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2009.11.05

マクドナルドが根こそぎにするカフェ市場

 日本マクドナルドがカフェ市場の完全制圧に乗り出した。ファストフードの強大なるコスト・リーダーの本格進出は、この後のさらなる大胆な展開も予感させる。

<スタバに対抗?マックが「カフェモカ」などコーヒーメニューを強化!>(東京ウォーカー)
http://news.walkerplus.com/2009/1103/10/

 上記リンクだけでなく、各メディアでマクドナルドのカフェメニュー強化は大きく取り上げられている。今回は、カフェラテ、キャラメルラテ、カフェモカ、カプチーノなどの、より「カフェらしい」メニューを投入しただけでなく、「マックカフェ」という新ブランドとして販売していることが大きな特徴である。

 このブランドネームが日本マクドナルドとしての壮絶なリターンマッチへの決意を表わしている。「マックカフェ」は元々は単なる商品ブランド名ではない。マクドナルドの新業態・カフェ店舗として1998年にスタートした店舗ブランド名である。その1度目のチャレンジは店舗を矢継ぎ早に展開したものの、翌年撤退。2度目のチャレンジは2007年に同名の店舗を複数展開したが、翌年から縮小を相次ぎ、現在、同社のWebサイトにはその形跡を示すものすら残されていない。

 新業態店ではなく、既存店舗でのカフェメニュー拡充という方向性に舵を切ったのが、昨年7月のこと。既にその前に顧客から評判の悪かったコーヒーを、ホット、アイスともに「プレミアムコーヒー」化して100円(現在は120円)で提供するという大手術を終えている。それに続いて、焼きたてベーカリーメニューを投入した。そのメニューは新業態店の「マックカフェ」のメニューと完全にかぶる。つまり、その時点で新業態店の展開は収束させる意志決定がなされていたと理解できるのである。

 3度目の挑戦は、新業態店ではなく、本体メニューへ全面的にカフェメニューを組み込んでの「カフェ市場完全制圧」を狙った展開である。そして、それは、もはや失敗が許されない最後のリターンマッチなのだ。
 その意気込みは原田CEOのコメントからも伺える。<「やるからにはトップを目指す。価格は他社とも比べて一番お得であり、マクドナルドの店舗数の多さ、24時間営業などの利点を考えると(カフェ市場で)一番をとれない理由はない」>(東京ウォーカー)という。
 取り扱い店舗も<年内には都内260店舗前後、2010年内には全国1000店舗の展開を目指す>(同)というから、完全制圧に向けたチャネルの面展開も急ピッチで進む。新業態店をチマチマ出店していた状況とは意気込みが違うのである。
 1,000店という規模はチェーン展開カフェ市場の約2割に上る店舗が市場に突如出現したのと同じだ。他の例で考えるなら、セブンアンドワイがコンビニ店舗にATMを設置してATM市場を制圧したのと同じだ。流通網やチャネルを活用した「経営シナジー」を発揮した展開である。

 プロモーションにも注力している。
<マクドナルドがカフェメニューを開始 試飲キャンペーンに800人行列>(J-CAST)
http://www.j-cast.com/mono/2009/11/03053112.html
 無料コーヒーで今までマクドナルドに来店しなかったカフェ客を呼び込むのはもはやお手の物だ。無料に慣れてきた消費者も「何か他のメニューも頼まなきゃいけないのかな・・・」という躊躇ももはやなく、新メニューを試しに行ったことだろう。

 渾身の新商品(Product)、日本全国を完全制圧する面展開のチャネル(Place)、800人を集客する無料試飲キャンペーン(Promotion)とくれば、最後に残されたマーケティングの4Pの一つ、価格(プライス)が気になる。

 <決め手はもちろん、マクドナルドならではの“お手ごろ価格”。一番安い「カフェラテ」のSサイズが190円、高い「カフェモカ」のMサイズが300円とリーズナブルな価格に抑え、200円台後半~400円台がメインのカフェチェーン店との差別化をはかった>と東京ウォーカーは分析している。しかし、「差別化を図った」という割にはその価格差は2~3割安いレベルに留まっているのではないだろうか。
 新製品で一気に市場のシェアを取ろうと思った時には「ペネトレーション・プライシング」を取るのが基本だ。場合によっては収支トントンも辞さず、競合が真似できない圧倒的な低価格を設定。シェアを取ったら規模の経済と経験効果で原価低減を図って収益を出すのである。
 そう考えると、競合比2~3割安はまだまだ、圧倒的なコスト・リーダーのマクドナルドなら下げ余地はあるように思えてしまうのだ。
 すぐに値下げをするのではないだろうか。そんな予感がする。

 前例があるのだ。今年3月に発売開始して人気メニューとなった「マックホットドッグ クラシック」。発売した月内にすぐに220円を190円に30円値下げ、2個とまとめて買うと330円(1つ165円。55円引き)という価格改定を行ったのである。今回のマックカフェメニューで再びそのような展開をしないとは断言できないのだ。

 マクドナルドのドメインは「ハンバーガーレストラン事業」である。その事業ドメインでは絶対に負けないリーダー企業だ。「カフェ」はドメインではない。だが、ドメイン拡張をしても、必ずマクドナルドはそこでもリーダー企業となるだろう。その時、既存のカフェ市場のプレイヤーはどうなるのか。
 ちなみに、筆者は頑なにスタバ派である。そうした強固なファン層だけを相手にするニッチャーとなるのか。
 マクドナルドが根こそぎする日本のカフェ市場を考えると、少々背筋が寒くなるのは筆者だけであろうか。

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