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2010.01.21

あま~いけど、実はちょっとほろ苦い「チョコレートスパークリング」の意味

 1月19日の発売のサントリー「チョコレートスパークリング」が話題だ。実は話題に乗っかるのは嫌いじゃないので遅ればせながら書いてみる。
 まずは月並みに試用レポートから始める。封を開け、グラスに注いだ瞬間から強烈なチョコレートの香りが広がるのに驚かされる。飲んでみると甘い味わいと香りで本当にチョコレートを食べている(飲んでいる)ような感覚に陥る。それでいて、成分表記の注意書きを見ると「チョコレートは使用してしておりません」とある。スゲー、サントリー。
 ・・・と、以上、これまた月並みに様々な人がBlogやSNS、Twitterで書いているようにな感想を持った筆者である。

 サントリーの狙いは何か。
 昨年12月22日に発表された、サントリーのニュースリリースを見ると、<バレンタインシーズンにぴったりの、新しい味わいの炭酸飲料です>とある。間違いなく、季節限定商品。
 季節限定の炭酸飲料といえば、サントリーがペプシブランドで年1~2回展開する「変わり種ペプシ」はすっかり市場に定着したといえるだろう。昨年は「和」テイストにこだわって、「しそ」と「あずき」であった。その味には賛否両論(筆者は結構好きだ)あるものの、サントリーの担当者はメディアの取材に対して「(話題づくりのためなので)2本目を買ってもらおうと思ってはいない」と言い切っている。しかし、ペプシブランドを使用するため、米国ペプシコとの調整は繁雑を極め、通常商品以上に時間をかけ、1年以上を要するという。

 話題づくりを手っ取り早くやるには、サントリー独自ブランドで展開することだ。今回の「チョコレートスパークリング」に先行すること約2ヶ月。11月2日にニュースリリースが配信され、24日から期間限定された「ラブモードジンジャー」という商品があった。リリースには<、“クリスマスムードが高まる季節に、恋愛気分を盛り上げる大人の炭酸飲料”をコンセプトに開発した、カロリーゼロのジンジャーエールです>とあった。派手なボトルのパッケージと、ピンク色のジンジャーエールらしからぬ色合いが多少話題になったものの、今回のチョコレートスパークリングほど大きな話題にはならなかった。恐らく、2ヶ月のタイムラグであれば、ほぼ同時に商品開発が行われていたはずなので、今回の成功は「リベンジ」ではなく「一勝一敗」という結果だったのだろう。

 では、両者の成否を分けたものは何だったのか。それは、話題への乗りやすさではないだろうか。
  「チョコレートスパークリング」でのGoogleの検索結果 約 1,710,000 件中。「ブログから、話題を知る、きざしを見つける」というkizasi.jpで1月22日のBlog上の話題は「チョコレートスパークリング」が第2位。(第1位は「オトコノカラダ(嵐・櫻井翔)」)。「ラブモードジンジャー」発売後のGoogleの検索結果は約100,000件kizasi.jpのトップ10ランキングはなかったと記憶している。

 クリスマスは消費の一大イベントであるが、シャンパンなどの「スパークリング飲料」を購入するというイメージに直結するほどの認識は高くないだろう。その点、バレンタインは「チョコレート」という一点に集中する。

 さらに面白い記事を見つけた。
 <バレンタインデーに“告る”のは過去の風潮!?勝率は25.4%>(東京ウォーカー1月19日) http://news.walkerplus.com/2010/0119/27/ 
 記事には<バレンタインデーの日を“意中の人への告白の手段”と考えるのは、すでに過去の風潮であるということが明らかに…。逆の現象として、同性の友だちに贈る“友チョコ”が年々存在感を増しており、バレンタインデーを「イベントとして楽しめる日」と、ライトに考える女性が多くなっていることが浮き彫りとなった>とある。
 要するに、単なる「お祭り」なのである。お祭りに面白い商品があれば、ついつい話題にしてみたくなる。たった147円であれば試しもしたくなるだろう。そんな背景が、話題づくりをしたいサントリーの意図とピッタリマッチしたのだろう。

 消費が低迷し、消費者の財布の紐はいまだ固く引き締められている。飲料の需要も、ミネラルウォーターは水道水の浄水で、茶系飲料は茶葉から淹れるという用いられ方で代替され売上げが落ちている。炭酸飲料カテゴリーは唯一、自分では作ることができないからかろうじて売上げが落ちず、微増を保っている状況だ。炭酸は茶系ほどの常用性はない。「スッキリしたい時」や「ちょっと甘い物が飲みたい時」などのスポット需要がほとんどだ。

 1年前のサントリーの発表では2008年の日本の炭酸飲料市場は2億1800万ケースだと試算されたようだ。季節限定商品や変わり種ペプシがそこに占める割合は極めて小さい。しかし、市場を支えるためには消費者への刺激が欠かせない。
 あま~いチョコレートフレーバーの飲料の影には、そんなメーカーのちょっとほろ苦い思いが詰まっているように感じた。
 

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