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2009.12.01

ドコモの広告とauのクチコミ戦略?

 揃えも揃えたり、並べに並べたり。その数63機種。ドコモの「冬春モデル」である。

 「おっと待った!いくら何でもそんなに多くないだろう!」と突っ込まれればその通り。11月10日に行われた「冬春モデル発表会」でSTYLEシリーズ10モデル、PRIMEシリーズ5モデル、SMARTシリーズ2モデル、PROシリーズ2モデルの計19機種と伝えられた。
 63機種は、11月30日の日経新聞朝刊に掲載された、カラー見開き全面広告に並べられた携帯電話の数だ。同一機種でもカラーバリエーションまで掲載されているので、紙面を埋め尽くす壮絶な数が並ぶことになった。
 日経新聞の媒体掲載料を正確に思い出せないし、ドコモほどの大手広告主なら特別レートがあるだろ。なので、かなりいい加減な計算だが、15段(全面)掲載料で1500万円×2面×カラー料金1.2倍=3600万円ぐらいだろう。その広告費を投じてドコモは何を狙ったのか。

 もっともポピュラーな消費者の態度変容モデルは1920年代に米国でサミュエル・ローランド・ホールが著書で示したAIDMAモデルだ。即ち、消費者に商品を認知させる、Attention(注意喚起)から始まって、Interest(関心喚起)、Desire(欲求喚起)、Memory(記憶)、Action(購買行動促進)へと様々な刺激を与えて誘引設計を行うのである。
 ドコモの「63機種そろい踏み」は明らかにAttention(注意喚起)を目的としたものであるのは間違いない。しかし、それ以降に続くのか少々疑問である。

 2007年の大和証券グループの企業広告は印象的で今でも記憶に残っている人も多い。プリストン大学の行動経済学者 E・シャフィール博士が解説する。画面にはベビーカーを買いに来た夫婦。最初のシーンでは4種類展示されたベビーカーから簡単に1つを選ぶ。しかし、展示する種類を十数種に増やすと、次にやってきた夫婦は選ぶことができずに立ち去ってしまうという内容だ。「”決定回避”の法則」であると解説する。「普通は『選択肢が多い方がよりよいものが選べる』と思うでしょ? 選択肢が増えすぎると、人はむしろ選べなくなるんだよ」と。
 63機種、どうだろうか。

 まさかこの広告で終わるはずもなく、各機種の魅力を一つ一つ順次伝えていくのだろうが、はじめに「お腹いっぱい」になってしまうとあまり興味が湧かなくなるのも事実だ。

 「現状維持の法則」という。選択肢が広がりすぎると無難なものを選んでしまう心理だ。居酒屋の膨大なメニューを見ると、一瞬何が美味しいそうか探したくなるがすぐに面倒になって「たぶんあるはず」の無難な料理を注文してしまわないだろうか。筆者の場合は「薩摩揚げ」である。
 薩摩揚げを注文しない時もある。それは、「オススメの一品」が店内の看板などに産地や味付けなどのうんちくと共に掲載されている場合だ。店員に聞いても「当店自慢のメニューです」などといわれる。即、注文である。

 この冬の携帯で、ドコモユーザーの筆者がキャリア変更までして注文してしまいそうな「オススメの一品」がある。au(KDDI) iidaブランドの「PRISMOID」である。
 この一品、(いや、逸品と言い換えようか)はオススメのしかたも絶妙であった。auのデザインプロジェクトの系譜であるiidaは発売のかなり前から製品発表を行うのが常だ。発表は9月9日であった。その分、ティザー(じらし)効果もバッチリだ。
 うんちくもいい。シェフならぬ、デザインを手がけたのはプロダクトデザイナーの深澤直人氏。過去にニューヨーク近代美術館(MOMA)収蔵品にもなった歴史的な名作「インフォバー」のデザインも担当した。

 さらにステキなうんちくは続く。同氏が「PRISMOID」のコンセプトとしたのは「未来的な未来」。その意味するところは、「昔の人が思い描いたであろう未来」だという。
 日経新聞朝刊一面のコラム「春秋」では12月1日に、最新のハイブリッドカーとクラッシックカーのデザインを対比する前に<最先端の技術を極めた製品には、鋭い美しさがある。時を経た古い工業品には、生き物に似たぬくもりがある>と記している。
 「PRISMOID」とは角錐台を意味し、その名のとおり四角錐台を2つ重ねたようなフォルムである。シャープなエッジを見せるが、握りやすそうで、その直線的なデザインはどこな懐かしい、確かに「昔、夢見た未来」を彷彿とさせる。
 発売日12月1日、本日だ。

 ドコモの広告にお腹いっぱいになった筆者は、auのクチコミ戦略に乗って記事を書いている気がする。しかし、それは単に企業の戦略の違いかもしれない。リーダー企業はより幅広いターゲットにリーチする方法を選択し、auも本体のブランドでは、ジャニーズの嵐を使って既に大量に広告を投入している。iidaは筆者のようなニッチなターゲットをつかんでクチコミを展開していくということなのかもしれない。
 各々の戦略の結果、今後のシェアがどのように変化していくのかも注目しておこう。

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Comments

excellent points and the details are more precise than elsewhere, thanks. - Norman

Posted by: Online Casino | 2010.09.28 02:52 AM

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