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2010.01.05

「これって、○○と似てない?」と思ったら・・・

 「同質化」という戦略がある。他社が開発した商品とそっくりな特性を持った商品を後から開発し、上市する戦略だ。既にヒットしている商品であれば、ハズレ商品を開発してしまうリスクがたいため、かなりオイシイ手段である。
 しかし、誰もができることではない。先行商品とそっくりなものを、すぐさま作り上げる開発力と、その商品を流通チャネルにねじ込んで先行商品を追い落とすぐらいの営業力が必須なのだ。企業体力あっての戦略であるため、基本的にはリーダー企業の戦略である。
 例えば、「スポーツ飲料」というカテゴリーを大塚製薬が初めて「ポカリスェット」で開拓したあと、飲料業界第1位の日本コカ・コーラは「アクエリアス」を開発。100万台近くに上る自社自動販売機を販売の主軸に、両製品は互角な売上げになるまでにあっという間に育てたのだ。

 以上のように、「同質化戦略」は、誰もができるものではない。故に、「あれ?この商品は○○と似てる」と思っても、微妙に差別化して、新たなターゲットを狙っていたり、先行商品から少しずつパイを削り取る戦略だったりすることが多い。
 そんな観点で見ると面白い商品がある。

 エースコックのニュースリリース
 <世間で話題の“生姜”をテーマに、寒い季節にぴったりのホットな商品「あつあつさん」シリーズを開発しました>とある。商品は「生姜あんかけ風うどん」と「生姜とろみ醤油ラーメン」。
 「世間で話題の生姜」というが、ここ数年間をかけて、「生姜ブーム」を巻き起こした仕掛け人といえば、本家は永谷園だ。生姜のこだわり商品を生み出すために「生姜部」という専門部隊まで設立している力の入れようである。
 その成果が「生姜の知恵シリーズ」。シリーズ名より「『冷え知らず』さんの・・・」という商品名の方が圧倒的に認知度が高い。展開商品はカップスープを主軸に、即席スープ、ボトル缶飲料、グミ・飴・キャラメルといった菓子にまで展開している。しかし、その中の「ぞうすい」や「はるさめスープ」などは、モロにエースコックの新商品とかぶりそうだ。エースコックのほうがコンビニやスーパーの棚確保の力が勝っているため、「同質化」を仕掛けたように見える。さらに、「あつあつさん」とは明らかに「冷え知らずさん」を意識しているようにも感じられる。
 危うし、「冷え知らずさん、逃げて~」・・・。と考えるのは早計。上記ニュースリリースを見ると、いかにもエースコックらしいガッツリ系の商品パッケージが確認できる。あんかけ、とろみという商品名がストレートにわかるシズル感のある写真だ。カロリー数が書いていないが両商品とも300Kcal前後であるらしい。つまり、ターゲットが明らかに違うのだ。「冷え知らずさん」はスープをおにぎりなど一緒に食べたい人、主に女性狙い。「あつあつさん」はあくまでこのカップ麺をメインに食べる人向けだ。実は冷え性の男性も少なからず市場には存在しているが、「冷え知らずさん」はいかにも女性向けなので手が出しにくいという意見もある。そのニーズギャップを巧みにとらえたのがエースコックの「あつあつさん」だといえるだろう。

 これは明らかに「同質化」だろうという商品は、アサヒ飲料の「食事の脂にこの1本」だ。ニュースリリースには、<脂っこい食事にぴったりの中国茶>とある。これは、どっからどー見ても、サントリーの「黒烏龍茶」対抗だ。
 しかし、サントリーとアサヒ飲料では飲料メーカーとしては明らかにサントリーが上位企業だ。下位企業が上位に同質化を仕掛けるのは定石ではない。

 実は、「食事の脂にこの1本」も非常に巧妙な差別化がなされているのだ。価格は140円(税別)で、容量は490ml。黒烏龍茶は160円で350ml。一般に「特保」の指定を受けている商品はそのプレミアム分、価格が高い。アサヒ飲料はあえて、特保を取らずに通常の飲料の価格・容量で勝負しているのだ。もちろん、特保がない分、効能は担保されていない。しかし、昨今のデフレの世の中で、「安くていっぱい飲めるし、”食事の脂に”と言っているなら間違いないだろう」と選択する消費者も多いのではないかと踏んだのだろう。この例は、あえてスペックを一段落としてリーダー企業が作った市場のおこぼれをかすめ取る、フォロアーによる「模倣戦略」であるとも解釈できる。

 アサヒ飲料の狙いはまだある。類似商品に「香るプーアル茶」がある。「脂流食楽シリーズ」というネーミングが「食事の脂に」と同様な効き目を期待させるが、どれほど明確なアピールではない。実は特保飲料には「体型のことを気にしていると思われたくないから、手が出せない」という女性も多い。そのニーズギャップを拾おうとする狙いだろう。

 リーダー企業に戦いを挑むチャレンジャーは、リーダーの10倍、知恵を絞っている。単なる「模倣商品」と見てしまうのではなく、どんな知恵を絞った成果の商品なのか考えてみるのも勉強になるはずだ。

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