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2009.12.15

勝手企画・「冷えしらずさん」の新展開を考えてみた!

 永谷園の「生姜部」。まさに今、ビジネスとしては「収穫期」を迎えているのだろう。新製品の投入も矢継早である。そんな同社・同部に作って欲しい商品を考えてみた。

 生姜部の最新商品は「『冷え知らず』さんの生姜ぞうすい」。この冬限定・コンビニのみで販売だという。寒さが厳しくなる季節に何ともにくい商品である。
 永谷園の生姜部とは、生姜という素材を究めるために設立された組織だ。主力商品は「しょうがの知恵」シリーズ。シリーズ名より「『冷え知らず』さんの・・・」という商品名の方が圧倒的に認知度が高い。展開商品はカップスープを主軸に、即席スープ、ボトル缶飲料、グミ・飴・キャラメルといった菓子にまで展開を始めた。
 「『冷え知らず』さんの・・・」のコンセプトは<2007年6月に、オフィスで働く女性をターゲットに開発した生姜入り商品シリーズ>であり、<生姜を主役にした商品で、女性の美容と健康を応援していく>という。(同社ニュースリリース)。

 こんな声を聞いた。「何だか、体温が上がらないんですよ。生命活動が低下してきているっていうか・・・」(ベンチャー企業役員・男性・34歳)
 そんな彼が飲んでいたのは、「『冷え知らず』さんの生姜チャイ」。
 「正直、買うのに抵抗がありましたよ。でもね、背に腹は替えられませんから。それにね、確かに飲むと暖まるんですよ、これ。」
 手にした缶には、ちょっとオシャレなタッチで描かれた、「冷え知らずさん」とおぼしき女性のキャラクターが描かれている。キャッチコピーは「冷えは、オンナの大敵!」。描かれている手書き風の文字も何やらカワイイ。イケメン、男前の彼が購入を躊躇するのもわかる。

 「オトコの冷え性」。意外と多いのである。日経BPネットの4年ほど前の記事にリンクを張ろう。
 <実は男性にも多い「冷え性」( http://tinyurl.com/ycs886j )>
 <以前に比べて、最近は男性の冷え性が目立つようになってきたようだ。「男が冷え性だなんてかっこ悪いと、多少の冷えなら辛くても黙って我慢していた人が多かったが、この風潮が崩れてきたためではないか」>と医師のコメントから記事は始まる。
 辛い世の中だ。寒さまでぐっと堪えてのみ込んでいるなんてとても無理なのだ。ましてやエコなのか経費削減なのか、オフィスの暖房の設定温度は低い。寒々しいのはボーナスが減って寂しい懐のせいだけじゃない。

 というわけで、是非とも「冷えしらず君」を作って欲しいのだ。スープや菓子はともかく、飲料は是非作って欲しいと、実は隠れ冷え性の筆者も切望する。

 しかし、問題はそんなに簡単ではない。
 「冷えしらずさん」に対して、それと混然一体となるような「冷えしらず君」を作ってしまうと、「ええぇ~課長が同じの飲んでる~」「部長もだ~」と、オジサンたちの進出に、既存顧客である「オフィスで働く女性」がNO!を示すかもしれない。安易なブランド拡張は、既存顧客の離反を招く。ターゲットである「冷え性男」にも、最低限の矜持はある。「冷えは、オトコの大敵!」では事実はそうでも、少々情けない。手が出しにくい。故に、ポジショニングと、それを示す商品名、キャッチコピーには腐心することになる。
 (筆者はコピーの才能がないので例示は控えます。ご用命いただければ、弊社コピーライターが担当します)。

 ターゲティング、ポジショニングが固まれば、次は4Pである。Product(製品)は、生姜入りであって、男性受けするフレーバーの開発が必要だが、それは永谷園・生姜部が頑張るだろう。Price(価格)も相場の350ml・120円程度に設定することになる。
 最大の問題はPlace(販売チャネル)だ。ターゲティング・ポジショニングの問題から、「冷えしらずさん」とは別物になる。となると、販路・棚の確保をまた、一からやらなければならない。

 コンビニのホット飲料棚の取り合いは熾烈だ。なかなか割って入りにくい。狙いは自販機だ。
 実は、首都圏において「『冷え知らず』さんの生姜チャイ」の露出が高まっているのは、エキナカ自販機のせいもある。JR東日本管内のエキナカに1万台展開されている「acure」のブランドロゴが付いた自販機の多くで同商品が販売されている。飲料メーカーではない永谷園が自販機に食い込めたのは、運営会社であるJR東日本ウォータービジネス社が、メーカーに偏らない品揃えにこだわっているからだ。うまくすれば、もう1アイテム、男性向けも扱ってもらえるかもしれない。

 もし、エキナカ自販機が無理なら、マチナカ自販機を狙うことになる。男性向けということであれば、実はマチナカは親和性が高い。エキナカでは、電車待ちのホームで飲料を購入する「自販機女子」も利用客の4割を占めるというが、マチナカ自販機利用客は実に9割が男性。自販機はオトコの「エナジー・チャージスポット」なのである。
 狙いは「アサヒ飲料」だ。アサヒ飲料は保有自販機の数は全国23万台と中堅クラスであるが、カゴメなどをはじめ、コラボレーション商品を出している。前出のウォータービジネス社ともエキナカ商品のコラボ実績もあるため、うまくすればマチナカ、エキナカ共用品が開発できるかもしれない。
 いずれにしても、チャネル開発は困難を伴うため、有力企業との協業がオススメである。

 最後にPromotionは、「オトコゴコロ」に響くヤツを企画しなくてはならない。が、プロモーション企画業務は、筆者の本業でもあるので詳細は割愛する。(ご用命いただければ、弊社プランナーが企画致します)。

 以上、勝手企画として、「冷え性オトコ」向けの商品の売り方を考えてみた。現実のマーケティングプランはこんなに荒っぽいものではないが、思考実験として、日々こんなことを考えると観察眼も養えるし、情報収集力も高まる。気になる商品やビジネスの切り口を、単なる「思いつき」のレベルから「プラン」まで発展させて考えることをオススメしたい。

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Tracked on 2009.12.15 07:02 PM

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