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2010.01.27

ディズニーの「シェリーメイ」戦略のキモはなんだ?

 1月22日に東京ディズニーシーで発売。購入まで最長5時間待ちだったと聞く。大人気のクマのぬいぐるみ「ダッフィー」のお友達という設定がなされた「シェリーメイ」。その存在には、ディズニーの戦略がたっぷり仕込まれている。

 ダッフィーは恐らく近年のディズニー関連グッズの中では類い希な大ヒット商品であろう。昨年10月に放映されていた月9ドラマの「東京DOGS」で、刑事コンビを演じる小栗旬と水嶋ヒロが掛け合いのセリフで「ダッフィーちゃん抱っこしたことあるか?」とギャグを飛ばし、多くの視聴者がそれを理解できてしまうほどの知名度である。
 筆者の自宅でも増殖を続けている。最初に標準というか、こどもが抱いて持ち歩くサイズのものが一体やってきた。続いてその半分ぐらいのサイズ。キーホルダーサイズも。最初の一体は頻繁にお色直しをしている。何やら衣装持ちである。

 ヒット商品には必ずストーリーがある。そのあたり、ディズニーは抜かりない。Wikipediaをひもといてみる。初登場は2004年11月5日であり、当時は「ディズニーベア」という名であったという。
 ストーリーは<ミッキーマウスには、お気に入りのテディベアのぬいぐるみがあった。 ミッキーマウスは、このテディベアといっしょに歩けたらどんなに楽しいだろう、と思った。 そこへティンカーベルが現れ、妖精の粉をテディベアにふりかけた。 すると妖精の粉の魔力でテディベアが動きだした。 ミッキーは嬉しくて、テディベアを抱きしめた。 テディベアの顔がミッキーマークになった。>とある。

 翌年のクリスマスにはあっという間にネーミングと設定変更が行われた。このあたりから、もしかすると今回の「シェリーメイ」登場の絵図が書かれていたのかもしれない。
 東京ディズニーシーの公式ホームページの記述を引用する。
 <ミッキーが長い航海に出る前の夜、ミニーはミッキーがひとりぼっちで寂しくならないようにと、ミッキーのためにテディーベアを作りました。『ありがとうミニー!』ミッキーはミニーが心を込めて作ったプレゼントをとてもよろこびました。(以下略)>

 「ミニーが作った」というところがミソだ。「ディズニーベア」の設定のように、ティンカーベルの「妖精の粉の魔力」のような偶然性に依存するのではなく、ミニーならいつでも、いくつでも作ってくれるだろう。(もしかすると、ミッキーが頼めばティンクもいつでも粉をかけてくれるかもしれないが・・・)

 大ヒットし、多くのファンがダッフィーを抱いて来園するようになった。街でもカバンにキーホルダータイプや小型タイプをぶら下げて歩く人も多くなった。そこで、ミニーの出番である。同じく公式ホームページの記述。
 <ミニーはダッフィーのお友達を作っています。『きっとよろこんでくれるわ!』ダッフィーはミニーからのプレゼントにちょっとはにかみました。目の前にかわいらしい女の子のお友達があらわれたからです。ハートのかたちをしたペンダントがとってもチャーミング!『よろしくね、シェリーメイ!』>

 何が起こるか。当然ファンは買う。いや、買わねばならないのだ。ファンであるほどに。
 シェリーメイの出現は、「リカちゃん人形」にボーイフレンド(初代)として「立花わたるくん」が発売されたのとはわけが違う。
 筆者の知る限り、多くのファンの間で「ダッフィーはぬいぐるみだから性別はない」という暗黙の了解があったようだ。故に、ミニーがもう一体、女の子のクマを作るというディズニーの絵図を知る由もないファンは、ダッフィーちゃんの着替えを手作りする際に、ひらひらしたの女の子っぽい衣装を作ってしまったりしていた。今、考えれば公式の衣装セットはどことなく男の子っぽい。
 ダッフィーは男の子だった。それが明確になった今、女の子の衣装は着させられない。故に、シェリーメイを、買うしかない。(むしろ喜んでだと思うが)。
 恐らく、筆者の自宅にも長時間行列しなくても買えるような安定供給がなされた頃には、シェリーメイがやってくるだろう。そして、バリエーションや衣装が増殖していくのだ。

 同一の商品の買い換え、もしくは買い増しを促進することを「アップセリング」という。かつて、デルコンピューターは4年間で3台PCを買わせるというプログラムを展開していたという。デスクトップを買う。しばらくすると、ノートPCの買い増しのお勧めが来る。その後しばらくすると、デスクトップの買い換えのお勧めが届く。
 とはいえ、そんなに簡単に買い増し・買い換えをしてくれるものではないが、ディズニーは易々とそれをやってのけた。ダッフィーとシェリーメイは別商品であるが、ファンでなければ同じクマのバリエーションだ。デスクトップとノートの違いぐらい。故に、これはアップセリングである。それも、とびきり勝率の高い。

 関連商品の販売を「クロスセリング」という。例示をパソコンつながりでヒューレットパッカード(HP)で考えれば、同社はプリンタも製造しているので、もれなくパソコンとの併買のお勧めがくる。
 ダッフィーのサイズ違い、キーホルダーなどは、クロスセリングだ。自分のダッフィーに感情移入し、人格(クマ格?)を与えている熱心なファンは、同時に2体自分の周りに存在させようとはしない。故に、関連商品としてバリエーション展開をしてクロスセリングを図っているのである。当然、シェリーメイもバリエーション展開があるはずだ。
 さらには、シェリーメイの登場によって、ダッフィーとペアの絵柄になった食器や各種グッズの発売も加速している。強力なクロスセルである。

 顧客を囲い込み、使い続けさせることで利益を創出することを「アフターマーケティング」という。プリンタつながりで例示すると、プリンタは本体よりも専用インクで利益を出す。「衣装」はダッフィーのアフターマーケティングである。手作り派もいるが、手作りするような熱心なファンは公式の衣装セットもしっかり購入する。季節毎に販売され、売れ続ける。そして、シェリーメイの衣装も。

 企業が顧客化した後に収益を上げられるパターンは、大きくアップセル・クロスセル・アフターマーケティングの3つだ。ディズニーはダッフィーでしっかりこの3パターンを用いている。そして、シェリーメイの投入で一気にそのパイを2倍に拡大したのである。やはり、恐るべしディズニーだ。

 ちなみに蛇足ではあるが、ディズニーシーでしか買えない、ダッフィーとシェリーメイとは別に、「カドリーベア」という女の子のクマも存在している。Wikipediaによると<ミニーは、ミッキーが寂しくないように、ダッフィーという熊のぬいぐるみを作った。 そこで、ミニーは自分用にと、熊のぬいぐるみを作った。 ミニーは、その熊を「カドリーベア」と名づけた>とある。また、<カドリーベアは東京ディズニーリゾートから生まれたキャラクターではないので東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、ボン・ヴォヤージュなどリゾート内ショップでの発売はされない>ともある。実際にはキディランドやAmazonなどで買えるのだが、ディズニーシーにダッフィーとペアにして来園するファンもいた。そのカドリーベアがシェリーメイの出現で今後どのような立場になるのかも興味をひかれるところだ。

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