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2009.12.10

ハートをとろかす「チョコ携帯」の可能性

 <徹夜組&行列も!ドコモ×Q-pot.の“チョコ携帯”が発売初日に完売>(2009年12月10日東京ウォーカー)
 http://news.walkerplus.com/2009/1210/6/
 <ドコモとジュエリーブランド「Q-pot.」がコラボした携帯電話「docomo STYLEシリーズ SH-04B」が、発売日初日の12月9日(水)午前中に完売する店舗が続出した>という。

  「Q-pot.」とは、 2002年にデザイナーのワカマツタダアキ氏が立ち上げたブランドで、お菓子をモチーフにした、本当に食べられそうなアクセサリーが人気のブランドである。同ブランドは食品をはじめ様々なブランドとも積極的なコラボレーションを展開しており、ユニクロのTシャツ「UT」でもコラボモデルがある。
 今回のコラボはドコモの携帯電話。一目見れば忘れられないような、携帯電話の筐体をリアルなとろける板チョコに見立てたデザインが特徴である。

 上記東京ウォーカーの記事にある、同携帯電話の特徴と購入客のコメントが印象的だ。
 <リアルなチョコレートの質感とデザイン、細部にまでこだわった品質が魅力の同品だが、価格は6万円台後半から7万円台と、決して安いものではない。しかし「もともと『Q-pot.』が好きなんです。携帯のデザインを見て、すぐに買うことを決めました。価格? 気にならないです」と話す購入者がいるように、ファンにとって、価格は大きな問題ではないようだ。>

 携帯電話の「中核価値」は必要な時にいつでも通話やメールなどでコミュニケーションが取れることだ。中核価値を実現するために欠かせない「実体」は、どこでもつながることや、電池の持ちがいいこと。メールなどの入力がしやすいことなどである。カラーバリエーションや、デザインは、中核の実現には影響しない付加価値である「付随機能」である。
 どんな製品もコモデティー化が進むと、差別化ポイントは「付随機能」レベルの戦いになる。昨今、強化されている「防水機能」は「どんなところでも使えること」を実現する「実体」であるが、各メーカーの独自技術ではなく、ある企業が開発した基盤技術を共用しているため、それだけでは差別化要素にはならない。

 付随機能での差別化は大きく分けて2つの方向性がある。一つは、携帯電話本来の通話やメールなどでコミュニケーションと関係のない、カメラの性能やハイビジョンムービーなどのデジタル技術を極限まで高める方向だ。もう一つは、au(KDDI)のiidaブランドが示す、「持っていて気持ちいい」や「上質感が伝わる」という携帯電話のデザイン性を高める方向性だ。
 しかし、今回の「チョコ携帯」は同じ「デザイン」でも全く違った方向性を示しているのではないかと考えられる。東京ウォーカーの記事でインタビューを受けた購入客は、「携帯電話」を購入しているのではない。「Q-pot.」の「携帯機能付アクセサリー」を購入しているのだ。つまり、「中核」は「お気に入りのデザインであること」であり、「実体」が「通話やメールなどでコミュニケーションができること」と、価値構造が逆転しているのだ。
 いやいや、今までにもドコモなら、「プラダフォン」や、ソフトバンクにもアルマーニがデザインした携帯があるではないかとの論もあるだろう。であれば、上記リンクから「チョコ携帯」の画像を確認してみて欲しい。もしくは、ドコモの製品ページはこちらである。単なる携帯電話という存在を遥かに超越している、オソロシイまでの質感である。

 では、チョコ携帯は何を指し示すのか。先の女性購入客の心理を考えれば、「できれば2台欲しい」ではないだろうか。チョコレート色と、ミルクチョコ色の2色があって、そのどちらも魅力的だ。「デザイナーがデザインした携帯電話」であれば、多少バリエーションやカラーが違っていても1台あれば十分だ。しかし、「アクセサリー」は気に入ったデザインがあればあるだけ欲しくなる。しかも、昨今の携帯電話は、カードを差替えれば複数の機種を使うこともできる。(auはショップでの手続きが必要)。
 さすがに<価格は6万円台後半から7万円台>だと、気軽に何台も買えない。その価格が<細部にまでこだわった品質>であるならしかたがないが、例えば800万画素のカメラ機能や3.0インチの液晶画面などのスペックを下げればもう少し低減することもできるかもしれない。アクセサリーに最高のスペックを求めはしないだろう。

 最低限の機能で、デザインを楽しむアクセサリーとしての携帯電話。それを複数使い分ける。コモデティー化した果ての携帯電話は、既にコミュニケーションツールとしての存在ではなくなる可能性をチョコ携帯が示しているように感じた。

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