My Photo

サイト内検索


  • ウェブ全体から検索
    ココログ全体から検索
    このブログ内を検索

【マーケティング講座】

お勧めマーケティング関連書籍

  • 金森 努: 3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング(DOBOOKS)
    初めての人から実務者まで、「マーケティングを体系的に理解し、使えるようになること」を目的として刊行した本書は、2016年に「最新版」として第2版が発売されました。 それから6年が経過し、デジタル技術の進化やコロナ禍という大きな出来事もあり、世の中は既に「ニューノーマル」に突入しています。 その時代の変化に合わせて本文内容の改訂、新項目の追加や事例の差し替えなどを大幅に行ないました。
  • 金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)

    金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)
    「マーケティングって、なんとなく知っている」「マーケティングのフレームワークは、わかっているつもりだけど業務で使いこなせていない」・・・という方は意外と多いのが実情です。 「知っている」「わかっている」と、「使える」の間には、結構大きな溝があるのです。 その溝を、最低限の9つのフレームワークをしっかり理解し、「自分の業務で使いこなせる」ようになることを目指したのがこの書籍です。 前著、「最新版図解よくわかるこれからのマーケティング」は、「教科書」的にマーケティング全体を網羅しているのに対して、こちらの「9のフレームワーク・・・」は、「実務で使いこなすための「マニュアル」です。 もちろん、フレームワークをしっかり理解するための、実事例も豊富に掲載しています。 「よくわかる・・・」同様、多くの企業研修テキストとしてもご採用いただいています。

  • 金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)

    金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)
    旧版(水色の表紙)は6年間で1万部を販売し、それを機に内容の刷新を図りました。新章「ブランド」「社内マーケティングとマーケティングの実行」なども設け、旧版の70%を加筆修正・新項目の追加などを行っています。本書最新版は発売以来、10ヶ月で既に初版3千部を完売。以降増刷を重ね、約1万部を販売していおり、多くの個人の方、大学や企業研修で「マーケティングのテキスト」としてご愛顧いただいております。

  • 金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)

    金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)
    ヒット商品ネタ51連発!このブログ記事のネタを選りすぐってコンパクトで読みやすく図表付きに再編集しました!

  • 金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)

    金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)
    打倒「もしドラ」!を目論んだ(笑)ストーリー展開のマーケティング本。初心者にもわかりやすいマーケティングの全体像に基づき、実践・実務家も納得のリアリティーにこだわりました!

  • 金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える

    金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える
    ペンギンの世界を舞台に「考えるとはどういうことか」「論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か」を考える、スラスラ読めて身につく本です。初心者の入門書として、一度学んだ人の復習にと活用できます。

  • 金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本

    金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本
    マーケティングをストーリーで学び、「知っている」が「使える」になる本。1つ1つのフレームワークが、面白いように「つながっていく」感覚を実感してください!

  • 金森 努: “いま”をつかむマーケティング

    金森 努: “いま”をつかむマーケティング
    7編の取材を含む、2010年のヒット商品など約30事例をフレームワークで切りまくった「マーケティング職人・金森」渾身の1冊。フレームワークを学びたい人にも、フレームワークの具体例を知りたい人にも、朝礼で話せるコネタが欲しい人にも役に立つこと間違いなしです!

  • 長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語

    長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語
    「分かるとできるは違う」と言われるが、両者間には距離がある。実業務のどこで使えるのか気づけない。だから使えない。本書はお菓子メーカーのマーケティング部を舞台にした「若者2人の成長物語」を通して、戦略思考、論理思考、クリティカル・シンキングなどの、様々な思考法が展開されていく。ストーリーで「使いどころ」をつかめば、実践できない悩みの解消が図れるだろう。 (★★★★★)

  • ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

    ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
    フレームワークの「使用上の注意」は、「人の心はフレームワークだけでは切れない」を常に認識することだ。「行動経済学」に注目すれば、経済合理性に背く人の行動の謎の意味が見えてくる。謎の解明を様々なユニークな実験を通して、著者ダン・アリエリー節で語る本書は、「フレームワーク思考」に偏りすぎた人の目から何枚もウロコを落としてくれるはずだ。 (★★★★★)

  • セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践

    セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践
    「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が空けたいのだ」や、「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」で有名なレビット教授の名著。製品とは何か。サービスとは何か。顧客とは何か。そして、マーケティングとは何かと問う、今まさに考え直すべき原点が克明に記されている名著。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
    コトラーはマーケティングは「製品中心(Product out)=1.0」「消費者中心(Customer Centric)=2.0」。それが「人間中心・価値主導(Social)=3.0」にバージョンアップしたと論じている。本書は「マーケティング戦略」の本というよりは、今日の「企業のあるべき姿」を示しているといえる。その意味では、「では、どうするのか?」に関しては、新たなソーシャルメディアの趨勢などに考慮しつつ、従来のコトラー流2.0を十分に理解しておくことが必要だ。 (★★★★)

  • 鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)

    鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)
    広告に関する本は、いわゆる広告論や広告制作の手法を述べていても、マーケティング理論を前提としたものは少なかったように思います。「マーケティングの中における広告ビジネス」を具体的にまとめました。さらに、当Blogで「勝手分析」した事例を企業取材によって、マーケティングと広告の狙いを検証しました。多くの現役広告人と広告人を目指す人に読んでいただきたいと思います。

  • 金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)

    金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)
    金森の著書です。フレームワークやキーワードやセオリー、事例をマーケティングマネジメントの流れに沿って102項目で詳説しました。フレームワークの使いこなしと事例には特にこだわりました。金森のオリジナル理論もあり!

  • 山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える

    山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える
    リーダーの戦略や、チャレンジャーがリーダーを倒す方法など、ポーター、コトラーの理論を更に実践的な事例と独自フレームワークで解説した良書。事例がちょっと古いが、今、読み返してもためになる。在庫が少ないので、中古本でも出ていれば即買いをお勧め。 (★★★★)

  • 金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)

    金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)
    このBlog記事一話一話が見開きで図解されたわかりやすい本になりました。ヒット商品のヒミツをフレームワークで斬りまくった、ネタ56連発。是非一冊!

  • 後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて

    後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
    「レスポンス広告」とは資料・サンプルの請求や商品の注文を消費者から獲得するための広告のこと。そのための方法論は、ブランドイメージをよくするといった目的とは全く異なる。本書は多数の広告サンプル(精度の高いダミー)を用いてレスポンス広告のキモを具体的かつ詳細に解説している。「レスポンス広告の鬼」たる筆者ならではの渾身の1冊。 (★★★★★)

  • ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン

    ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン
    どんなすばらしいマーケティングプランも、結局は人が動かなければ成功しない。故に、リーダーシップ論が重要となる。本書はコッター教授の「企業変革8ステップ」が寓話の中でわかりやすく記されている良書である。金森絶賛の一冊です。 (★★★★★)

  • マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

    マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
    2000年発売の良書。旧タイトル「ティッピング・ポイント」が文庫本化されたもの。クチコミの本ではなく、イノベーションの普及が何かのきっかけで一気に進む様を、各種の事例を元に解明した、普及論にも通じる内容。(うっかりリストに入れ忘れてました)。オススメです。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学

    野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
    経済分野最強のジャーナリスト勝見 明紙と、経営学の大家野中 郁次郎先生という黄金コンビによる傑作。いくつもの企業でのイノベーション事例を物語風に紹介しながら、その変革の要諦を解明、さらなる提言をメッセージしている。読み応え十分。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの本質

    野中 郁次郎: イノベーションの本質
    最新刊の「イノベーションの作法」に比べると、少々こちらは「野中理論」の難しい部分が表面に出ているように思えるが、発売当初、ナレッジマネジメントの観点からしか読んでいなかったが、読み返してみれば、本書の1つめの事例である「サントリー・DAKARA」はマーケティングでも有名事例である。むしろ、本書での解説は、マーケティングのフレームワーク上の整合ではなく、そのコンセプト開発に力点が置かれており、その精緻な記述は圧巻であった。読み直して得した気分になったので、ここで併せて紹介する。 (★★★★)

  • グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

    グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業
    だいぶ発売されてから時間が経ってしまったのですが・・・。 二度目に読んで、「お勧め」しようと思いました。 そのわけは、一度目は「いかに顧客と優良な関係を構築することが重要か」という当たり前なことを力説しているだけの本だと思ったからです。 事実、そうなんです。アドボカシー(advocacy=支援)という新しい言葉を遣っただけで。 ただ、その「当たり前なこと」のまとめ方が秀逸であり、我々マーケターにとっては「当たり前」でも、その考え方がどうしても理解できない石頭な人に読ませると、なかなか効果的だと分かりました。 さて、皆さんもそんな人が周りにいたら読ませてみては? (★★★)

  • レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」

    レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」
    ダイレクトマーケティングの創始者であり、金森の心の師でもある、レスター・ワンダーマンの「BEING DIRECT」(英文名)が12年ぶりに改訂されました。 詳しくは、Blog本文の10月16日の記事を参照ください。 必読の書です。 前版は電通出版だったので入手が少々面倒でしたが、今回は一般の出版社からの刊行なので、アマゾンで購入できます。この本の画像をクリックすれば、アマゾンのサイトにリンクしますので、是非! (★★★★★)

  • フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式

    フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式
    実は、この本は金森の入院中の頂き物。結構はまりました。 スウェーデンの売れっ子セミナー講師が自らのセミナーで用いている30の設問を、気の利いたイラストに載せて紹介している。「レンガの使い方を10通り挙げなさい」のような、「ん?どこかの自己啓発セミナーで聞いたな~」というようなネタもありますが、ひねりの効いた問いかけもいっぱい。ざっと流し読みしたら20分で読み終わってしまう絵本になってしまいますが、本気で問いかけの答えを考えると、なかなか論理思考も鍛えられます。金森もお気に入りの問いかけは出典を明らかにして、自分の企業研修で使わせてもらっています。 ちなみに、この本の2(続編)も出ています。2冊揃えば送料も無料。「あわせて買いたい!」。 (★★★★★)

  • パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う

    パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う
    重要な本をお薦めするのを忘れていました。この本も結構、私の座右の書となっています。「ミッションステートメント」の重要性もコラム等で繰り返し述べてきました。それがしっかりしていないが故に、会社自体が方向性を見失い、社員も求心力をなくす。また、顧客のことも忘れてしまう。ミッションステートメントは壁に黄ばんだ紙に書いてあるものを、朝礼で呪文のように唱和するためのものではないのです。社員全員、全階層がそれを本当に理解し、行動できれば会社に強大なパワーが生まれるはずです。この本は「強い企業の強いステートメント」が紹介・解説された良書です。 (★★★★)

  • エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学

    エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学
    もはや絶版でプレミアがついて現在ユーズドで3万円!(昨年までは2万円以下でした。定価は8千円弱)。 しかし、一度は翻訳版とはいえ原書を読みたいもの。 私のコラムでもよく取り上げています。 様々なマーケティングの入門書にも部分的に取り上げられていますが、誤った解釈も多く、「イノベーションの普及速度」などの重要項目も抜けています。 ただ、基本的には社会学の学術書なので、完読するのはチトごついかも。(それで星4つ。内容的には断然5つですが。)3万円ですが、手にはいるならラッキー。 10万円にならないうちに・・・? (★★★★)

  • ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業

    ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業
    すみません。これは宣伝です。 Blogにも「共著で実践的なナレッジマネジメントの本を出しました」と紹介いたしましたが、この度第二版(重版)ができました。 初版で終わったしまうことの多いビジネス書において重版はうれしい! まだお読みになっていない方は是非! (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪

    フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪
    これも分かっている人向き。 コトラーの中では「最も今日的な本」であると言えるでしょう。コトラー大先生と私ごときを並べて語るのは不遜の極みですが、私が旧社電通ワンダーマンのニューズレターや日経BizPlusの連載でしきりに訴えてきた内容が集約されている気がします。うーん、大先生と何か視点が共有できているようで読んでいて嬉しくなってしまった一冊でした。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト
    今度は分かっている人向け。そういう人はたぶんもう買っていると思いますが・・・。 コトラー特有の大作ではなく、マーケティングの中でも重要なコンセプトを80に集約して解説を加えた、ある意味他のコトラー本の「攻略本」とも言える。 常にデスクサイドに置いておき、用語集として使うもよし、ネタに困ったときにパラパラと眺める「ネタ本」としてもよし。マーケター必携の本であると言えましょう。 (★★★★★)

« ドコモの広告とauのクチコミ戦略? | Main | 「ハーフ」で「ニュー」な時代をどう生き延びるか »

2009.12.02

おせちの中に世相が見える、戦略が見える!

 おせちブームである。景気の低迷によって「年末年始の旅行は控えるけど、せめてお家でちょっと豪華なおせちを食べましょうね」ってわけで、昨年あたりからブームに火が付いた。さらに今年はそれが加速して、百貨店各社はしのぎを削る熱い戦いが開始されている。”空前の”おせちブームといってもいいかもしれない。
 そのおせちのラインナップに注目してみると、昨今の世相と、各社の戦略が見えてくる。そう、おせちはデパ地下マーケティングの集大成なのである!

■おせちの全体傾向は?

 まずは、価格戦略(Price)に注目してみよう。おせちも景気動向の影響は否めない。そのため、「1万円おせち」などのロープライス路線の拡充は各社とも意識しているところだろう。しかし、松・竹・梅でついつい、「竹」を選んでしまう日本人の性格。そのために高価格帯も手を抜けないし、百貨店によっては10万円の強気商品を展開している例もある。但し、あくまで狙いは中価格帯への誘導であり、手堅く低価格帯も展開するというのが価格戦略である。

 では、そのおせちはどのような製品戦略(Product)がとられているのだろうか。気になるのは「おひとり様おせち」を展開している百貨店が目につくことだ。少子高齢化に晩婚化、非婚化が進んで「正月に一人でおせち」を推奨しているわけではない。というわけでなく、「個食化」対応である。子供用と称して「キャラクターおせち」があったり、若いひと向けに「若手料理研究家プロデュースおせち」があったりと、おせちはそれぞれ一人一重になっていくのでは?と思える様相である。
 かと思えば、定番の「老舗のおせち」はしっかりと存在感を示している一方、「懐かしのおばあちゃんの味おせち」なども充実を図っているようである。「おせち市場」まだまだ、市場のパイが拡大するであろう成長期なので、商品そのものの工夫のしがいはまだまだあるというところだ。

 但し、おせちには制約条件がある。それは販売チャネル(Place)である。生おせちは「地域限定」にして数量の確保と、保存性と、運送にかけるコストを減らさなければならない。「」全国どこでもお届け」にしてしまっては安全性の問題や、味の劣化、運搬中に盛りつけが崩れるというようなリスクが生じる。提供する料亭や仕出しはいやがるだろうし、百貨店としても責任が持てない。そもそも食の好み地域で全く異なる。
 考えてみれば、地域に応じた商品の提供は本来あるべき姿である。今までは多くの商品が「売る側の都合」で全国一律で行われていたのである。地域性のあるおせちは、見ていても楽しく、商品提供の本来あるべき姿を示しているともいえるだろう。

 各社がどのようなプロモーション(Promotion)を展開しているのかは、最後にWebサイトで見ていくとして、それを見る前に、どんなテーマ性が設定されているのか、その切り口をざっくり見ておこう。テーマ性とは即ちポジショニング(Positioning)であり、各社の戦略の要だ。
 「食の達人が仕立てたおせち」「いまどきおせち」「なつかしおせち」「三都雅おせち」「料理研究家のおせち」「ヘルシー精進おせち」「タイガースおせち」「おばあちゃんの味おせち」・・・ホンッッッッッッッッッッとに種類が多くうまくカテゴライズできないのである。消費者ニーズの多様化に対応しているというよりは、まだまだ手探りで百貨店のプランナーたちがハァハァゼェゼエと息を切らしながら手探りをしているという状態が目に浮かぶのである。しかも、デパ地下商品としてはえらく高単価商品であるし、成長市場なので手は抜けない。ご苦労様ですといいたい。

■百貨店各社の傾向とオススメの切り口は?

 各百貨店の展開をサイトで見ていこう。百貨店名におせち料理サイトのリンクを設定したので、具体的にはリンク先を参照いただきたい。

三越
 「キッズおせち」「ピンチョスおせち」「身の回りの素材でお正月を楽しく演出する方法」など、届いたおせちを「より楽しく」「より便利に」食べる工夫もあわせて提案して、おせちの2次利用を提案しているのが秀逸だ。
http://www.mitsukoshi.co.jp/osechi/
 そして、「そもそも”おせち”ってなんだ?」という「おせちに興味がなかった層」を取り込む工夫もちらり。成長市場では需要喚起、需要創造が欠かせないがその鉄則をきちんとおさえた展開である。

大丸
 「セレクトおせちであれこれ食べたい人のさらなる欲望を満たす!」がオススメと見た。但し、セレクトはめんどい人には、あらかじめ有名店を合体させたおすすめおせちもあり、両面作戦を展開している。また、「一人暮らしだけど、実家には帰りたくない…彼氏と一緒にお正月!」 な女子向けと思われるおせちもあり、なかなか細かなニーズを拾うことも忘れていない。

阪神
 あああ、やっぱり。という感じの「タイガースおせち」はホームとアウェー用のお重2色展開。たぶんタイガースファンは色違いで購入するに違いない。また、関西のとんかつチェーン「とんかつKYK」のおせちがあるなど、土着的雰囲気バッチリな展開だ。

伊勢丹
 高い。伊勢丹独自の価値を訴求する「オンリーi」をおせちで展開するとこうなるのか。京都下鴨茶寮のおせち取り扱いは伊勢丹と東急だけ。10万のは伊勢丹だけ。関西発祥ではないのに、大丸・高島屋・阪急を差し置いて、伊勢丹が専売。伊勢丹バイヤーは「いいものを一人勝ちで売る為には、ジャングルも戦場もかき分けて行く」らしいので、「孔明の家」にも3回行ったのだろう。下鴨茶寮が口説き落とされた様子も目に浮かぶ。

阪急
 伊勢丹とは正反対の攻め方。こちらも新しい。老舗ではなく、若手狙いである。京都では今「お高くとまった殿様商売の京料理店」に反旗を翻した若手料理人たちが「美味しい物を、全うな価格で」提供するきざしがあるという。伝統を守りつつ革新的で、価格は良心的。そんな若手達の店はこの不景気の中でも、何ヶ月も予約が取れなかったりする人気店になっている。そんなお店におせちをつくってもらっているのが阪急。人気を反映して売り切れも多い。

高島屋
 20万オーバーのおせちがあるのはここだけ。4人家族が食べたら一回で終わり。送料はなぜか1万のおせちも20万のおせちも300円。とこんな細かい所が気になる筆者のような者がターゲットでないことだけは確か。あぁぁすごい強気。

そごう/西武
 プロモーション的にすごく損してると思う。「そごう おせち」「おせち 西武」と、単体で検索すると順位がだいぶ低い。正解は「そごう・西武 おせち」なのだけど、各々の百貨店の顧客は「そごう・西武」と認識していないだろう。
 しかも、サイトの写真をみても、ショッピング画面にいけないのだ。「店頭か電話で注文」ですぜ。商品的には「おばあちゃんのおせち」シリーズなど、面白い企画もあるのだが、プロモーションと連動しておらず。残念。

東武
 こちらも少し残念。一応特設ページがあるのだが、ものすごい階層が深くてなかなかたどり着けない。しかし商品的には、好きなものを選んで重ねられるというアソートおせちがあるなど楽しさのある企画も充実している。

京王
 「多摩地区産の食材にこだわり」などと、ものすごく限定された地域のおせちで特徴を出している。もう一つのポイントは、京王プラザホテルと2段構えの展開。「ホテルのシェフが作るおせち」という強力なカードしっかり使っている。活かすべき強みを有効に使うお手本だ。

小田急
 おせち→お正月→家族が集まる→宴会→「かにまつり!」という文脈が面白い。他の百貨店がおせちと、お正月宴会料理のページを分ける中、小田急は一発で鍋パーティーとおせちの両方楽しめる画期的なセットを開発した。顧客の行動をきちんと考えた結果辿り着いた秀逸な商品である。

東急
 品数はものすごく多い。が、サイトで変えないだけでなくやたら見にくい。そごう・西武と同等かそれ以上に損している気がするが・・・。ネットを使う人はターゲットに設定していないのだろうか。

近鉄
 商品以上にサイト構成が秀逸。人数・価格・味の嗜好と、ニーズに沿った選び方がスムーズに展開されている。これぞ顧客視点。さらに料理に合うオススメへのお酒への誘導も顧客にとっては気が利くサービスで、自社にはクロスセリング効果バッチリである。

天満屋
 関東・関西・中四国と、各地域の味を楽しめるおせちが展開されている。なぜ、こんなに多くの地域を揃えるのか、その意図を推測するために中国地方の人々にインタビューした。すると、「あんまし行かないからじゃない?」と口を揃える。超保守的地域ならではの、「ちょっと冒険心」をおせちで充足させようという意図だろうか。

岩田屋
 こちらも全国の味を楽しめる展開。プロモーションとしては「おせちの現場を取材してきました!」が秀逸である。なんともドラマチックに作り手の思いが伝わってきて、「ここのおせちを食べてみたい」という気持ちに心揺さぶられます。写真がまた、いい。マーケターの力量が感じられ、ちょっと感動した。

リウボウ
 「しょうがつくわっち~」とは「正月料理」の沖縄言葉らしい。さすが沖縄、おせちを食べる習慣というか、おせちそのものから説明している。しかし、最後にこのサイトで勉強になったことがいくつもある。「そもそも、おせちは正月だけの食べ物ではなかった」とか、「おせちを重箱につめたのはデパートが始め」、とか。しかし、おせちのバリエーションが劇的に少ないのは需要が無いからだろう。

 以上、ランダムに沖縄までざーっとさらってみたが、現状は各社各様の展開であり、温度差もある。しかし、成長市場で覇権を競い合う様も垣間見える。しかし、やはり消費者のニーズをいかにおさえるか、顧客行動をどのように設計するかがキモであることは間違いない。
 おっと、サイトを見ると既に随分と完売の商品も目についた。
 「ご予約はお早めに!」

« ドコモの広告とauのクチコミ戦略? | Main | 「ハーフ」で「ニュー」な時代をどう生き延びるか »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference おせちの中に世相が見える、戦略が見える!:

« ドコモの広告とauのクチコミ戦略? | Main | 「ハーフ」で「ニュー」な時代をどう生き延びるか »