベート政策立案の担当者がどれくらいいるのか。エキナカビジネスを検討している企業がどれくらいいるのか。しかし、集客をかけるとすぐに満席だという。
 逆に、集客に苦戦するのは「ブランド強化セミナー」など、ごく一般的なテーマだという。

 学術書やビジネス書を発行している老舗中堅出版社の「同文舘出版」。マーケティング関連の書籍も多数発行されているが、一昨年からマーケティングの領域を細分化したシリーズの刊行を始めた。入門的な位置づけの「マーケティング・ベーシック・セレクション・シリーズ」というシリーズは、マーケティングを12の領域に分割したのだ。戦略的マーケティング、プロダクト・マーケティング、プライス・マーケティング、プロモーション・マーケティング、流通マーケティング、ダイレクト・マーケティング、ブランド・マーケティング、ロイヤリティー・マーケティング、ターゲット・マーケティング、インターネット・マーケティング、マーケティング・リサーチ。以上の12冊だ。
 「マーケティングのお薦めの本は何ですか?」とよく聞かれる。迷わずコトラーの「マーケティング原理」か「マーケティングマネジメント」を読めと答えている。その両方、もしくは片方でも読めばほとんど他のマーケティング関連の書籍を読む必要はない。しかし、どちらも電話帳の1.5倍はあろうかというボリュームだ。それを一から読み進める勇気を持てる人は少ない。・・・枕には最適な厚さなのだけど。それに、自分の関心のある領域から読みたいののも無理からぬ欲求だ。同文舘出版の12のシリーズは、そのカテゴリー分けがMESEであるかは少々疑問ではあるが、手っ取り早く関心領域の知識を得たいマーケティング初学者のニーズを捉えているといえるだろう。

 消費者のニーズが細分化している今日、「空前の大ヒット」を飛ばすことはなかなか難しい。極端な話をすれば、日本の総人口約1億2千700万人を狙っても誰も振り向いてくらなければ全く意味はないのと同じだ。「ターゲットを設定すること」と「顧客化できること」は全く別。その違いが理解できない人は実は多い。ターゲットセグメントをニッチに設定して、例えば2万人しかボリュームがなかったとしよう。しかし、その2万人の半分がが「これを待ってた!」と飛びついてくれるなら、ビジネス書としてはまぁまぁのヒット作となる。1%がセミナーに参加してくれれば大盛況だ。
 マーケティングを生業とするセミナー業者や出版社も、紺屋の白袴にならないよう、セグメントを細分化し、ニッチを狙うようになっている。こんな動きが参考になれば幸いである。

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2010.02.16

さすがP&G!人を動かし、買い続けさせる販売促進!

 成功する販売促進は、消費者の心を洞察(インサイト)し、行動を読み買わせる。さらに、一度きりでなく、買い続けさせるように仕向けることである。「さすがP&G!」と思わせる防臭柔軟剤「レノアプラス」の販売促進がこれから全国で展開される。
 キャンペーンが始まったばかりだとのことで、まだ全国の取扱店では店頭に並んでいないところも多いようだが、もし見かけたら足を止めて、商品を手に取ってみて欲しい。

 P&Gの柔軟仕上げ剤「レノアプラス」。ただ衣類を柔軟仕上げしてくれるだけではなく、「一日中、着ている間も嫌なニオイが防げる」のが特長だ。同社の「ファブリーズ」の技術を使っているというから間違いない。でも、とってもいいけど、ちょと高い。
 が、ドラッグストアの店頭で248円で売っているではないか!「数量限定!今がチャンス!お試しサイズ」とある。

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 手に取ってみる。あれ?「数量限定・お試しサイズ・通常ボトルの約3/4」とボトルのパッケージに表記されている。ご丁寧に、ボトルパッケージの3/4くらいの位置に点線で「入っているのはここまでですよ~」としるしがされているので間違いがない。通常の650mL入りボトルに3/4の容量、約433mLのブツを詰めて売っているのだ。

 消費者の態度変容モデル、AMTULで考えてみよう。Awareness(認知)・Memory(記憶)・Trial(試用)・Usage(使用)・Loyal(愛用)である。
 「消臭効果のある、いいけどちょと高い柔軟仕上げ剤・レノア」はもともと、多くの人に認知・記憶されている。問題は、「ちょと高い」ので、購入に踏み切らないことだ。故に、課題はTrial、お試しなのだ。
 「いつもは特売の別メーカーだけど、こっちの方が値段的にちょっと安いし、いつもはレノア高いけど、買ってみようかしら!…色んな香りで迷うわ~」

 お試し少量ボトルで洗濯してみる。Usageだ。
「あれま、部屋干ししても臭くない…タオルもふわっと…結構いいかもね」
 少量ボトルなので、半月位で無くなる。
 「もうなくなっちゃった…あら、けどこのボトル。容量がすくなかったけど、ボトルサイズは通常サイズと同じね」と、ドラッグストアへ。多分詰め替えパックをその頃売り出しにかかる。
 「あっらー。詰め替えパックは安売りの時に買えば、ほかの仕上げ剤と比べてもほんのちょっと高いくらいだわ!ボトルもあるし、これでいいわ~」。そうして継続購入させ、Loyal・愛用の銘柄にさせるのである。

 ミソは、上記の通り、最初にフルサイズのボトルを安く購入させることである。ボトルさえあれば、詰め替え用を継続購入させることができる。アフターマーケティング、囲い込みの第一歩だ。一度ボトルを手元に置かせれば、レノアの消臭機能と香り、仕上げのよさでブランドスイッチしない顧客も少なくないだろう。
 本当に3/4サイズのボトルを作って買わせるのでは、詰め替えパックは480mLなので余ってしまう。ましてや、専用ボトルを作ってラインを分けるのは全く非効率だ。この展開なら、通常商品にラミネートパッケージをもう1枚かぶせ、内容量の充填を3/4にするだけでいい。最小限の努力で最大の成果を狙っているのだ。
 
 飲料や洗剤などでは「今だけ増量!」という販促手法もあるが、「今だけ」では継続的な利益ににつながらない。また、不景気で安いものしか売れない時代に、安さを演出しようと食品などは、そ~っと内容量を少なくして価格を下げる「量目調整」が横行しているが、限度を超えれば顧客も気付き離反を招く。
 堂々と真っ向勝負で、「3/4しか入ってません!」と明言すれば、消費者も「あぁ、少ないのね。試しやすくしてるのね。一回買ってみたかったけど、高いからためらってたのよ」と、「何で安くなってるの?」手にするのにいちいち勘ぐることもなくなる。消費者にとっても気持ちがいい。

 効果的な販売促進は、消費者の心と行動を読んで、一度だけでなくロイヤル化までを見越して行うに尽きる。しかも、それを最小限の努力で実現しているのだ。さすがマーケティングエクセレンスなP&G。脱帽である。

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2010.02.15

キリン VS. サントリー?:「世界のハイボール」は実は根が深い!

 「ハ~イボ~ル、ハ~イボ~ル♪」。ディズニー映画・白雪姫の劇中歌をナインティナインの岡村隆史が大航海時代風の帆船の上で高らかに歌うCM。キリン・「世界のハイボール」だ。しかし、商品は 「樽熟成ウィスキーソーダ」と「樽熟シェリーソーダ」。ちょっと待て。「ウィスキーソーダ」は確かにハイボールそのものだ。だが、「樽熟シェリーソーダ」はないだろう!と突っ込みを入れてみたくなる。・・・だが、この展開、実は根っこが極めて深いのだ。

 キリンのWebサイトで商品を確認してみる。
 <アメリカ ケンタッキー州 ウィスキー 「樽熟成ウィスキーソーダ」・原材料:ウォッカ・ウィスキー>とある。ウォッカがかなり気になるが、ウィスキーはケンタッキー州ならバーボンだろう。バーボンのハイボール。これは、OK。
 <スペイン アンダルシア地方 シェリー「樽熟シェリーソーダ」・原材料:ウォッカ・シェリー>。ちょっと待った!シェリーは、熟成酒精強化ワインだ。ウィスキーとは違う。
 両商品を買って確認してみると、缶の印刷に<ウォッカとソーダでつくったクリアハイボールに、樽熟成したウィスキー(シェリー)を加えて仕上げました>とある。つまり、ウィスキーもシェリーも「フレーバー」に過ぎないのだ。

 キリンは次のように述べる。<新ハイボールの提案:日本では、ハイボールとはウイスキーをソーダで割ったものという認識が一般的です。「キリン 世界のハイボール」は本来のハイボールの意味であるスピリッツ(蒸留酒)をソーダやトニックウォーター等の炭酸飲料等のアルコールの含まれていない飲料で割ったものをご提案いたします。>

 えええぇぇぇ?と思い、Wikipediaを調べると、ほぼ同様の記述がある。その出典は<サントリー用語辞典「ハイボール」>とある。しかし、サントリーのサイトを見ると<ウイスキーのソーダ割りのこと>と明記されている以外の記述はない。誰かがどちらかを書き換えているのか?

 ハイボールがウィスキー以外でもOKだと困るのはサントリーだ。劇的大ヒットを遂げたハイボール。サントリーの缶入り「角瓶ハイボール」も売れている。飲み屋でもすっかり定着した。しかし、そのヒットもいつまでも続くわけではない。「次は何だろうねぇ?」と呑みの席でも噂されるようになっている。
 サントリーの狙いは、とにかくウィスキー本体につなげることだ。「WHISKY on MUSIC」と題してサントリーのウィスキーブランド横断でミュージシャンとのコラボレーションを展開し、イメージ的には「ロックで飲むオシャレなウィスキー」を訴求している。

 キリンはといえば、ウィスキーブランドは「ロバートブラウン」なども抱えているが、イマイチ、弱いところは否めない。それよりも、ビールをはじめとした総合アルコール飲料メーカーの強みを活かしたいところだ。

 サントリーにとってはハイボールは「ウィスキーの炭酸割り」でなければならない。「スピリッツなら何でもいい」なら、今まで発信してきたメッセージと矛盾を起こす。これは、サントリーが自ら開拓した「ハイボール市場」でのリーダー企業に君臨したことを見た、キリンが仕掛けた「理論の自縛化」の罠だ。
 さらに、「ハイボール」自体に豊富なバリエーション展開によって、さらにヒットする可能性があったとしても、サントリーは豊富な自社のウィスキーブランドにつなげなければ意味がない。むしろ、せっかくウィスキーに目が向きかけた消費者の視線をスポイルしてしまう。リーダー企業が強みとしてきた製品と共食い関係にあるような製品を出すことによって、リーダー企業に不協和を起こさせる「事業の共食い化」をキリンが仕掛けたと解釈できる。

 企業規模としては勝るキリン、ウィスキー市場ではリーダーのサントリー。その両社は、市場定義毎に攻守ところを変えて激しい戦いを繰り広げている。
 キリンとサントリーの合併破談が伝えられたばかりだが、全く別の世界、時間軸で「世界のハイボール」は企画され、上市され販促も強化されている。経営統合という最上位の意志決定と遠い現場では、日々、淡々と、しかし火花を散らして戦いが展開されているのだ。


※「理論の自縛化」「事業の共食い化」は 『逆転の競争戦略』・山田英夫・著 を参考にしました。

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2010.02.12

ものすごく正論なDVD100円自動レンタル機のビジネスモデル

 事務所向かいのファミリーマートにTSUTAYAのDVD自動レンタル機が設置された。映画を見ているヒマなどない。だけど、ものすごく気になる。そのしくみがよくできていて。

 TSUTAYA BOXというらしい。http://tsutayabox.jp/RBO/default.aspx
 新作すら100円。昨今、飲料すら立地の悪い激安自販機でもなければワンコインで買えないとうのに、便利なコンビニ店内に設置されてたったの100円で新作DVDが見られるのだ。100円なら、レンタル時間は最短の6時間。延長6時間毎に100円と明朗会計。どんなに長くてもほとんどの作品は3時間未満。ふらっと借りてしまう勢いだ。

 クレジットカードでの支払い。文字通り、その場で「ふらっと」借りることもできるようだが、PCかケータイでネット予約しておけば、見たい作品が予約から4時間確保できるという。モニターで収納されているタイトルも確認できる。新作・旧作てんこ盛りの品揃えである。

 このビジネスモデルはものすごくよくできている。
 商売の基本は、どこまで行っても「売上げ=客数×客単価」だ。だが、その客数と客単価をさらに分解すると、このレンタル機の意味がさらに明確になる。

 「客数=店舗前通行数×入店率×購入率」。コンビニの立地は間違いなくいい。また、時間帯にもよるが、小売り業態の中でもとりわけ入店率は高いはずだ。ちなみに、筆者はかなりの確率で吸い込まれる。そして、飲料だのガムだの、何らかは買う。昼時なら弁当だ。購入の際、「ついで買い」が多いのも特長だ。筆者も、初めてレンタル機を見た時、「おおっ!」と危うく勢いで「ついで借り」するところだった。(見る時間ないのに)。
 従来通りレンタル店で客を待っていたり、客の家まで宅配でDVDを届けたりという現在のスタイルに比べると、圧倒的に客数は増えること間違いなしなのだ。
 「客単価」も分解してみよう。「客単価=購入商品数×購入商品単価」だ。購入商品数は、6時間という時間では1枚に限られる。購入単価は100円だ。
 
 上記からすると、低客単価を客数で補うように見えるが、客数は「回転率」がキモなのだ。
 通信販売などで「RFM」という指標が用いられる。R:Recency=最新購買日:どれくらい最近に購入しているか、F:Frequency=累計購買回数:どのくらいの頻度で購入しているか、M:Monetary=累計購買金額:全部でいくら購入しているかである。
 毎日に近く立ち寄るコンビニなら、FrequencyとRecencyが高くなることが期待できる。結果として、Monetaryも最大化する。

 そんなことを考えていたら、TSUTAYAの100円レンタル機に競合が現れたようだ。
 ガチンコの競合が全く同様のサービスをぶつけてきた。「GEO BOX」 http://gb.geo-online.co.jp/

 利用料金は「業界最安値」とあり、新作でもTSUTAYAの倍の12時間借りられる。延長も12時間毎だ。
 Price(価格)の違いは、Place(チャネル立地)にあるようだ。現在のところ、スーパーの「ピーコック」と、一部「文教堂書店」にのみ設置されれいる。来店頻度やついで買い客の多さなどから考えると、コンビニの方が優位だろう。今後のチャネル政策が課題だといえるだろう。

 早くも競合登場の「DVD100円自動レンタル機ビジネス」だが、ビジネスモデルは極めて合理的で正論。商売の基本に則っている。ユーザーも増えるだろう。TSUTAYA・GEOの両社で市場を形成していくことになるのだろう。
 モノが売れない時こそ、商売の基本を見直して「売れる所」で「売れるしくみ」を働かしていく工夫が必要なのである。

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2010.02.10

大ヒット連発「森永・エスキモーアイス」のヒミツは何だ?

 「巣ごもり需要」を狙って森永乳業・エスキモーアイスが大攻勢をかけている。

 エスキモーブランドは森永乳業が1979年に<世界レベルの、高品質で楽しいアイスクリームの提供を目的として、世界最大のアイスクリームメーカー・ユニリーバ社と提携>(同社ホームページ)して日本に登場したブランドだ。同ブランドの3大商品は、エスキモーブランドの登場以前、1976年からの歴史を持つ粒アイス「Pino(ピノ)」、2003年に登場し2008年に大ブレイクしたカップアイス「Mow(モウ)」、2005年登場のスティックアイス「PARM(パルム)」だ。
 ピノには、いつからか通常の円錐の上部を切り取った形状のものだけでなく、パッケージ内に「願いのピノ」という星形や、「幸せのピノ」というハート型の変わり種をサプライズ的に混入させる仕掛けを行った。それが、ロッテのコアラのマーチにおける「眉毛付きコアラ」的なクチコミで話題になって変わり種見たさに買い続けるファンを生むこととなった。

 上記のような草の根的な展開の一方、MOW、パルムの両商品が攻勢をかけ始めている。

 パルムは<なめらかな口どけのチョコレートとリッチなミルク感>であるといい、プレミアムアイスクリームと同様のクリーム・脱脂濃縮乳を使い、急速冷凍することで氷の結晶の細かいなめらかなアイスを実現した>(東京ウォーカー09年10月16日 http://news.walkerplus.com/2009/1016/5/ )という。さらに最大の特徴はアイスクリームを包むチョコレートは<体温と同じ温度で溶けるようにコントロールされており、口に入れた時になめらかに溶ける仕組み>(同)に仕上げたという点だ。パッケージにも「なめらかな口どけ、上質の証」と明記されている。そのおいしさで大ヒット中なのだ。
 パルムは今まで、食べきりサイズが6個入った箱タイプのみ展開し、主たる販路はスーパーとしていた。<それを1本売りし、コンビニエンスストアで販売することで、単身者や男性層の購買を拡大させる狙いだ>(東京ウォーカー09年12月5日 http://news.walkerplus.com/2009/1205/7/ )という。実際にコンビニの店頭を見てみると、アイスクリーム棚のフェイスをかなり獲得し、多くの単身者的な風情の客が弁当などのついで買いで購入していっている姿が散見される。恐らく、この狙いもアタリだろう。

 MOWは<牧場で食べるソフトクリームのようなコクのあるミルクの風味と滑らかな舌ざわり、さっぱりとした後味が特長>(同)だという。定番のバニラやチョコレートに加え、季節限定の果実フレーバーも人気である。しかし、何よりMOWが大ブレイクしたのは2008年3月末から8月にかけて期間限定で発売した「MOW クリーミーチーズ」がきっかけであった。同期対前年比の売上げを216.5%押し上げたという(同社ニュースリリース)。
 その「MOW クリーミーチーズ」が2月22日から全国にて再発売・定番化されるという。しかも、マスカルポーネチーズ10%増量というグレードアップっぷりである。同社では再びヒットを確信しており、同商品の売上げを<前年比約160%と大幅な伸長を見込んで>いるという(同)。

 MOW、パルム両商品の大ヒットのヒミツは「美味しいこと」だ。「当り前だ!」と言うなかれ。明らかに価格を上回るおいしさなのだ。MOWは1個120円。パルムの個包装版も120円。6個パックは380円である。それでいて、プレミアムアイス並の味わいを実現している。つまり、「バリューライン」を超えているのである。
 横軸に製品・サービスの「価格」、縦軸に「価値」の二軸を取った時、通常は正比例する関係となる。それが「バリューライン」だ。競合価格戦略上、優位に立とうとするなら、そのラインを超える。つまり、価格を上回る価値を実現することが必要だ。低価格にも関わらず、品質が高く、機能性に優れた商品で快進撃を続ける「ユニクロ」もバリューラインを超えたプレイヤーである。

 もう一つ、森永乳業にはヒミツがある。バリューラインを超えた、「通常の価格でプレミアムアイス並み」の商品を展開できるのは、同社には「ハーゲンダッツ」やロッテ「レディーボーデン」、明治乳業「Aya」のようなプレミアムアイスが存在していないのだ。自社にプレミアム商品があれば、カニバリ(共食い)を起こすため大胆にバリューラインを超えるような展開はできない。
 プレミアムブランドを持っていない弱みを、長引く不況で財布の紐が固くなった消費者の姿と、巣ごもり需要に対応して、一気に攻勢をかけて強みに転換しているのである。

 冷たくて美味しいアイスクリーム市場で展開されるホットな戦い。同社のクールな戦略にはこれからも注目したい。
 

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2010.02.09

売れない時代の「ヒット」は「素振り」から?

 ある飲料の新発売から約1ヶ月。取扱をやめたのか、店頭に商品がないコンビニチェーンも現れた。同じチェーンでも扱っていない店舗もある。恐らくはオーナーが本部に発注しなかったのだ。

 コンビニエンスストアにおいて、飲料は「いくつ棚が取れるか」が最初の勝負である。そのため、新商品の初回発注分は仕切り値を下げて店に有利な条件で発注できるよう、メーカーの営業は配慮する。店舗も「新商品なら」と最低でも2~3フェイスは確保してくれる。
 当り前な話だが、店に並んでも消費者が手に取って購入しなければ売れ残る。売れ行きが悪ければコンビニは情け容赦なく棚から商品を外す。飲料棚は特に熾烈な戦場である。

 上記のように、店頭を見る限り苦戦しているのでは?と思われる商品は、伊藤園の「緑茶で健康 ビタミンカテキンウォーター」。 新製品発表の同社ニュースリリースには<製品1本(500ml)当たり、自然抽出した天然の緑茶カテキンを250mg、ビタミンCを1000mg含有しています。当社が培ってきた抽出技術によって、緑茶本来の香りやおいしさを引き出し、また、香ばしいハト麦をブレンドすることで、緑茶の渋み成分であるカテキンを豊富に含有しながら、すっきりとごくごく飲める味わいに仕上げました>とある。

 発売時に飲んでみたが、カテキンの苦みは感じられず、パッケージにも「香ばしいハトムギブレンド」と表記されているように、香ばしい後味がとてもいい。
 しかし、筆者のようなコンビニウォッチャーでマーケティングオタクな人でなければ、この商品をそもそも手に取っただろうかと思う。ネットを検索してみると、この商品の話題をBlogなどに書いている人は、いずれも新商品レビュー、特に飲料に一家言ありそうな人々ばかりだ。そして、筆者同様な疑問を呈している人も少なくない。

 この商品、パッケージにも「無糖緑茶」と書いてあるし、飲んでみれば緑茶よりもハト麦茶の印象が強いが、紛う事なき「お茶」である。何故、「ウォーター」なのだろうかと思う。実は筆者は、飲む前には薄~いお茶風味の水をイメージして怖々飲んだのだ。
 もう一つ疑問なのは、「ビタミンカテキン」と、どっちが売りなのかがわからない点だ。「両方摂れてカラダにいいです」ということかもしれないが、そのカテキンの含有量が250mgとまたビミョーに感じる。

 商品名の一部である「カテキンウォーター」という言葉から、花王の「ヘルシアウォーター」を連想する人も多いだろう。だとすると、「ビタミンカテキンウォーター」は伊藤園が仕掛けた対抗商品であると考えることもできる。ヘルシアウォーターは189円(税込)。カテキン含有量570mgと倍以上だが、高濃度カテキンの代償として、ヘルシアウォーターはどうにも苦みが後味として残る。お茶のおいしい味わいと香りで、そこそこカテキンが摂れてビタミンも入っている。しかも値段は147円(税込)。そんな比較優位を狙ったのではないだろうか。

 飲料の世界では、ターゲット商品からスペックを1ランク落として価格を抑える戦略が昨今活発だ。サントリーの「黒烏龍茶」を狙って、アサヒ飲料が「食事の脂にこの1本」をぶつけている。厚労省から「特保」の指定を取得せずに、350mlで170円の黒烏龍茶に対して同じような効能を「感じさせる」て500ml・150円で売る。景気の低迷が長引き、生活費の低減を図る消費者が多い中、狙いは明確だ。

 「緑茶で健康 ビタミンカテキンウォーター」は、どんなニーズを持った、どんなターゲットに対して、どんなポジショニングを示したかったのだろう。消費者のどんなKBF(Key Buying Factor=購入のカギ)に対応したかったのだろう。
 マーケティングの基本は何と言ってもSTP(Segmentation・Targeting・Positioning)だ。そのためには、顧客のニーズを徹底して深掘りしなければならない。

 <消費財メーカーを対象にした「ヒット商品開発調査」で、売り上げが各社の予想通りもしくは予想以上だった新製品の割合を「ヒット確率」として聞いたところ、1割8分と2割を切る低水準にとどまった>日経新聞が2月9日朝刊15面で使えている。特に<最も多かったのは「5分以下」で44.9%>だという。
 飲料市場は1000開発して、ヒットするのは3つという「千三つ」とよくいわれる。成熟市場においては「ヒット率」は低下せざるを得ない。
 しかし、だからこそ、「ヒット」を打つために打席に立つ前の素振りが大事なのだ。
 顧客をしっかり見て、その声なき声に耳を傾け、ニーズ持っているのは誰か。そのニーズは詳しくはどのようなものかを徹底して深掘りすることを愚直に続けるしかないのだと思うのである。
 
 

 

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2010.02.08

ガム市場とロッテのFit's(フィッツ)に何が起きている?

 「噛む~とフニャンフニャン」のロッテのガム・Fit's(フィッツ)。佐々木希と佐藤健のCMも第3弾となって、ダンスはどんどん高度化するも、絶好調だ。しかし、「噛み心地が少し固くなった」との声がちらほら聞こえるようになってきた。何が起こっているのか。ロッテの戦略は?そしてガム業界はどうなっているのか?

■ガム市場は「付随機能」の戦い?

 「チューインガムの発祥は西暦300年ごろ」(日本チューイングガム協会)。日本においても「初めて輸入されたのは大正5年」(同))というから大変な歴史である。故に、完全なコモデティーである。コモデティー、成熟市場ほど製品価値の「中核」とは直接関係ないが、その存在で製品の魅力を高める「付随機能」が勝負のしどころとなる。例えばコモデティーとなった「携帯電話」は、通話やメール、ブラウジングという中核価値とは直接関係のない、カラーバリエーションや、ワンセグ機能などが勝負のしどころとなっている。
 成熟市場であるガムで特徴的な戦い方を始めたのが、「グリコ」だ。製菓大手のグリコであるが、ガム市場においてはわずか数パーセントのシェアを確保できているだけの存在。現状よりシェアが低下すれば「市場存在シェア」、即ち、人からヒントを出されて思い出せる(助成想起)レベルのシェアを確保できなくなるから必死だ。切り札は「パッケージ」。「新スタイルパッケージ・フラットスタイル」という、粒ガムをファスナー付きの袋にダイレクトに入れて「紙をむく手間がかからない」「ポケットに入れてもかさばらない」として、さらに捨て紙の収納ポケットまで付けるという工夫を施した。同社のガム「ポスカ」「スクイーズ」に用いてリニューアル販売を開始した。

■縮むガム市場と、リーダー・ロッテの使命

 そのガム市場を見ると、2003年の生産額1,310億円をピークに右下がりに推移し、2008年時点で1,099億円と16%強の減少を見せている(全日本菓子協会調べ)。推測できることは高齢化による「ガムの忌避」が一つに挙げられるだろう。虫歯の治療跡や義歯の使用などで、高齢者ほどガムには手を出しにくくなる。高齢者比率の増加はガム使用量の減少とリンクするだろう。もう一つは若年層のガム離れである。咀嚼能力の減少と柔らかい食感の嗜好はガムから遠ざかる原因になる。
 市場の縮小はシェアの大きな企業ほどダメージをかぶる。ロッテのガム市場のシェアは6割越えともいわれているため、影響は甚大だ。グリコのように他社と差別化して自社のシェアを維持・拡大するだけではダメなのだ。
 ガム離れの前者、高齢者向けには「歯につきにくいガム・フリーゾーン」を開発した。そして、後者、若年層向けに投入されたのが「噛むとフニャン」というやわらかな噛み心地で昨年大ブレイクした「Fit's(フィッツ)」なのだ。

■「噛み心地」という「中核価値」を支える技術

 ガムは植物性を中心に、各種の樹脂や炭酸カルシウムなどを混合して作る「ガムベース」に砂糖やキシリトールなどの甘味料と軟化剤、香料を混ぜて作る。ロッテは植物性の天然チクルにこだわっているが、歯にくっつきにくいという特徴を出すため「フリーゾーン」ではあえて合成樹脂を使用しているという。つまり、噛み心地はガムベースの配合によって決まるのだ。
 フィッツの「噛むとフニャン」は、これからのガム市場を支えるべき若年層を取り込むべく、中核価値である噛み心地を嗜好に合わせてチューニングした必殺兵器であったのだ。

■確かに固くなった噛み心地

 ここで、冒頭の「フィッツの噛み心地が少し固くなった」に話を戻す。筆者自身も確かめてみた。発売時の3種に追加で2つのフレーバーが出ていたが、どれも以前より確かに固く感じられた。ロッテのお客様相談室に問い合わせてみた。「確かに、少し固めにリニューアルしました」との回答であった。
 リニューアルの意図は聞き出せなかったが推測はできる。それは、噛み心地だけでなく、その噛み心地をどのように楽しめるのかという、ガムの「実体価値」であるフレーバーに注目してみればいい。

■若年層の嗜好の変化とガムのフレーバー

 若年層における食の嗜好の変化で昨今、注目されているのがカラシ、わさび、唐辛子などの「刺激物の忌避」である。 回転ずし「くら寿司」を全国展開するくらコーポレーションでは、若年層を中心に「さび抜き」を注文する客が多いことから、全皿をさび抜きし、わさびをテーブル備え付けにして好みで使用する仕組みに変更したという。
 ガムでも同様の傾向がある。若年層が好むのは「果実系」である。「ミント系」は忌避される傾向が強いという。前出のグリコのスクイーズは「搾り果汁ガム」と銘打ち、あっさりとミント系を切り捨てている。
 リーダー企業たるロッテはグリコのような差別化集中戦略を取ることはできない。必殺兵器・フィッツで若者をガムにしっかり取り込まねばならない。フィッツの発売時、フレーバーは「シトラスミックス」「ミックスベリー」「ペパーミント」の3種だった。中でも「ミックスベリー」は大人気となって、原材料が不足して一時販売中止となった。やはり果実系強しである。

■フィッツのフレーバー戦略と噛み心地の変化

 単に若年層にウケることを狙うのなら、「ペパーミント」はいらない。しかし、やはりガムの王道はミントだ。果実系から入ってガムを噛むことを習慣化させ、やがて製品層の厚いミント系を試させて、フィッツ以外の製品にも拡大させたい。そんな願いが込められたフレーバーの展開であると推測できる。
 さらにその後追加されたのが「エアミント」。ペパーミントにメントールのクールさを追加した、より「オトナの味」である。徐々に「ガムのオトナの階段」を上らせる戦略だ。
 そして、味だけでなく、いよいよ「噛み心地」にまで「オトナの階段戦略」を踏み込んだのが「フィッツの噛み心地が少し固くなった」背景ではないか。
 但し、急いては事をし損じる。果実系の極地ともいうべき、あま~いフレーバーの「ピーチミックス」を追加することも忘れていないのがさすがだ。

■若者にガムは定着するのか?

 コンビニのガムの棚を見てみよう。ロッテ・フィッツの「ピーチミックス」がかなりの勢いで売れている。グリコ・スクイーズの「アップルマンゴー」も他商品と比べて売れ行きに勢いがあって健闘している。
 ロッテの願いである、ミントなオトナの味まではまだ遠そうであるが、フィッツは少し固くなっても売れ続いている。シーダーが市場を拡大し、フォロアーも頑張って自社のシェアを維持・拡大する。業界自体が活性化し、市場も反転拡大するかもしれない。
 ポケットの中の小さな存在である「ガム」の市場変化と、それを支えるメーカーの思いや思惑にまで注目すると、今までより少しだけ、その存在が大きく感じられるだろう。

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2010.02.03

【おしらせ】またまたセミナーを開催します!

消費財ブランド担当者のための超実戦型
「売れるマーケティング」の法則 
ヒット事例解説×プランニング演習×総点検で身につく「ヒットを生み出すための考え方」

今回は消費財のマーケティング担当者向けに、より実践的な事例解説・演習を通して自社のマーケティングプランの見直しを考えられるセミナーを開催します。


<セミナーの4つの“できる”!>

1)多数のヒット事例(食品・飲料・日用雑貨中心)の分析・解説により、
  『なぜ売れたのか』を理解できる!(インタラクティブ・レクチャー)

2)ケース演習(例題商品のプラン作成)で環境分析~施策策定までの
  一連のコツを体得できる!(グループワーク)

3)他社事例を参考に、来期の自社のマーケティングプランを再度見直し、
  不十分なところがないか点検できる!(個人ワーク)

4)自社の課題・お悩みの個別に相談できる!(後日個別対応)


■開催日時:2010年2月16日(火) 10:00~17:00

■主催者:マーケティング研究協会(http://www.marken.co.jp/

■会場:青学会館(東京都渋谷区・表参道)

■受講料:45,000円+消費税2,250円 …合計47,250円
 ※このBlog経由でお申し込みの方に限り受講料10,000円引き!


詳細・お申し込みは、以下 ↓ から!

http://www.marken.co.jp/marken_seminar/2010/02/post_177.shtml


お待ちしています!

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2010.02.02

「奇策」を「ただの奇策」で終わらせないキャンペーン設計とは?

 あらゆる業界で競合環境が熾烈を極めている。さらに拍車をかけているのが「比較サイト」の存在だ。
 比較サイトの登場で、消費者がインターネットを通して企業と同等の豊富な商品情報を取得できるようになり、情報格差が解消。購入の際に不利益を被ることがなくなった。「情報の非対称性」の解消の一例だ。
 しかし、実際には、非対称は売る側と買う側の立場が逆転したのが今日だともいえる。商品価格の比較が容易になり、消費者は最安値の提供先から商品・サービスを購入する。それは、販売元の企業は自らも知らない相手との競合にさらされていることを意味する。

 掲載されている価格比較サイトを意識しつつ、競争に勝つために最安値を提供し続ける。しかし、あるときふと気付く。消費者は常に「最安値」を提供している先から購入しているだけで、自社の顧客として囲い込めてはいないのだと。
 全ての業種・業態が同様な状況なわけではない。しかし、差別化が難しく、購入頻度が高い商品・サービスほどこの傾向は顕著だ。
 そんな業界で「奇策」とも思える打ち手に出た企業がある。高速バス「VIPライナー」を運行する「平成エンタープライズ」だ。

 1980年代から主要都市間を結ぶ移動手段として、価格の安さを武器に利用者を拡大。90年代後半に競争激化と需給バランスの不均衡で淘汰を経たが、2001年2月の道路運送法が規制緩和。バス事業が免許制から許可制への移行され、新規事業者が参入。新規路線開設も相次ぎ価格競争と車体・客席の乗り心地向上といった生き残り競争の時代に突入する。
 現在、高速バスの最安値はインターネットで検索すれば、数多くの比較サイトを見つけることができる。そこでの最安値は、例えば2月中・東京~大阪が3,500円である。新幹線のぞみなら、14,050円。実に4分の1だ。

 その東京~大阪を「ワンコイン・500円」で提供するのが平成エンタープライズ社だ。
仕掛けは、Webサイトのオフィシャル予約ページで突然発表される「10席限定シート」であることだ。バスのシートタイプは選べない。恐らくは全体の予約状況を見て、どのタイプをキャンペーン対象の限定シートとして10席確保・公開するのかを調整しているのだろう。「なんだ、キャンペーンじゃん!」とはいえ、予約が確保できれば500円で大阪まで行けるのだ。最安値の7分の1。新幹線の28分の1!である。

 頻繁に該当路線を利用するが、乗り心地重視で車種やシートタイプをご指名するお得意様はターゲットではない。まずは比較サイトを探してみる人。そんな人も、うまくすれば500円の席を確保することができるとすれば、比較サイトの前にちょいっと、平成エンタープライズのオフィシャル予約サイトをのぞいてみるだろう。
 サイトを見てもらう効用はもう一つある。同社は、例えば激戦区の東京駅八重洲口では駅に横付けする停車場を確保することはできていない。駅からほんの2分ほどの場所だが、離れたところに乗り場がある。バスの車体・ロゴなども認知されていない。ましてや、どこから乗ればいいのかもわからない。それを知らしめることができるのである。
 AIDMAがしっかり完成している。
 ・Attention(認知)=こんなバス会社あるんだ。
 ・Interest(興味)=おもしろいキャンペーンやってるな。
 ・Desire(欲求)=500円安い!通常価格も結構安いな。
 ・Memory(記憶)=とりあえずブックマーク。
 ・Action(行動)=予約を入れよう!
 やがて、「いつも最安値じゃないけど、ここもかなり安いんじゃないか?」と思う。何度も500円席を探してサイトをのぞきに来ているうちに「まぁ、ここでもいいっか!」と思う人も出てくる。利用してみれば、なかなか快適。リピートする。囲い込みである。
 実は、関連商品のクロスセルやっている。出張手当を割安にしようと利用した顧客に、「プライベートの旅行でもどうですか?」とWebサイトではバス利用の格安旅行などもしっかりと訴求している。

 激しい競争の中、どうやって消費者を振り向かせるかはあらゆる企業が腐心しているところだ。しかし、安易に「キャンペーン」という奇策に出ても、それ以降の設計ができていなければ、一過性に終わってしまう。
 後発マイナー高速バス会社である平成エンタープライズ社のキャンペーン~囲い込み・クロスセルまでの設計は注目に値する。
 

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2010.02.01

レッドオーシャンから抜け出て、「小さな池」を探そう

 販売促進や営業戦略に関するプランニングやコンサルティングにおいて、なかなか厄介なクライアントからの反論は「そんなにターゲットを絞ったら売上げが上がらなくなるじゃないか!」というものだ。一笑に付せるひとは判っている人。判らない人にはなかなか理解できないのだ。「自分がターゲット(層)、または見込み客(層)と思っていても、それが顧客化できるとは限らない」ということを。

 厳しい時代ほど、勝てる領域、取れるターゲットを絞る。その上で、さらに「買ってもらえる理由」を明確にし、「利益を創出するポイント」を構築することが欠かせないのである。

 1月29日の日経MJに興味深い事例が2つ載っていた。
 一つはカラオケ業界の生き残り策だ。『「2次会はカラオケ」に陰り』とある。<景気低迷でサラリーマンの飲み会需要が落ち込んでいる中、ターゲットを絞ることで効果的に集客したい考えだ>と、各社の取り組みを紹介している。
 中でも秀逸なのがシダックスである。<毎週水曜日の女性客に限って部屋料金を2時間まで無料にする「レディースデー」を始めた>という。小遣いが減り、飲み会も減って、ましてや2次会などとんでもないという、世のサラリーマンを頼ることなく、曜日を搾り、さらに女性ターゲットに絞って集中集客をしているのだ。結果は<来店客約10%増、女性に限定すると約16%増>だという。
 しかし、「部屋料金無料」なのだ。収益はどうやって上げるのか。<女性客がルーム料金を気にしないで、飲食物を通常より多めに注文している>という。フードやドリンクメニューが豊富なシダックスならではの戦い方だ。

 中小企業も頑張っている。『1缶1575円のコンビーフ』という記事。百貨店や大手メーカーのPB生産を手がけてきた、RCフードパーク社。初の自社ブランド商品は「黒毛和牛コンビーフ」95グラム1,575円也。同社は<デフレ傾向が強まる食品市場だが、缶詰分野では高級品を求める消費者も少なくないことに着目した>という。高級コンビーフは食べてみれば判るのだが、一般普及品とまるで味が違う。あるステーキ店の隠れメニューに「コンビーフとキャベツの炒め」があるのだが、その店はいいコンビーフが手に入った時以外、決して作ってはくれない。恐らくRCフードパーク社のコンビーフならOKだろう。
 商品は<肉の加工時に機械を使わず「手ほぐし」をするのが特徴>だという。そして、<国内の食品メーカーで、コンビーフをこうして加工できる企業は限られているという>と記事にある。
 自社即時の技術を活かし、製品の「加工度」を高めて高価値にし、それを求める顧客に販売する。見事に筋の通ったターゲットの絞り方と利益創出策だ。

 日本市場は人口減少によって確実に縮小する。そこに追い打ちをかけた不況で、限られたパイを取り合うために、出口なき低価格戦争が始まった。普通のやり方では、血みどろのレッドオーシャンから抜け出ることはできない。かといって、誰も競争相手のいないブルーオーシャンなど、簡単に見つかるものでもない。だとしたら、自分だけがほんの少しでもいいから、喉を潤せるだけの澄んだ水をたたえた「小さな池」を探そう。そのためには、「大勢の顧客を相手に、大きく儲ける」という考え方を捨てることから始めなくてはならない。

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