日清食品・コンビニ棚の大量占拠のその裏側
1月も残り少なくなった今週、コンビニエンスストアに立ち寄ることがあったらカップ麺のコーナーに注目して欲しい。凄まじい勢いで日清食品の製品が棚を占有していることが分るだろう。同社のカップ麺市場シェアは41%に上る。その数字がどのような意味を持つのかといえば「クープマンの目標値」では、41.7%を超えると2位以下が逆転することはかなり困難な「相対的安定シェア」ということになる。圧倒的なリーダー企業であることは間違いない。しかし、棚の占有率で見れば、恐らく50%を軽く超えているだろう。

その商品群の中でひときわ目を惹くのは、爽やかな白と青のパッケージの「どん兵衛白チャンポン」「焼きそばUFOホワイトカレー」「カップヌードル ホワイトクリームシチュー・ヌードル」の3商品だ。“バンクーバーオリンピック日本代表応援”というPOPが添えられている。冬季オリンピックの“冬”をイメージしたカラーなのだろう。青は食欲増進効果に反するためあまり用いられない色だが、3ブランド共通パッケージで統一した世界観を演出していることによって、抜群な存在感を示している。
WHITEトリオほど目を惹くわけではないが、しっかりと棚を占有している他の商品もある。「麺職人」「どん兵衛」には“人気商品”、「太麺堂々」には“新商品”というPOPが添えられている。同3商品は日清食品が“全麺革命”と銘打ち、麺のうまみにこだわって製品改良を徹底した商品である。「麺職人」は生麺のような喉ごしを。「どん兵衛」はその喉ごしを麺の太さでさらに実感できるようにした。そして、全麺革命の総仕上げと位置づけられた「太麺堂々」はどん兵衛で完成させた太麺化の技術をさらに中華麺に昇華させた力作である。
WHITEトリオと全麺革命の特徴は、“ブランド横断”であることだ。日清食品は<1976年のマーケティング部設立と同時に「プロダクトマネージャー制」を導入し、製品ジャンルごとに置かれたプロダクトマネージャーの下で、開発、生産、販売、宣伝までを独立したプロジェクト単位で推進していた。1990年にを「ブランドマネージャー制」に発展させ、製品ジャンルからブランドごとに管理する形態へと切り替えた(同社ホームページより)>
一般にブランドマネージャー制度においては、ブランドマネージャーは、商品開発から営業まで一つのブランドにかかわるすべての権限を統括する大きな権限が与えられる。その代わり、損益の責任も負うため強力に自ブランドの価値を高めようとする。社内の複数ブランドのマネージャーが競い合うことは全社的にはメリットが大きい。その反面、他ブランドに対して社内競争が激化し営業・製造・広告・R&Dに対し、ブランド間の資源の奪い合いがおきるなどのデメリットが発生することも珍しくない。
日清食品のブランドマネージャー制度ユニークなところは<2001年には、ブランドマネージャーがブランドを独占できないよう、ブランドを貸し借りできる「ブランドファイトシステム」を導入。厳しい社内競争を課し、これを勝ち抜く強さこそが、社外の競合ブランドとの市場競争にも活きるという考え方(同)>を徹底したという。つまり、社内でロイヤルティーを払えば他ブランドを他のマネージャーが使うことができるのである。
普通に考えれば、自ブランドを他のマネージャーに使われるということは、自分がそのブランドを生かし切れていないということを意味する。常に新しい価値を生みだそうと必死になるはずだ。通常では自ブランドのことだけを考える「タコツボ化」がおきがちであるが、他ブランドと連携して価値を高めようという意識も生まれるだろう。
カップ麺市場には年間600種類もの商品が上市されるが、1年後に残っている商品はわずか数%だという。2位以下に逆転されることのない相対的安定シェアを持つ、リーダー企業である日清食品。しかし、その王座に安住することなく、社内では強烈な競い合いと連携を日々繰り返しているのだ。今年は同社創業者の故・安藤百福氏の生誕100周年記念でもある。“次の100年”を目指してさらにアクセルを踏むことだろう。
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